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番わない覚悟 (2)★
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それから、どのくらいの間、互いの身体を貪り合っていたのか、朔耶には時間的な感覚は全く分からなかった。
ふと朔耶が気がつくと、しっとりした暖かい腕のなかに居た。もちろん、和泉の腕の中だ。ふたりで、ベッドの中に全裸で抱き合って寝ていた。
顔を上げると、全く見えないほどではないが、辺りは暗い。夜なのか、朝なのか、まったく分からなかった。
久しく衣服を纏っていないと思う程度に、ずっと和泉に抱かれていた。彼の熱情を受け止めて、今回の発情期はそれなりに収束してきたようだった。
こんなにすごい発情期は初めてだ。
自分が気持ち良くなること、セックスのことしか考えていなかった。いや、和泉のことしか考えていなかった。
「朔耶……」
不意に耳に蘇る声。
この人が、自分を抱いてくれている。
その幸福感にひたすら恍惚としていたと思う。
「君を最後まで束縛しようとは思っていない。でも、今だけ。オレを名前で呼んでくれ。オレが君を朔耶と呼ぶように……」
和泉は朔耶の名前を呼び求め続けた。
「暁さん……?」
朔耶がそっと呼びかけると、和泉はとても嬉しそうに笑顔を浮かべ、朔耶を抱き寄せた。
ベッドの中で和泉は誠実だった。
背後から抱き寄せ、肩にキスを落とす。そして、背後から手を伸ばし、朔耶の性器を優しく愛撫した。するとそれはすぐに首をもたげ、和泉の手はさらに奥へ。
朔耶も大胆だった。
早く和泉が欲しくて、自ら俯せになり膝を立たせて尻を上げ、脚を開いた。こんな格好、普通なら屈辱でしかないのに。あのときの自分は、ここに、和泉を一刻も早く感じたくて、埋めて欲しくて仕方が無かった。
そんな欲望に応えるように、和泉も朔耶の腰を取り、その背後から、一気にずぶりとその場所を突き上げた。
背中がしなる。
「あ……あん」
思わず上がる嬌声に、和泉はさらに大胆に動く。
背筋を指で撫で上げられ、反り返るとさらにそのまま身を起こし、もっと深く繋がるように、座位に体位を変えた。首筋に強めのキスを落とし、所有の証を付けていく。
なのに。
和泉は項を噛んではくれなかったのだ。
自分から番にしてほしいとは言えなかった。
そのまま、腰を突き上げ、揺らぎ、乳首をいたぶるのに。
背後から何度も求められ、責められたのに。
長い時間、身体を重ねて、朔耶が抱く和泉への信頼感は確固たるものとなっていた。
番にされてもいいと思うほどに。
なのに。
やっぱり、出張先で体調管理もできない憐れなオメガが発情したからと、ボランティア精神で抱いてくれているのだろう。
そう思うと悲しくなる。
だって、もう和泉とは会えないのだ。
MRとしてこんな失態を犯した以上、おそらく、もう誠心医科大学の担当は外されるに違いない。
仕事で会えることはもうないだろう。
プライベートでも会えないとなったら。
もう二度と会えないのだ。
そう思うと、鼻がつんとして、涙があふれてきた。
どうしよう。嗚咽が止まらなくなって焦る。和泉が起きてしまう……。
「朔耶?」
懸念したとおり、朔耶を抱きかかえる和泉も眼を覚ました。もうこの状況、どうやって説明すればいいんだ……と思う。
「……なんで泣いてる?」
朔耶は、和泉の腕のなかで小さく首を横に振る。
聞かないでほしい。期待をしすぎた自分がいけないのだからと思う。
しかし、和泉は許してはくれない。口元を押さえる朔耶の手を取り、一緒に身体を起こす。そして、朔耶を胸の中に抱き寄せた。
「どうした?」
穏やかな問いかけ。
背中を優しくさすってくれる。
「暁さん……」
「なんだ」
「僕は、あなたの番になることは……できませんか」
嗚咽を飲み込みつつ、決意した告白だった。
和泉がわずかに止まった気がした。それが拒絶を示しているように朔耶には思えた。
「いや……違うんだ」
その声色が変わった。
あの和泉が、少し焦っているような、動揺しているような……。
「違わないな……」
少し観念したように、和泉は大きくため息を吐いた。
「朔耶。オレの話を聞いてくれるか」
涙でぐずぐずになっている顔をまっすぐに見られた。
その真剣なまなざしに、かろうじて、頷く。
すると、ベッドサイトにあったティッシュでそっと涙を拭いてくれる。胸を貸してくれ、ただ、ひたすら落ち着くまで背中をさすってくれた。
