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前世、思い出したよ
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藤林美優は、幼稚園の年中さん、ひまわり組だ。
幼稚園のバスから降りて、家までの砂利道を走る。
「ワンワン!」
「ただいま!ポチ」
じゃれてくる黒柴のポチは、まだまだやんちゃ盛り。
遊んであげたいけど、制服のまま遊んだら、お母さんに叱られちゃう。それに今日は、昨日の4歳の誕生日に買って貰った魔女っ子のステッキで遊ぶんだ!
普段着に着替えて、スモッグを洗濯機に入れると、ステッキを持って家から飛び出した。
待っていたのか、ポチと、春に生まれたばかりの白色レグホンのピヨちゃんが三和土まで入ってくる。
「お家に入ったら怒られるよ、ピヨちゃん」
誕生時にいたせいか、ピヨちゃんは私を親だと思っている。どころか、きっと自分を人間だと思っているに違いない。そんなピヨちゃんが、1日置きに産んでくれる卵はとても美味しい。
そんな困った弟分と妹分を…多分私も含めて、まとめて面倒見てくれるのが、キジトラ猫のタマ姉さん。やんちゃに過ぎるポチを叱ってくれる。
ネズミ取りの名人で、みんなに頼りにされてるけど、そのネズミをたまに私の枕元にお供えしてくれる、困った所もある。
お気に入りのポーチを下げておじいちゃんの宝物の農耕車の前を通り抜けようとしたら、おばあちゃんがおやつにと、収穫したばかりの小ぶりなトマトをくれた。
トマトを齧りつつ、家の裏手にある林に入ると、椎茸のホダギが並んでいる裏にある土が盛られた所に行く。
ここは美優の秘密基地だ。穴を掘ってブルーシートも敷いて、おままごと用の古い茶碗や、お皿も持ち込んである。
「えへへ…」
ステッキのボタンを押すと光って、必殺技も言ってくれる。
浮かれて、良く見ないでブルーシートに座ろうとして、何故か階段を転げ落ちた。
独特の空気を、何故か良く知ってる気がして美優は頭を抱えた。
「頭…痛い!」
ここではないどこか。私は、魔法学校の教師をしていた。名前は…そう。ミュウラン。
数日前から異常に魔素が濃くなり、教師達も生徒も、不安を隠せずにいた。
そんなある日、空が裂けた。私は必死で主神、エストレイラ様に生徒達の無事を祈った。
そこからは覚えてないけれど、藤林美優として4年間生きてきたんだから、ミュウランとしては死んだのだろう。
「フーッ!」
タマの声に我に返ると、抱える程の大きさの物体が、のそのそと近付いてきた。
スライム?!…それじゃあ、ここはダンジョン?
約10年前に突如、世界中に出現したダンジョンは、時折スタンピードという災害をもたらしたが、ダンジョンで得られる食料や素材、そして各国がこぞって研究した結果、エネルギー界に革命をもたらした魔石の恩恵を得る事が出来、今では概ね受け容れられるようになった。
というより、受け容れざるを得なかった。あらゆる科学兵器、果ては核まで用いて当初は潰そうとしたが、ダンジョンに対する攻撃は、逆に魔物の大量発生をもたらし、国に甚大な被害をもたらした。
しかし、ダンジョン内で戦闘を行う事により謎の力を得る者が出てきた。
今までは物話の産物でしかなかった魔法を使えるようになったり、アイテムの隠された力を見抜けるようになった者、並外れた戦闘能力を発揮する者まで現れ、否定的な意見は徐々に薄れ、中には国を上げて冒険者と呼ばれる者達を支援し始めた。
日本でも、各自自衛手段を得る事を推奨した。
それは仕方のない事とも言える。今やダンジョンは日本だけでも100か所を超えているらしく、自衛隊や警察だけではとても国民を守り切れないのだ。
こうして何の前触れもなく勝手に現れたり、勝手に消えたりもするダンジョンを見つけたら国に報告の義務はあるが、国としてどうする事も出来ないのが現状だ。
専業の冒険者として活躍する人はそんなにいないけど、会社や学校が休みの日にダンジョンまで来る人はそれなりにいる。
強い力を得て仕事に役立てたり、町内の平和を守ったり。
当然ながら、悪い事を考える人も強くなっちゃうけど、それを止める手立ては今の所ない。
私は魔女っ子ステッキを握り締めて、精神を集中させる。
イメージは風の鎌。前世では魔術師の資格を得ていた私だ。きっと大丈夫。
力が抜ける感じがして、目の前のスライムが真っ二つになった。
ころん、と転がったそれを持ち、ちょっと呆気にとられる。
とっても見覚えがある。これは…
鑑定 むかご
あ、やっぱりむかごか…あれ?でもどうして?前世の私は鑑定なんて使えなかった。
新しいスキルを得たという事?
