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第12章 経済戦争の果て
01 続々と
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西側諸国との戦争が終結したわけだが、ここで西側に逆侵攻を仕掛けてはどうかという話が出たが、テレスフィリアはすでに膨大な領土を持っており、これ以上あっても管理しきれないので必要はない。これはほかの3国も同じ、というか3国に関しては飛び地となる足るために俺以上にいらないとのことだった。とはいえ、さすがに何もなしというわけにはいかず、隣国であり戦場となったバリアラータリョウ王国と、総大将となったガルナホレイオン王国には賠償金を支払ってもらうつもりで交渉を行ってもらっている。ちなみにその交渉人として選んだのはテレスフィリアの調停大臣に任命した魔族議員であるヤエリハルに任せた。魔族議員を選んだ理由はこの戦争のs料理者が誰かということを示すとともに、魔族とは安全な人間であるということを示すためでもある。もちろん、ただ魔族議員だけを送り込むと普通に攻撃されかねないので、護衛として獅子人族のニスモスたち数名の騎士をつけてある。
「交渉の方はどうだ?」
「難航しているとのことですが、ヤエリハル様も張り切っておられる模様です」
「そうか、ヤエリハルにはじっくりと事に当たるように伝えておいてくれ」
「かしこまりました」
こうした交渉はにおいての立場としては勝者であるこちらが上ではあるが、だからといって焦って妙な条約になっても仕方ない。ここはじっくりと腰を据えて交渉にあたってほしいと思う。
「さて、とりあえず西側はこれでいいとして、次は同盟国に対する礼だが、どうすればいいんだ?」
国が国へ対する礼としては何をすればいいのか、ウルベキナを助けた際はそれなりの額をもらった。今回はそれよりも規模がでかいし、今後のことを考えた場合大目に出すべきだろうか。まっ、そこらへんはジマリートたち議会に任せてしまえばいいだろう。
となると、俺がこの戦においてやることといえば、”収納”に収めている味方の戦死者を家族の元へと返してやるだけだ。尤も、ただ俺が家族の元へ向かい返すというわけにはいかない。なにせ彼らは命を懸けて国のため、ひいては俺のために戦ったわけだからだ。そんなもの達である以上、これは国を挙げた儀式、国葬として来世に送り出してやる必要がある。
「国葬の準備は整っているか?」
「はい、すでに整っております」
「そうか」
国葬は明日に控えているために準備はすでに整っているのは当たり前といえば当たり前でもあるが、一応確認というわけだ。
そうして翌日、本日は戦死者たちの国葬を執り行うことになっている。
「ここに並ぶは、先の戦において勇敢に戦い、その命を燃やし尽くしたもの達である……」
国葬が始まり、俺の長々な言葉が始まる。これは事前にある程度考えておいて、それを今即興で言葉にしているものだ。こうしたものに原稿を用意するなんてものは俺としてはありえない。ここはたとえつたない言葉であったとしても、己の言葉で紡ぐ必要があるからだ。こういう時思うのはやはり前世のおかげだろう。俺は人と話すのが苦手で、いつものは言葉が出てこないのだが、こうして人前で話すとき、緊張というものをほとんどしない。というのも俺の通っていた小学校を始め中学の時、班でいろいろ調べてクラスで発表する。そうした授業がやたらとあったからだ。そして何より、大学の時理系だったのだが、最後の卒研発表、あれはかなりひどいものだった。というか空気がかなりやばかったからな。それを経験しているだけにこうした場での演説はそれほど苦にはならない。また、これまでも何度もやってきたことなので慣れたということもある。
「……このもの達の来世が良きものであり、いずれまた会いまみれることを祈るとしよう」