「朔耶の気持ちはとても嬉しいんだ。オレ自身、そうできたらって思う」
そんな風に和泉の告白は始まった。
ふと朔耶が気がつくと、しっとりした暖かい腕のなかに居た。もちろん、和泉の腕の中だ。ふたりで、ベッドの中に全裸で抱き合って寝ていた。
顔を上げると、全く見えないほどではないが、辺りは暗い。夜なのか、朝なのか、まったく分からなかった。
久しく衣服を纏っていないと思う程度に、ずっと和泉に抱かれていた。彼の熱情を受け止めて、今回の発情期はそれなりに収束してきたようだった。
こんなにすごい発情期は初めてだ。
自分が気持ち良くなること、セックスのことしか考えていなかった。いや、和泉のことしか考えていなかった。
「朔耶……」
不意に耳に蘇る声。
この人が、自分を抱いてくれている。
その幸福感にひたすら恍惚としていたと思う。
「君を最後まで束縛しようとは思っていない。でも、今だけ。オレを名前で呼んでくれ。オレが君を朔耶と呼ぶように……」
和泉は朔耶の名前を呼び求め続けた。
「暁さん……?」
朔耶がそっと呼びかけると、和泉はとても嬉しそうに笑顔を浮かべ、朔耶を抱き寄せた。
ベッドの中で和泉は誠実だった。
背後から抱き寄せ、肩にキスを落とす。そして、背後から手を伸ばし、朔耶の性器を優しく愛撫した。するとそれはすぐに首をもたげ、和泉の手はさらに奥へ。
朔耶も大胆だった。
早く和泉が欲しくて、自ら俯せになり膝を立たせて尻を上げ、脚を開いた。こんな格好、普通なら屈辱でしかないのに。あのときの自分は、ここに、和泉を一刻も早く感じたくて、埋めて欲しくて仕方が無かった。
そんな欲望に応えるように、和泉も朔耶の腰を取り、その背後から、一気にずぶりとその場所を突き上げた。
背中がしなる。
「あ……あん」
思わず上がる嬌声に、和泉はさらに大胆に動く。
背筋を指で撫で上げられ、反り返るとさらにそのまま身を起こし、もっと深く繋がるように、座位に体位を変えた。首筋に強めのキスを落とし、所有の証を付けていく。
なのに。
和泉は項を噛んではくれなかったのだ。
自分から番にしてほしいとは言えなかった。
そのまま、腰を突き上げ、揺らぎ、乳首をいたぶるのに。
背後から何度も求められ、責められたのに。
長い時間、身体を重ねて、朔耶が抱く和泉への信頼感は確固たるものとなっていた。
番にされてもいいと思うほどに。
なのに。
やっぱり、出張先で体調管理もできない憐れなオメガが発情したからと、ボランティア精神で抱いてくれているのだろう。
そう思うと悲しくなる。
だって、もう和泉とは会えないのだ。
MRとしてこんな失態を犯した以上、おそらく、もう誠心医科大学の担当は外されるに違いない。
仕事で会えることはもうないだろう。
プライベートでも会えないとなったら。
もう二度と会えないのだ。
そう思うと、鼻がつんとして、涙があふれてきた。
どうしよう。嗚咽が止まらなくなって焦る。和泉が起きてしまう……。
「朔耶?」
懸念したとおり、朔耶を抱きかかえる和泉も眼を覚ました。もうこの状況、どうやって説明すればいいんだ……と思う。
「……なんで泣いてる?」
朔耶は、和泉の腕のなかで小さく首を横に振る。
聞かないでほしい。期待をしすぎた自分がいけないのだからと思う。
しかし、和泉は許してはくれない。口元を押さえる朔耶の手を取り、一緒に身体を起こす。そして、朔耶を胸の中に抱き寄せた。
「どうした?」
穏やかな問いかけ。
背中を優しくさすってくれる。
「暁さん……」
「なんだ」
「僕は、あなたの番になることは……できませんか」
嗚咽を飲み込みつつ、決意した告白だった。
和泉がわずかに止まった気がした。それが拒絶を示しているように朔耶には思えた。
「いや……違うんだ」
その声色が変わった。
あの和泉が、少し焦っているような、動揺しているような……。
「違わないな……」
少し観念したように、和泉は大きくため息を吐いた。
「朔耶。オレの話を聞いてくれるか」
涙でぐずぐずになっている顔をまっすぐに見られた。
その真剣なまなざしに、かろうじて、頷く。
すると、ベッドサイトにあったティッシュでそっと涙を拭いてくれる。胸を貸してくれ、ただ、ひたすら落ち着くまで背中をさすってくれた。
「朔耶の気持ちはとても嬉しいんだ。オレ自身、そうできたらって思う」
そんな風に和泉の告白は始まった。
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