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第20話 秘密~きっかけ編~
第20話 秘密~きっかけ編~
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「さぁ……?知らないねぇ。」
タコスを販売していた男性は、藍里に見せられた写真を見ると、首を傾げた。そして、『へい、お待ち。』と言って、出来上がったばかりのタコスを藍里に手渡す。
お礼を言ったあと、藍里は足早に哲也たちが座っているテーブルに向かい、ストンと腰を下ろした。
「おう。どうだった?」
藍里と同じタコスを頬張っている哲也が、口の中に含んでいるものを飲み込んでから聞いた。
「だめ……手がかりなしだった……。」
残念そうに首を横に振る藍里。
しばらく間があったかと思うと、陽菜が背中をポンッ!と叩いた。
「元気だしてよ藍ちゃん!まだ1時間しか経ってないんだよ!慌てずにゆっくり聞いてこ?」
陽菜の言葉に賛同するかのように、輝と聖人も頷く。
藍里も大きく頷くと、これからの聞き込みの体力をつけるぞ!と言わんばかりに、持っていたタコスを、パクリ!と頬張った。
「けど、そんなに遠くにも行けねぇよな。日が落ちる前にはなんとか戻りてぇな。宿に。見たところ、街灯もねぇし。」
哲也の言葉に4人は『同感。』と同時に答えた。
「あれあれ?君たちは観光かな?」
突如聞こえてきた声に、藍里達は驚いて声のするほうを向く。そこに居たのは、少し薄毛気味のリーマンらしき人物。
彼は、目をぱちくりさせながら藍里達を一人一人確認するかのように見据える。
「あなたは…?」
藍里が怪訝そうに尋ねると男は何かを思い出すかのようにハッとすると『おっほん!』とわかりやすく咳払いをして
「わたくしは、この街の警察署に勤めさせていただいております、『外屋敷 真三(そとやしき しんぞう)』と言います。以後お見知りおきを。」
「警察署…………てことは、刑事さんですか?」
「そうですそうです!今はとある事件を調べている最中です!」
「とある事件?」
首を傾げると、外屋敷は手帳を開いてたんたんと喋り始めた。
「えー、ある日を境に、ここに観光に来ていた客が、忽然と姿を消しているようです。
1人目は女子大学生。
2人目は会社員。
3人目は慰安旅行に来ていた女性。
そして4人目は探偵だそう。
我々は、最初は家出扱いで捜索しておりました。どの方も、いい年でしたからね。」
「最初はっ…て…何かあったのですか?」
輝が、言葉のひとつを聞き逃さずに外屋敷に尋ねる。
「行方不明になっている被害者のうち、2人目の会社員が、ここから離れた山林のところで見つかったのですよ。
遺体としてね。」
外屋敷の不穏な言葉に、5人はピタリと動きを止める。
「あ!しかもこれは口外厳禁でした!!」
「さらっと口外してんじゃん!!」
外屋敷の言葉に藍里はそう突っ込まずにはいられなかった。
「す、すみませんが、今聞いたことは聞かなかったことにしてください…!」
外屋敷は、手を合わせて頭を下げるその姿に藍里まるで弁解するかのようになだめる。
「いや、流石にそんな不穏なこと言えないよ。周りに…。」
「けど、そいえばここ、観光地にしては少し寂れてると思ってたんだよね…。」
藍里の言葉の後に、陽菜が「成程。」とでも言うかのように、顎に手をやって頷いた。
「藍里。ものはついでだ。解決してったらどうだ?その事件。」
茶化すかのように聖人が言った。
「私は、正規の探偵じゃない。それに、こういうのは警察の仕事だよ。ドラマみたいな事はしないよ…実際の探偵は…。」
「探偵…………?」
藍里の言葉の後に、外屋敷はそう呟いて何かを思い出そうとしたが、やがて『はっ!』と何かを思い出したかのように声を上げる。
「も…!もしかして君は、女子大生探偵の森野藍里!?いやぁ!!こんなところで探偵に会うなんてラッキーだなぁ!!ここは一つ!!協力してください!あ!上司には内緒でね!!お願いしますよ!!」
外屋敷の言葉に断るまもなく、外屋敷はそそくさと自分の連絡先を渡すと、『それでは、のちほどー!!
