異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様

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第3章 快適生活へ向けて頑張ろう!

085 謎の正義感!

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部屋から出ると、あっさり見つかった。
いなくなるだろうと思われるほど、部屋に居たはずなのに。

どうやら俺の姿を確認してたらしい。
そしてギルド内で探していたらしい。
で、受付の女性が、部屋の中に居るとバラしたらしい。
ベルドさん、この受付クビにしてください。

「探したぞ」
「何の用だ? 話はついてるだろ?」

おおっ、ちゃんとベルドさんが壁になってくれている!
さすがハゲマッチョ、やる時はやるね!

「その件に言う事は無いんだ。そうじゃなくて……」
「違うなら何だ?」
「彼の実力が知りたい」
「……ふん。知ってどうする? ただの自己満足だろうが」
「ち、違う!」
「何が違う? 実力を見て、強ければ『しょうがなかった』と考え、弱ければ苦情を出すつもりだろ?
 それを自己満足と言うんだ」
「違う!」
「じゃあ理由を言ってみろよ」

言い淀んでる。
言いにくい理由があるのだろうか?
それとも本当は図星で、何も言えないだけなのだろうか?

「……ある依頼を提案されて。それを達成するのには誰かの助けが要ると判断したんだ。
 彼が強いなら一時的にパーティーに加入してもらって、依頼を受けようと思った」
「なるほどね。その判断は間違っちゃいねぇ。
 だが、助けが無いと達成出来ないような依頼を、受ける前提で考えているようじゃまだ甘いな」
「ぐっ……! だけど、村の近くにモンスターが出て、いつ襲われても不思議じゃない状態なんだぞ!
 そのモンスターを退治する依頼なんだ! 被害が出てからじゃ遅いだろ!」

出た! 謎の正義感!

「まるで自分達じゃないと退治出来ないみたいな言い方だな。
 自惚れるんじゃねぇぞ。お前達が受けなくても、実力のあるヤツが受けるさ。
 被害が出てからじゃ遅い? だったらお前らが無償で守りに行けよ。
 それが嫌ならお前らが金出して国にでも陳情しな。その場合は対応するのは軍になるからお前達の仕事は無いけどな」
「そこまで言わなくても良いじゃない!」

出た! 取り巻きの女の、理解出来ない怒り!
誰が聞いても正論だと思うけど、何故か怒るんだよ。
あっ、正論すぎるから怒るのか? 図星を言われると腹が立つって言うしね。

「言わねぇと判らないようだから教えてやったんだよ。
 それに……マロン! おめぇ、立場を利用して、その依頼を隠匿しといて、こいつらだけに出してねぇだろうな!」
「そ、そんな事してないわよ!!」

おっと、ベルドさんが受付の女性(マロンと言うらしい)を問い詰めた。
そしてあの慌てよう。きっとベルドさんが言った通り、こっそりと回してるんだろうな。
報酬が良いのか、ランクが上がるのか判らないけど、良い依頼なんだろう。
ダメですよ~、受付が感情に流されちゃ。
依頼者にも迷惑だし、受ける冒険者も危険度が増すよ?

「どうだかな? 最近おめぇの変な噂を聞いてるぞ。近い内に内偵が入ると思っておけ」
「なっ……! 変な噂って何よ!」
「特定の冒険者に贔屓してるって噂だよ」
「た、たまたまでしょ! そんな事してないわ! ただの僻みじゃないの?!」
「ふん。ま、いいさ。内偵で判明するだろ。
 おいキョウヤ、こういう事らしいが、お前受けるか?」
「受けるとは?」
「実力を見せる。で、こいつらのお眼鏡に叶えば臨時パーティーで依頼を受ける、って事だ」
「断ります」
「だろうな。って事だ。諦めな」

どんなモンスターがどれだけ居る、そんな情報も無い。
報酬がどれだけか判らない。何日かかるかも不明。
こんなもん、受けるわけ無いじゃん。

そもそも、その間はこいつらと共に行動しなきゃいけない。
絶対に面倒だ。100%面倒。拒否だ。

「何で断るのよ!」
「うるせぇな。断る権利もねぇってか? 随分と偉そうじゃねぇか。
 おめぇらの話に同意しないやつは悪いのか?」
「そ、そういう訳じゃないけど……。じ、実力くらい見せてくれても良いじゃない!」
「見せてどうするよ。
 披露させといて、もし劣ってたらどうする? 『弱いくせに楯突いてくるな!』と文句言うのか?
 予想以上に強かったら同行を頼むつもりらしいが、キョウヤより弱いお前らが指揮取るのか?」
「…………」
「考え無しに勢いだけで喋るな。少しは考えろ。お前もリーダーならちゃんとメンバーを管理しろ。
 ……そうだな。おい、依頼表見せろ。…………ふむ、おいキョウヤ。お前、この依頼1人でなら受けるか?」

はぁ?!
何で俺が受けるって話になるのさ!
ベルドさんが俺見てニヤニヤしてる。意趣返しのつもりか?
ここはそれっぽい言い訳をして回避しておかなくては!

「情報がほとんど無いので断ります」
「書かれてる内容は教えてやろう。
 確認されたのはイノシシ型のモンスターが2体。森を荒らしてたそうだ。
 荒らされ具合から、2体以上居るだろうと推測されたようだ。
 場所はここから5日行った所にある村の近くの森。村までの往復の為に馬車は用意される。
 全て倒したか、安全になったかを確認する為にギルド職員が同行。
 報酬は2マクトル。3体目からは追加報酬で1体につき5セクトル。違うモンスターを倒しても同じ」

2マクトルって2万トルか!
つまり200万。別のを倒しても50万もらえる。
確かに美味しい依頼だな。

だけど、敵の規模がわからん。
絶対に2体って事は無い! それならこんなに高い依頼料になる訳が無い。
推測だけど、めっちゃ強いモンスターが居ると思う。
それに追われて出てきたって話、よくあるじゃない。
そういうのに遭遇する可能性があるから、高額になってるんじゃないか?
でも、そんな強敵を倒しても追加は5セクトル。つまりは50万。安いだろ。

うん、こりゃ危険な依頼だ。
ベルドさんが言うように国に任せた方が良さそうな案件。

「教えたぞ。どうする?」
「報酬が安い理由は?」
「依頼が村だからだ。そんなに蓄えが無い」
「それなら何故冒険者に依頼を?」
「国に陳情するよりも行動が早いからだ。無料は遅い、有料は早い、そんなもんだろ世の中ってのは」
「でも安すぎたらギルドも断りますよね?」
「一応は審査をする。最悪、ギルドの報酬がゼロでも受ける場合もある。
 ギルドが解決後に国に陳情して補填してもらう事もある」
「冒険者ギルドと国って仲が悪くないんですね」
「仲が悪い訳無いだろ? どこ情報だ、それ」

すみません、ラノベ情報です。
戦争には冒険者を使わないとか、色々決まりがあったように記憶してます。
まぁ、そういう決まりがあるラノベって、個人が一騎当千の場合が多かったけど。
鍛えればそこまで強くなれる世界なのに、一般人は鍛えずにモンスターを恐れる、という変な価値観の世界。

「それで、どうする?」
「断ります」
「……だろうな。なら、条件を変えるなら受けるか?」

何でそんなに進めてくるのだろう?
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