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二十六話 懸念材料は今のところなし
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「ルーファス陛下は唯人、ですよね」
ただの人とか普通の人とか、異種族の血が入っていない人のことを唯人と呼ぶ。
ルーファス陛下に異種族の特徴は現れていないので、唯人なのは間違いないと思う。というか、そうでなかったら私と結婚したりはしていないだろう。
だけど万が一ということもある。先代皇帝――王を弑逆した人は唯人だったけど、ルーファス陛下を産んだ人はそうじゃなかったかもしれない。
種族的特徴が現れないという話は聞いたことがないけど、例外中の例外、ということもありえなくはない。
「はい。まぎれもなく唯人です。ですので、ライラ様との婚姻にあたって支障はありませんのでご安心ください」
私には関係ないけど、お姫様にとっては重要だろう。
お姫様がルーファス陛下に嫁いだ場合、子供の一人はエイシュケル王国を、そしてもう一人がアドフィル帝国を継ぐことになるかもしれない。
子供が産まれにくい体質だから、一人の子供がどちらも継ぐことになるかもしれないけど、子供が一人もできないよりはいいはずだ。
お姫様はルーファス陛下のことが好きなようだから、障害はないに越したことはない。
一番の障害が王様なのが問題だけど、そこはお姫様に頑張ってもらうほうがいい。
「それはそれとして……今夜、ライラ様を民衆にお披露目する宴が開かれますので――こちらの列からお選びください」
ヴィルヘルムさんは喋りながら歩いて、何着かのドレスが一列に並んでいるところで止まった。
ぐるりと部屋の中を見回すと、何かしらの分類でわけられているようだ。どんな共通点があるのか、私にはまったくわからないけど。
「どうしてここから?」
「こちらはアドフィルにて作られたドレスとなっております。周辺国の者も招いておりますので、他国のドレスをまとうと、どこかの国に肩入れしているのではと邪推されるかもしれず……まあ色々と、面倒なのですよ」
「どうしても気に入ったのがあっても駄目なんですか?」
「そうですね。それはまた別の機会に着ていただければ」
色々と面倒なことの中に、私を嫌う勢力が現れて殺してくれるかもしれないと期待して聞いたけど、考える素振りすらなく切り捨てられる。
これで忠告を聞き入れず死んでしまっても、自業自得ですまされるかもしれない。こことはおとなしく従っておいたほうがよさそうだ。
「わかりました。……ヴィルヘルムさんに選んでもらってもいいですか?」
並ぶドレスをちらりと見て、どれも綺麗だという感想しか抱けない。この中から一枚選ぶのは難しそうだ。
なにしろ、どれもこれもキラキラしていて、ふわふわしている。どれを選んでも変わらないような気がするので、アドフィル帝国に詳しいヴィルヘルムさんに選んでもらうほうがよさそうだ。
「そうですね……それでしたら――」
ただの人とか普通の人とか、異種族の血が入っていない人のことを唯人と呼ぶ。
ルーファス陛下に異種族の特徴は現れていないので、唯人なのは間違いないと思う。というか、そうでなかったら私と結婚したりはしていないだろう。
だけど万が一ということもある。先代皇帝――王を弑逆した人は唯人だったけど、ルーファス陛下を産んだ人はそうじゃなかったかもしれない。
種族的特徴が現れないという話は聞いたことがないけど、例外中の例外、ということもありえなくはない。
「はい。まぎれもなく唯人です。ですので、ライラ様との婚姻にあたって支障はありませんのでご安心ください」
私には関係ないけど、お姫様にとっては重要だろう。
お姫様がルーファス陛下に嫁いだ場合、子供の一人はエイシュケル王国を、そしてもう一人がアドフィル帝国を継ぐことになるかもしれない。
子供が産まれにくい体質だから、一人の子供がどちらも継ぐことになるかもしれないけど、子供が一人もできないよりはいいはずだ。
お姫様はルーファス陛下のことが好きなようだから、障害はないに越したことはない。
一番の障害が王様なのが問題だけど、そこはお姫様に頑張ってもらうほうがいい。
「それはそれとして……今夜、ライラ様を民衆にお披露目する宴が開かれますので――こちらの列からお選びください」
ヴィルヘルムさんは喋りながら歩いて、何着かのドレスが一列に並んでいるところで止まった。
ぐるりと部屋の中を見回すと、何かしらの分類でわけられているようだ。どんな共通点があるのか、私にはまったくわからないけど。
「どうしてここから?」
「こちらはアドフィルにて作られたドレスとなっております。周辺国の者も招いておりますので、他国のドレスをまとうと、どこかの国に肩入れしているのではと邪推されるかもしれず……まあ色々と、面倒なのですよ」
「どうしても気に入ったのがあっても駄目なんですか?」
「そうですね。それはまた別の機会に着ていただければ」
色々と面倒なことの中に、私を嫌う勢力が現れて殺してくれるかもしれないと期待して聞いたけど、考える素振りすらなく切り捨てられる。
これで忠告を聞き入れず死んでしまっても、自業自得ですまされるかもしれない。こことはおとなしく従っておいたほうがよさそうだ。
「わかりました。……ヴィルヘルムさんに選んでもらってもいいですか?」
並ぶドレスをちらりと見て、どれも綺麗だという感想しか抱けない。この中から一枚選ぶのは難しそうだ。
なにしろ、どれもこれもキラキラしていて、ふわふわしている。どれを選んでも変わらないような気がするので、アドフィル帝国に詳しいヴィルヘルムさんに選んでもらうほうがよさそうだ。
「そうですね……それでしたら――」
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