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五十四話 ずっとそこにあったもの
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夜のとばりが落ち、うつらうつらと船をこぐ。
あのあと、ヴィルヘルムさんの手を借りて空いている部屋に皆を寝かした。硬い廊下で倒れているよりは回復しやすいだろうと考えて。
どこからかベッドまで運んでくるのだから、天使の血の凄さに感心するしかない。
「……おい」
それから皆の様子を見ながら薬を足したり作ったりして、気づけば夜になっていた。
ヴィルヘルムさんは少し眠ってきますと言ってどこかに消えたので、私が皆を見ている。
「おい」
大丈夫だとは思うけど、何があるかわからないと考えて。目覚めない彼らに、お母さまの姿が重なったというのもある。
もしも目覚めなかったら、眠りについたままだったらと考えると、怖くて怖くてしかたなかった。
「起きろ」
手を引っ張られて、夢うつつだった頭が覚醒する。はっと目を開けると、ルーファス陛下が私の手を持ちながらこちらを覗きこんでいた。
「ヴィルヘルムは」
「寝てくると言って消えました」
「……そうか」
はあ、とルーファス陛下が大きく息を吐く。その姿はまるで息ができることを堪能しているようで。
「申し訳ございません」
「どうしてお前が謝る」
「……私の作った毒のせいですから」
「だが使ったのはお前ではないだろう」
「私がいなければ、作られることのなかった毒です」
「だからお前は……」
ルーファス陛下は起き上がると、私の前に腰を下ろした。こちらを見下ろす赤い瞳に居心地が悪くなり、思わず視線を逸らす。
私の毒のせいで死にかけたのに、どうしてまだ、私を見つめてくるのだろう。どうしてこの人はいつも、真っ直ぐに私を見てくるのだろう。
「……あの、手」
「放せば逃げ出しかねないからな」
「逃げません」
「だが死ににいくかもしれないだろう」
「それはあるかもしれませんが、逃げてはいません」
掴んでいた手が少し位置を変え、まるで包みこむように私の手を握る。伝わる温もりも居心地が悪くて、振りほどきたくなる。
「……やはりお前が、薬姫だったな」
「なんの話ですか」
「エイシュケルの毒姫も薬姫も、同一人物だった、ということだ。俺が会ったときのお前は、毒を作ってはいたが、同時に薬も作っていた。母親を目覚めさせるためにと言ってな」
「覚えていません」
なんとなくうっすらと、ルーファス陛下と会ったときの記憶はある。ハス草で痺れていて、介抱したのも覚えている。だけどどうしても認めたくなくて首を横に振った。
私は薬姫と呼ばれるような人ではない。作った数も、薬より毒のほうが多い。
頑なに認めない私に、ルーファス陛下が苦笑を浮かべた。
「だとしても、お前の作った薬に救われた者が今、ここにいる。これで二度目になったわけだが」
ルーファス陛下の空いた手が私の頬に触れる。まるで壊れ物にでも触るように、優しく、柔らかく。
「どうしたらお前は、死ぬなどと言わなくなる」
「……お母さまが笑ってくれたら」
ぐっとルーファス陛下の眉間に皺が寄る。しかめられた顔からは、何を考えているのか読めない。それでも、予想はできた。
私はヴィルヘルムさんにお母様の話をほとんどしていない。それなのに、毒を飲んだことを知っていた。きっと、過去の私がルーファス陛下に話したのだろう。
そして、ルーファス陛下からヴィルヘルムさんに。だからきっと、ルーファス陛下もヴィルヘルムさんと同じように、笑うことは無理だと、死んでいるのだと、思っているのだろう。
違うと言いたい。そんなことはないのだと言いたい。だけど、私の頭の片隅に、私の中に、眠っているお母さまの姿がある。
腐り落ちゆくお母さまの姿が。
「わかってます、でも、いやなんです。駄目なんです」
私とは違う目がくぼみ、私と同じ髪が落ち、白い肌に白い虫が這う。その横で、私はずっと、お母さまはいつ起きるのだろうって、そればかり考えていた。
