おおぅ、神よ……ここからってマジですか?

夢限

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第12章 経済戦争の果て

03 新たな商業ギルド

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 4か国同盟間で新たな商業組織が立ち上がりその名はヘルメスとした。これは地球のギリシャ神話に出てくる商売をつかさどる神の名で、いろいろあって俺の提案でこの名に決まった。

「それでは名はヘルメスと、盟主としてわたくしブリザリア女王、コルマベイント王、ウルベキナ王、テレスフィリア魔王の4名といたします。よろしいですか」
「異議はない」
「私もです」
「問題ありません」

 こうしてヘルメスは正式に発足したのだった。

「では、早速ですが具体的な話をしていきましょう」

 その後俺たち4人でヘルメスについて話し合いをした。その内容はというと、まずブリザリアに関してはほとんど変更はない。これまでも独自の組合があったわけだから変更の必要がない。違いがあるとすればテレスフィリアの商品やその対応の仕方ぐらいなものだろう。もちろんこまごまとした違いは出るとは思うが、そこらへんは俺がここで書くようなことではない。また、テレスフィリアはというと、実はこれまでほとんど商売をしていなかったこともあり、商人がいほぼいない状態だ。そのため、しばらくは国が主導して商売をしてく必要があるだろう。まぁ、一応民の中から商売に興味のある者たちを選び、ブリザリアの商店に修行に行かせている。もちろん魔族のままだとまだまだ面倒なので、姿を変えてとなり、商店主にはそのことを伝えているし、店の者にも折を見て話してもいいということは伝えてある。そこらへんはそれぞれに判断してもらうつもりだ。
 そして、最後にウルベキナとコルマベイントだが、この2か国が厄介で、今もまだ商人ギルド、つまりシムサイトの息がかかったままだ。これを排除するにはそれぞれが抱えている借金を返済する必要があるが、まだその見込みはない状態だ。となるとどうするか、その方法として各街にヘルメスのギルドを設置し、商人ギルドと対抗させようということに決まった。

「その方法はどうしましょうか?」
「ふむ、現在我が国では商人ギルドが街の商売のすべてを仕切っておる。まずはそれを奪うがよいでしょう」
「我が国も同じです。ですが、どのようにして奪うのでしょう。まさか、力づくというわけにはいきませんし」
「そうですね。そんなことをすれば、シムサイトも黙ってはおらず、その背後にいるタグルトゥス王国が出張って来るでしょう」

 シムサイト相手に喧嘩を売るのはいいが、シムサイトは武力を持たないため、そうした行為で動けば背後の大国がやってきてしまう。さすがにそれではコルマベイントもウルベキナも勝ち目が小さくなってしまう。そこで、それを防ぐためにあちらの戦場である経済で戦う必要がある。それに、俺としてもあまりむやみやたらと血を見たいわけではないからな。

「はい、ですのであまり強硬手段はとらない方がよいでしょう」
「それなれば、まずはギルド会員を募集の際女性を中心にされてはいかがでしょうか」

 商人ギルドでは女性が商人として登録することが出来ないために、多くの女性が証人となることをあきらめているはずだ。その女性たちなら喜んでヘルメスに登録してくれるだろう。

「なるほど、確かにそれならばまず商人ギルドと会員の取り合いにはなりませんね」
「ええ、それを皮切りに男性もこちらに流れてきてくれればいいのですが」
「そのためには条件などをよくする必要はあるでしょうね」
「ふむ、まぁそこらへんは現地の者たちに任せるとしよう」

 この場に女性が経営者に成れないという世迷言を言う人間はいない。というか目の前にブリザリア女王という女性でありながら王という重責を担い、国という経営を行っているからだ。そして、俺自身も日本人として生きてきたことで、そうした考えがそもそもない。なにせ地球には女性の経営者なんてごまんといるし、その中には成功している人だって大量に居るだろう、例えばホテルの社長とかな。そうした人たちを知っているから、こうしたものの才能には男女なんてものはないとわかっている。とはいえ、日本だって少し前まである意味シムサイトと同じだった。女性の経営者ってだけでいちいち特集組んでいたのがその証拠だろう。まぁ、それも徐々に少くなって普通になったということだろう。と、それはいいとして、今の問題はこの世界の認識だけど、俺が知る限りコルマベイントもウルベキナにもそれぞれ女性で店をやりたいという人は行って数はいると思う。実際、カリブリンのシエリルおばさんの場合、商人ギルドに登録しているのはワイエノおじさんだけど、実質はシエリルおばさんが経営しているし、おそらくその跡継ぎであるウィルクは馬鹿だから、その将来の嫁候補のルモアが経営をしていくことになるだろう。また、ウルベキナでもエイルードのリーラが店をやりたかったが、商人ギルドのせいで店を開くことが出来なかった。そうした女性がまだまだいると思うから、彼女たちに商売をする機会を与えるためにヘルメスのギルドは求められると思う。

