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本編
思うが故に side ランバート
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イリーナが休む部屋を出た俺は、ギルマスと長い廊下を黙って歩きはじめると、魔力を広げて人払いをした。片眉を上げ怪訝な表情で様子を伺うギルマスに向き直った。
「犯人の事だ……元侯爵当主の男で、雷系魔法を使う」
「……俺とは、ちっとばかし相性がわりぃな」
少しなどと強がっているが、ギルマスは水系魔法。無属性の俺とは違い相性は最悪だ。
「で?他にもあんだろう」
「複数個の魔具を所持しているが、何を持っているか未だに把握出来ていない」
「はぁ?」
貴族は基本的に王家に敵対心が無い事を示す為に、魔具を管理・保管する書類が必ずある。ところが元当主の男は個人で隠れて魔具を製造、所持をしていた事が発覚した。現当主の息子やその家族も誰も知らず、行方不明になり部屋を調べて見付かった魔具は違法の攻撃魔具。部屋に残されていたものは全て未完成のものばかりだった。
「なんだそいつは……とち狂ってらぁ……素人が簡単に造れる物じゃねぇだろう」
「あぁ、師匠とイリーナが城の連中と確認したが暴発の危険が高いらしい」
「街中で使われたら……無関係なヤツラが巻き込まれるじゃねぇか!!」
普段は飄々と人を煙でまく様な男が本気で怒りを露にしている。ギルマスの家族は違法魔具の暴発で亡くなっているから当然か……
「……まさか……お嬢ちゃんの囮ってのは……」
「自分が暴発に巻き込まれる覚悟で言った事だ」
小さな声で“マジか”と呟いたギルマスが黙って俯いている。歩みを止めたギルマスを見詰めているとグッと拳を握り締めた。
「詳しい話を聞かせろ」
「詳しいも何も今のが全てだ。イリーナは街中で戦闘に成ることを避けたいだけだ」
そう答えた俺にギルマスは俯いたまま頭を横に振った。
「ちげぇよ、犯人の事を教えろ」
そう言うと俺の胸ぐらを掴んで今にも殴りかかりそうな勢いだった。珍しいな、普段、冷静でいろと口煩いクセに。
「落ち着け。最近の特徴は分かっていない」
「何故だ?貴族なら姿絵ぐらいあんだろう?」
「十年以上前だが、王兄と揉めて追放された貴族の事件を覚えているか?」
ギルマスが黙って頷いた後、目を見開いて俺に視線を向けた。気付いたか……あの事件の後、自ら姿絵を破棄し男は表舞台から姿を消した。
「……その男……髪は銀髪か?」
「あぁ、師匠と外見が似ているらしい。眼の色も同じ銀」
「そいつは俺の獲物だ」
「は?何を……」
男の外見を聞いてギルマスの態度が一瞬で変わった。殺気を垂れ流し瞳には怒りの色が浮かぶ。
「やっと見つけた……暴発の……俺の敵」
“敵”の一言で理解した。ギルマスの家族が巻き込まれた魔具暴発事件。多くの市民が巻き込まれ三人が亡くなり、多くの負傷者が出たその事件の犯人は未だ不明のまま。目撃者はギルマスと少年の二人だけで、銀髪に長身と魔力が高い事だけしか情報が無く、少年は顔を見ていたがまだ幼い八歳の彼の情報は相手にされなかったと聞いている。
「三年前の事件の犯人なら大問題になるぞ」
「そんなのは、お偉いさんのヤルこった。ゲーリーを呼び出す。アイツなら分かるはずだ」
「ゲーリー?……あぁ、目撃者の少年か。分かった。師匠に伝える」
ギルマスは片手を上げて答えると、そのまま屋敷を出て街に戻った。三年前の事件の犯人捜しに侯爵家が圧力を掛けていたら……犯人を知ってて隠蔽した事になる。イリーナの予想通りギルドに隠れているなら今日か明日には動きがあるだろう……証拠集めに時間は掛けられないな。
「……また、徹夜で仕事かよ」