そう言って締めくくった。この言葉は俺がこの世界で死後あの世に行くという者ではなく別の人間として神様が管理するどこかで転生する事実を知っているからの言葉であり、ここテレスフィリアにおいては死者を送る祈りの言葉として用いている。また、再び会いまみれるというのは、強い縁で結びついたものは近くに転生する確率が高くいずれかの転生先で再び会えるわけだ。尤もその時お互いに記憶があるわけじゃないから会ったところではじめましてなんだけどな。でも、神様によると’来世でも一緒になろう’などというあほらしいことを言っていたやつらが、実際に転生後も夫婦となるということも相応にあるらしい。神様がこのようにした理由としては、実際に神様が人間だったころに幾度となく同じ妻を娶ってきたからだという。ちなみにその奥さんは今も神様の奥さんとして神様とともにいるらしい。俺もあったことがあるわけではないが、その人はこの世界を始め神様が管理する世界には特に干渉するわけではなく。神様のサポートをしつつアドバイスなどをしているだけなんだそうだ。そして、この縁に関するシステムはその奥さんのアイデアで、自分たちと同じように仲の良い夫婦は来世でもともに過ごせるようにしたとのことだ。この話を聞いたとき俺としては、なんと見えない思いをしたものだ。なにせ俺にはそうした相手はいないし、人との縁が最悪だったから、前世でかかわった奴らと来世である今世まで関わり合いになりたくはない。まぁ、今世で出会ったもの達は幸いにしていい連夕ばかりなので、来世でもかかわるのは構わないとは思うけどな。ああ、そうそう、神様がこの話を聞いた経緯だけど、これは両親のことを聞いたときで、何でも俺の両親はこれまで幾度となく夫婦として生きてきたとのこと。というか、今回両親が転生した際も、神様がいじったのはこの世界、ゾーリン村の近くという設定をしただけで、同じ村に幼馴染として生まれるという風にはしてなかった。神様としてはせいぜい近くの村に生まれるだろうと思っていたそうだ。
さらなる余談だが、この両親の話が今では国中に広まっており、2人は夫婦円満の象徴として一部の民からはあがめられているらしい。というかポリーとか麗香、那奈、シュンナといった女性陣までもがあがめるというかかなり憧れ的な目出てみるという。どうやらみんなこういった来世でも一緒になれる夫婦というものにあこがれるみたいだ。正直俺にはよくわからない。
長々と考えているうちに国葬が終わり戦死者、いや英雄たちがそれぞれ家族の元へと帰っていく。俺はそれを満足しながら見つめつつも、各人に見事であったと偉そうに告げていく。これが王としての務めである。
そんな国葬から数日が経過し、俺はすっかりと元の日常へと戻っていた。
「……であるからして……」
「いえ、この場合は……」
議会にて議員たちの白熱した議論を聞きながら、襲ってくる眠気を必死にこらえる。こういう時国会で居眠りをする国会議員の気持ちがわかる気がするが、王である俺がこんな場所で居眠りをするわけにはいかない。
その時である。
「陛下、コルマベイント王より書状が届いております」
「コルマベイント王から、一体なんだ?」
議会の最中ではあるが、同盟国の王からの書状となれば重要なので優先的に拝読する。
「ふむ、ジマリート、少しいいか?」
話の一段落がついたところでジマリートを呼び留める。
「はい、なんでしょう陛下」
「ただいまコルマベイント王よりの書状が届き、長らく決まらなかった工場設置地が定まったとのことだ」
俺が戦争で右往左往している間に、コルマベイントではカリブリンに次ぐフリーズドライ工場の建設地候補を話し合っており、ついにそれが決まったという。
「それではドライム殿工場建設はよろしくお願いします」
「おう、任せておきな」
その後、ドライムから建設ドワーフを集め終わったという知らせが届いたのでさっそくその場所へと向かったのだった。
「これだけか?」
「ああ、今回は移動もあるからな。人数を極限まで絞ったんだよ」
「そうか、まぁ問題ないならいいが」
今回の建設予定地はコルマベイント北部であり、俺はその場所に行ったことが無い。そのため、ドワーフたちにはコルマベイント王都から北上して向かってもらうことになる。その道程において、ドワーフだけでふらふら歩くわけにはいかない、というかそんなことしたら普通に捕まる可能性が高い。いくらコルマベイントが同盟国であり、最近は我が国の民である他種族の奴隷の所持などが禁止されているとはいえ、それを守っているものが一体どれだけいるのか。また、人族にはまだ他種族は亜人であり、前世で罪人であったというキリエルタ教の教えがまだ信じられているから、まだまだ他種族がうろつくには危険が付きまとう。まぁ、ドワーフたちもそれなりに強いからそう簡単にはいかないんだろうが、それでもトラブルであることに間違いはない。そこで、コルマベイント政府が兵士を護衛としてつけてもらうことになっている。まぁ、ウルベキナの時みたいに俺が行って”転移”で連れて行ってもいいんだが、あの時は緊急だったからで、さすがに緊急でもないときに王である俺がわざわざそんなことする必要はないというわけだ。
「それじゃ行くか」
「おう」
