街角で悪役令嬢役にスカウトされた件 【OKしたけど、異世界でサスペンスだとは聞いてない!】

なつきコイン

文字の大きさ
93 / 118
第一幕 悪役公爵令嬢(闇魔法使い8歳)王宮書庫殺人事件

92. 僕

しおりを挟む
 エディオカの別荘に来てから一週間が過ぎ、ここでの生活にもだいぶ慣れてきた。

「ララエル、あなた、いつもゴロゴロしていないで、たまにはサラを見習って働きなさいよ」
「えー。だってお嬢様のお世話は全部サラさんがやっちゃうし、逆に私がやろうとすると睨まれるんだもん。それに、私の仕事はお嬢様の話し相手ですから。ちゃんとやってますよね」

「それは確かにそうなのかもしれないけど、あまり目の前でゴロゴロしていないでほしいのよね。人が真剣に考え事をしているのに目障りなのよ」
「目障りだなんて酷いです。いつでも話しかけられるようにそばにいるのに」

「なら、せめて椅子に座って、どうやったら王子の婚約者になって、学園に通えるか、一緒に考えてくれる。それなら、マネージャーの仕事でしょ」
「それは、散々考えたのに、いい案が全然浮かんでこないじゃないですか。そうだ、気分転換に外に行って来たほうがいいかもしれませんよ。私は留守番しておきますんで」

 全く、三年も遅刻して来た上に、マネージャーとしても、侍女としても使えない奴だ。
 とはいえ、ララエルの言うとおり気分転換も必要だ。たまには外に行くことにしよう。
 それに、ちょうど新たな僕《しもべ》を確保しようと考えていたところだ。

 やはり、僕といえば三体揃えたい。
 できれば、陸海空で揃えたかったが、黒猫のネロと馬のノアールはどちらも陸だ。ただ、ノアールなら水の中も行けそうな気もするので、狙うのは空になる。

 私は呼び鈴を鳴らしてメイドのサラを呼んだ。

「お呼びですかお嬢様」
「ネロとノアールを連れて、少し森の方に行くことにするわ」
 ネロとノアールは、お母様が一緒に領都の屋敷から連れてきてくれていた。

「お散歩ですか、私もお供します」
 新たな僕の確保が目的で、お散歩が目的ではないのだが、新たな僕が直ぐに見つかるかわからない。ノアールに乗馬するわけでもないので、お散歩ということでいいだろう。

 仔馬だったノアールも大きくなって、今は、乗馬ができるように訓練中だ。
 闇魔法のお陰で意志の疎通に問題がないので、乗馬ができるようになるまでにはそれ程時間はかからないだろう。

「ネロ、行くわよ」
「ニャー」

 意志の疎通ができるといっても、ネロやノアールが人の言葉を喋れるわけではない。
 向こうは私の言葉を理解しているようだが、こちらは、相手の鳴き声や仕草から、何を言いたいか推察するしかない。

 台本では黒猫と言葉を交わしているので、もっと闇魔法を極める必要があるのだが、闇の魔導書を手に入れるために王宮の書庫に入ることはもう難しいだろう。
 これも、なんとかしなければならないかと思うと頭の痛いところだ。

 ネロを抱き上げ、サラと一緒に外に出てノアールがいる厩舎に向かう。
 途中、裏庭でリヒトが剣の稽古をしていた。

「何処に行くんだ?」
「ノアールを連れて散歩ですわ」

「ノアールというのは、馬のことだったか?」
「そうですわ。僕その一ですわ」

「お嬢様、僕その一は、私です」
 サラが何か言っているが、いつものことなので無視だ。

「そして、僕その二がこのネロですわ」

「お嬢様、僕その一は私ですよ。お忘れなく」

「私の命令を忠実に聞く賢い子ですわ」

「私の方がもっと忠実です」

「おい、さっきからメイドが何か言っているがいいのか?」
「ああ、いいの、いいの。いつものことだから」

「そうなのか? それならいいが。俺も一緒に行ってもいいか?」
「リヒト兄様もですか? 構いませんが、剣の稽古はよろしいので?」

「ああ、少し休憩だ」
「そうですか、それなら行きましょう」

 私たちは厩舎に寄ってノアールを連れ出すと森に向かったのだった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

