おおぅ、神よ……ここからってマジですか?

夢限

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第05章 家族

04 再会

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 神様の贈り物を受け取りに立ち寄ったアリナス村、そこで出会ったヘイゲルとロリッタ。この2人が突然頭を抱えて悶絶し始める。一体何事かと思い、何かの病気だとまずいという思いとともに鑑定をかけた。その結果に俺は驚きと意味の分からなさに変な声を出してしまった。
 なぜなら、2人の名が、それぞれ〈ヘイゲル〉から〈ヘイゲル=ヒュリック〉、〈ロリッタ〉から〈ロリッタ=ミリア〉と変わっていた。どういうことかと思ってさらに鑑定を見てみると、説明欄に〈スニルの父〉〈スニルの母〉とご丁寧に書かれている。このスニルというのは間違いなく俺だ。ほかの説明を見ても明らかに俺のことだったからだ。そう、つまりこの2人、ヘイゲルとロリッタは俺の両親が転生し、たった今12歳になったことで前世の記憶を取り戻したということ。この悶絶はその際に起きる頭痛、人間1人の情報が一気に流れ込んできたことで起きるものだ。俺にも覚えがある痛みでもある。

「まさか、これかよ」
「スニル? 何かわかったの」

 俺のつぶやきにシュンナが尋ねてきた。

「シュンナ、大丈夫だ。この2人は別に病気とかそういうものじゃない」
「そ、そうなの? それじゃ」
「前世の記憶を取り戻しているだけだ」

 周囲には村長たちもいるためにシュンナだけに聞こえるように小声で告げた。

「前世? それって!」
「ああ、それでこの2人俺が面倒を見るようにしてくれないか」
「どういうこと?」
「どうやら、この2人、俺の両親らしい」
「!!? そ、それ、本当なの?」
「間違いない」
「わ、わかったわ。ちょっと待ってて」

 シュンナはそういうと村長たちの元へと向かい、何やら交渉を開始、その結果問題なく俺が2人の看病をできるようにしてくれた。


 そうして、寝室へと運ばれた2人、この2人実は孤児で村長が引き取っているという、だから兄弟みたいに育ってきたこともあり、部屋は同じ部屋なのだそうだ。まぁ、前世で夫婦だったんだから全く問題ないな。さて、そんな2人は今それぞれのベッドで眠っているわけだが、俺は特に何もせず2人の寝顔を眺めている。ただ気を失っているだけで、特にどこかが悪いわけではないからね。

「……う」

 おっと、眺めていると父さんがそろそろ起きそうだ。そこで俺は少し2人から離れた場所へ移動した。こうすることで、2人が目覚めた時俺が視界に入らないようになる。目覚めた時2人がどんな会話をするのだろうか。

「うっ、いつつっっ、頭、痛てぇ」
「いっ、いたたっ」

 見ているとまず父さんが目覚め、すぐに母さんも目覚めたようだ。

「……」
「……」

 隣で目覚めただけあって、すぐにお互いの存在に気が付いて、じっと見つめあっている。

「……ミ、ミリア、か?」
「ヒュリック?」
「ああ、やっぱりミリアだったか」
「ヒュリック!」
「神様が、俺たちは同じところで生まれるようにしてくれたからな」
「ええ、そうね。よかった。また、あなたと一緒なのね」
「ああ、そうだな。あとはスニルか」
「ええ、でも、ヒュリック」
「ああ、わかってる。昨日うちの村に来た奴らだろ」

 おっと、話はさっそく俺に話になってきたな。俺は2人に当然名乗っている。ていうか俺の顔は母さんにそっくりらしいから、記憶を取り戻せば俺がスニルだと疑いを持つだろう。

「あの子、スニルって、ねぇ、もしかして」
「俺もそれは思った。確か年も14って、俺たちのスニルも元気なら同じ年だ」
「ええ」
「それに、あの顔はミリア、お前によく似てる。今ではなく前世のだが」
「うん、私もそれは感じてる。あの子の面影があるもの」

