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歳の差夫婦
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【 アシルの視点 】
王都で式を挙げた後、初夜は一緒に寝ただけだ。
サラも疲れていたようだし、私も疲れていた。
翌朝、サラは“私ではその気になりませんか”と不安げな顔をして聞いてきたので、“歳だから疲れてしまった。正式な初夜は新居でしようと思う。それまでは娘の顔でご両親に甘えなさい”と伝えるとニッコリ微笑んだ。
実はちょっと不安だった。手を出して“そんなつもりではない”と言われるかもしれないと。
失恋をして30も歳の差のある男に嫁いだのだから、閨事は無いだろうと思われていそうな気がしていた。
サルファール領の別邸に移り住んだ。小さな屋敷だが敷地は広い。内装は金をかけて綺麗にした。
この土地と建物は私名義になっている。
領境にあって、サルファールに入江のように入り込んだ隣領だった。それを私が買い取った。それにより、領境は真っ直ぐになった。
移り住んで3日目の夜、初夜を迎えた。
サラは侯爵令息に手を付けられていなかった。
痛みと恥ずかしさに耐えて一生懸命受け入れようとするサラが愛おしく感じた。
日中、ソファに座ればすぐ隣に座り、同じ場所に向かうときは手を繋ぐ。私が出かける時は抱き付いてキスを強請る。帰邸すると主人を待ち侘びた子犬のように寄ってくる。
そして寝所では快楽を覚えたサラは“もっと”と強請る。事を終えると体を付けて眠る。
第二の婚姻生活は最初の婚姻生活とは真逆だ。
特に夜は男としての自信をサラが与えてくれる。
前の妻には悪いが、最初からサラが妻だったらと、人生損した気分になった。まあ、その頃はサラは産まれていないのだが。
私はいつまで彼女の側にいられるだろうか。
早々に、私の死後も彼女が困らないように手配をした。イリザス家が付いているから大丈夫なのは知っている。だが歳上過ぎる夫としてはできる事をしてちょっとでも安心したい。
婚姻から半年後。
「え?王妃殿下のお茶会にですか?」
「何故かサラと一緒に招待された」
「行かなきゃ駄目ですか?」
「駄目だな」
「でも…」
「サラ。いっそのこと二度と招待状を送ってこなくなるほど やらかせばいいんじゃないか」
「なるほど。前向きに考える作戦ですね?分かりました」
「ではせっかくだ。揃いの衣装を急いで作らせよう」
きっと歳の差婚を揶揄いたいのだろう。ならばしっかりと見せつけよう。
【 王妃殿下の視点 】
姪のエリザベスが泣き付いてきた。
「叔母様!小娘のせいで領地を拠点にしなくてはならなくなりましたの!悔しくて夜も眠れませんわ」
「小娘って誰」
「イリザス伯爵家のサラといって、お義父様と婚姻したのです。婚約後の顔合わせで主人と義弟の3人で反対したら、生意気にも口答えをして、お義父様は若い女にのぼせて言いなりで、サルファール家はめちゃくちゃですわ!」
「それで?」
「叔母様!」
「だって引退した方じゃないの」
「社交が苦手らしいから招待して恥をかかせて欲しのです」
「招待しても構わないけど、私は見物するだけよ」
「ありがとうございます」
そして茶会に現れたのは幸せそうな前公爵のアシル殿と甘えるように寄り添う若妻だった。
アシル・サルファールと私は少し歳がずれていたので、あまり関わりが無かった。
王宮行事で夫人と参加する姿を見たり、挨拶をする程度。夫妻の印象は愛のない政略結婚をした夫婦だった。子が育つと離縁をして引退した。
「お久しぶりです。王妃殿下」
「久しぶりね。ご結婚おめでとう」
「ありがとうございます。妻のサラです」
「お初にお目にかかります。
サラ・サルファールと申します」
普通の子ね。だけどアシル殿が溺愛しているのが分かるわ。
「新婚生活はどうかしら」
「素直で可愛い妻のおかげで楽しく過ごしております」
「アシル様が優しくしてくださるので幸せです」
「それは良かったわ」
姪夫婦と同席にさせたけどどうなるのかしら。
だけど、2人のイチャつきっぷりにエリザベスと夫で公爵のブノワが唖然としている。
ブ「父上。そろそろ戻って来てはどうですか」
ア「早く親離れしてくれ。私はサラを愛でるのに精一杯だ」
エ「サラ様、お義父様と息子の仲を割くようなことをしてはいけませんわよ」
サ「仲を割くとは?」
エ「貴女が現れる前はサルファール家は仲が良かったのですよ」
サ「ですから、私がどう割いたのでしょう」
エ「サルファール家でそれぞれが役割を果たしていたのに、貴女の結婚生活への願望が狂わせてしまったでしょう」
サ「それぞれ役割を果たしていたのですか?
