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リードと温泉
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海のダンジョン、素敵だ…魚や貝など、多種多様だ。カニもいたりしないかなー?マグロとか?
まあ、深く潜るにつれて魔物も強くなってくるし、いい加減現実逃避は止めにしないとな。
マルクトの町。何やら騒がしかったので、覗いてみたら、カイルが町の人に責められていた。
「何があったんですか?」
「何言って…!し、使徒様!良かった…来て下さったんですね?こいつが領主に命じられて、使徒様を怒らせたから、加護を消されて…糾弾していた所です」
ん?加護を消したって…あ!結界碑の事か!
「ごめんなさい…急に力が失くなったら、不安になりますよね…戻します」
よし…原因は失くなったけど、カイルに対しての追及は止まない。
「ミノリ様…私は、貴女にこの町に住んで貰いたかったんです!この町を…私を好きに…」
…なっ?!いや…だってこの人は!
真実が知りたい。そう思った。…リードが発動して、カイルの記憶が次々と流れ込んでくる…領主に命じられ、付き合ってる人もいるのに、私に気に入られるように接した事。男性に免疫のない私相手はやりやすいと思った事…
「もう、いい!止めて…!」
止まらない!
自分に絶対の自信があったから、簡単な任務だと思った。他にどんな事が出来るか、他の町に行けるなら、その町も支配下に…
「あはは…!確かに私、チョロかったよね。男の人に慣れてないのは確かだし…今まで、酷く裏切られた経験もないから、何でも信じちゃうし。…だからって思い通りになんてなるはずないでしょ!」
全部信じていた訳じゃないし、恋だってきっとしていなかった。でも…だったらどうして、こんなに涙が出てくるの?…知りたくたかった!でも…知らなければならなかったんだよね…
「ああ…そうだね。元凶はあのおっさんだよね…ロストマルの人達が不当に辛い目にあってるのも、私をこの町に取り込もうとしたのも全部…!」
「そうだそうだ!大した罪でもないのに、囚人扱い」
「言う事を聞かなければ、ロストマル行きになると脅された事もある!」
「ミノリ!あんたしっかりしなさいよ!暴動が起きるわよ?」
「魔力が濁るのです。止めるのです!」
足元が…歪んだ?!
たまらず転ぶ。
「あの…大丈夫ですか?」
あ…ええと…
「ち、ちょっと冷静になってきますね?」
そのまま部屋に戻る。…ああびっくりした。今の私じゃ、何するかわからない。救うべき人を傷つけかねない。
まあ、同情の余地なんてない人だけど、同じ町の人に言われて、改心…多分しないかな。
でも、自棄になってロストマルの人達を責めたりしたら大変だ。あんまり一方だけに肩入れするのも不味いかな?
よし。夢現ポイントを使って、ドローンを作ろう。ロストマル上空に設置して、いつでも状況が分かるようにして…う…夢現ポイントなんていう割にがっつり魔力持っていかれる…スマホ使っていくら物を作っても、魔力なんてかからなかったのに…
テーブルに置いてあるクッキーに手を伸ばした。…ほんのり蜂蜜の味…
そういえば、温泉は他の町にもあった方がいいよね。清潔に保つ為にも。何より癒されるし。
うん…ドローンには本当はポイントが足らなかったみたいだ。生命力と魔力を削って作り出したと…怖っ!
でも、こうやって他の事しながらロストマルの様子を見ていられるのも、並列思考のお陰かな?小説でチートなスキルは、本当にチートだった。
なら、以前から気になっていた精米機作りをしよう。
思考の一部が起きているからか、難しい本を読んでもあんまり眠くならない。
ふんふん。材料はガンボさんに頼もう。
レッツ始まりの町!
魔石はたくさんある。魔道具といえば動力はやっぱり魔石だったから、結構貯め込んでいる。
ここを風魔法で糠を飛ばして…削り過ぎも良くないから…うん。どうかな?
