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59話 ブレイドside
しおりを挟む婚約者となる人と初めて会う日だというのに、俺の気分は重たかった。
今頃シャルが他の人と.......しかも兄様と会っていると考えるだけで、なんで俺はダメなのに、兄様はいいんだ、なんて嫌な考えになってしまう。
こんな自分にも嫌気がさしていた。
兄様との婚約が上手く行かないで欲しい、と願うのはシャルの兄として、兄様の弟としていけないことだとわかっていてもそう願ってしまわずにはいられなかった。
でも、自分の婚約はどうにか成功させなければいけない、というなんとも矛盾のある状況だしな。
はぁ.......本当に自分は何がしたいんだか。
今日で何回目かわからないため息をつきながら、シャルの婚約者と話を終えた父上と合流すると
「フレッド殿はブレイドの兄だったのだな」
と一番最初に言われた。
そういえば、言ってなかった.......いや、兄様と婚約するかも、という話すら父上からは聞いていなかったのか。
だから
「すみません、俺も兄様からの手紙で知ったもので」
とだけ言うと
「そうか..........」
なんて微妙な返事が返ってきた。
一体何が言いたかったんだ?
別に俺の兄だから、と言って特に問題もなければ婚約がなくなるなんてことはないはずだ。
.....まぁ、父上もその後は何も言ってこないし、ただ事実の確認ってところか?
とその場ではそう捉えるしかなかった。
その後は、改めて俺が言えを継いだ後の話をしたんだが
「ブレイドに息子が産まれたとしてもこの家を継ぐのはシャルロットの息子だ」
と父上本人から面と向かって言われたとき、わかってはいたものの自分はこの家の息子だけど違うんだな、と改めて思ってしまった。
最初に、本当はお前の息子に継がせてやりたいが、なんて言葉があってもいいとは思うけどな。
まぁ、今更そんなことを言っても仕方がないんだけど。
だから俺もなるべく気にしていないような感じで父上の話を頷きながら話を進めていった。
父上も俺も同じ考えなのは、俺の元婚約者と嘘を付いてまでこの家に嫁ぎたいと考える令嬢は、一体どんな人なのか、ということだ。
手紙でのやり取りでは、大人しめで礼儀正しい令嬢、という雰囲気だったが、手紙でのやり取りだけだから実際はどんな人なのかは全く分からないからな。
緊張する、というわけではないが、まぁ、嘘を付いている時点でまともな人ではないだろう、という考えだ。
多分父上も同じ考えだと思うが、これを逃したらもう婚約なんて出来ない、ということで失敗は許されない。
出来ることなら自分だって婚約者を選びたいものだが、こんな俺の婚約者になってくれる人なんて片手で数えられる程度でしかいないことくらい、自分が一番よくわかっている。
そんなことを思っているうちに、メイドから来客の知らせがあった。
まだ兄様もいるし、予定よりも随分と早い来客だが、メイド達のおかげで準備はもう終わっている。
それはわかっているが、思わず
「随分と早いですね」
と呟くと、父上は俺の言葉に頷きながら
「予定では3時間後ということになっていたはずなんだがな」
そう言ってため息をついた。
時間もまともに守れない。
それでいて嘘つきか.........。
この相手、正直まずいのではないか?
そう思いながらも待たせるわけにはいかないから父上と2人、来客の迎えに行った。
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