「では、さっそく我が国へ戻りギルド設置を検討しよう」
「ええ、私もそうします」

 ということで、今日の会談はこれぐらいにして、それぞれの国へ戻ることになった。まぁ、そうはいっても俺は彼らを送り届ける必要があるわけだが。


 会談から2か月が経過しここで、各国のヘルメスについて話しておこう。

 まず、コルマベイントは試しにと王都にヘルメスギルドを設置。そのギルドマスターには王家御用達のたなの先代商会長を起用したとのこと。なんでもコルマベイント王も含め皆が信頼している人物であり、女性が商売をすることに関しても一切気にしない人物だそうだ。また、職員の多くの応募があり、中には現役の商人ギルド職員もいて驚いたという。それでも何とか絞り込み、今度は会員を募集したところ、これまた多くの人が応募してきた。尤も応募した人全部を会員にするわけにはいかない。ある程度の能力がなければさすがに商人としてやっていけないからな。こうして、始まった新しいギルドは順調とのことで、今のところ商人ギルドからも望外はないとのことだ。これはやはりヘルメスは基本女性が会員だから商人ギルドはすぐにつぶれると考えているのだろう。

 一方ウルベキナも同じように王都とエイルードにギルドを設置して、そのギルドマスターはともにいい人材が見つからないということで信用できる役人を派遣したそうだ。しかし職員は結構集まってきており、いずれはその職員の中からギルドマスターを選出する予定だそうだ。そして、会員については、王都ではコルマベイント同様に結構な応募があり、試験を行ったとのことだった。そして、エイルードの職員はほとんどが元商人ギルド職員だそうだ。なんでも大半がギルドマスターに逆らったことでクビにされたもの達で能力的言えば優秀なもの達だったとのことだ。そして会員はさすがにエイルードというべきか、そのほとんどが食堂か食材の店だったそうだ。

 ついでブリザリアについて説明すると、あそこは特に変更ということもなく。ただそれまでのギルドがヘルメスという名に代わっただけだ。といってもすべてが同じというわけではなく、奴隷商は新たなに登録できないようにしたそうだ。まぁ、これに関してはほかの国のヘルメスも同じなんだが、その理由はもちろん元奴隷である俺への気遣いであるとともに奴隷商自体が減ってきたことにある。というもの、まず彼らが使う奴隷の首輪がシムサイト産であることから、正しく使わないと使えない代物となていること、また、テレスフィリアの民である獣人族、エルフ族、ドワーフ族の奴隷の扱いが法律で禁止されたことにある。これでは商品の大半を失うことになるからな。実際、この法律によりいくつかの奴隷商が廃業を余儀なくされたそうだ。

 最後にテレスフィリアだが、ここはまだギルドはできていない。それはそうだろう作ろうにもギルドマスターはもちろん職員、会員がいない状態となるからだ。一応商人はいるんだが、彼らは何というか仲間同士のやり年しかしてないので、商売をしているという感じではないからだ。だからこそブリザリアに修行に言っているわけだ。彼らが戻ったらギルドを設置する予定だ。そして、その修行先の様子だけど、どうやら1人が最近修行先の従業員にも魔族であるという事実を話したそうだ。その時の様子としては、驚かれたものの恐れられることもほとんどなかったとのことだった。その後も今まで通りの付き合いをしてくれているとのことに、報告を聞いた俺も安堵しているところだ。まぁ、その時に見せた姿を変える魔道具を売りに出さないかと迫られて大変だったとことであった。

 こうして、それぞれの国で動き出すギルドにシムサイトの動きはというと、今のことろは静観しているようだ。おそらく会員に女性が多いことや王が主導していることから道楽か何かと思っているのかもしれない。尤も、そういっていられるのはこれまでだろう。なぜなら

「いよいよだな」
「はい、すでに商品は出来上がっております」
「そうか、なら、さっそく送り出してくれ」
「はっ、かしかまりました」

 商品というのは当然ながらテレスフィリアで作った品物で、今回これを始めフリーズドライ商品をヘルメス経由で販売を開始するのだ。そして、いつもなら俺が転移で運ぶわけだが、今回はあくまでヘルメス経由なので、最初から俺が運搬に関わるつもりはない。

