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第一幕 悪役公爵令嬢(闇魔法使い8歳)王宮書庫殺人事件
92. 僕
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エディオカの別荘に来てから一週間が過ぎ、ここでの生活にもだいぶ慣れてきた。
「ララエル、あなた、いつもゴロゴロしていないで、たまにはサラを見習って働きなさいよ」
「えー。だってお嬢様のお世話は全部サラさんがやっちゃうし、逆に私がやろうとすると睨まれるんだもん。それに、私の仕事はお嬢様の話し相手ですから。ちゃんとやってますよね」
「それは確かにそうなのかもしれないけど、あまり目の前でゴロゴロしていないでほしいのよね。人が真剣に考え事をしているのに目障りなのよ」
「目障りだなんて酷いです。いつでも話しかけられるようにそばにいるのに」
「なら、せめて椅子に座って、どうやったら王子の婚約者になって、学園に通えるか、一緒に考えてくれる。それなら、マネージャーの仕事でしょ」
「それは、散々考えたのに、いい案が全然浮かんでこないじゃないですか。そうだ、気分転換に外に行って来たほうがいいかもしれませんよ。私は留守番しておきますんで」
全く、三年も遅刻して来た上に、マネージャーとしても、侍女としても使えない奴だ。
とはいえ、ララエルの言うとおり気分転換も必要だ。たまには外に行くことにしよう。
それに、ちょうど新たな僕《しもべ》を確保しようと考えていたところだ。
やはり、僕といえば三体揃えたい。
できれば、陸海空で揃えたかったが、黒猫のネロと馬のノアールはどちらも陸だ。ただ、ノアールなら水の中も行けそうな気もするので、狙うのは空になる。
私は呼び鈴を鳴らしてメイドのサラを呼んだ。
「お呼びですかお嬢様」
「ネロとノアールを連れて、少し森の方に行くことにするわ」
ネロとノアールは、お母様が一緒に領都の屋敷から連れてきてくれていた。
「お散歩ですか、私もお供します」
新たな僕の確保が目的で、お散歩が目的ではないのだが、新たな僕が直ぐに見つかるかわからない。ノアールに乗馬するわけでもないので、お散歩ということでいいだろう。
仔馬だったノアールも大きくなって、今は、乗馬ができるように訓練中だ。
闇魔法のお陰で意志の疎通に問題がないので、乗馬ができるようになるまでにはそれ程時間はかからないだろう。
「ネロ、行くわよ」
「ニャー」
意志の疎通ができるといっても、ネロやノアールが人の言葉を喋れるわけではない。
向こうは私の言葉を理解しているようだが、こちらは、相手の鳴き声や仕草から、何を言いたいか推察するしかない。
台本では黒猫と言葉を交わしているので、もっと闇魔法を極める必要があるのだが、闇の魔導書を手に入れるために王宮の書庫に入ることはもう難しいだろう。
これも、なんとかしなければならないかと思うと頭の痛いところだ。
ネロを抱き上げ、サラと一緒に外に出てノアールがいる厩舎に向かう。
途中、裏庭でリヒトが剣の稽古をしていた。
「何処に行くんだ?」
「ノアールを連れて散歩ですわ」
「ノアールというのは、馬のことだったか?」
「そうですわ。僕その一ですわ」
「お嬢様、僕その一は、私です」
サラが何か言っているが、いつものことなので無視だ。
「そして、僕その二がこのネロですわ」
「お嬢様、僕その一は私ですよ。お忘れなく」
「私の命令を忠実に聞く賢い子ですわ」
「私の方がもっと忠実です」
「おい、さっきからメイドが何か言っているがいいのか?」
「ああ、いいの、いいの。いつものことだから」
「そうなのか? それならいいが。俺も一緒に行ってもいいか?」
「リヒト兄様もですか? 構いませんが、剣の稽古はよろしいので?」