サルファール公爵夫人は具体的にどのような役割を果たしてサルファール家に貢献していたのか教えてください」
エ「え?」
サ「……」
エ「社交に出てサルファール家に役立つ情報を仕入れたり、縁を繋いだりしていたのです」
サ「その役立った情報のトップ3の説明と、繋いだ縁でどう貢献できたのか具体的に教えてください」
エ「そんなの此処では話せませんわ」
サ「でも話を始めたのは貴女ですよ?かなり個人的なことを王妃殿下のお茶会で口にしたのですから、発端の貴女が場に相応しくないとか聞かれては困るなどと言って回避しようとするのはおかしくないですか?」
ア「サラ。彼女は大した収穫がないのに社交に出続けているんだよ。察してあげなさい」
サ「申し訳ありません。虚栄だとは知りませんでした」
エ「何て失礼なの!虚栄じゃないわ!」
サ「でしたら教えてください。耳打ちで構いませんから」
エ「此処では言えないのよ」
サ「罪に問われる内容とか?」
エ「そんなわけがないでしょう!」
ア「では質問に答えてくれないか」
エ「っ!」
そこに聞き慣れた声が割って入った。
ソ「私も聞きたいわ」
エ「ソフィア王女殿下」
ソ「サラ、久しぶり」
サ「ソフィア、久しぶり」
ソ「何で婚姻式の招待状を送ってくれなかったの?」
サ「だって王女だもの」
ソ「私達は友達でしょう」
サ「そうだけど」
ソ「この方がサラの旦那様?後でサラと一緒にお時間を取ってくださいますか」
ア「喜んで伺います」
娘のソフィアとアシル殿の新妻が友人だったなんて。
ソ「さあ、続きを聞きたいわサルファール公爵夫人。私の大事な友達を母の茶会で恥をかかせようとしたのね。随分と愚かだわ」
エ「お、王女殿下、誤解です」
ソ「お茶会で私的な内容を口にしたのは貴女よ。
サラの質問に答えるまで屋敷に返さないわ」
エ「そんな」
ソ「答えれば今すぐ帰っていいわ。サラ。もう一度質問をしてあげて」
結局エリザベスはまともな返事をすることが出来ずに大恥をかいた。
それはエリザベスの叔母である私の顔にも泥を塗ったことになる。
結果 私が間に入った。
私「エリザベス。歳は下でも義父の伴侶が相手なら貴女の態度は問題よ。社交の先輩にもなれていないじゃない」
エ「っ!」
私「質問に答えないのなら夫人に謝罪なさい」
エ「叔母様」
私「公の場でそう呼ぶのは止めなさい。
もし他の王族主催の席でこんな醜態を晒せばどうなるのか分からないの?貴族主催でもまずいわ。
貴女は社交から身を引きなさい。陛下に呼ばれたときだけ出るといいわ」
エ「そんな」
私「仕方ないじゃない。自業自得よ」
エリザベスは姪だけど、流れが悪過ぎる。
あれでは難癖付けたくせに自分は無能だと証明までしてしまった。それにソフィアが問題よ。
あの子の本性は狡猾なの。あの話ぶりではアシル殿の新妻サラはソフィアの昔からのお気に入りだわ。
エ「サラ様、申し訳ございません。お許しください」
サ「分かりましたわ」
ソフィアを見るとエリザベスを見る目が笑っていなかった。エリザベスが社交に出続けたら、ソフィアはエリザベスを追い回して地面の水溜りを啜るようになるまで攻撃したはずよ。
エリザベス。これが最善なの。
王都で式を挙げた後、初夜は一緒に寝ただけだ。
サラも疲れていたようだし、私も疲れていた。
翌朝、サラは“私ではその気になりませんか”と不安げな顔をして聞いてきたので、“歳だから疲れてしまった。正式な初夜は新居でしようと思う。それまでは娘の顔でご両親に甘えなさい”と伝えるとニッコリ微笑んだ。
実はちょっと不安だった。手を出して“そんなつもりではない”と言われるかもしれないと。
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この土地と建物は私名義になっている。