「だって、ただ、笑ってほしかっただけなんです。触れてほしかっただけなんです。抱きしめてほしかっただけなんです。撫でてほしかっただけなんです。愛してるって言ってほしかっただけなんです。幸せだって言ってほしかっただけなんです。手を繋いで、一緒に散歩して、何気ないことで笑い合いたかっただけだったんです」
少しなら飲むかなと傾けたスープが柔らかな肉の上を滑る。これなら起きるかもと飲ませた薬が隙間だらけの体から零れ落ちる。行ってきますと伸ばした手が肉のない体を撫でる。
見たくなかったものが、忘れていたかったものが、私の中にあった。ただ目を背けていただけで、ずっとずっとそこにあり続けた。
「もう二度と叶わないなんて、叶えられないなんて、思いたくないんです。思いたくなかったんです」
いつの間にか溢れていた涙が、頬に当てられているルーファス陛下の手を濡らす。
手が頬から頭の後ろに回り、押しつけられた温もりに体が震えた。
求めていたものとは違うのに、何故か無性に嬉しくて、無性に悲しくて、涙が止められなくなる。
「俺は――俺では、不服か」
温もりが少しだけ離れ、頭上から静かな声が降ってきた。見上げる位置にある赤い瞳の中で、涙でぐちゃぐちゃのぼろぼろになっている私が瞬きを繰り返している。
射抜くような眼差しに、どうしてか目が逸らせない。
「お前の母親の代わりになると言いいたいわけではない。母の代わりになどなれるものか。……だが触れることも共に歩くことも、俺ならできる」
「なに、を言っているんですか」
毒を飲んだわけでもないのに喉がからからになる。そのせいか、うまく口と頭が回らない。
ルーファス陛下が何を言っているのか、理解できない。お母さまの代わりになる人がいないというのはわかる。だけどどうしてそれで、ルーファス陛下の話になるのか。
「……お前にした仕打ちは、謝って済むものでないことはわかっている。だがお前が許してくれるのなら、妃として妻として扱うと約束しよう。許しを得られるのなら、溺れるほどの言葉をお前に降らすと約束する。笑うのは苦手だが、まあなんとかなるだろう。だから、だから――」
ぐっと何かを堪えるような顔をしたかと思えば、ルーファス陛下の両手が私の手を包みこむ。
その姿は何かを懇願しているようにも、祈りを捧げているようにも見えた。
「母のために死ぬのではなく、俺のために生きてはくれないか」
あのあと、ヴィルヘルムさんの手を借りて空いている部屋に皆を寝かした。硬い廊下で倒れているよりは回復しやすいだろうと考えて。
どこからかベッドまで運んでくるのだから、天使の血の凄さに感心するしかない。
「……おい」
それから皆の様子を見ながら薬を足したり作ったりして、気づけば夜になっていた。
ヴィルヘルムさんは少し眠ってきますと言ってどこかに消えたので、私が皆を見ている。
「おい」
大丈夫だとは思うけど、何があるかわからないと考えて。目覚めない彼らに、お母さまの姿が重なったというのもある。
もしも目覚めなかったら、眠りについたままだったらと考えると、怖くて怖くてしかたなかった。
「起きろ」
手を引っ張られて、夢うつつだった頭が覚醒する。はっと目を開けると、ルーファス陛下が私の手を持ちながらこちらを覗きこんでいた。
「ヴィルヘルムは」
「寝てくると言って消えました」
「……そうか」
はあ、とルーファス陛下が大きく息を吐く。その姿はまるで息ができることを堪能しているようで。
「申し訳ございません」
「どうしてお前が謝る」
「……私の作った毒のせいですから」
「だが使ったのはお前ではないだろう」
「私がいなければ、作られることのなかった毒です」
「だからお前は……」
ルーファス陛下は起き上がると、私の前に腰を下ろした。こちらを見下ろす赤い瞳に居心地が悪くなり、思わず視線を逸らす。
私の毒のせいで死にかけたのに、どうしてまだ、私を見つめてくるのだろう。どうしてこの人はいつも、真っ直ぐに私を見てくるのだろう。
「……あの、手」
「放せば逃げ出しかねないからな」
「逃げません」
「だが死ににいくかもしれないだろう」
「それはあるかもしれませんが、逃げてはいません」
掴んでいた手が少し位置を変え、まるで包みこむように私の手を握る。伝わる温もりも居心地が悪くて、振りほどきたくなる。
