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本編
迷い込んだのは
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混乱する気持ちのまま走っていたら、木々を抜けて知らない場所にたどり着いた。後ろを見ても自分がどの方向から走って来たか分からない。ココ何処ですか?
自分で飛び出して迷子になって……ナニやってるんだろう……
目の前には整えられた芝生と綺麗な花壇。王城の一画であろう庭は、季節の花で溢れていた。
「綺麗な花……」
咲くだけで愛される花が羨ましくて、自分が惨めに思えてくる。溢れそうになる涙を袖で強く擦ったあと、出口を探して歩き始めた。町にいた時と同じ普段着の私は、警備の騎士に見つかったら不審者扱いになると思うし早く知ってる人を探そう。
そう思ってさ迷っていると、綺麗なドレスを着た師匠と同じ歳くらいの女性が東屋でお茶を飲んでいた。休憩中のご婦人かな?邪魔しちゃ悪いし驚かせるだろうから、違う道に行ってみよう。
背を向けて歩き出すと、目の前に侍女の制服を着た年配の女性に道を塞がれた。見つかった……
「貴女様は……カイン様の養女のイリーナ様では御座いませんか?」
「はい、そうです。私がイリーナです」
ドレスではないから頭を下げると、後ろから小さな笑い声が聞こえた。
「マーサ、意地悪しないで。イリーナさん、一緒にお茶をしましょう?」
凛とした声は東屋にいた女性だった。改めて顔を見て、その方が王妃様だと気付き固まった。王妃の庭に迷い込んだって事?……私ヤラカシタ……ドウショウ
背中に冷や汗が流れるけど、断れる筈もなく緊張しながら勧められるままに、向かい側に座るとマーサと呼ばれた侍女さんがお茶をついでくれた。
「王妃様のお庭に勝手に入って、申し訳ありません」
「気にしていないわ。こんなに礼儀正しいお嬢さんだもの。何かあったのでしょう?教えて下さる?」
優しい笑顔だけど逆らえない雰囲気に、素直に今日の出来事を話した。途中で王太子殿下を突き飛ばした事実に、不敬罪にならないか気になったけど、全て話が終わると王妃様の手の中で扇子がメキッと音をたてた。え!?それ魔具ですよね?今……今、変な音が!?
「殿方は、どうしてこうも皆様、女性の機微に疎いのかしらね……息子がごめんなさいね」
「いえ……突き飛ばした私が悪いですから」
「貴女は悪くないわよ。女性の部屋に勝手に、しかも窓から入るなんて犯罪者よ。気にしなくて良いわ。それに……ね?」
中途半端に言葉を区切った王妃様が視線を向けた先には、ランバートさんが立っていた。髪が乱れて少し息が上がっている。
「貴方は、彼女に何も説明していないのかしら?」
「……はい、すみませんでした」
「何に対しての謝罪かしら?謝る相手は私ではないでしょう?」
王妃様に頭を下げたランバートさんが今度は私の前に立つ。真っ直ぐに見詰める目が少し怖くて、膝に置いた手に力が入った。
「ごめん、イリーナ。避けてた訳じゃないんだ。実は……」
呪詛や闇を祓った時にお城を壊した?私が熱を出して寝込んでいる間、ずっと側にいて仕事をしていなかった?知らないうちに、私は迷惑かけてたの?
「私のせいで、ごめんなさい」
「違う!!イリーナは悪くない!俺が……」
「はい、そこまで」
ランバートさんが何か言い掛けた時、王妃様が止めた。後は二人で話なさいと、王妃様は笑った。
「私は仕事に戻るから、ここで話をしてても良いわ。しっかり話し合いなさい」
そう言って立ち上がる王妃様に、私も立ち上がって頭を下げた。
「楽しかったわ。また、お茶をしましょうね」
「はい、此方こそ、ありがとう御座いました」
王妃様の姿が見えなくなるまで見送った私は、改めてランバートさんと向きあった。彼は決まり悪そうに頭を掻きながら言ったのは、私が考えた事もない話だった。
仕事が溜まり過ぎて二日徹夜したとか、一緒に出席するパーティーで着るドレスを渡したくてギルドでお金を引き出しに行ったとか……
「何それ……言って下さいよ」
「早く仕事を終わらせてからと思ってた」
苦笑いする彼に私は勢いよく抱きついた。慌てる彼の姿に小さな笑いが漏れる。母が女は度胸も大事って言ってた事を思い出す。今かな?
