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じゅうろく。
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side.パドマ
____________________
私達が見守る先で、この王国一の魔術師と魔力の属性を調べているのは、異世界から来たというリウ。
ぐぬぬぬ、と唸り声が聞こえて来そうな険しい顔をしているあの子は、数日前のあの日、私達の所に来た。
__________
聖女召喚に立ち会わないと言うセシル王子を加え、討伐申請が来ていた東の森に遠征に行く。
王子がこんな所に来ても良いのかと思うが、もういつもの事だと諦めている。
……暇なのだろうか?
そして、遠征が終わりに差し掛かった頃、見回りに行っていたゼノ団長が1人の人間を抱え戻ってきた。
「パドマ!」
「はい、ゼノ団長。」
「この子を頼む。」
疑問符いっぱいで、この子と呼ばれた少女を見れば、その子は凄くボロボロの状態だった。
「この子は……?」
「わからない。森の中で息絶えそうな所を見つけた。」
一応、緑のポーションを飲ませたが…。と言う団長からその子を受け取り、私達のテントに連れて行く。
受け取ったその子は、身長の割にすごく軽かった。
痩せ細った体を拭き、服を着替えさせると、寝顔ではあるが整った顔をしていることに気付いた。
それからしばらくして目覚めたその子にポーションを飲むようにすすめれば、なかなか飲もうとしない。
どうしたものかと思っていれば、団長が現れ、無理やり飲ましていた。
……あの時の生き生きとした笑みをうかべる団長の顔は忘れもしない。
そして、私はその子……リウのお世話係になった。
リウが気絶し寝ている間に受けた説明によると、王都であった聖女召喚の儀で、誤って聖女様と一緒に召喚されたらしいとのこと。
そんなことがあるかと言う疑問と同時に、なぜ森の中にいたのか気になるが、詳細は話してもらえなかった。
もしかしたら、ゼノ団長はリウの事を疑っている…?
それとも、何か他に理由が…?
そう考えがよぎれば、せっかく見回り班や食事当番から逃れられたのに、お世話係も大変だなと思った。
朝、一緒に食事をとりながら改めて見たその子は、異世界から来たからだろうか。
この世界では初めて見る黒っぽいグレーの瞳をしていて、寝顔でも思ったが、派手さはないけど整っている顔立ちだった。
髪色から勝手に地属性かと思っていたし、同じ属性のハロルドをもう1人のお世話係に任命したのかと思っていたが、瞳を見ると、属性が分からなくなった。
謎の女の子に疑問が少しずつ膨らんで行く中、その子を第1騎士団で預かることがが決まった。
アーロン副団長からそれを聞いた私は、リウを迎え入れる準備をするため、数名の騎士団と一緒に先に帰還する。
とりあえず必要なものだけを買い、他は後で良いだろうと、一度寮に戻り、使用していない部屋を開ければ、ボワっとホコリが舞った。
寮で洗濯や掃除などをしてくれるおばちゃんに頼み込み一緒に掃除をすれば、殺風景ではあるが、とても綺麗になったと思う。
そうこうしているうちに団長達が帰還し、私はリウを迎えに行く。
先にお風呂を案内すると、私もシャワーを浴びようと部屋に戻る。
念の為、おばちゃんにはリウが出て行かないように見ていてほしいと頼んだ。
急いでシャワーを浴び、リウの着替えを持ち廊下に出ると、同じ騎士団の女団員にリウの事を聞かれる。
私もあまり知らないから、と言うのを断れば、ケチ、と言って何処かに行った。
…本当に知らないのに。
そのまま脱衣所に向かうと、まだ入浴中なのか浴室から水の音がした。
服を置き、自分とリウが着ていた服をおばちゃんに渡し、洗濯をお願いする。
そうこうしているうちに、そろそろ時間だと思い、リウを呼びに脱衣所に戻れば、すでに着替えていたリウと目があった。
彼女は、髪を一生懸命タオルで乾かしていて、そう言えば異世界には魔法が無いんだったかな…?と思い出す。
時間もなかったし、乾かしてあげようと濡れた髪に手を伸ばせば、びくりと大げさに体が震えた。
それに一瞬手を止め、様子を見れば、ギュッと目をつぶっている。
そこまで怯える意味がよくわからないが、風魔法を使い髪を乾かすと、驚いた後、キラキラした瞳を向けてきた。
それにドヤ顔をして見せれば、イケメンと言われる。
……単純なこの子は、この世界でやっていけるのかと少し不安になった。
それから、食堂を案内したり、一緒に買い物に行ったりしいていれば、最初は怯え、戸惑っていたリウも、可愛い笑顔を見せることが多くなった。
だからだろうか。
そんな彼女が、一度も涙を見せないことが疑問に思った。
21歳とは言え、不安のはずなのに。
最初は、怯えた表情も見せていたが、最近はそれもない。
変な動きや言動は多いが、それは特に問題がないように見えるけど…。
それに、あのゼノ団長のリウへの対応。
私の中で、そんな、色々な疑問が残る中、魔力検査が始まった。
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私達が見守る先で、この王国一の魔術師と魔力の属性を調べているのは、異世界から来たというリウ。
ぐぬぬぬ、と唸り声が聞こえて来そうな険しい顔をしているあの子は、数日前のあの日、私達の所に来た。
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聖女召喚に立ち会わないと言うセシル王子を加え、討伐申請が来ていた東の森に遠征に行く。
王子がこんな所に来ても良いのかと思うが、もういつもの事だと諦めている。
……暇なのだろうか?