藤林美優(4)
レベル 1
スキル 魔術 鑑定
異世界神エストレイラの加護
エストレイラ様…そう。ここは地球だから、確かに異世界だ。だけど、ダンジョン内のこの空気は…私の住んでいた、センティアにとても似ている。
センティアはどうなったのだろう?私の家族は…生徒達は…
ペット達が私に近付くスライムをやっつけてくれたのだろう。むかごがたくさん散らばっている。
幾つかはピヨちゃんが食べてたみたいだけど、今は足で地面をかき、ミミズを探している。
ダンジョンにミミズはいないと思うけどね。
とにかく、ダンジョンに吸収される前にむかごは頂こう。
見える範囲を範囲指定して、収納庫に収める。
レベル1だからか、魔力も少ない。
ダンジョン内で採れる食べ物には、不思議な効果があるという。食べると疲れにくくなったり、肌のシミが消えたり。
何となく分かる。ダンジョン内のドロップアイテムを食べる事で、多少の経験値が入り、レベルも上がるのだろう。科学的根拠は全くないから信じる人も少ないけど、鑑定の能力を得られた人もいると聞いた。みんな、信じてないのかな?
幼稚園のバスから降りて、家までの砂利道を走る。
「ワンワン!」
「ただいま!ポチ」
じゃれてくる黒柴のポチは、まだまだやんちゃ盛り。
遊んであげたいけど、制服のまま遊んだら、お母さんに叱られちゃう。それに今日は、昨日の4歳の誕生日に買って貰った魔女っ子のステッキで遊ぶんだ!
普段着に着替えて、スモッグを洗濯機に入れると、ステッキを持って家から飛び出した。
待っていたのか、ポチと、春に生まれたばかりの白色レグホンのピヨちゃんが三和土まで入ってくる。
「お家に入ったら怒られるよ、ピヨちゃん」
誕生時にいたせいか、ピヨちゃんは私を親だと思っている。どころか、きっと自分を人間だと思っているに違いない。そんなピヨちゃんが、1日置きに産んでくれる卵はとても美味しい。
そんな困った弟分と妹分を…多分私も含めて、まとめて面倒見てくれるのが、キジトラ猫のタマ姉さん。やんちゃに過ぎるポチを叱ってくれる。
ネズミ取りの名人で、みんなに頼りにされてるけど、そのネズミをたまに私の枕元にお供えしてくれる、困った所もある。
お気に入りのポーチを下げておじいちゃんの宝物の農耕車の前を通り抜けようとしたら、おばあちゃんがおやつにと、収穫したばかりの小ぶりなトマトをくれた。
トマトを齧りつつ、家の裏手にある林に入ると、椎茸のホダギが並んでいる裏にある土が盛られた所に行く。
ここは美優の秘密基地だ。穴を掘ってブルーシートも敷いて、おままごと用の古い茶碗や、お皿も持ち込んである。
「えへへ…」
ステッキのボタンを押すと光って、必殺技も言ってくれる。
浮かれて、良く見ないでブルーシートに座ろうとして、何故か階段を転げ落ちた。
独特の空気を、何故か良く知ってる気がして美優は頭を抱えた。
「頭…痛い!」
ここではないどこか。私は、魔法学校の教師をしていた。名前は…そう。ミュウラン。
数日前から異常に魔素が濃くなり、教師達も生徒も、不安を隠せずにいた。
そんなある日、空が裂けた。私は必死で主神、エストレイラ様に生徒達の無事を祈った。
そこからは覚えてないけれど、藤林美優として4年間生きてきたんだから、ミュウランとしては死んだのだろう。
「フーッ!」
タマの声に我に返ると、抱える程の大きさの物体が、のそのそと近付いてきた。
スライム?!…それじゃあ、ここはダンジョン?
