婚約破棄されましたが、お兄様がいるので大丈夫です

榎夜

文字の大きさ
60 / 89

59話 ブレイドside

しおりを挟む

婚約者となる人と初めて会う日だというのに、俺の気分は重たかった。

今頃シャルが他の人と.......しかも兄様と会っていると考えるだけで、なんで俺はダメなのに、兄様はいいんだ、なんて嫌な考えになってしまう。

こんな自分にも嫌気がさしていた。

兄様との婚約が上手く行かないで欲しい、と願うのはシャルの兄として、兄様の弟としていけないことだとわかっていてもそう願ってしまわずにはいられなかった。

でも、自分の婚約はどうにか成功させなければいけない、というなんとも矛盾のある状況だしな。

はぁ.......本当に自分は何がしたいんだか。

今日で何回目かわからないため息をつきながら、シャルの婚約者と話を終えた父上と合流すると

「フレッド殿はブレイドの兄だったのだな」

と一番最初に言われた。

そういえば、言ってなかった.......いや、兄様と婚約するかも、という話すら父上からは聞いていなかったのか。

だから

「すみません、俺も兄様からの手紙で知ったもので」

とだけ言うと

「そうか..........」

なんて微妙な返事が返ってきた。

一体何が言いたかったんだ?

別に俺の兄だから、と言って特に問題もなければ婚約がなくなるなんてことはないはずだ。

.....まぁ、父上もその後は何も言ってこないし、ただ事実の確認ってところか?

とその場ではそう捉えるしかなかった。

その後は、改めて俺が言えを継いだ後の話をしたんだが

「ブレイドに息子が産まれたとしてもこの家を継ぐのはシャルロットの息子だ」

と父上本人から面と向かって言われたとき、わかってはいたものの自分はこの家の息子だけど違うんだな、と改めて思ってしまった。

最初に、本当はお前の息子に継がせてやりたいが、なんて言葉があってもいいとは思うけどな。

まぁ、今更そんなことを言っても仕方がないんだけど。

だから俺もなるべく気にしていないような感じで父上の話を頷きながら話を進めていった。

父上も俺も同じ考えなのは、と嘘を付いてまでこの家に嫁ぎたいと考える令嬢は、一体どんな人なのか、ということだ。

手紙でのやり取りでは、大人しめで礼儀正しい令嬢、という雰囲気だったが、手紙でのやり取りだけだから実際はどんな人なのかは全く分からないからな。

緊張する、というわけではないが、まぁ、嘘を付いている時点でまともな人ではないだろう、という考えだ。

多分父上も同じ考えだと思うが、これを逃したらもう婚約なんて出来ない、ということで失敗は許されない。

出来ることなら自分だって婚約者を選びたいものだが、こんな俺の婚約者になってくれる人なんて片手で数えられる程度でしかいないことくらい、自分が一番よくわかっている。

そんなことを思っているうちに、メイドから来客の知らせがあった。

まだ兄様もいるし、予定よりも随分と早い来客だが、メイド達のおかげで準備はもう終わっている。

それはわかっているが、思わず

「随分と早いですね」

と呟くと、父上は俺の言葉に頷きながら

「予定では3時間後ということになっていたはずなんだがな」

そう言ってため息をついた。

時間もまともに守れない。

それでいて嘘つきか.........。

この相手、正直まずいのではないか?

そう思いながらも待たせるわけにはいかないから父上と2人、来客の迎えに行った。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

完】異端の治癒能力を持つ令嬢は婚約破棄をされ、王宮の侍女として静かに暮らす事を望んだ。なのに!王子、私は侍女ですよ!言い寄られたら困ります!

仰木 あん
恋愛
マリアはエネローワ王国のライオネル伯爵の長女である。 ある日、婚約者のハルト=リッチに呼び出され、婚約破棄を告げられる。 理由はマリアの義理の妹、ソフィアに心変わりしたからだそうだ。 ハルトとソフィアは互いに惹かれ、『真実の愛』に気付いたとのこと…。 マリアは色々な物を継母の連れ子である、ソフィアに奪われてきたが、今度は婚約者か…と、気落ちをして、実家に帰る。 自室にて、過去の母の言葉を思い出す。 マリアには、王国において、異端とされるドルイダスの異能があり、強力な治癒能力で、人を癒すことが出来る事を… しかしそれは、この国では迫害される恐れがあるため、内緒にするようにと強く言われていた。 そんな母が亡くなり、継母がソフィアを連れて屋敷に入ると、マリアの生活は一変した。 ハルトという婚約者を得て、家を折角出たのに、この始末……。 マリアは父親に願い出る。 家族に邪魔されず、一人で静かに王宮の侍女として働いて生きるため、再び家を出るのだが……… この話はフィクションです。 名前等は実際のものとなんら関係はありません。