そして、遠征が終わりに差し掛かった頃、見回りに行っていたゼノ団長が1人の人間を抱え戻ってきた。
「パドマ!」
「はい、ゼノ団長。」
「この子を頼む。」
疑問符いっぱいで、この子と呼ばれた少女を見れば、その子は凄くボロボロの状態だった。
「この子は……?」
「わからない。森の中で息絶えそうな所を見つけた。」
一応、緑のポーションを飲ませたが…。と言う団長からその子を受け取り、私達のテントに連れて行く。
受け取ったその子は、身長の割にすごく軽かった。
痩せ細った体を拭き、服を着替えさせると、寝顔ではあるが整った顔をしていることに気付いた。
それからしばらくして目覚めたその子にポーションを飲むようにすすめれば、なかなか飲もうとしない。
どうしたものかと思っていれば、団長が現れ、無理やり飲ましていた。
……あの時の生き生きとした笑みをうかべる団長の顔は忘れもしない。
そして、私はその子……リウのお世話係になった。
リウが気絶し寝ている間に受けた説明によると、王都であった聖女召喚の儀で、誤って聖女様と一緒に召喚されたらしいとのこと。
そんなことがあるかと言う疑問と同時に、なぜ森の中にいたのか気になるが、詳細は話してもらえなかった。
もしかしたら、ゼノ団長はリウの事を疑っている…?
それとも、何か他に理由が…?
そう考えがよぎれば、せっかく見回り班や食事当番から逃れられたのに、お世話係も大変だなと思った。
朝、一緒に食事をとりながら改めて見たその子は、異世界から来たからだろうか。
この世界では初めて見る黒っぽいグレーの瞳をしていて、寝顔でも思ったが、派手さはないけど整っている顔立ちだった。
髪色から勝手に地属性かと思っていたし、同じ属性のハロルドをもう1人のお世話係に任命したのかと思っていたが、瞳を見ると、属性が分からなくなった。
謎の女の子に疑問が少しずつ膨らんで行く中、その子を第1騎士団で預かることがが決まった。
アーロン副団長からそれを聞いた私は、リウを迎え入れる準備をするため、数名の騎士団と一緒に先に帰還する。
とりあえず必要なものだけを買い、他は後で良いだろうと、一度寮に戻り、使用していない部屋を開ければ、ボワっとホコリが舞った。
寮で洗濯や掃除などをしてくれるおばちゃんに頼み込み一緒に掃除をすれば、殺風景ではあるが、とても綺麗になったと思う。
そうこうしているうちに団長達が帰還し、私はリウを迎えに行く。
先にお風呂を案内すると、私もシャワーを浴びようと部屋に戻る。
念の為、おばちゃんにはリウが出て行かないように見ていてほしいと頼んだ。
急いでシャワーを浴び、リウの着替えを持ち廊下に出ると、同じ騎士団の女団員にリウの事を聞かれる。
私もあまり知らないから、と言うのを断れば、ケチ、と言って何処かに行った。
…本当に知らないのに。
そのまま脱衣所に向かうと、まだ入浴中なのか浴室から水の音がした。
服を置き、自分とリウが着ていた服をおばちゃんに渡し、洗濯をお願いする。
そうこうしているうちに、そろそろ時間だと思い、リウを呼びに脱衣所に戻れば、すでに着替えていたリウと目があった。
彼女は、髪を一生懸命タオルで乾かしていて、そう言えば異世界には魔法が無いんだったかな…?と思い出す。
時間もなかったし、乾かしてあげようと濡れた髪に手を伸ばせば、びくりと大げさに体が震えた。
それに一瞬手を止め、様子を見れば、ギュッと目をつぶっている。
そこまで怯える意味がよくわからないが、風魔法を使い髪を乾かすと、驚いた後、キラキラした瞳を向けてきた。
それにドヤ顔をして見せれば、イケメンと言われる。
……単純なこの子は、この世界でやっていけるのかと少し不安になった。
それから、食堂を案内したり、一緒に買い物に行ったりしいていれば、最初は怯え、戸惑っていたリウも、可愛い笑顔を見せることが多くなった。
だからだろうか。
そんな彼女が、一度も涙を見せないことが疑問に思った。
21歳とは言え、不安のはずなのに。
最初は、怯えた表情も見せていたが、最近はそれもない。
変な動きや言動は多いが、それは特に問題がないように見えるけど…。
それに、あのゼノ団長のリウへの対応。
私の中で、そんな、色々な疑問が残る中、魔力検査が始まった。
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