領境にあって、サルファールに入江のように入り込んだ隣領だった。それを私が買い取った。それにより、領境は真っ直ぐになった。
移り住んで3日目の夜、初夜を迎えた。
サラは侯爵令息に手を付けられていなかった。
痛みと恥ずかしさに耐えて一生懸命受け入れようとするサラが愛おしく感じた。
日中、ソファに座ればすぐ隣に座り、同じ場所に向かうときは手を繋ぐ。私が出かける時は抱き付いてキスを強請る。帰邸すると主人を待ち侘びた子犬のように寄ってくる。
そして寝所では快楽を覚えたサラは“もっと”と強請る。事を終えると体を付けて眠る。
第二の婚姻生活は最初の婚姻生活とは真逆だ。
特に夜は男としての自信をサラが与えてくれる。
前の妻には悪いが、最初からサラが妻だったらと、人生損した気分になった。まあ、その頃はサラは産まれていないのだが。
私はいつまで彼女の側にいられるだろうか。
早々に、私の死後も彼女が困らないように手配をした。イリザス家が付いているから大丈夫なのは知っている。だが歳上過ぎる夫としてはできる事をしてちょっとでも安心したい。
婚姻から半年後。
「え?王妃殿下のお茶会にですか?」
「何故かサラと一緒に招待された」
「行かなきゃ駄目ですか?」
「駄目だな」
「でも…」
「サラ。いっそのこと二度と招待状を送ってこなくなるほど やらかせばいいんじゃないか」
「なるほど。前向きに考える作戦ですね?分かりました」
「ではせっかくだ。揃いの衣装を急いで作らせよう」
きっと歳の差婚を揶揄いたいのだろう。ならばしっかりと見せつけよう。
【 王妃殿下の視点 】
姪のエリザベスが泣き付いてきた。
「叔母様!小娘のせいで領地を拠点にしなくてはならなくなりましたの!悔しくて夜も眠れませんわ」
「小娘って誰」
「イリザス伯爵家のサラといって、お義父様と婚姻したのです。婚約後の顔合わせで主人と義弟の3人で反対したら、生意気にも口答えをして、お義父様は若い女にのぼせて言いなりで、サルファール家はめちゃくちゃですわ!」
「それで?」
「叔母様!」
「だって引退した方じゃないの」
「社交が苦手らしいから招待して恥をかかせて欲しのです」
「招待しても構わないけど、私は見物するだけよ」
「ありがとうございます」
そして茶会に現れたのは幸せそうな前公爵のアシル殿と甘えるように寄り添う若妻だった。
アシル・サルファールと私は少し歳がずれていたので、あまり関わりが無かった。
王宮行事で夫人と参加する姿を見たり、挨拶をする程度。夫妻の印象は愛のない政略結婚をした夫婦だった。子が育つと離縁をして引退した。
「お久しぶりです。王妃殿下」
「久しぶりね。ご結婚おめでとう」
「ありがとうございます。妻のサラです」
「お初にお目にかかります。
サラ・サルファールと申します」
普通の子ね。だけどアシル殿が溺愛しているのが分かるわ。
「新婚生活はどうかしら」
「素直で可愛い妻のおかげで楽しく過ごしております」
「アシル様が優しくしてくださるので幸せです」
「それは良かったわ」
姪夫婦と同席にさせたけどどうなるのかしら。
だけど、2人のイチャつきっぷりにエリザベスと夫で公爵のブノワが唖然としている。
ブ「父上。そろそろ戻って来てはどうですか」
ア「早く親離れしてくれ。私はサラを愛でるのに精一杯だ」
エ「サラ様、お義父様と息子の仲を割くようなことをしてはいけませんわよ」
サ「仲を割くとは?」
エ「貴女が現れる前はサルファール家は仲が良かったのですよ」
サ「ですから、私がどう割いたのでしょう」
エ「サルファール家でそれぞれが役割を果たしていたのに、貴女の結婚生活への願望が狂わせてしまったでしょう」
サ「それぞれ役割を果たしていたのですか?
