【完結】子爵令嬢の秘密

36 リリア＆クリス

　騎士団に強盗団を引き渡されている最中にクリスさまが、血相変えて戻ってきた。

　「旦那様、お帰りなさいませ、こちらに旦那様の愛人と名乗るお方がおみえですよ」

　「愛人だと……俺はリリアが嫁として嫁いできてから、リリア一筋なんだが……それとも……」

　「こちらですが？」

　「誰だこいつは？」

　どうやら愛人と言うのも嘘だったようです。

　結婚するまでの間、クリスさまはかなり遊んでいらしたらしく、その噂を聞きつけての犯行だったようです。

　まさか私の行った先が王宮で人質として連行できなかったのが、運の付きですね。

　クリスさまのように人気の高かった独身貴族が、まさか最下層の貴族と結婚したとなれば、それなりの僻みや女性からの奇襲があると思っての、防衛処置だったのですが……少し過激すぎたようです。

　その後、クリスさまが迎えに来てくれて一緒に帰りました。

　どういう訳か、あれだけ嫌味を言っていた令嬢たちからは、一切言われなくなったのと、陰でクドクド言っていた嫌味なおじさまたちからは、私の顔を見るなり逃げて行ってしまうようになったのです。

　何故でしょう？

　それをクリスさまに言うと笑って、認めてもらったんだから気にするなと言われる始末です。

　でもあれって、どちらかと言えば怯えてますよ！！！！

　私が何をやったというのでしょう？

　


　俺の嫁はおとなしいが、やるときはやる嫁だ。

　今回も備えあればと言うことで、執事と侍女たちと話し合って作り上げていたものだ。

　まさかあれほど効き目があるとは思わなかったが……お陰でリリアのことを悪く言っていた連中の口はふさぐことができたので一石二鳥と言うことだ。

　それにしてもよくも俺の愛人と名乗り、屋敷に上がり込んでリリアを追い出すようなことしやがって……

　女だからと言って容赦しないからな！！！！

　俺は言葉の通り、それはそれはきつい拷問をキャロラインと名乗る女に行った。

　色々下呂ってくれたので、後の処理は大分楽だったのは良かったよ。

　リリアが仕掛けで捕まえた奴らの他に、根城にしていた場所に数人、これで全員捕まえることができた。

　ただ、黒焦げになった奴がいるんだが、どうもそいつが頭らしいのだがどうも嘘をついているようなのだ。

　これはまた嫁の出番かと強盗団の前でいうと怯えたように暴露してくれた。

　これで下級貴族を狙った強盗団は全滅と言うことで解決したことになるが、強奪した金の行方はこれからの捜査で明らかになることだろう。

　誰が黒幕かもすぐに判明する。

　さて、俺はまだ一仕事残っているのだ。

　王妃のところに行き、俺の嫁を奪還してこなければならない。

　これがどんな仕事よりも困難な仕事だと思う。