「これで、商人ギルドも黙っていられなくなるだろうな」

 これらの商品は基本ヘルメスのみで扱うものであり、商人ギルドではこれまで通り扱わせる気はない。それもそのはず、これまで俺は商人ギルドにはあまりいい思いはない。例えば、あとで調べたことではあるが、俺を始めダンクスとシュンナを扱っていた奴隷商たちはどれもたまたまではあるがシムサイト出身で、商人ギルドにも深いつながりがある連中だった。そして、カリブリンで孤児院の場所を奪ったあの商人、実はあいつもシムサイトから来た商人だったらしい。そして、何より奴隷狩り、サーナの母ニーナをひどい目に合わせたのも同じくシムサイトであった。そうした個人的な感情を抜きにしても奴らはテレスフィリアの民の多くをいまだに奴隷として扱っている。そんな奴らにその同胞たちが作ったものを扱わせるわけがない。

 というわけで、それからしばらくの時が立ち、まずはブリザリアでテレスフィリア商品が流れ結構な評判だという。そして当然のごとく商人ギルドの商人が続々と扱う店にやってきてテレスフィリア商品を手に入れようと交渉してきたようだが、これはすべて断ってもらっている。といってもすべてを排除するのは無理があるんで多少は流れていると考えてもいいだろう。

 それからさらに時がたち、今度はコルマベイントにも流れ始めるわけだが、ここはまだ王都にしかヘルメスのギルドがないために、まずは王都から販売が開始されたが、かなり好評で地方からわざわざ買いに来るものもいるという。また、商人ギルドに所属する商会が、模倣品を作り売り出した。しかし、ヘルメスとともに俺の提案で特許法が各国に新設されており、この模倣品はこれに抵触する。もちろん、特許とはどういうものかなどそうした説明は商人ギルドにもしており、知らなかったという言い訳は通用しない。よって、その商会長は普通に逮捕されたそうだ。とはいえ、その商会長は例によってシムサイトの出身でこれも含めてフリーズドライやテレスフィリア商品を扱わせろとの抗議が送られてきたという。もちろんそれらはすべて俺の意向であるという言葉で交わしてもらっている。
 そんなコルマベイントと同時に出回っているのがウルベキナだが、こちらもヘルメスのギルドが現在王都とエイルードにしかないので、この2つの街でのみ出回っている状態だ。また、それぞれの街でもやはり模倣品が出回りだしたと聞いている。もちろんこちらも特許法の関係で逮捕し、シムサイトからの抗議を受けているという。

「シムサイトってのはばかな奴が多いのか」
「売れるものならマネしたいんじゃない。あの人たち商人だし」
「いやま、そうだけど、特許があるわけだしな」
「そうですけど、まだよくわかっていないんじゃないですか、これまでこの世界に特許なんてなかったんですよね」

 リビングで模倣品の話をしているわけだが、孝輔から尤もな意見ができた。確かに、これまでこの世界には特許という考えはなく、売れるならマネをしてもいいという風潮があった。もちろんこれらは商売を仕切っていたシムサイトが認めていたからでもあるんだが、それでもこれからは同盟を結んだ4か国内では特許があり、商品を目寝ることは犯罪であるとしっかりと商人ギルドを通して説明しているし、各街にも新しい法であると立札まで立てている。にもかかわらず平気でまねるってのはどうなんだと思う。

「でも大丈夫でしょ。うtに商品ってみんなドワーフ製だし、たとえまねたところで、品質は下よ」
「そうですよね。フリーズドライだって、スニルさんしか使えない魔法なんですよね」
「まぁな、でもフリーズドライ事態は、やろうと思えばできそうな気はするけど」
「ああ、まぁ確かに、あれって確か、名前の通り凍らせて、乾燥させればできるんでよね」
「端的に言えばな。だから、氷魔法で凍らせて風魔法で真空状態にできればいいんだよ。俺の場合はそれを一回にまとめているだけだしな」
「へぇ、そうなんだ」

 もちろんほかにも細かい調整などが必要だが概要としてはこれだ。だから、これに気が付きその魔法が扱えれば誰でもできる技術でもある。

「でも、名前からの想像は無理ですよね」
「だろうな。フリーズドライって、思いっきり日本語だし」

 実はフリーズドライとさんざん言ってきたが、これは日本語であり、この世界のどの言語でもないから、現地のもの達には意味すら分からない言葉となる。

 とにもかくにもおそらくこれからも商人ギルド、およびシムサイトからは模倣品が多く出回ることになるだろう。
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