異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様

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第5章 ダンジョンに行こう

191 そんな行き当りばったりな……

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翌日。
まぁ翌日と言っても、寝て起きただけなので日が変わったかは不明なのだけども。

ちなみにマグロドラゴンはまだ居るので、12時間も経過してはいないようだ。

「ドラゴンが残ってますけど、具現化は出来るようになったんですかね?」
「さぁ? 51層に行けば判るんじゃないですか?」
「そんな行き当りばったりな……」
「危険なら私が戦うので気になさらず」

そりゃクロさんが戦ってくれれば安心だけども。

実はこっそりとクロさんも描いておいた。
いざという時には具現化しようと考えている。
ドラゴンを具現化するよりもベストな選択だと思う。
まぁ、どうやらクロさんは嫌なようなので、ギリギリまでやらないけど。
確かに俺も、自分にそっくりなのが現れたら嫌だわ。

いつものように、50層のボス部屋にドラゴンを放置して51層に進む。
さすがに誰も訪れないと思ったので、看板は設置しなかった。

「51層は裏ボスですか……」
「裏ボスだろうとウロボロスだろうと関係ありません。出てきたら倒す、それだけです」
「そりゃそうですけど……」

そう話しながら扉を開ける。
そこには高さ2mくらいのぽっちゃりとしたスライムが1匹だけ居た。
色は白。いや、白色だけど半透明って感じか。

「ようこそ、51層へ!」
「喋った!」
「スライムが喋ったくらいで驚かないでください」
「いや、驚きますって!」
「ネコの私でも喋るのですよ? 不定形のスライムなら、発声器官を真似するのも簡単でしょう?」
「そういう問題ですか?」
「ちょ、ちょっと、無視しないでくれる?」
「あ、すみません」

スライムに怒られた。
まぁ、スライムそっちのけでクロさんと話してたからなぁ。

「我が51層のボスだよ!」
「は、はぁ」
「あっ、今、スライムがボス? バカにしてるの? 余裕で突破出来るぞ? とか思ったでしょ?!」
「そんな事は無いですよ」
「スライムだって強いん……あれっ? 肯定した?」
「ええ」
「えっ?! 何で?! ここはスライムはボスなんてありえない! とバカにする所でしょ?!」

いや、そう言われてもなぁ。
日本のラノベを読んでいると、スライムってザコじゃないんだよね。
何でも取り込んで自分の脳力にしたり、酸を生み出して射出したりと、凶悪なキャラなんだよ。

「バカになんかしませんよ。それにボスなんだから強いに決まってますよね?」
「ぐぬぬ、あっさりと納得されると、それはそれで気に入らない!」
「面倒ですね。認めているんだから良いじゃないですか」
「……しょうがない、そこは譲ってあげよう」
「はぁ、ありがとうございます?」

本当に面倒だな、このスライム。
あまりに人が来なかったので、会話が楽しいのかね?

「さて、我の能力だが、秘密なのだよ!」
「そうでしょうね」
「あっさり納得するなよ! 聞けよ! 質問しろよ!」
「いやだって、自分の能力を教える必要は無いでしょ。下手すれば不利になりますから」
「それでも聞くのがセオリーってヤツだろ! ダメだよ、決まり事は守らないと!」
「はいはい、分かりました。ひ、秘密?! それじゃあどうやって戦えば良いんだ?!」
「……棒読みで驚くのは止めようか。ね、相手が不愉快になるだけだからね?
 そこは真面目にやろうよ」

しつこいスライムだな。
こっちがわざわざ譲歩して驚いてあげたのにさ。

「もう良いよ! 特別に話してやるよ!」
「本当ですか?」
「ああ! なにせこの層まで来たのは君達が初めてだからね!
 初回ボーナスってやつだ! べ、別に貴方の為に教えるんじゃないんだからね!」
「そういうのは良いんで、早く言ってください」
「……ちっ、ノリの悪いヤツだ。
 我の能力は『対面した者を完璧にコピーする』というモノだ!
 ただしスタミナはそちらよりも上。ふふふ、自分を相手にいつまで耐えられるかな?」
「なるほど……厄介そうですね」
「そうだろう、そうだろう。私の能力に怯えながら死ねば……」
「話が長いです」

なんという事でしょう。
会話の最中に、クロさんがスライムを攻撃してしまった!

「か、会話の最中に攻撃をす……るのは、マナー違反…………」

スライムは、一撃で倒されてしまった!

せめて変身くらいさせてあげたら良かったんじゃないかなぁ……。
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