ため息と共に溢れた愚痴は誰もいない廊下に消えた。さて、先ずは師匠に今の話を伝えますか。
目撃者の少年の名前を変更しました
ガイル→ゲーリー
「犯人の事だ……元侯爵当主の男で、雷系魔法を使う」
「……俺とは、ちっとばかし相性がわりぃな」
少しなどと強がっているが、ギルマスは水系魔法。無属性の俺とは違い相性は最悪だ。
「で?他にもあんだろう」
「複数個の魔具を所持しているが、何を持っているか未だに把握出来ていない」
「はぁ?」
貴族は基本的に王家に敵対心が無い事を示す為に、魔具を管理・保管する書類が必ずある。ところが元当主の男は個人で隠れて魔具を製造、所持をしていた事が発覚した。現当主の息子やその家族も誰も知らず、行方不明になり部屋を調べて見付かった魔具は違法の攻撃魔具。部屋に残されていたものは全て未完成のものばかりだった。
「なんだそいつは……とち狂ってらぁ……素人が簡単に造れる物じゃねぇだろう」
「あぁ、師匠とイリーナが城の連中と確認したが暴発の危険が高いらしい」
「街中で使われたら……無関係なヤツラが巻き込まれるじゃねぇか!!」
普段は飄々と人を煙でまく様な男が本気で怒りを露にしている。ギルマスの家族は違法魔具の暴発で亡くなっているから当然か……
「……まさか……お嬢ちゃんの囮ってのは……」
「自分が暴発に巻き込まれる覚悟で言った事だ」
小さな声で“マジか”と呟いたギルマスが黙って俯いている。歩みを止めたギルマスを見詰めているとグッと拳を握り締めた。
「詳しい話を聞かせろ」
「詳しいも何も今のが全てだ。イリーナは街中で戦闘に成ることを避けたいだけだ」
そう答えた俺にギルマスは俯いたまま頭を横に振った。
「ちげぇよ、犯人の事を教えろ」
そう言うと俺の胸ぐらを掴んで今にも殴りかかりそうな勢いだった。珍しいな、普段、冷静でいろと口煩いクセに。
「落ち着け。最近の特徴は分かっていない」
「何故だ?貴族なら姿絵ぐらいあんだろう?」
「十年以上前だが、王兄と揉めて追放された貴族の事件を覚えているか?」
ギルマスが黙って頷いた後、目を見開いて俺に視線を向けた。気付いたか……あの事件の後、自ら姿絵を破棄し男は表舞台から姿を消した。
「……その男……髪は銀髪か?」
「あぁ、師匠と外見が似ているらしい。眼の色も同じ銀」
「そいつは俺の獲物だ」
「は?何を……」
男の外見を聞いてギルマスの態度が一瞬で変わった。殺気を垂れ流し瞳には怒りの色が浮かぶ。
「やっと見つけた……暴発の……俺の敵」
“敵”の一言で理解した。ギルマスの家族が巻き込まれた魔具暴発事件。多くの市民が巻き込まれ三人が亡くなり、多くの負傷者が出たその事件の犯人は未だ不明のまま。目撃者はギルマスと少年の二人だけで、銀髪に長身と魔力が高い事だけしか情報が無く、少年は顔を見ていたがまだ幼い八歳の彼の情報は相手にされなかったと聞いている。
「三年前の事件の犯人なら大問題になるぞ」
「そんなのは、お偉いさんのヤルこった。ゲーリーを呼び出す。アイツなら分かるはずだ」
「ゲーリー?……あぁ、目撃者の少年か。分かった。師匠に伝える」
ギルマスは片手を上げて答えると、そのまま屋敷を出て街に戻った。三年前の事件の犯人捜しに侯爵家が圧力を掛けていたら……犯人を知ってて隠蔽した事になる。イリーナの予想通りギルドに隠れているなら今日か明日には動きがあるだろう……証拠集めに時間は掛けられないな。
「……また、徹夜で仕事かよ」
ため息と共に溢れた愚痴は誰もいない廊下に消えた。さて、先ずは師匠に今の話を伝えますか。
目撃者の少年の名前を変更しました
ガイル→ゲーリー
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