サルファール公爵夫人は具体的にどのような役割を果たしてサルファール家に貢献していたのか教えてください」
エ「え?」
サ「……」
エ「社交に出てサルファール家に役立つ情報を仕入れたり、縁を繋いだりしていたのです」
サ「その役立った情報のトップ3の説明と、繋いだ縁でどう貢献できたのか具体的に教えてください」
エ「そんなの此処では話せませんわ」
サ「でも話を始めたのは貴女ですよ?かなり個人的なことを王妃殿下のお茶会で口にしたのですから、発端の貴女が場に相応しくないとか聞かれては困るなどと言って回避しようとするのはおかしくないですか?」
ア「サラ。彼女は大した収穫がないのに社交に出続けているんだよ。察してあげなさい」
サ「申し訳ありません。虚栄だとは知りませんでした」
エ「何て失礼なの!虚栄じゃないわ!」
サ「でしたら教えてください。耳打ちで構いませんから」
エ「此処では言えないのよ」
サ「罪に問われる内容とか?」
エ「そんなわけがないでしょう!」
ア「では質問に答えてくれないか」
エ「っ!」
そこに聞き慣れた声が割って入った。
ソ「私も聞きたいわ」
エ「ソフィア王女殿下」
ソ「サラ、久しぶり」
サ「ソフィア、久しぶり」
ソ「何で婚姻式の招待状を送ってくれなかったの?」
サ「だって王女だもの」
ソ「私達は友達でしょう」
サ「そうだけど」
ソ「この方がサラの旦那様?後でサラと一緒にお時間を取ってくださいますか」
ア「喜んで伺います」
娘のソフィアとアシル殿の新妻が友人だったなんて。
ソ「さあ、続きを聞きたいわサルファール公爵夫人。私の大事な友達を母の茶会で恥をかかせようとしたのね。随分と愚かだわ」
エ「お、王女殿下、誤解です」
ソ「お茶会で私的な内容を口にしたのは貴女よ。
サラの質問に答えるまで屋敷に返さないわ」
エ「そんな」
ソ「答えれば今すぐ帰っていいわ。サラ。もう一度質問をしてあげて」
結局エリザベスはまともな返事をすることが出来ずに大恥をかいた。
それはエリザベスの叔母である私の顔にも泥を塗ったことになる。
結果 私が間に入った。
私「エリザベス。歳は下でも義父の伴侶が相手なら貴女の態度は問題よ。社交の先輩にもなれていないじゃない」
エ「っ!」
私「質問に答えないのなら夫人に謝罪なさい」
エ「叔母様」
私「公の場でそう呼ぶのは止めなさい。
もし他の王族主催の席でこんな醜態を晒せばどうなるのか分からないの?貴族主催でもまずいわ。
貴女は社交から身を引きなさい。陛下に呼ばれたときだけ出るといいわ」
エ「そんな」
私「仕方ないじゃない。自業自得よ」
エリザベスは姪だけど、流れが悪過ぎる。
あれでは難癖付けたくせに自分は無能だと証明までしてしまった。それにソフィアが問題よ。
あの子の本性は狡猾なの。あの話ぶりではアシル殿の新妻サラはソフィアの昔からのお気に入りだわ。
エ「サラ様、申し訳ございません。お許しください」
サ「分かりましたわ」
ソフィアを見るとエリザベスを見る目が笑っていなかった。エリザベスが社交に出続けたら、ソフィアはエリザベスを追い回して地面の水溜りを啜るようになるまで攻撃したはずよ。
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