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
「ようこそテレスフィリア王、彼らが建設を?」
「はい、彼らは建築を専門としたドワーフです。工場建築は彼らに任せれば問題ありません」
「ほぉ、それは素晴らしい。しかし、その人数で建てるのか?」
「私も同じく心配になりますが、彼らの技術は我々人族では計り知れるものではなく、すさまじいものがありますので、問題ないでしょう」
「それは頼もしいな」
「ええ、その通りです」
コルマベイント王城にて王と会談したのち、出発式を経てドワーフたちを送り出したのだった。
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
ドワーフを送り出してから4日が経過した。定期報告によるとやはり道中でトラブルになりかけたが、兵士たちが居たことで特に問題も起きず順調に進んでいるとのことであった。
「陛下、ブリザリアから書簡が届いております」
「おう」
ブリザリアからの書簡、特に来る予定はなかったが、一体なんだろうか。そう思いながら書簡を読んでみると、そこには待ちに待ったことが書かれていた。
「おっ、ついに決まったか」
「いかがなさいました」
「ブリザリアでもフリーズドライ工場の場所が決まったそうだ」
「それはおめでとうございます」
「というわけでさっそくドライムを呼んでくれ」
「かしこまりました」
執事が出て行ってしばらくしたところでドライムが執務室へとやってきた。
「次が決まったって?」
「ああ、今度はブリザリアだ。予定通りで近い場所なんだが、そこはハンターが多く輩出した場所だけあって、面倒ごとが起きる可能性は高い。といっても、領主変わって今は女王の直轄領となったようだが」
領主は結局かなりごねていたそうだが、女王が説得に説得を重ねた結果、テレスフィリアから離れた場所にある女王直轄領で鉱山があった領地に変えることで納得させたそうだ。
「そうなのか、確かそこの領主ってのがハンターだったんだろ」
「らしいな。しかも代々で子供が獣人族の戦士にやられたってんで俺たちをかなり恨んでいたらしい」
「そんな奴の領地だったんなら確かに面倒ごとが起きそうだな」
領主は移動したが領民はそのまま、中にはハンターだったもの、またその家族だったものが多くいる地でもある。
「一応女王が護衛騎士を用意してくれることになってはいるけど、世の中そんなもん無視してくる奴なんていくらでもいるからな」
「まぁわかった。連中には伝えておくぜ」
「頼んだぞ」
その翌日には新たな建築ドワーフたちがブリザリアへと出発したのだった。
さらに1週間が経過した。コルマベイントへ向かったドワーフたちはまだ移動中だが、大きなトラブルはないとのことで安心している。一方でブリザリア側は近いだけあり現地にはすぐについたが、やはり現地人とのトラブルが発生、というか街に入ろうとした時点で難癖付けられたという。まぁそこは護衛騎士のおかげで無事に通過したが、その後も街を歩いていると、突如石を投げられるというトラブルが続出したとのことだった。もちろんその行為は以前なら法律上問題ない行為であったようだが、今現在は同盟国から派遣された要人のようなものそんな連中に石を投げるということはかなりまずい。結果としてその石を投げた者はすぐさま護衛騎士につかまったという。また、ドワーフたちが首輪もつけずにうろうろと歩き回ったものだから、鍛冶屋が自分とこのドワーフが逃げ出したと勘違いし怒鳴りつけるという場面もあったそうだ。ドワーフって俺もそうだが見分けがつきにくく、誰が誰だかわからなくなる。わかりやすく言うなら一卵性の双子だな。付き合いが浅い時は見分けがつかないけれど、長い付き合いをしていけば何とか見分けがつくようになる。実際俺もドライムだけは見分けがつくからな。
それはともかく、問題は怒鳴りつけてきた鍛冶屋だが、前の領主だったときならまだしも、今は女王の直轄領でありドワーフを奴隷として所持しているのは当然違法、今回のことでそれが発覚してお咎めを受けることとなった。そして奴隷とされていたドワーフは保護され派遣したドワーフたちに混ざったとのこと。それを聞いた俺はすぐさま那奈を派遣し、奴隷から解放させたのだった。
とま、問題もあったがそれぞれ順調であるということは間違いない。そのうえブリザリアに関してはすでにほとんど出来上がっており、あとは仕上げのみとのことだ。そして、今回はウルベキナから知らせが届きエイルード以外の場所が決まったとのこと。そこでまた、ドライムを呼んで新たな建築ドワーフの派遣を打診、と思ったがすでに2か所に派遣しており、これ以上派遣するとテレスフィリアでの建築が止まってしまうとのことなので、いったんブリザリア組が戻ってくるのを待つことになった。
