(完結)モブ令嬢の婚約破棄

あかる

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    ロロイ様が施設から解放され、屋敷に戻られたと聞き、やっと落ち着いてきた気持ちが再び乱れて、このままでは学業に支障をきたしてしまいますわ。

    リーファもとても不安そう。私と違って、アレス様をとてもお慕いしていらしたから。

    私としては、いくらお兄様のようにお慕いしていたとしても、あんなに大勢の前で婚約破棄されて、傷ついて…傷物令嬢として噂されるのが嫌で、パーティーにも出席出来ていませんわ。

    それに…

    ユアン様の、あのいたずらっ子のような顔を思い出すと、胸がキュッと苦しくなりますの。

    この事は勿論、お父様にお話しましたわ。でも、ハウゼン伯爵様から、もう一度本人の意思を確認したいという事で、お話は保留になっていますの。

    お父様からの手紙で、週末、私の帰宅に合わせてハウゼン伯爵様が謝罪に訪れるそうですわ…とても気が重いです…でも、自分の事でもありますし、乗り越えなければなりませんわ。

    え、まさかもういらしてますの?!私、まだ制服なのですけれど。
    屋敷にはハウゼン伯爵様の馬車が既に停まっていましたわ…まだ、心の準備が…なんて、言ってられませんわね。

    急いで部屋に戻り、着替え、髪を整えて貰いながら化粧を済ませます。

「失礼いたします」
「ルミーナ、大丈夫かい?」
「ええ、お父様、遅くなりましたハウゼン様もお久しぶりでございます」

    ロロイ様は…随分やつれて見えます。手を固く握り、心なしか青ざめていらっしゃいますわ。
「ルミーナ…済まない。本当に申し訳なく思っている」

「魅了が解けたという事でよろしいのですよね?」
「言い訳にしかならないけど、去年一年間は、まるで頭に霞みがかかったかのように思えて、正常な判断が出来なかったように思える…だとしても、ルミーナを傷つけた事に、変わりはないけど」

「そう…ですわね。けれど…私もロロイ様と離れて分かった事がありますの。恋は、とても強い気持ちですのね…他の事がどうでも良くなってしまう程に」

「ルミーナ」
「いいのです、お父様。ですから、恥をかかされた事以外ではもう、怒っていませんわ」

「では、破棄ではなく、解消という形で」
「まあ、本人がそれでいいというなら…精神的苦痛に対する賠償という形で」

    ハウゼン伯爵様は、あからさまにほっとされたご様子。お父様の部下なのですから、穏便な形で纏まってほっとされているのでしょう。

「ありがとう、ルミーナ…因みに君を射止めたのって…」
「まだ正式に婚約が結ばれた訳ではないので、秘密ですわ。思ってもみなかった方、ですわね」

    あとはお父様達にお任せしましょう。


    

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