 さて、俺の話が出てきたところで、俺も登場しておこう。

「気が付いたようだね」
「!!」
「!!!」

 ふいに俺が声をかけたものだから、2人は驚いて黙ってしまった。

「ねっ、ねぇ」
「お、おう」

 驚いたものの、母さんが小声ですぐに父さんに頼んでいる。

「な、なぁ、えっと、聞いていいか?」
「何を?」
「お、お前、どこ出身なんだ?」

 なるほど、出身地を聞けば俺が2人のスニルであるかどうかが分かるからな。なにせ、俺はまだ2人にどこから来たかの話はしていない。

「コルマベイント王国、南部に位置している」

 ここで言葉を切ると2人も息をのんだ。

「ゾーリン村だよ。父さん、母さん」
「!!!!!!」
「!!!!!!」

 あえて、2人をこう呼ぶことで、2人の疑問に対しての答えを告げた。

「あっ」
「ス、スニル、なのか」

 少しの時間を変えて、2人が俺の言ったことを咀嚼し終わったようで、母さんは小さく、父さんは確かめるように聞いてきた。

「そう、2人の息子、スニルだよ」
「あっ、ああぁ」

 俺はそう言いつつ、2人のベッドの間に立った。すると、母さんの目が決壊し涙があふれだした。

「スニル、スニルっ、ごめんね。ごめんねぇ」

 そうして、母さんはベッドから出て俺を強く抱きしめた。この年で親に抱きしめられるのは恥ずかしいが、今は母さんのしたいようにさせようと思う。たまにはいいだろうし、背後からは父さんが俺を抱きしめている母さんごと抱きしめているために、身動きができない、しかし心地いいものだ。俺の目にも涙があふれてきそうだ。


 こうして、俺は12年ぶりに両親と再会を果たしたのだった。といっても、俺には残念ながらこの両親の記憶はないのだけれどな。なにせ、当時の俺はまだ2歳だったんだから、これはしょうがない。しかし、懐かしさと心地よさがある。これが両親ってものなのだな。落ち着く……そう思うと俺の目から涙がとめどなくあふれてきた。おかしい俺はこらえたはずだ。でも流れてきているのは事実……ああ、そうか、これは俺の涙じゃねぇ、の涙なんだ。俺が記憶を取り戻したときに眠りについた僕が両親との再会によって目覚めたのだろう。だから、俺は僕のしたいようにさせたのだった。これは俺ではなく僕の再会なんだからな。

 それからしばらく俺たち親子は再会の抱擁を続けていたが、さすがにいつまでもこうしているわけにもいかない、というわけでまずは父さんが自然に離れ、俺も体の向きを変えることにした。まぁ、母さんは離してくれないのだけれどね。

「スニル、大きくなったな」
「そりゃぁ、12年もたってるから」
「そうね。立派になったかな」
「だな。しかし、こう見ると本当にミリアにそっくりだな。昔から似ているところはあったが、こうして成長すると、本当によく似てる」
「そうかな。村でも言われたけど」
「ああ、そっくりだ」
「でも、目元はあなたにそっくりよ」
「そうか」
「ええ」

 なんてことを言っているが、残念ながら俺は2人の前世の顔を知らないからわからない。

「ねぇ、スニルお話して」
「話?」
「ああ、そうだな。聞かせてくれ」

 2人が話をせがんできたが、これって間違いなく2人が死んだ後のことだよな。これは困った。さすがに虐待されて、奴隷として売られましたとは言えない。言えるはずがない。ええと、困ったどうする。

「ああ、ええっと、その前に聞きたいんだけど、さっき神様にあったみたいなこと話してたけど」
「聞いていたのか」
「そうね。確かにお会いしたわ」
「それじゃ、俺のことって聞いてる?」

 少し恐る恐る聞いてみた。俺が前世の記憶も地だということも知っているのだろうか。

「もちろんだ。俺たちがこうしているように前世の記憶をもっていることも、それが異世界だってことも聞いている。でも、たとえ前世が何であろうと、スニル、お前は俺たちの子だ。それだけは変わらねぇ」
「ええ、だからこそ私たちはこうして転生してきたんだものね」

