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27話 ハルトside
しおりを挟むスカーレット嬢に魅了をかけられた時の記憶はいまだにハッキリとしていない。
ただ、何だかフワフワとした感覚で、ずっと夢の中にいるような感じだった。
でも誰かに操られている、というのだけはハッキリとわかっていて
まさかそれがスカーレット嬢だとは思わなかったけどな...。
「殿下、ため息が出ていますわよ」
俺にそう言ってきたのは勿論ナナリー嬢だ。
俺が魅了から解けて、1週間が経とうとしていた。
現在も尚スカーレット嬢の魅了にかかったふりをしている。
なんでそんなことを、って?
そんなの理由は簡単だ。
とりあえず、かかった振りをしておけば、ナナリー嬢に被害は出ないからだ。
まぁ、ついでに言うと、スカーレット嬢が何を企んでいるのか、それを聞き出せたらいいな、と思っているが......。
ナナリー嬢をスカーレット嬢から引き剥がしておかないと......。
そうでもしないとナナリー嬢はまた婚約破棄だ、と言い出してしまうからな。
俺としてはそれだけは絶対に止めなければならない。
婚約破棄なんてしたくないからな!
なぜかはわからないが、自分でも驚くくらいナナリー嬢と離れるのが嫌だということに最近気が付いた。
ナナリー嬢は噂通り......いや、それ以上の人物だと思っている。
勿論、王妃に相応しいから離したくない、というわけではなく、個人的にもナナリー嬢を気に入っている。
......多分、好きなんじゃないか、と思う。
だから本当は魅了にかかっている振りとわかっていてもやりたくない。
それに、スカーレット嬢に言っている俺の言葉が......こう.........なんというか...。
と、とにかく!出来ることならさっさとスカーレット嬢を牢屋にでもぶち込みたいくらいには怒っているぞ!ということだ!
「......殿下?」
俺の様子がおかしいと思ったのか、急にナナリー嬢が俺の顔を覗き込んできた。
うおっ......顔が...近い.........。
多分、今の俺の顔は真っ赤だと思うが
「なんでもない!」
と視線を逸らして誤魔化した。
どうにかなった......と思う。
ナナリー嬢は首をかしげながらも、
「まぁ......いいですわ。それで、今日のスカーレットはどうでしたか?」
と今日のスカーレット嬢の様子を気にしている。
これは最近の日課で、スカーレット嬢が変な発言をしたらすぐに報告するようになっている。
まぁ、俺としてはスカーレット嬢のことがなくても話をしたい......いや、別になんでもない。
一瞬、別のことが頭によぎったが、一旦振り払って
「いつもと変わらないな。ベタベタくっついてきて、自分はひろいんだー、とか、やっぱり王子様を攻略するものよね、なんて訳の分からないことを言っていたな」
こ今日のスカーレット嬢の様子を説明した。
一体何のことを言っているんだ?
ひろいん?王子様?
いや、確かに王子、というのは合っているが、こうりゃく?というのは何なんだ?
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