「……寂しかった……」
その一言で彼の動きが止まる。大きなため息を吐いた後、私を強く抱きしめ返してくれた。
「気付かなくて、ごめん」
自分で飛び出して迷子になって……ナニやってるんだろう……
目の前には整えられた芝生と綺麗な花壇。王城の一画であろう庭は、季節の花で溢れていた。
「綺麗な花……」
咲くだけで愛される花が羨ましくて、自分が惨めに思えてくる。溢れそうになる涙を袖で強く擦ったあと、出口を探して歩き始めた。町にいた時と同じ普段着の私は、警備の騎士に見つかったら不審者扱いになると思うし早く知ってる人を探そう。
そう思ってさ迷っていると、綺麗なドレスを着た師匠と同じ歳くらいの女性が東屋でお茶を飲んでいた。休憩中のご婦人かな?邪魔しちゃ悪いし驚かせるだろうから、違う道に行ってみよう。
背を向けて歩き出すと、目の前に侍女の制服を着た年配の女性に道を塞がれた。見つかった……
「貴女様は……カイン様の養女のイリーナ様では御座いませんか?」
「はい、そうです。私がイリーナです」
ドレスではないから頭を下げると、後ろから小さな笑い声が聞こえた。
「マーサ、意地悪しないで。イリーナさん、一緒にお茶をしましょう?」
凛とした声は東屋にいた女性だった。改めて顔を見て、その方が王妃様だと気付き固まった。王妃の庭に迷い込んだって事?……私ヤラカシタ……ドウショウ
背中に冷や汗が流れるけど、断れる筈もなく緊張しながら勧められるままに、向かい側に座るとマーサと呼ばれた侍女さんがお茶をついでくれた。
「王妃様のお庭に勝手に入って、申し訳ありません」
「気にしていないわ。こんなに礼儀正しいお嬢さんだもの。何かあったのでしょう?教えて下さる?」
優しい笑顔だけど逆らえない雰囲気に、素直に今日の出来事を話した。途中で王太子殿下を突き飛ばした事実に、不敬罪にならないか気になったけど、全て話が終わると王妃様の手の中で扇子がメキッと音をたてた。え!?それ魔具ですよね?今……今、変な音が!?
「殿方は、どうしてこうも皆様、女性の機微に疎いのかしらね……息子がごめんなさいね」
「いえ……突き飛ばした私が悪いですから」
「貴女は悪くないわよ。女性の部屋に勝手に、しかも窓から入るなんて犯罪者よ。気にしなくて良いわ。それに……ね?」
中途半端に言葉を区切った王妃様が視線を向けた先には、ランバートさんが立っていた。髪が乱れて少し息が上がっている。
「貴方は、彼女に何も説明していないのかしら?」
「……はい、すみませんでした」
「何に対しての謝罪かしら?謝る相手は私ではないでしょう?」
王妃様に頭を下げたランバートさんが今度は私の前に立つ。真っ直ぐに見詰める目が少し怖くて、膝に置いた手に力が入った。
「ごめん、イリーナ。避けてた訳じゃないんだ。実は……」
呪詛や闇を祓った時にお城を壊した?私が熱を出して寝込んでいる間、ずっと側にいて仕事をしていなかった?知らないうちに、私は迷惑かけてたの?
「私のせいで、ごめんなさい」
「違う!!イリーナは悪くない!俺が……」
「はい、そこまで」
ランバートさんが何か言い掛けた時、王妃様が止めた。後は二人で話なさいと、王妃様は笑った。
「私は仕事に戻るから、ここで話をしてても良いわ。しっかり話し合いなさい」
そう言って立ち上がる王妃様に、私も立ち上がって頭を下げた。
「楽しかったわ。また、お茶をしましょうね」
「はい、此方こそ、ありがとう御座いました」
王妃様の姿が見えなくなるまで見送った私は、改めてランバートさんと向きあった。彼は決まり悪そうに頭を掻きながら言ったのは、私が考えた事もない話だった。
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「何それ……言って下さいよ」
「早く仕事を終わらせてからと思ってた」
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「……寂しかった……」
その一言で彼の動きが止まる。大きなため息を吐いた後、私を強く抱きしめ返してくれた。
「気付かなくて、ごめん」
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