 つまり2人は俺が前世の記憶があるからといっても息子として見てくれるというわけだ。

「そうか、なら、それを前提で話すと、そうだな。俺も今日の2人みたいに12になった時に前世の記憶を取り戻して」

 迷った挙げ句記憶を取り戻したところから離すことにした。もちろんどこでとは言わない。

「! はっ、大丈夫だったの」

 しかしここで母さんがさっそく心配を始めた。ああ、そうか、2人は気を失っていたからな。俺も同じ思いをしたのではないかと思っているわけだ。

「大丈夫だったよ。俺の場合神様からもらったスキルのメティスルっていうものがあって、その”森羅万象”って権能が働いたから確かに痛みはあったけど、それもすぐに収まって、気を失うこともなかった」
「そう、良かった」
「そうだな」
「はははっ、まぁ、それで記憶を取り戻したわけなんだけど、それで神様が言っていた世界を見て回ろうと思って、旅に出ることにしたんだ」
「旅かぁ、しかし、まだ12だっただろ、大丈夫だったのか」
「ああ、それは問題ないよ。12といっても、記憶を取り戻した時点で中身はホラ、大人だし、そう聞いてるでしょ」
「ええ、まぁ、確かに聞いているけど」
「村長たちにもそう言って説得して、ああ、だから村長は俺が前世の記憶を持っていることは知っているよ。それでもって、ノニスおばさんを中心に、村の人たちが大量の料理とか服を作ってくれたんだ。今着ているこれだって、作ってもらったものなんだ」
「そう、良かったわね。でも、本当なら私が作ってあげたかったのに」
「そういえば、ミリアは大量の布を用意していたな」
「そうよ。楽しみにしてたんだから」
「はははっ、やっぱり、家にあったからおばさんたちに渡したよ。おばさんたちもそれで作ってくれたから、これもそうだと思うよ」
「ああ、だから見覚えのある生地だったのね」

 そう言って母さんは俺の来ている服をまじまじと見ている。

「料理も母さんが得意だったものとかも作ってくれて、俺もそれ今や好物になってるよ」
「ほんと、それじゃ今度作ってあげるね」
「おっ、そいつはいいな」
「あなたにじゃないわよ」

 なんかいいなこういうの、そう思いながら話を続ける。

「まぁ、とにかくそれで旅に出て、2日目だったかな、夜テントで寝ようとしたら、少し遠くの方で叫び声が聞こえてきて、なんだろうと思って行ってみたら、ブラッドベアがいてさ」
「ブ、ブラッドベアだとっ!」
「ちょっ、そんなところになんで!」

 ブラッドベアの名を聞いたとたん2人は青くなった。それはそうだろう、2人が最後に戦ったオーク、これと同等の強さを持つといわれている魔物だからな。

「それにつては俺もわからないけど、俺が見た時ブラッドベアの猛攻を受けて生きているのが2人居たんだ」
「2人?」
「ああ、しかもその2人の首には奴隷の首輪が付いてて、2人は知っているかわからないけれど、奴隷って主の命令がないと、武器を持てないんだよね。それで、2人の主はすでに死んでる。つまり、2人は攻撃手段もなくただ猛攻をよけることしかできない状態だったんだ」
「そ、それは」
「よく無事だったわね」

 2人とも元冒険者だけあって、これがどれほどすごいことなのかがわかるようだ。

「その生き残っていた2人ってのが、ダンクスとシュンナなんだ。シュンナが借金でダンクスが犯罪、でも、2人とも本来なら奴隷に落ちることはなかったんだけどね」
「あの2人が、でもどういうこと何だ」

 父さんが聞いてきたので、ここでシュンナとダンクスが奴隷となった経緯を話して聞かせた。

「なるほどな。それはまた、最悪だったな」
「ええ、そうね。でも、どうやってブラッドベアから助かったの」
「スニルがやったのか?」
「いや、その時の俺はまだ記憶を取り戻したばかりでもあったし、下手に魔法を撃って2人にあたっても大変だから、奴隷の首輪を外したんだよ。”解呪”って魔法で」
「えっ! 外せるのか!」
「き、聞いたことないわ」

 奴隷の首輪というものは一度漬けたら二度と外すことはできない、これが一般常識なために2人とも驚愕している。そこで両親に対して奴隷の首輪について詳しく説明をしていったのだった。