約10年前に突如、世界中に出現したダンジョンは、時折スタンピードという災害をもたらしたが、ダンジョンで得られる食料や素材、そして各国がこぞって研究した結果、エネルギー界に革命をもたらした魔石の恩恵を得る事が出来、今では概ね受け容れられるようになった。
というより、受け容れざるを得なかった。あらゆる科学兵器、果ては核まで用いて当初は潰そうとしたが、ダンジョンに対する攻撃は、逆に魔物の大量発生をもたらし、国に甚大な被害をもたらした。
しかし、ダンジョン内で戦闘を行う事により謎の力を得る者が出てきた。
今までは物話の産物でしかなかった魔法を使えるようになったり、アイテムの隠された力を見抜けるようになった者、並外れた戦闘能力を発揮する者まで現れ、否定的な意見は徐々に薄れ、中には国を上げて冒険者と呼ばれる者達を支援し始めた。
日本でも、各自自衛手段を得る事を推奨した。
それは仕方のない事とも言える。今やダンジョンは日本だけでも100か所を超えているらしく、自衛隊や警察だけではとても国民を守り切れないのだ。
こうして何の前触れもなく勝手に現れたり、勝手に消えたりもするダンジョンを見つけたら国に報告の義務はあるが、国としてどうする事も出来ないのが現状だ。
専業の冒険者として活躍する人はそんなにいないけど、会社や学校が休みの日にダンジョンまで来る人はそれなりにいる。
強い力を得て仕事に役立てたり、町内の平和を守ったり。
当然ながら、悪い事を考える人も強くなっちゃうけど、それを止める手立ては今の所ない。
私は魔女っ子ステッキを握り締めて、精神を集中させる。
イメージは風の鎌。前世では魔術師の資格を得ていた私だ。きっと大丈夫。
力が抜ける感じがして、目の前のスライムが真っ二つになった。
ころん、と転がったそれを持ち、ちょっと呆気にとられる。
とっても見覚えがある。これは…
鑑定 むかご
あ、やっぱりむかごか…あれ?でもどうして?前世の私は鑑定なんて使えなかった。
新しいスキルを得たという事?
藤林美優(4)
レベル 1
スキル 魔術 鑑定
異世界神エストレイラの加護
エストレイラ様…そう。ここは地球だから、確かに異世界だ。だけど、ダンジョン内のこの空気は…私の住んでいた、センティアにとても似ている。
センティアはどうなったのだろう?私の家族は…生徒達は…
ペット達が私に近付くスライムをやっつけてくれたのだろう。むかごがたくさん散らばっている。
幾つかはピヨちゃんが食べてたみたいだけど、今は足で地面をかき、ミミズを探している。
ダンジョンにミミズはいないと思うけどね。
とにかく、ダンジョンに吸収される前にむかごは頂こう。
見える範囲を範囲指定して、収納庫に収める。
レベル1だからか、魔力も少ない。
ダンジョン内で採れる食べ物には、不思議な効果があるという。食べると疲れにくくなったり、肌のシミが消えたり。
何となく分かる。ダンジョン内のドロップアイテムを食べる事で、多少の経験値が入り、レベルも上がるのだろう。科学的根拠は全くないから信じる人も少ないけど、鑑定の能力を得られた人もいると聞いた。みんな、信じてないのかな?
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