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嘘の日--それは一年で一度だけユイさんに会える日。
一年のうちでたった三日しかないけれど、それでも会いたくて。選んで欲しくて。残りの日はずうっと自分を磨いている。
三月の下旬は念入りに。
ここにいるんだよって気づいてもらえるように。ピッカピカのツルッツルにして四月を迎えるのである。
施設の中には僕より可愛い子はいっぱいいて、美人さんだってうんといる。発情香だってアルファにとってもっともっと魅力的な香りは沢山あって、発情すればドロドロに溶けちゃう子だっている。
正直、僕は中の下。いや、下の上あたりかもしれない。
オメガとしての最低ラインスレスレにいる。銀色のキラキラとした髪と澄んだ肌を持つユイさんと並ぶと余計に霞んでしまう。アルファとオメガなのに全く釣り合いが取れていない。
施設内で一番仲が良いかっちゃんは、自分がオメガらしくない見た目であることやアルファに反応しない自分を卑下する。けれど番選びでアルファ達が見るモニターにはずらりと発情したオメガが並ぶのだ。その中でかっちゃんはいつだって目立っていた。
今までかっちゃんを選んだ人達は皆、かっちゃんを恋愛対象や性的対象に見てくることはなかった。番選びデビューから七年経ってもその身は綺麗なまま。けれどたった一日で彼らはかっちゃんが大好きになるのだ。
かっちゃんは僕の自慢の友人だよって胸を張りたくて、同時に少し羨ましい。
そういう内側から出る魅力は年を取ってもなくなることはないから。毎年デビューをするオメガにユイさんが取られるんじゃないかって怯えている僕とは違う。
「大丈夫だよ、かっちゃんなら今年もいい人に選ばれるって」
「性欲は向けられないかもしれないけど……」
「番には選ばれないかもしれないけど……」
「でもいい人見つかるって」
「ありがとう。お前達も不安だろうに、心配かけてごめんな」
「不安なのは今だけだよ」
「発情剤を飲めば正気なんてなくなるんだから」
他のオメガと一緒にそんな言葉をかけながら、自分にも言い聞かせる。
大丈夫、ユイさんに選ばれなくたって正気を飛ばし続ければすぐに終わるって。
それでも期待する気持ちは抑えられなくて、スキンケアに励むのだった。
一年のうちでたった三日しかないけれど、それでも会いたくて。選んで欲しくて。残りの日はずうっと自分を磨いている。
三月の下旬は念入りに。
ここにいるんだよって気づいてもらえるように。ピッカピカのツルッツルにして四月を迎えるのである。
施設の中には僕より可愛い子はいっぱいいて、美人さんだってうんといる。発情香だってアルファにとってもっともっと魅力的な香りは沢山あって、発情すればドロドロに溶けちゃう子だっている。
正直、僕は中の下。いや、下の上あたりかもしれない。
オメガとしての最低ラインスレスレにいる。銀色のキラキラとした髪と澄んだ肌を持つユイさんと並ぶと余計に霞んでしまう。アルファとオメガなのに全く釣り合いが取れていない。
施設内で一番仲が良いかっちゃんは、自分がオメガらしくない見た目であることやアルファに反応しない自分を卑下する。けれど番選びでアルファ達が見るモニターにはずらりと発情したオメガが並ぶのだ。その中でかっちゃんはいつだって目立っていた。
今までかっちゃんを選んだ人達は皆、かっちゃんを恋愛対象や性的対象に見てくることはなかった。番選びデビューから七年経ってもその身は綺麗なまま。けれどたった一日で彼らはかっちゃんが大好きになるのだ。
かっちゃんは僕の自慢の友人だよって胸を張りたくて、同時に少し羨ましい。
そういう内側から出る魅力は年を取ってもなくなることはないから。毎年デビューをするオメガにユイさんが取られるんじゃないかって怯えている僕とは違う。
「大丈夫だよ、かっちゃんなら今年もいい人に選ばれるって」
「性欲は向けられないかもしれないけど……」
「番には選ばれないかもしれないけど……」
「でもいい人見つかるって」
「ありがとう。お前達も不安だろうに、心配かけてごめんな」
「不安なのは今だけだよ」
「発情剤を飲めば正気なんてなくなるんだから」
他のオメガと一緒にそんな言葉をかけながら、自分にも言い聞かせる。
大丈夫、ユイさんに選ばれなくたって正気を飛ばし続ければすぐに終わるって。
それでも期待する気持ちは抑えられなくて、スキンケアに励むのだった。
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