「……なるほどな。それこそスニルだからこそというわけか」
「すごいわ」

 俺の説明を聞いて素直に感心する両親であった。

「ははっ、まぁとにかくそれで2人は剣を持てるようになって、ブラッドベアを倒したってわけ」
「そうか、となるとあの2人は相当な強さだよな。少なくとも前世の俺たちよりも圧倒的に強いな」
「そうね。悔しいけれどそれは間違いなわね。それほどの強さがあればあの時も……」

 母さんが言っているのは当然オークとのことだろう。それから、2人と一緒に旅をすることになったことを話したのだった。そうして、話はいよいよカリブリンへと突入への話となった。

「おっ、カリブリンか、懐かしいな。そういえばあいつらにはあったのか?」

 父さんがいうあいつらというのは、間違いなくあの2人のことだろう。

「シエリルおばさんとワイエノおじさんのことだね。あったよ。ギルドに2人のことを聞きに行ったら、ちょうど隣の受付にシエリルおばさんがいたんだ」
「へぇ、あっ、そっか納品ね」
「そう、それでおばさんから声をかけてくれて、話を聞いたってわけだよ」
「妙なこと聞いてないだろうな」
「大丈夫だよ。そんなおかしなことは聞いてないから、それから、父さんが育ったっていう孤児院のことも聞いて」
「おう、孤児院か、院長は元気だったか?」
「ああ、えっと、実は孤児院は場所が変わっててさ」

 少し言いづらいがこれは話すべきだろうと父さんに孤児院の状況を話した。もちろんそのあとに俺が支援をしたことや、フリーズドライのこと、そして現在の孤児院の状態などを話したのだった。すると、父さんは最初こそ怒り心頭だったが、最終的には俺をほめてくれた。よくやったって、まさかこの年になって親に褒められてうれしいとはな。頭をなでられたよ。
 その後、俺の話は再び旅の話となり、途中で出会った冒険者たちや、シュンナの元仲間が亡くなったことなどを話した。そうして、王都での騒動からコルマベイント脱出までを話したのだった。

「……ワイバーンって、よく無事だったな」
「魔法を駆使して何とかね。さすがに俺たちも緊張したよ」
「でしょうね。ふぅ、あまり危険なことはしないで頂戴。心臓に悪いわ」

 母さんはほっと胸をなでおろしながら、叱ってきた。

「ごめん、でも、それしか方法がなかったんだ。でも、何とか無事にウルベキナ王国へ入れたんだ」

 話の舞台はウルベキナへと入り、そこでダンクスが村人に襲われた話から始まり、エイルードでのグルメ巡りから、料理大会の話をしていった。そして、そのあとに起きた奴隷狩り騒動である。

「奴隷狩り?」
「そう、そこらへんにいる普通の人の首に勝手に奴隷の首輪をつけて売り払うって連中のことなんだ。ほら、ダンクスもシュンナも似たようなものだったでしょ。だから、放置もできないし、2度もある意味で巻き込まれたから気になって、調べてみることにしたんだ」
「そう、それでどうなったの?」
「シムサイト商業国って国の上層部が関与していることが分かったんだ」
「国の、それって王様ってこと」

 やはり、2人とも王国出身だけあってシムサイトの政治形態を理解できないようだ。そこで、まずシムサイトの政治形態を説明したのだった。そして、そのトップにいたオリフェイスについても話したのだった。

「というわけで、シムサイトは選ばれた奴がトップになるってシステムになってて、その時のトップがオリフェイスってやつで、さすがにそうなると俺たちでは手を出すこと出来なかったからね。だから、せめてというわけでその店に侵入したんだ。何かないかと思ってね」

 最後にサーナ発見について説明をしたのだったが、これを聞いた2人はさすがに憤慨、それはそうだろう2人は俺という息子を持つ親、俺たちよりもオリフェイスたちへの怒りが強く出たのだろう。

「……許せない」
「ああ、許すわけにはいかないな」

 声を低くしてそういう2人、聞いている俺もこえぇが、2人にはオリフェイスの末路を話したことで幾分か落ち着いた。こうして、少し長かったが俺が旅に出始めたころから今までの話をざっとしたというわけだ。
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