ガンボさんに注文は、ぐるぐる回る棒と、外枠。
「うん、そんな感じでお願い!また今度鉄鉱石は持ってくるから!」
「あ!やっぱりミノリだ!」
「コルン…お腹、大きくなったね」
「そうなの。幸せの重みだよ。相談なんだけど、この子にミノリの名前を付けていい?」
「そ…れは、将来その子が嫌がったらどうするの?」
名前なんて簡単に変えられる物じゃないんだし、ちょっと恥ずかしい。
「そんな事ないよ。まるきり同じ名前はまずいだろうけど、似た名前とか、名前の一部とか」
うーん。
「なら、私の名字を上手く使ったら?私は秋野稔。ここに来る前の名前だけど」
「アキノ…考えてみるね!クスとも相談したいし」
はあ…コルンももうすぐお母さんか…冬が過ぎて春が来たら、来て三年になるのか…うん!気にしない!成長は個人差あるよね!
そうだ。温泉を作ろう!
「アクア、温泉は出る?」
「ええと…その家の裏手なのです。家にかからないように…ここを掘っては?」
「ありがとう!」
よし!…今度はちゃんと、男女分けて…目隠しの柵も作らないとね!
「手伝うよ」
「ありがとう、ノーム」
町の人が色々話しかけてくるので、温泉について話してみた。清潔を保つ大切さは石鹸の時にも話したけど、温泉の気持ち良さとか、癒し効果とか。
「はい!完成です!石鹸で綺麗にして、かけ湯をしてから入って下さいね…ごめん、コルンはちょっと待って…ええと、コルンは短時間で。産まれたらゆっくり入ってもいいけど」
「そうなの?…分かったわ」
西の町、森の民の町にも作る。ただ…北の町は毒素が怖い。結果的に外に出る事になるしね。
後…かな。
みんな温泉は気に入ってくれたみたいだ。生きるだけで精一杯な生活の中にも癒しは必要だよね。
マルクトは…空き地がないな。塀の外になるかな…人数も多いし、一つじゃ足りないよね。
ん!何か動きがあったみたいだ!
まあ、深く潜るにつれて魔物も強くなってくるし、いい加減現実逃避は止めにしないとな。
マルクトの町。何やら騒がしかったので、覗いてみたら、カイルが町の人に責められていた。
「何があったんですか?」
「何言って…!し、使徒様!良かった…来て下さったんですね?こいつが領主に命じられて、使徒様を怒らせたから、加護を消されて…糾弾していた所です」
ん?加護を消したって…あ!結界碑の事か!
「ごめんなさい…急に力が失くなったら、不安になりますよね…戻します」
よし…原因は失くなったけど、カイルに対しての追及は止まない。
「ミノリ様…私は、貴女にこの町に住んで貰いたかったんです!この町を…私を好きに…」
…なっ?!いや…だってこの人は!
真実が知りたい。そう思った。…リードが発動して、カイルの記憶が次々と流れ込んでくる…領主に命じられ、付き合ってる人もいるのに、私に気に入られるように接した事。男性に免疫のない私相手はやりやすいと思った事…
「もう、いい!止めて…!」
止まらない!
自分に絶対の自信があったから、簡単な任務だと思った。他にどんな事が出来るか、他の町に行けるなら、その町も支配下に…
「あはは…!確かに私、チョロかったよね。男の人に慣れてないのは確かだし…今まで、酷く裏切られた経験もないから、何でも信じちゃうし。…だからって思い通りになんてなるはずないでしょ!」
全部信じていた訳じゃないし、恋だってきっとしていなかった。でも…だったらどうして、こんなに涙が出てくるの?…知りたくたかった!でも…知らなければならなかったんだよね…
「ああ…そうだね。元凶はあのおっさんだよね…ロストマルの人達が不当に辛い目にあってるのも、私をこの町に取り込もうとしたのも全部…!」
「そうだそうだ!大した罪でもないのに、囚人扱い」
「言う事を聞かなければ、ロストマル行きになると脅された事もある!」
「ミノリ!あんたしっかりしなさいよ!暴動が起きるわよ?」
「魔力が濁るのです。止めるのです!」
足元が…歪んだ?!