そうして待つこと数日、ブリザリア組が戻ってきたところで、2日ほどの休暇ののちウルベキナへと派遣したのだった。
「これで、予定の工場は大体できたか」
「はい、すべての工場が稼働すれば同盟国の経済が潤うこととなるでしょう」
これで、本格的にシムサイトへの対応策が出来上がってきたので、そろそろ本格的に動き出してもいいかもしれない。
「交渉の方はどうだ?」
「難航しているとのことですが、ヤエリハル様も張り切っておられる模様です」
「そうか、ヤエリハルにはじっくりと事に当たるように伝えておいてくれ」
「かしこまりました」
こうした交渉はにおいての立場としては勝者であるこちらが上ではあるが、だからといって焦って妙な条約になっても仕方ない。ここはじっくりと腰を据えて交渉にあたってほしいと思う。
「さて、とりあえず西側はこれでいいとして、次は同盟国に対する礼だが、どうすればいいんだ?」
国が国へ対する礼としては何をすればいいのか、ウルベキナを助けた際はそれなりの額をもらった。今回はそれよりも規模がでかいし、今後のことを考えた場合大目に出すべきだろうか。まっ、そこらへんはジマリートたち議会に任せてしまえばいいだろう。
となると、俺がこの戦においてやることといえば、”収納”に収めている味方の戦死者を家族の元へと返してやるだけだ。尤も、ただ俺が家族の元へ向かい返すというわけにはいかない。なにせ彼らは命を懸けて国のため、ひいては俺のために戦ったわけだからだ。そんなもの達である以上、これは国を挙げた儀式、国葬として来世に送り出してやる必要がある。
「国葬の準備は整っているか?」
「はい、すでに整っております」
「そうか」
国葬は明日に控えているために準備はすでに整っているのは当たり前といえば当たり前でもあるが、一応確認というわけだ。
そうして翌日、本日は戦死者たちの国葬を執り行うことになっている。
「ここに並ぶは、先の戦において勇敢に戦い、その命を燃やし尽くしたもの達である……」
国葬が始まり、俺の長々な言葉が始まる。これは事前にある程度考えておいて、それを今即興で言葉にしているものだ。こうしたものに原稿を用意するなんてものは俺としてはありえない。ここはたとえつたない言葉であったとしても、己の言葉で紡ぐ必要があるからだ。こういう時思うのはやはり前世のおかげだろう。俺は人と話すのが苦手で、いつものは言葉が出てこないのだが、こうして人前で話すとき、緊張というものをほとんどしない。というのも俺の通っていた小学校を始め中学の時、班でいろいろ調べてクラスで発表する。そうした授業がやたらとあったからだ。そして何より、大学の時理系だったのだが、最後の卒研発表、あれはかなりひどいものだった。というか空気がかなりやばかったからな。それを経験しているだけにこうした場での演説はそれほど苦にはならない。また、これまでも何度もやってきたことなので慣れたということもある。
「……このもの達の来世が良きものであり、いずれまた会いまみれることを祈るとしよう」
そう言って締めくくった。この言葉は俺がこの世界で死後あの世に行くという者ではなく別の人間として神様が管理するどこかで転生する事実を知っているからの言葉であり、ここテレスフィリアにおいては死者を送る祈りの言葉として用いている。また、再び会いまみれるというのは、強い縁で結びついたものは近くに転生する確率が高くいずれかの転生先で再び会えるわけだ。尤もその時お互いに記憶があるわけじゃないから会ったところではじめましてなんだけどな。でも、神様によると’来世でも一緒になろう’などというあほらしいことを言っていたやつらが、実際に転生後も夫婦となるということも相応にあるらしい。神様がこのようにした理由としては、実際に神様が人間だったころに幾度となく同じ妻を娶ってきたからだという。ちなみにその奥さんは今も神様の奥さんとして神様とともにいるらしい。俺もあったことがあるわけではないが、その人はこの世界を始め神様が管理する世界には特に干渉するわけではなく。神様のサポートをしつつアドバイスなどをしているだけなんだそうだ。そして、この縁に関するシステムはその奥さんのアイデアで、自分たちと同じように仲の良い夫婦は来世でもともに過ごせるようにしたとのことだ。この話を聞いたとき俺としては、なんと見えない思いをしたものだ。