』と言って走り去ってしまった。
「………引き受けたなんて一言も言ってない…。」
そう呆れながらも藍里は、渡された連絡先に目を落とす。
真っ白な紙に明朝体で、彼の名前が書いてあり、左下には、青色の狸がモチーフのなにかのキャラクターがついていた。
「あれ?これ、テツのカバンにもついてなかった?色は違うけど……。」
「ん?あぁ。そうそう。『ジャンキーちゃん』だな。」
「ジャンキー……?」
「たぬきみてぇな体に、パステルカラーのキャラクターでな。小さい女の子に何故か人気らしいんだ。」
「あぁ!じゃあ、あのカバンについてたのは妹さんからの…?」
「おう。誕生日にもらってよ。つけねぇと『なんで付けないの』って煩くてさ。」
哲也が『やれやれ』と言いながら頭を掻いた。
なるほど。哲也には幼い妹と弟がいる。
面倒見がいい哲也だし、妹さんからのプレゼントなら、頷ける。
だけど、いま、藍里が気にしてるのはそっちではない。
「行方不明…………か。」
3人の行方不明者。
そして、見つかった遺体……。
まぁ。
藍里達は観光で来てる訳では無いし、一応頭の片隅に置いておこう。
と、藍里は軽く済ませた。
タコスを販売していた男性は、藍里に見せられた写真を見ると、首を傾げた。そして、『へい、お待ち。』と言って、出来上がったばかりのタコスを藍里に手渡す。
お礼を言ったあと、藍里は足早に哲也たちが座っているテーブルに向かい、ストンと腰を下ろした。
「おう。どうだった?」
藍里と同じタコスを頬張っている哲也が、口の中に含んでいるものを飲み込んでから聞いた。
「だめ……手がかりなしだった……。」
残念そうに首を横に振る藍里。
しばらく間があったかと思うと、陽菜が背中をポンッ!と叩いた。
「元気だしてよ藍ちゃん!まだ1時間しか経ってないんだよ!慌てずにゆっくり聞いてこ?」
陽菜の言葉に賛同するかのように、輝と聖人も頷く。
藍里も大きく頷くと、これからの聞き込みの体力をつけるぞ!と言わんばかりに、持っていたタコスを、パクリ!と頬張った。
「けど、そんなに遠くにも行けねぇよな。日が落ちる前にはなんとか戻りてぇな。宿に。見たところ、街灯もねぇし。」
哲也の言葉に4人は『同感。』と同時に答えた。
「あれあれ?君たちは観光かな?」
突如聞こえてきた声に、藍里達は驚いて声のするほうを向く。そこに居たのは、少し薄毛気味のリーマンらしき人物。
彼は、目をぱちくりさせながら藍里達を一人一人確認するかのように見据える。
「あなたは…?」
藍里が怪訝そうに尋ねると男は何かを思い出すかのようにハッとすると『おっほん!』とわかりやすく咳払いをして
「わたくしは、この街の警察署に勤めさせていただいております、『外屋敷 真三(そとやしき しんぞう)』と言います。以後お見知りおきを。」
「警察署…………てことは、刑事さんですか?」
「そうですそうです!今はとある事件を調べている最中です!」
「とある事件?」
首を傾げると、外屋敷は手帳を開いてたんたんと喋り始めた。
「えー、ある日を境に、ここに観光に来ていた客が、忽然と姿を消しているようです。
1人目は女子大学生。
2人目は会社員。
3人目は慰安旅行に来ていた女性。
そして4人目は探偵だそう。
我々は、最初は家出扱いで捜索しておりました。どの方も、いい年でしたからね。」
「最初はっ…て…何かあったのですか?」
輝が、言葉のひとつを聞き逃さずに外屋敷に尋ねる。
「行方不明になっている被害者のうち、2人目の会社員が、ここから離れた山林のところで見つかったのですよ。
遺体としてね。」
外屋敷の不穏な言葉に、5人はピタリと動きを止める。
「あ!しかもこれは口外厳禁でした!!」
「さらっと口外してんじゃん!!」
外屋敷の言葉に藍里はそう突っ込まずにはいられなかった。
「す、すみませんが、今聞いたことは聞かなかったことにしてください…!」
外屋敷は、手を合わせて頭を下げるその姿に藍里まるで弁解するかのようになだめる。
「いや、流石にそんな不穏なこと言えないよ。周りに…。」
「けど、そいえばここ、観光地にしては少し寂れてると思ってたんだよね…。」
藍里の言葉の後に、陽菜が「成程。」とでも言うかのように、顎に手をやって頷いた。
「藍里。ものはついでだ。解決してったらどうだ?その事件。」
茶化すかのように聖人が言った。
「私は、正規の探偵じゃない。それに、こういうのは警察の仕事だよ。ドラマみたいな事はしないよ…実際の探偵は…。」
「探偵…………?」
藍里の言葉の後に、外屋敷はそう呟いて何かを思い出そうとしたが、やがて『はっ!』と何かを思い出したかのように声を上げる。
「も…!もしかして君は、女子大生探偵の森野藍里!?いやぁ!!こんなところで探偵に会うなんてラッキーだなぁ!!ここは一つ!!協力してください!あ!上司には内緒でね!!お願いしますよ!!」
外屋敷の言葉に断るまもなく、外屋敷はそそくさと自分の連絡先を渡すと、『それでは、のちほどー!!
』と言って走り去ってしまった。
「………引き受けたなんて一言も言ってない…。」
そう呆れながらも藍里は、渡された連絡先に目を落とす。
真っ白な紙に明朝体で、彼の名前が書いてあり、左下には、青色の狸がモチーフのなにかのキャラクターがついていた。
「あれ?これ、テツのカバンにもついてなかった?色は違うけど……。」
「ん?あぁ。そうそう。『ジャンキーちゃん』だな。」
「ジャンキー……?」
「たぬきみてぇな体に、パステルカラーのキャラクターでな。小さい女の子に何故か人気らしいんだ。」
「あぁ!じゃあ、あのカバンについてたのは妹さんからの…?」
「おう。誕生日にもらってよ。つけねぇと『なんで付けないの』って煩くてさ。」
哲也が『やれやれ』と言いながら頭を掻いた。
なるほど。哲也には幼い妹と弟がいる。
面倒見がいい哲也だし、妹さんからのプレゼントなら、頷ける。
だけど、いま、藍里が気にしてるのはそっちではない。
「行方不明…………か。」
3人の行方不明者。
そして、見つかった遺体……。
まぁ。
藍里達は観光で来てる訳では無いし、一応頭の片隅に置いておこう。
と、藍里は軽く済ませた。
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