森野探偵事務所物語~1~

巳狐斗

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第22話 秘密~展開編~

第22話 秘密~展開編~

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夕刻時……。


それまでの間、藍里はどのように過ごしていたのか、何をしていたのか全く思い出せないほどぼんやりしていた。

ただ、ハッキリと頭の中で整理できたのは、コレは外屋敷に真っ先に伝えなければならないということであった。


…磯部と別れて1人になった内屋敷に、誰もいない廊下で、全てを伝えた藍里。その言葉に、外屋敷は目を丸く見開くと……

「…………森野さん。確かに、この弾は……。だけど、そんなことが…………にわかには信じられません……。」

と、藍里と全く同じ表情を浮かべて目を固く閉ざした。その様子を見た藍里も、少し戸惑いながらも、

「ですが………これまでのことを推理すると、そうとしか……私も、自分の推理が間違いであることを、願っています。」


と、言いにくそうに顔を歪めながら答えていた。


「………わかりました。磯部さんが調べたという遺体の調べ直しは、僕に任せてください。僕も、ここまで来たら真実が知りたいです。」




外屋敷は、覚悟を決めたようでまっすぐと迷いのない目で藍里を見据える。
外屋敷のその心意気に、心を打たれた藍里は、深く頭を下げる……。



「ありがとうございます。」



これから、外屋敷がすることは先輩を疑う行為でもある。実際なら、拒むであろう。
しかし、外屋敷はやると言ってくれた。
藍里はその心強さに感謝した。



「森野さんは、これからどちらへ?」


「そうですね……この宿の事を、友人達に調べてもらっています。そろそろ、戻ってくる頃なので、集めてきた情報をまとめていきたいと思います。」




「分かりました。無茶だけはしないでくださいね?」





外屋敷はそう言い残すと、外へ出て行った。








これが、間違いであってほしい。





そうしたら、誰も傷つかないで済む。







そんな考えが、藍里の中でよぎっていた。














その時だ。


ゴーン…ゴーン…………





と、低い音に藍里はハッとして壁にかかってある年代物の壁時計に目をやると、時刻は夕方4時を示していた。




(哲也達と待ち合わせの時間だ。部屋に戻らないと。)






藍里は、振り返って廊下を歩くと、ふと窓から見えたものに足を止めた……。







人の気配を全く感じさせない小屋が、そこにあったのだ。
外装は木製で、ホテル同様、少し時代を感じさせる建物であった。
ところが、その建物の屋根には、太陽光パネルが設置されていて、色々と矛盾していた。






倉庫か?と思ったが、それよりも気になったのは………。









(あれ…………沼井さん?)









ホテルのオーナーでもある、沼井の姿だった。






沼井は、一輪車に何かを乗せて運んでいた。






(何を運んでるんだろ?)








藍里は気になってポケットから小型望遠鏡を取り出すと、沼井に向けて覗き込んだ。








麻袋に入れられて、中身は確認できないが、何か重そうなものであることは、直ぐにわかった。
倉庫の前に一輪車を止めると、沼井はその袋を肩に担ぐように持ち上げた。























え………?















途端に、藍里は目を丸くして手の動きが止まる。麻袋の口部分からそれが溢れたのだ。














(あれは…………人の手…………!?)










沼井は気づかないのか、もしくは、出てきても問題ないと思っているのか、何事も無かったかのようにそのまま中へと入っていく。









沼井が運んだ麻袋……その口からでてきたものは間違いなく人の手だった。マネキンの可能性も考えたが、その手には天使のモチーフの指輪がハマっていた。










マネキンの手に、指輪をはめるとは考えにくい。

それに、あの指輪は藍里には見覚えがあった。









数日前に、友人が嬉しそうに見せてくれた指輪。
ロリータ服の会員限定のプレゼントだったのだ。









ロリータ服を着る人といえば……1人しかいない……。















「陽菜…!」









直ぐにわかった藍里は、声を漏らすと迷わず窓を開けて飛び越し、その倉庫へと向かった……。








しかし、直ぐにピタリとその足が止まる。






数メートル走ったところで、深い土手が行く手を阻み、飛び越えるにしても、遠すぎる距離であった。









「陽菜ーーーー!!!!!!」





藍里は、連れていかれた友人の名前を力の限り叫んだ……。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~

子供の頃、大好きなアニメがあった。




なんの変哲のない女の子が、変身して悪い人たちを懲らしめて、奪った金品を元の持ち主に返す怪盗……弱い人の味方………。



ありがちな設定だけど、大好きだった。




同じ女の子なのに、人を助けているということに、すごく惹かれた。





同じ女の子なのに凄い。






同じ女の子なのにかっこいい。







いつか、ああなりたいと思っていた。








けど、現実は理想とかけ離れるもの………










私は、ヒーローにはなれなかった。








憧れてた存在にはなれなかった。









だけど、また憧れを見つけた。









その人は、私と同い年で………








可愛くてかっこいい…………








私の大事な友人。








その人の側にいて、支えることができたら…………








そんな思いを胸に秘めていたのに…。








私は………………………。








ものすごく非力だ……………………。



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