毒姫ライラは今日も生きている

木崎優

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二十四話 失言だらけな気がする

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 ルーファス陛下のそばがとても素敵な環境だと知ってから一週間。
 新しい毒花を手に入れた日の晩のように、わくわくして寝つけない日々が続いた。
 長椅子の上で丸くなったり座ったり、もしも暗殺者が来た時にはどういう体勢が一番殺しやすいかを研究したりと、睡眠時間は足りていないけど、充実した夜を過ごしていた。

 そうして夜を過ごしていた私のもとに、ルーファス陛下が訪れることはなかった。夫婦の寝室なのだから来てもおかしくないのに、彼の私室と繋がる扉が開かれることは一度もない。
 私としては、とても助かった。この一週間、食事を終えるとすぐ執務室に連行されているので、夜ぐらいは一人で過ごしたかったから。

 ろくに言葉も交わさないけど、それでも密室に閉じこめられている環境は心臓に悪い。
 いっそ心臓が爆発してくれたらと思うけど、妖精の血をひく体はその程度のことで爆発してはくれなかった。

 それから、庭園での許可も下りたので土をいじる時間も与えられた。なんてことのない花の名前をいくつか並べ、その中に毒花も混ぜつつ育てたいと申請したけど、毒花だけ却下されたのは残念でならない。
 だけどそれでも、アドフィル帝国でしか育たない花が私の心を慰めてくれた。
 根に茎に葉に花弁に種。毒素が含まれているかどうか、調べないといけない。

 たった一週間だけど、執務室に行く以外は充実した日々を過ごせていた。

 そう、過ごせていた。

「あの、ヴィルヘルムさん……これは?」

 目の前に並ぶきらびやかなドレスの数々に、私はただただあ然としている。

「こちらに来て一週間近くが経ちましたので、そろそろエイシュケルから持ってきたドレスではなく、こちらの国のものを身に着けていただこうかと思いまして」
「……お借りしているものでは駄目なんですか?」

 ルーファス陛下に会う時は、誰かの遺品かもしれないドレスを身に着けている。それ以外の時間は持ってきたものを着ていたので、それで十分だと思っていた。

「お体に合ったもののほうがよろしいかと。それに王妃となられるのですから、それ相応に恰好をしていただかなくては……いや、今だと皇妃でしたか。いかんせん帝国と名乗るようになってから日が浅く、先代皇帝は正妻を定めておりませんでしたので、どうにも王国だった頃の慣習が抜け切れていないのですよ。そのため、王妃と呼ぶほうが慣れているものも多く……失言しても許していただけますか?」
「え、あ、はい。それは気にしてないので、大丈夫です」

 今さらか、と思ったけど口には出さないで頷く。
 私なんてまともに姫としての教育を受けていないから、失言どころの騒ぎではない。
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