たまらず転ぶ。
「あの…大丈夫ですか?」
あ…ええと…
「ち、ちょっと冷静になってきますね?」
そのまま部屋に戻る。…ああびっくりした。今の私じゃ、何するかわからない。救うべき人を傷つけかねない。
まあ、同情の余地なんてない人だけど、同じ町の人に言われて、改心…多分しないかな。
でも、自棄になってロストマルの人達を責めたりしたら大変だ。あんまり一方だけに肩入れするのも不味いかな?
よし。夢現ポイントを使って、ドローンを作ろう。ロストマル上空に設置して、いつでも状況が分かるようにして…う…夢現ポイントなんていう割にがっつり魔力持っていかれる…スマホ使っていくら物を作っても、魔力なんてかからなかったのに…
テーブルに置いてあるクッキーに手を伸ばした。…ほんのり蜂蜜の味…
そういえば、温泉は他の町にもあった方がいいよね。清潔に保つ為にも。何より癒されるし。
うん…ドローンには本当はポイントが足らなかったみたいだ。生命力と魔力を削って作り出したと…怖っ!
でも、こうやって他の事しながらロストマルの様子を見ていられるのも、並列思考のお陰かな?小説でチートなスキルは、本当にチートだった。
なら、以前から気になっていた精米機作りをしよう。
思考の一部が起きているからか、難しい本を読んでもあんまり眠くならない。
ふんふん。材料はガンボさんに頼もう。
レッツ始まりの町!
魔石はたくさんある。魔道具といえば動力はやっぱり魔石だったから、結構貯め込んでいる。
ここを風魔法で糠を飛ばして…削り過ぎも良くないから…うん。どうかな?
ガンボさんに注文は、ぐるぐる回る棒と、外枠。
「うん、そんな感じでお願い!また今度鉄鉱石は持ってくるから!」
「あ!やっぱりミノリだ!」
「コルン…お腹、大きくなったね」
「そうなの。幸せの重みだよ。相談なんだけど、この子にミノリの名前を付けていい?」
「そ…れは、将来その子が嫌がったらどうするの?」
名前なんて簡単に変えられる物じゃないんだし、ちょっと恥ずかしい。
「そんな事ないよ。まるきり同じ名前はまずいだろうけど、似た名前とか、名前の一部とか」
うーん。
「なら、私の名字を上手く使ったら?私は秋野稔。ここに来る前の名前だけど」
「アキノ…考えてみるね!クスとも相談したいし」
はあ…コルンももうすぐお母さんか…冬が過ぎて春が来たら、来て三年になるのか…うん!気にしない!成長は個人差あるよね!
そうだ。温泉を作ろう!
「アクア、温泉は出る?」
「ええと…その家の裏手なのです。家にかからないように…ここを掘っては?」
「ありがとう!」
よし!…今度はちゃんと、男女分けて…目隠しの柵も作らないとね!
「手伝うよ」
「ありがとう、ノーム」
町の人が色々話しかけてくるので、温泉について話してみた。清潔を保つ大切さは石鹸の時にも話したけど、温泉の気持ち良さとか、癒し効果とか。
「はい!完成です!石鹸で綺麗にして、かけ湯をしてから入って下さいね…ごめん、コルンはちょっと待って…ええと、コルンは短時間で。産まれたらゆっくり入ってもいいけど」
「そうなの?…分かったわ」
西の町、森の民の町にも作る。ただ…北の町は毒素が怖い。結果的に外に出る事になるしね。
後…かな。
みんな温泉は気に入ってくれたみたいだ。生きるだけで精一杯な生活の中にも癒しは必要だよね。
マルクトは…空き地がないな。塀の外になるかな…人数も多いし、一つじゃ足りないよね。
ん!何か動きがあったみたいだ!
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