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二十五話 納得していいところなのかどうか
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「それではこれからの予定ですが、ひとまずはこちらに並んでいるドレスから数着選んでもらい、それから靴、装飾品なども選んでいただきます。好みの色などございましたら遠慮なくおっしゃってください。宝石についても好みがあれば考慮し、選別いたします」
「好みはとくにありませんけど……そうじゃなくて、こんな高そうなもの、もらえません」
怒涛のように押し寄せる言葉の数々に思わず呆気に取られそうになったけど、慌てて口を挟む。
すぐに死ぬ予定なのに、こんなにたくさん用意してもらってもいらなくなるだけだ。
「先ほども申し上げましたが、王妃となられるのですからそれ相応の装いをしていただかなくてはこちらとしても困るのです。ライラ様の御披露目会などもありますので……好みがとくにないのはありがたいことです。支配下に置いている国からの贈答品などもありますので、場合によっては好みでなくとも身に着けていただくこともございますので。陛下はいつも色が気に食わないだのなんだのと文句をつけてくるので、好き嫌いがないのはいいことです。控え目な方が王妃となられて嬉しく思いますよ」
またも押しつけられる言葉たちは、口を挟む余地がない。
こうして話している間にもさっさと侍女に用意させている。
身振り手振りだけで判断できる侍女もすごいけど、話しながら指示を出せるヴィルヘルムさんもすごい。
「季節や参加される宴席に合わせて選んでいただけるとこちらとしても助かります。どれがいいか迷った際には私か陛下、それから侍女に聞いていただくとよろしいかと」
ぐるりと部屋の中を一望する。今私がいるのは、私のために用意してくれたらしい衣裳部屋だ。
ドレスや装飾品が並んでいるのに、私が暮らしていた小屋よりも広く感じるのだから不思議なものだ。
この中から状況に合わせたものを選ぶのは大変だろう。普通は侍女に選んでもらうのだと思うけど、新しく雇われた人が多いから勝手がわからない人も多いのかもしれない。
だから侍女だけでなく、ヴィルヘルムさんやルーファス陛下の名も挙げたのだろう。
「……ヴィルヘルムさんはどうして王にならなかったんですか?」
ドレスにも気を回せるということは、そういった場所に慣れている、ということだと思う。それにてきぱきと指示を出す姿は、王になるには十分な素養を持っているように見える。
「……それが大変困ったことに、私は唯人に魅力を感じられないのですよ」
「それは、ええと……」
王になるのに子供が作れないのは、たしかに大問題だ。
この場合、ならしかたないですねと言うべきなのか、大変ですねと労わるべきなのか、判断に悩む。
本人は大変困っていると口では言っているけど顔は涼しいもので、困っているように見えないのがこれまた悩むところだ。
「どうにも唯人のもろさが受け付けなくて……それに私は力加減が苦手でして、初夜で王妃の骨を折ったとなれば方々に申し訳が立たないですからね」
「そういえば、天使の血をひく人は腕力に優れているんでしたね」
天使なのに、種族的な特徴は飛べるとかではなく、何故か腕力だ。妖精の血をひく私も飛べないので、人のことは言えないけど。
「好みはとくにありませんけど……そうじゃなくて、こんな高そうなもの、もらえません」
怒涛のように押し寄せる言葉の数々に思わず呆気に取られそうになったけど、慌てて口を挟む。
すぐに死ぬ予定なのに、こんなにたくさん用意してもらってもいらなくなるだけだ。
「先ほども申し上げましたが、王妃となられるのですからそれ相応の装いをしていただかなくてはこちらとしても困るのです。ライラ様の御披露目会などもありますので……好みがとくにないのはありがたいことです。支配下に置いている国からの贈答品などもありますので、場合によっては好みでなくとも身に着けていただくこともございますので。陛下はいつも色が気に食わないだのなんだのと文句をつけてくるので、好き嫌いがないのはいいことです。控え目な方が王妃となられて嬉しく思いますよ」
またも押しつけられる言葉たちは、口を挟む余地がない。
こうして話している間にもさっさと侍女に用意させている。
身振り手振りだけで判断できる侍女もすごいけど、話しながら指示を出せるヴィルヘルムさんもすごい。
「季節や参加される宴席に合わせて選んでいただけるとこちらとしても助かります。どれがいいか迷った際には私か陛下、それから侍女に聞いていただくとよろしいかと」
ぐるりと部屋の中を一望する。今私がいるのは、私のために用意してくれたらしい衣裳部屋だ。
ドレスや装飾品が並んでいるのに、私が暮らしていた小屋よりも広く感じるのだから不思議なものだ。
この中から状況に合わせたものを選ぶのは大変だろう。普通は侍女に選んでもらうのだと思うけど、新しく雇われた人が多いから勝手がわからない人も多いのかもしれない。
だから侍女だけでなく、ヴィルヘルムさんやルーファス陛下の名も挙げたのだろう。
「……ヴィルヘルムさんはどうして王にならなかったんですか?」
ドレスにも気を回せるということは、そういった場所に慣れている、ということだと思う。それにてきぱきと指示を出す姿は、王になるには十分な素養を持っているように見える。
「……それが大変困ったことに、私は唯人に魅力を感じられないのですよ」
「それは、ええと……」
王になるのに子供が作れないのは、たしかに大問題だ。
この場合、ならしかたないですねと言うべきなのか、大変ですねと労わるべきなのか、判断に悩む。
本人は大変困っていると口では言っているけど顔は涼しいもので、困っているように見えないのがこれまた悩むところだ。
「どうにも唯人のもろさが受け付けなくて……それに私は力加減が苦手でして、初夜で王妃の骨を折ったとなれば方々に申し訳が立たないですからね」
「そういえば、天使の血をひく人は腕力に優れているんでしたね」
天使なのに、種族的な特徴は飛べるとかではなく、何故か腕力だ。妖精の血をひく私も飛べないので、人のことは言えないけど。
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