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7話 リディアside
しおりを挟む私の元婚約者は自分が頭がいい、ということを信じて疑わない人でした。
確かに成績は優秀だし、次期宰相と言われるほど頭の回転も早いです。
でも、私はどうしてもユリアス様のことを好きになれませんでした。
理由は簡単です。
あの人は自分より頭の悪い人を見下す癖があるからです。
私は元々勉強するのが好きで、本を読むのが趣味なんですが、少しでも難しい本を読んでいると
「ふん!お前のようなバカが内容を理解できるわけがないだろう?」
という嫌味だけ残して立ち去っていくんです。
私はユリアス様よりは勉強が出来ないかもしれません。
ですが、一応テストでは常にトップ5に入るくらいには勉強をしています。
まぁ、ユリアス様からしたら自分が1位なのか2位なのか、ということしか興味はありませんから、知らなくても仕方ないですよね。
そう言い聞かせながらユリアス様の婚約者として頑張ってきました。
今のでわかるとは思いますが、私はユリアス様が好きではありません。
ハッキリと言うと嫌いです。
しんどいなぁって思っていたんですよね。
だから婚約破棄をされたときは涙を流すほど喜びましたよ。
これで、ユリアス様と関わらなくても済む、と思うとホッとしました。
でも、卒業パーティーのときは思わず飛びかかりそうになりましたわ。
だって、マリアンヌ様に冤罪を着せたくせて、殿下の後ろでニヤニヤしているんですもの。
マリアンヌ様は素晴らしい方です。
優しくて、マナーも完璧で、頭もいい。
それに加え、美人さんです。
私だけではなく、沢山の人がマリアンヌ様を尊敬し、慕っていました。
そして、マリアンヌ様はあの卒業パーティーのとき、自分が断罪されることを知っていました。
私達は言われたんです。
「私は冤罪を着せられ、この国に居られなくなると思いますが、どうか止めないでください。私はこれ以上縛られたくないんです」
と。
それを聞いて、誰がマリアンヌ様を引き止めることが出来るのでしょう。
完璧だと思っていたマリアンヌ様が見せた最初で最後の弱音でした。
卒業後、私は学園長から声がけがあって、教師になりました。
実は私はユリアス様との婚約がなくなってから、ずっと教師になりたくて担任の先生に相談していたんです。
それが、こんなにすぐ叶うとは思いませんでしたわ。
いつも通り、廊下を歩いていると1人の生徒が話しかけてきました。
この子は一つ歳下の幼馴染で、私にとても懐いてくれている、まぁ、妹みたいな存在なんです。
楽しく話をしていると、誰かがいつの間にか後ろに来ていて
「リディア.........」
と呟いたのが聞こえてきました。
私を呼び捨てにする人なんて、家族以外ならユリアス様しかいませんよね。
そう思って振り返ると、思った通りユリアス様が戸惑いの表情を浮かべて立っていました。
「御機嫌よう、バーラス侯爵子息様。どういった用件でしょうか?」
私と貴方はもう他人ですよ。
呼び方も考えてもらいたいですわね。
その意味も兼ねて、あえてこんな呼び方をしました。
すると、それに気付いたのか少し気まずそうな顔をしながら
「......最近、マリアンヌ様は冤罪だという噂を聞いた。真実を知っているんじゃないか、と思って.........」
ユリアス様はそう言いました。
......今更ですね。
今まで私が何を言ってもアリスさんの話以外は聞き入れなかったくせに、今更そんなことを聞いて何をしたいんでしょうか?
そう思って
「えぇ、勿論知っていますよ。ですが、それを知ってどうするのです?」
と聞いてみました。
その内容によっては私は関わりたくないので。
すると、ユリアス様は
「そ、それは......」
と言って、その先を言おうとしません。
本当に何がしたいんでしょう?
はぁ...とため息をついてから
「教えてあげてもいいですが、マリアンヌ様の冤罪を全員に証明すると約束してください。それが出来ないなら情報の提供も、手助けすることも出来ません」
私がそう言うと、ユリアス様は顔を明るくして
「わ、わかった!必ずマリアンヌ様の無罪を公表してみせる!だから教えてくれ......っ!」
と頼んできました。
多分、ユリアス様はマリアンヌ様の冤罪を公表し、全ての責任を殿下に押し付けて自分の立場を守ろうと考えているんでしょうね。
私としては殿下がどうなろうと、ユリアス様がどうなろうと興味がありません。
ただ、何も知らない貴族達がマリアンヌ様のことを悪く言っているのは不愉快です。
それを払拭できるのでしたら、嫌いなユリアス様ですが、手を貸しましょう。
マリアンヌ様の為に、とは言いません。
だって、これは私の自己満足ですもの。
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