【完結】妹に存在を奪われた令嬢は知らない 〜彼女が刺繍に託した「たすけて」に、彼が気付いてくれていたことを〜

桜野なつみ
恋愛
存在を消された伯爵家の長女・ビオラ。声を失った彼女が、唯一想いを託せたのは針と糸だった。 白いビオラの刺繍に縫い込まれた「たすけて」の影文字。 それを見つけたのは、彼女の母の刺繍に人生を変えられた青年だった──。 言葉を失った少女と、針の声を聴く男が紡ぐ、静かな愛の物語。

傷付いた騎士なんて要らないと妹は言った~残念ながら、変わってしまった関係は元には戻りません~

キョウキョウ
恋愛
ディアヌ・モリエールの妹であるエレーヌ・モリエールは、とてもワガママな性格だった。 両親もエレーヌの意見や行動を第一に優先して、姉であるディアヌのことは雑に扱った。 ある日、エレーヌの婚約者だったジョセフ・ラングロワという騎士が仕事中に大怪我を負った。 全身を包帯で巻き、1人では歩けないほどの重症だという。 エレーヌは婚約者であるジョセフのことを少しも心配せず、要らなくなったと姉のディアヌに看病を押し付けた。 ついでに、婚約関係まで押し付けようと両親に頼み込む。 こうして、出会うことになったディアヌとジョセフの物語。

お姉様。ずっと隠していたことをお伝えしますね ~私は不幸ではなく幸せですよ~

柚木ゆず
恋愛
 今日は私が、ラファオール伯爵家に嫁ぐ日。ついにハーオット子爵邸を出られる時が訪れましたので、これまで隠していたことをお伝えします。  お姉様たちは私を苦しめるために、私が苦手にしていたクロード様と政略結婚をさせましたよね?  ですがそれは大きな間違いで、私はずっとクロード様のことが――

私が、良いと言ってくれるので結婚します

あべ鈴峰
恋愛
幼馴染のクリスと比較されて悲しい思いをしていたロアンヌだったが、突然現れたレグール様のプロポーズに 初対面なのに結婚を決意する。 しかし、その事を良く思わないクリスが・・。

居候と婚約者が手を組んでいた!

すみ 小桜(sumitan)
恋愛
 グリンマトル伯爵家の一人娘のレネットは、前世の記憶を持っていた。前世は体が弱く入院しそのまま亡くなった。その為、病気に苦しむ人を助けたいと思い薬師になる事に。幸いの事に、家業は薬師だったので、いざ学校へ。本来は17歳から通う学校へ7歳から行く事に。ほらそこは、転生者だから!  って、王都の学校だったので寮生活で、数年後に帰ってみると居候がいるではないですか!  父親の妹家族のウルミーシュ子爵家だった。同じ年の従姉妹アンナがこれまたわがまま。  アンアの母親で父親の妹のエルダがこれまたくせ者で。  最悪な事態が起き、レネットの思い描いていた未来は消え去った。家族と末永く幸せと願った未来が――。

婚約者を譲れと姉に「お願い」されました。代わりに軍人侯爵との結婚を押し付けられましたが、私は形だけの妻のようです。

ナナカ
恋愛
メリオス伯爵の次女エレナは、幼い頃から姉アルチーナに振り回されてきた。そんな姉に婚約者ロエルを譲れと言われる。さらに自分の代わりに結婚しろとまで言い出した。結婚相手は貴族たちが成り上がりと侮蔑する軍人侯爵。伯爵家との縁組が目的だからか、エレナに入れ替わった結婚も承諾する。 こうして、ほとんど顔を合わせることない別居生活が始まった。冷め切った関係になるかと思われたが、年の離れた侯爵はエレナに丁寧に接してくれるし、意外に優しい人。エレナも数少ない会話の機会が楽しみになっていく。 (本編、番外編、完結しました)

【完結】貧乏令嬢は自分の力でのし上がる!後悔?先に立たずと申しましてよ。

やまぐちこはる
恋愛
領地が災害に見舞われたことで貧乏どん底の伯爵令嬢サラは子爵令息の婚約者がいたが、裕福な子爵令嬢に乗り換えられてしまう。婚約解消の慰謝料として受け取った金で、それまで我慢していたスイーツを食べに行ったところ運命の出会いを果たし、店主に断られながらも通い詰めてなんとかスイーツショップの店員になった。 貴族の令嬢には無理と店主に厳しくあしらわれながらも、めげずに下積みの修業を経てパティシエールになるサラ。 そしてサラを見守り続ける青年貴族との恋が始まる。 全44話、7/24より毎日8時に更新します。 よろしくお願いいたします。

処理中です...