「ああ、少し休憩だ」
「そうですか、それなら行きましょう」
私たちは厩舎に寄ってノアールを連れ出すと森に向かったのだった。
「ララエル、あなた、いつもゴロゴロしていないで、たまにはサラを見習って働きなさいよ」
「えー。だってお嬢様のお世話は全部サラさんがやっちゃうし、逆に私がやろうとすると睨まれるんだもん。それに、私の仕事はお嬢様の話し相手ですから。ちゃんとやってますよね」
「それは確かにそうなのかもしれないけど、あまり目の前でゴロゴロしていないでほしいのよね。人が真剣に考え事をしているのに目障りなのよ」
「目障りだなんて酷いです。いつでも話しかけられるようにそばにいるのに」
「なら、せめて椅子に座って、どうやったら王子の婚約者になって、学園に通えるか、一緒に考えてくれる。それなら、マネージャーの仕事でしょ」
「それは、散々考えたのに、いい案が全然浮かんでこないじゃないですか。そうだ、気分転換に外に行って来たほうがいいかもしれませんよ。私は留守番しておきますんで」
全く、三年も遅刻して来た上に、マネージャーとしても、侍女としても使えない奴だ。
とはいえ、ララエルの言うとおり気分転換も必要だ。たまには外に行くことにしよう。
それに、ちょうど新たな僕《しもべ》を確保しようと考えていたところだ。
やはり、僕といえば三体揃えたい。
できれば、陸海空で揃えたかったが、黒猫のネロと馬のノアールはどちらも陸だ。ただ、ノアールなら水の中も行けそうな気もするので、狙うのは空になる。
私は呼び鈴を鳴らしてメイドのサラを呼んだ。
「お呼びですかお嬢様」
「ネロとノアールを連れて、少し森の方に行くことにするわ」
ネロとノアールは、お母様が一緒に領都の屋敷から連れてきてくれていた。
「お散歩ですか、私もお供します」
新たな僕の確保が目的で、お散歩が目的ではないのだが、新たな僕が直ぐに見つかるかわからない。ノアールに乗馬するわけでもないので、お散歩ということでいいだろう。
仔馬だったノアールも大きくなって、今は、乗馬ができるように訓練中だ。
闇魔法のお陰で意志の疎通に問題がないので、乗馬ができるようになるまでにはそれ程時間はかからないだろう。
「ネロ、行くわよ」
「ニャー」
意志の疎通ができるといっても、ネロやノアールが人の言葉を喋れるわけではない。
向こうは私の言葉を理解しているようだが、こちらは、相手の鳴き声や仕草から、何を言いたいか推察するしかない。
台本では黒猫と言葉を交わしているので、もっと闇魔法を極める必要があるのだが、闇の魔導書を手に入れるために王宮の書庫に入ることはもう難しいだろう。
これも、なんとかしなければならないかと思うと頭の痛いところだ。
ネロを抱き上げ、サラと一緒に外に出てノアールがいる厩舎に向かう。
途中、裏庭でリヒトが剣の稽古をしていた。
「何処に行くんだ?」
「ノアールを連れて散歩ですわ」
「ノアールというのは、馬のことだったか?」
「そうですわ。僕その一ですわ」
「お嬢様、僕その一は、私です」
サラが何か言っているが、いつものことなので無視だ。
「そして、僕その二がこのネロですわ」
「お嬢様、僕その一は私ですよ。お忘れなく」
「私の命令を忠実に聞く賢い子ですわ」
「私の方がもっと忠実です」
「おい、さっきからメイドが何か言っているがいいのか?」
「ああ、いいの、いいの。いつものことだから」
「そうなのか? それならいいが。俺も一緒に行ってもいいか?」
「リヒト兄様もですか? 構いませんが、剣の稽古はよろしいので?」
「ああ、少し休憩だ」
「そうですか、それなら行きましょう」
私たちは厩舎に寄ってノアールを連れ出すと森に向かったのだった。
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