美醜逆転の世界でレンタル彼氏をしてみた

普通
恋愛
ある男が死に、転生した。そしてその転生した世界が美醜逆転世界だった。男はそれを知ると一儲けするためにレンタル彼氏をし始めるのであった。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

悪役令嬢としての役割、立派に努めて見せましょう〜目指すは断罪からの亡命の新しいルート開発です〜

水月華
恋愛
レティシア・ド・リュシリューは婚約者と言い争いをしている時に、前世の記憶を思い出す。 そして自分のいる世界が、大好きだった乙女ゲームの“イーリスの祝福”の悪役令嬢役であると気がつく。 母親は早くに亡くし、父親には母親が亡くなったのはレティシアのせいだと恨まれ、兄には自分より優秀である為に嫉妬され憎まれている。 家族から冷遇されているため、ほとんどの使用人からも冷遇されている。 そんな境遇だからこそ、愛情を渇望していた。 淑女教育にマナーに、必死で努力したことで第一王子の婚約者に選ばれるが、お互いに中々歩み寄れずにすれ違ってしまう。 そんな不遇な少女に転生した。 レティシアは、悪役令嬢である自分もヒロインも大好きだ。だからこそ、ヒロインが本当に好きな人と結ばれる様に、悪役令嬢として立ち回ることを決意する。 目指すは断罪後に亡命し、新たな人生をスタートさせること。 前世の記憶が戻った事で、家族のクズっぷりを再認識する。ならば一緒に破滅させて復讐しようとレティシアには2つの目標が出来る。 上手く計画に沿って悪役令嬢を演じているはずが、本人が気が付かないところで計画がバレ、逆にヒロインと婚約者を含めた攻略対象者達に外堀を埋められる⁉︎ 更に家族が改心して、望んでいない和解もさせられそうになるレティシアだが、果たして彼女は幸せになれるのか⁉︎

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

異世界転生特典『絶対安全領域(マイホーム)』~家の中にいれば神すら無効化、一歩も出ずに世界最強になりました~

夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺が転生時に願ったのは、たった一つ。「誰にも邪魔されず、絶対に安全な家で引きこもりたい!」 その切実な願いを聞き入れた神は、ユニークスキル『絶対安全領域(マイホーム)』を授けてくれた。この家の中にいれば、神の干渉すら無効化する究極の無敵空間だ! 「これで理想の怠惰な生活が送れる!」と喜んだのも束の間、追われる王女様が俺の庭に逃げ込んできて……? 面倒だが仕方なく、庭いじりのついでに追手を撃退したら、なぜかここが「聖域」だと勘違いされ、獣人の娘やエルフの学者まで押しかけてきた! 俺は家から出ずに快適なスローライフを送りたいだけなのに! 知らぬ間に世界を救う、無自覚最強の引きこもりファンタジー、開幕!

3回目の人生は、悪役令嬢を辞めて引きこもります~一歩も出ずに国を救ったら、なぜか「聖女」として崇められ最強の男たちが部屋を包囲してくる件~

放浪人
恋愛
公爵令嬢エリザベートは、1度目は悪役令嬢として断罪され処刑、2度目は改心して聖女となり国に尽くしたが過労死……という悲惨な最期を遂げた。 記憶を持ったまま3度目の人生が始まった瞬間、彼女は固く決意する。 「もう絶対に働きません! 今世は部屋から一歩も出ず、睡眠と趣味に命をかけます!」 最強の拒絶結界『絶対領域』で部屋に籠城し、婚約破棄イベントも夜会も全て無視して惰眠を貪ろうとするエリザベート。 しかし、彼女の「働きたくない」一心からの行動――適当な農業アドバイスや、安眠妨害への容赦ない迎撃――が、周囲には「国を憂う深慮遠謀」「慈愛に満ちた奇跡」として超好意的に解釈されてしまう!? ヤンデレ化した元婚約者の王太子、物理で愛を語る脳筋騎士団長、効率厨の隣国王子、さらには古代の引きこもり少年までをも巻き込み、事態は国家規模の大騒動へ。 部屋ごと空を飛んで戦場を浄化し、パジャマ姿で古代兵器を操り、地下牢をスイートルームに変えながら、エリザベートは究極の安眠を手に入れることができるのか? 塩対応すればするほど愛され、逃げれば逃げるほど伝説になる、最強引きこもり令嬢の勘違いドタバタ溺愛ファンタジー、ここに完結!

処理中です...