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まるでお芝居のような
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私はルミーナ エマニエル。一応伯爵令嬢ですわ。
今日は私の婚約者、ロロイ ハウゼン様の卒業パーティー。私は今年入学したので、私の卒業ではないのですけれど、ロロイ様の婚約者なので、当然参加です…その関係も、いつまで保つかは分かりませんが。
パーティーが始まり、私はエスコートされる事もなく、一人で会場入り。でもそんな方が、あと3人程いらっしゃいますわ。
第二王子の婚約者、ロゼリア エインズレイ公爵令嬢。豪奢な金の髪を見事に縦ロールにされた、令嬢方のお手本のような方。
宰相様の子息の婚約者、エミーナ カレット侯爵令嬢。情熱的な紅い髪を持つ方。
騎士隊長の子息の婚約者、リーファ ライン様は私と同じ学年で、同じ伯爵令嬢。
当の婚約者様方は、ピンクブロンドの髪に深紅の瞳を持つ、自称ヒロイン様の男爵令嬢、マリアナ ケント様を囲むように立っております。そこにロロイ様もいらっしゃいます。
「ロゼリア!私は今ここにお前との婚約破棄を宣言する!理由は分かっているな。お前は公爵令嬢という身分で取り巻き達と共に私の愛するマリアナを虐め、学園を退学になるよう画策していた」
第二王子のウィリアム様…人を指差して、公衆の面前で罵倒なさるなんて…
あり得ませんわ!そもそもがこの状況。
ロゼリア様は誰にでもお優しく、虐めなど決してなさらない。そもそもがちょっとした油断ですぐ挙げ足をとられるような公爵令嬢が、下らない虐めなどするはずがありません。
ペンダントを盗んだなんて…男爵令嬢が持つような安物、公爵令嬢が盗むはずなどない。
ノートを破かれた、皆の前でマナーを注意され、恥をかかされた…そのマナーの悪さを婚約者様方は気に入っていらっしゃるようですが、それこそあり得ません。
「エミーナ。君には失望した。ロゼリアと共に私のマリアナに嫌がらせを行うなど。私も君との婚約を破棄させて貰う」
レイン様もですか…けれど、宰相様はご存知なのかしら?エミーナ様との婚約は、宰相様が強く望まれたと聞いておりますが…
「リーファ、俺はマリアナとウィリアム様の為の騎士になる。だから、お前を愛する事はない」
ロゼリア様とエミーナ様は流石に気丈に振る舞っていらっしゃいますが…リーファ様は、今にも倒れてしまいそう。
「ルミーナ…その…済まないとは思っているが」
やはり…次は私の番ですか。まあこの一年、マリアナ様の側にばかりいたのですから、想定内ですわ…ロロイ様も将来は魔法師団で活躍なさるでしょうし…この一年、サボってばかりいらしたから、折角の炎の魔法の技術も殆ど伸びてはいませんが。
「婚約破棄ですか。ハウゼン伯爵様はご存知なのですか?」
「い…いや。けれど!父上同士が仲良しで、領地もたまたま隣で…僕にはルミーナの事、妹のようにしか思えないんだ」
「それは私も同じですわ」
燃えるような恋ではなかったとしても、穏やかな家庭を築けると信じていましたのに…
「僕は愛に生きたい」
「ロロイ様の浮気で婚約破棄。承りましたわ」
「いや…そう、だね…でも!本当の幸せの為には!」
「もう、言い訳は結構ですわ!お父様に、たっぷりと慰謝料を請求させて頂きますから!」
さっと顔を青ざめさせるロロイ様を置いて、私は走って馬車に乗り込むと、すぐに馬車を出してもらうよう御者に頼みました。
馬車が走り出すと、我慢していた涙腺が決壊した。
思えば一年前、私がこの王立学園に入学した時から何かがおかしくなったように思えます…
今日は私の婚約者、ロロイ ハウゼン様の卒業パーティー。私は今年入学したので、私の卒業ではないのですけれど、ロロイ様の婚約者なので、当然参加です…その関係も、いつまで保つかは分かりませんが。
パーティーが始まり、私はエスコートされる事もなく、一人で会場入り。でもそんな方が、あと3人程いらっしゃいますわ。
第二王子の婚約者、ロゼリア エインズレイ公爵令嬢。豪奢な金の髪を見事に縦ロールにされた、令嬢方のお手本のような方。
宰相様の子息の婚約者、エミーナ カレット侯爵令嬢。情熱的な紅い髪を持つ方。
騎士隊長の子息の婚約者、リーファ ライン様は私と同じ学年で、同じ伯爵令嬢。
当の婚約者様方は、ピンクブロンドの髪に深紅の瞳を持つ、自称ヒロイン様の男爵令嬢、マリアナ ケント様を囲むように立っております。そこにロロイ様もいらっしゃいます。
「ロゼリア!私は今ここにお前との婚約破棄を宣言する!理由は分かっているな。お前は公爵令嬢という身分で取り巻き達と共に私の愛するマリアナを虐め、学園を退学になるよう画策していた」
第二王子のウィリアム様…人を指差して、公衆の面前で罵倒なさるなんて…
あり得ませんわ!そもそもがこの状況。
ロゼリア様は誰にでもお優しく、虐めなど決してなさらない。そもそもがちょっとした油断ですぐ挙げ足をとられるような公爵令嬢が、下らない虐めなどするはずがありません。
ペンダントを盗んだなんて…男爵令嬢が持つような安物、公爵令嬢が盗むはずなどない。
ノートを破かれた、皆の前でマナーを注意され、恥をかかされた…そのマナーの悪さを婚約者様方は気に入っていらっしゃるようですが、それこそあり得ません。
「エミーナ。君には失望した。ロゼリアと共に私のマリアナに嫌がらせを行うなど。私も君との婚約を破棄させて貰う」
レイン様もですか…けれど、宰相様はご存知なのかしら?エミーナ様との婚約は、宰相様が強く望まれたと聞いておりますが…
「リーファ、俺はマリアナとウィリアム様の為の騎士になる。だから、お前を愛する事はない」
ロゼリア様とエミーナ様は流石に気丈に振る舞っていらっしゃいますが…リーファ様は、今にも倒れてしまいそう。
「ルミーナ…その…済まないとは思っているが」
やはり…次は私の番ですか。まあこの一年、マリアナ様の側にばかりいたのですから、想定内ですわ…ロロイ様も将来は魔法師団で活躍なさるでしょうし…この一年、サボってばかりいらしたから、折角の炎の魔法の技術も殆ど伸びてはいませんが。
「婚約破棄ですか。ハウゼン伯爵様はご存知なのですか?」
「い…いや。けれど!父上同士が仲良しで、領地もたまたま隣で…僕にはルミーナの事、妹のようにしか思えないんだ」
「それは私も同じですわ」
燃えるような恋ではなかったとしても、穏やかな家庭を築けると信じていましたのに…
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「ロロイ様の浮気で婚約破棄。承りましたわ」
「いや…そう、だね…でも!本当の幸せの為には!」
「もう、言い訳は結構ですわ!お父様に、たっぷりと慰謝料を請求させて頂きますから!」
さっと顔を青ざめさせるロロイ様を置いて、私は走って馬車に乗り込むと、すぐに馬車を出してもらうよう御者に頼みました。
馬車が走り出すと、我慢していた涙腺が決壊した。
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