なにせ俺にはそうした相手はいないし、人との縁が最悪だったから、前世でかかわった奴らと来世である今世まで関わり合いになりたくはない。まぁ、今世で出会ったもの達は幸いにしていい連夕ばかりなので、来世でもかかわるのは構わないとは思うけどな。ああ、そうそう、神様がこの話を聞いた経緯だけど、これは両親のことを聞いたときで、何でも俺の両親はこれまで幾度となく夫婦として生きてきたとのこと。というか、今回両親が転生した際も、神様がいじったのはこの世界、ゾーリン村の近くという設定をしただけで、同じ村に幼馴染として生まれるという風にはしてなかった。神様としてはせいぜい近くの村に生まれるだろうと思っていたそうだ。
さらなる余談だが、この両親の話が今では国中に広まっており、2人は夫婦円満の象徴として一部の民からはあがめられているらしい。というかポリーとか麗香、那奈、シュンナといった女性陣までもがあがめるというかかなり憧れ的な目出てみるという。どうやらみんなこういった来世でも一緒になれる夫婦というものにあこがれるみたいだ。正直俺にはよくわからない。
長々と考えているうちに国葬が終わり戦死者、いや英雄たちがそれぞれ家族の元へと帰っていく。俺はそれを満足しながら見つめつつも、各人に見事であったと偉そうに告げていく。これが王としての務めである。
そんな国葬から数日が経過し、俺はすっかりと元の日常へと戻っていた。
「……であるからして……」
「いえ、この場合は……」
議会にて議員たちの白熱した議論を聞きながら、襲ってくる眠気を必死にこらえる。こういう時国会で居眠りをする国会議員の気持ちがわかる気がするが、王である俺がこんな場所で居眠りをするわけにはいかない。
その時である。
「陛下、コルマベイント王より書状が届いております」
「コルマベイント王から、一体なんだ?」
議会の最中ではあるが、同盟国の王からの書状となれば重要なので優先的に拝読する。
「ふむ、ジマリート、少しいいか?」
話の一段落がついたところでジマリートを呼び留める。
「はい、なんでしょう陛下」
「ただいまコルマベイント王よりの書状が届き、長らく決まらなかった工場設置地が定まったとのことだ」
俺が戦争で右往左往している間に、コルマベイントではカリブリンに次ぐフリーズドライ工場の建設地候補を話し合っており、ついにそれが決まったという。
「それではドライム殿工場建設はよろしくお願いします」
「おう、任せておきな」
その後、ドライムから建設ドワーフを集め終わったという知らせが届いたのでさっそくその場所へと向かったのだった。
「これだけか?」
「ああ、今回は移動もあるからな。人数を極限まで絞ったんだよ」
「そうか、まぁ問題ないならいいが」
今回の建設予定地はコルマベイント北部であり、俺はその場所に行ったことが無い。そのため、ドワーフたちにはコルマベイント王都から北上して向かってもらうことになる。その道程において、ドワーフだけでふらふら歩くわけにはいかない、というかそんなことしたら普通に捕まる可能性が高い。いくらコルマベイントが同盟国であり、最近は我が国の民である他種族の奴隷の所持などが禁止されているとはいえ、それを守っているものが一体どれだけいるのか。また、人族にはまだ他種族は亜人であり、前世で罪人であったというキリエルタ教の教えがまだ信じられているから、まだまだ他種族がうろつくには危険が付きまとう。まぁ、ドワーフたちもそれなりに強いからそう簡単にはいかないんだろうが、それでもトラブルであることに間違いはない。そこで、コルマベイント政府が兵士を護衛としてつけてもらうことになっている。まぁ、ウルベキナの時みたいに俺が行って”転移”で連れて行ってもいいんだが、あの時は緊急だったからで、さすがに緊急でもないときに王である俺がわざわざそんなことする必要はないというわけだ。
「それじゃ行くか」
「おう」
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「ようこそテレスフィリア王、彼らが建設を?」
「はい、彼らは建築を専門としたドワーフです。工場建築は彼らに任せれば問題ありません」
「ほぉ、それは素晴らしい。しかし、その人数で建てるのか?」
「私も同じく心配になりますが、彼らの技術は我々人族では計り知れるものではなく、すさまじいものがありますので、問題ないでしょう」
「それは頼もしいな」
「ええ、その通りです」
コルマベイント王城にて王と会談したのち、出発式を経てドワーフたちを送り出したのだった。