「……やはりお前が、薬姫だったな」
「なんの話ですか」
「エイシュケルの毒姫も薬姫も、同一人物だった、ということだ。俺が会ったときのお前は、毒を作ってはいたが、同時に薬も作っていた。母親を目覚めさせるためにと言ってな」
「覚えていません」
なんとなくうっすらと、ルーファス陛下と会ったときの記憶はある。ハス草で痺れていて、介抱したのも覚えている。だけどどうしても認めたくなくて首を横に振った。
私は薬姫と呼ばれるような人ではない。作った数も、薬より毒のほうが多い。
頑なに認めない私に、ルーファス陛下が苦笑を浮かべた。
「だとしても、お前の作った薬に救われた者が今、ここにいる。これで二度目になったわけだが」
ルーファス陛下の空いた手が私の頬に触れる。まるで壊れ物にでも触るように、優しく、柔らかく。
「どうしたらお前は、死ぬなどと言わなくなる」
「……お母さまが笑ってくれたら」
ぐっとルーファス陛下の眉間に皺が寄る。しかめられた顔からは、何を考えているのか読めない。それでも、予想はできた。
私はヴィルヘルムさんにお母様の話をほとんどしていない。それなのに、毒を飲んだことを知っていた。きっと、過去の私がルーファス陛下に話したのだろう。
そして、ルーファス陛下からヴィルヘルムさんに。だからきっと、ルーファス陛下もヴィルヘルムさんと同じように、笑うことは無理だと、死んでいるのだと、思っているのだろう。
違うと言いたい。そんなことはないのだと言いたい。だけど、私の頭の片隅に、私の中に、眠っているお母さまの姿がある。
腐り落ちゆくお母さまの姿が。
「わかってます、でも、いやなんです。駄目なんです」
私とは違う目がくぼみ、私と同じ髪が落ち、白い肌に白い虫が這う。その横で、私はずっと、お母さまはいつ起きるのだろうって、そればかり考えていた。
「だって、ただ、笑ってほしかっただけなんです。触れてほしかっただけなんです。抱きしめてほしかっただけなんです。撫でてほしかっただけなんです。愛してるって言ってほしかっただけなんです。幸せだって言ってほしかっただけなんです。手を繋いで、一緒に散歩して、何気ないことで笑い合いたかっただけだったんです」
少しなら飲むかなと傾けたスープが柔らかな肉の上を滑る。これなら起きるかもと飲ませた薬が隙間だらけの体から零れ落ちる。行ってきますと伸ばした手が肉のない体を撫でる。
見たくなかったものが、忘れていたかったものが、私の中にあった。ただ目を背けていただけで、ずっとずっとそこにあり続けた。
「もう二度と叶わないなんて、叶えられないなんて、思いたくないんです。思いたくなかったんです」
いつの間にか溢れていた涙が、頬に当てられているルーファス陛下の手を濡らす。
手が頬から頭の後ろに回り、押しつけられた温もりに体が震えた。
求めていたものとは違うのに、何故か無性に嬉しくて、無性に悲しくて、涙が止められなくなる。
「俺は――俺では、不服か」
温もりが少しだけ離れ、頭上から静かな声が降ってきた。見上げる位置にある赤い瞳の中で、涙でぐちゃぐちゃのぼろぼろになっている私が瞬きを繰り返している。
射抜くような眼差しに、どうしてか目が逸らせない。
「お前の母親の代わりになると言いいたいわけではない。母の代わりになどなれるものか。……だが触れることも共に歩くことも、俺ならできる」
「なに、を言っているんですか」
毒を飲んだわけでもないのに喉がからからになる。そのせいか、うまく口と頭が回らない。
ルーファス陛下が何を言っているのか、理解できない。お母さまの代わりになる人がいないというのはわかる。だけどどうしてそれで、ルーファス陛下の話になるのか。
「……お前にした仕打ちは、謝って済むものでないことはわかっている。だがお前が許してくれるのなら、妃として妻として扱うと約束しよう。許しを得られるのなら、溺れるほどの言葉をお前に降らすと約束する。笑うのは苦手だが、まあなんとかなるだろう。だから、だから――」
ぐっと何かを堪えるような顔をしたかと思えば、ルーファス陛下の両手が私の手を包みこむ。
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