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ドワーフを送り出してから4日が経過した。定期報告によるとやはり道中でトラブルになりかけたが、兵士たちが居たことで特に問題も起きず順調に進んでいるとのことであった。
「陛下、ブリザリアから書簡が届いております」
「おう」
ブリザリアからの書簡、特に来る予定はなかったが、一体なんだろうか。そう思いながら書簡を読んでみると、そこには待ちに待ったことが書かれていた。
「おっ、ついに決まったか」
「いかがなさいました」
「ブリザリアでもフリーズドライ工場の場所が決まったそうだ」
「それはおめでとうございます」
「というわけでさっそくドライムを呼んでくれ」
「かしこまりました」
執事が出て行ってしばらくしたところでドライムが執務室へとやってきた。
「次が決まったって?」
「ああ、今度はブリザリアだ。予定通りで近い場所なんだが、そこはハンターが多く輩出した場所だけあって、面倒ごとが起きる可能性は高い。といっても、領主変わって今は女王の直轄領となったようだが」
領主は結局かなりごねていたそうだが、女王が説得に説得を重ねた結果、テレスフィリアから離れた場所にある女王直轄領で鉱山があった領地に変えることで納得させたそうだ。
「そうなのか、確かそこの領主ってのがハンターだったんだろ」
「らしいな。しかも代々で子供が獣人族の戦士にやられたってんで俺たちをかなり恨んでいたらしい」
「そんな奴の領地だったんなら確かに面倒ごとが起きそうだな」
領主は移動したが領民はそのまま、中にはハンターだったもの、またその家族だったものが多くいる地でもある。
「一応女王が護衛騎士を用意してくれることになってはいるけど、世の中そんなもん無視してくる奴なんていくらでもいるからな」
「まぁわかった。連中には伝えておくぜ」
「頼んだぞ」
その翌日には新たな建築ドワーフたちがブリザリアへと出発したのだった。
さらに1週間が経過した。コルマベイントへ向かったドワーフたちはまだ移動中だが、大きなトラブルはないとのことで安心している。一方でブリザリア側は近いだけあり現地にはすぐについたが、やはり現地人とのトラブルが発生、というか街に入ろうとした時点で難癖付けられたという。まぁそこは護衛騎士のおかげで無事に通過したが、その後も街を歩いていると、突如石を投げられるというトラブルが続出したとのことだった。もちろんその行為は以前なら法律上問題ない行為であったようだが、今現在は同盟国から派遣された要人のようなものそんな連中に石を投げるということはかなりまずい。結果としてその石を投げた者はすぐさま護衛騎士につかまったという。また、ドワーフたちが首輪もつけずにうろうろと歩き回ったものだから、鍛冶屋が自分とこのドワーフが逃げ出したと勘違いし怒鳴りつけるという場面もあったそうだ。ドワーフって俺もそうだが見分けがつきにくく、誰が誰だかわからなくなる。わかりやすく言うなら一卵性の双子だな。付き合いが浅い時は見分けがつかないけれど、長い付き合いをしていけば何とか見分けがつくようになる。実際俺もドライムだけは見分けがつくからな。
それはともかく、問題は怒鳴りつけてきた鍛冶屋だが、前の領主だったときならまだしも、今は女王の直轄領でありドワーフを奴隷として所持しているのは当然違法、今回のことでそれが発覚してお咎めを受けることとなった。そして奴隷とされていたドワーフは保護され派遣したドワーフたちに混ざったとのこと。それを聞いた俺はすぐさま那奈を派遣し、奴隷から解放させたのだった。
とま、問題もあったがそれぞれ順調であるということは間違いない。そのうえブリザリアに関してはすでにほとんど出来上がっており、あとは仕上げのみとのことだ。そして、今回はウルベキナから知らせが届きエイルード以外の場所が決まったとのこと。そこでまた、ドライムを呼んで新たな建築ドワーフの派遣を打診、と思ったがすでに2か所に派遣しており、これ以上派遣するとテレスフィリアでの建築が止まってしまうとのことなので、いったんブリザリア組が戻ってくるのを待つことになった。
そうして待つこと数日、ブリザリア組が戻ってきたところで、2日ほどの休暇ののちウルベキナへと派遣したのだった。
「これで、予定の工場は大体できたか」
「はい、すべての工場が稼働すれば同盟国の経済が潤うこととなるでしょう」
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