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続編:ヒューゴの結婚
後戻りできない(アマンダ)
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幸せだった。ヒューゴ様の側にいられて声を聞けて顔を見ていられて。遠くない未来で私は妻になる。その唇も私だけのものだし、彼に愛してもらって子を産む。ジオ公爵夫人として貴族女性の頂点に立てる。そんな空想をずっとしていた。
『もういい、アマンダ』
『ヒューゴ様?』
『次の研修先に向かってくれ』
『なぜですか!』
『気を散らしてばかりでは役に立たないからだ』
たった2日で外されてしまった。
でも諦めきれない。だったら軍内の文官を目指すのもいいかもしれない。そう思ってまた頑張ってきたのに……。
『え?』
ヒューゴ様が令嬢を屋敷に連れて来て初めて知った。彼が1人の令嬢に付き纏っていることを。
『お兄様、一体誰なんですか!』
『セルヴィー伯爵家のご令嬢で、まだ学生だ』
どうしてそんな子供に……。
実家に顔を出して母に聞くと、クリスティーナ・セルヴィーには婚約者がいた。有名な美男子の伯爵令息で私も見かけたことがある。
婚約者がいるくせにヒューゴ様を誑かすなんて!
女性に疎いヒューゴ様に忠告して目を覚まさせようとした。
『知ってる』
『え!?』
『クリスティーナには婚約者がいる。だから何だ』
『それは……公爵家のご令息として相応しくない振る舞いかと』
『おまえは俺の母親か? いいか、俺は欲しいものは手に入れる。例え人妻だとしてもだ』
『ヒューゴ様』
『離婚に比べれば婚約を止めさせることは容易い。俺が代わりに違約金を払ってもいい。まあ、ヘインズの素行なら払わずに済むはずだがな』
『セルヴィー伯爵令嬢は剣とは無縁です。ヒューゴ様の側には強い女性が相応しいはずです』
『クリスティーナは強くて魅力的な女だ』
単なる令嬢が強い?
『そんなはずはありません』
『いい加減にしてくれ。おまえに関係ないし口出す権利もない。出て行け』
信じられなかった。
その後もヒューゴ様は令嬢を拉致するように連れて来ては文句を言われているらしい。
どうして私じゃないの。
手のひらを見つめ剣だこに触れた。強い令嬢を望むと聞いたから一生懸命努力した。手の皮は厚く硬いし剣だこまでできてしまった。爪も令嬢の爪とは言い難いし体には傷跡だってある。硬いブーツを履いて動き回るから足だって……。
『え、領地にですか!?』
公爵に呼び出されて領地行きを命じられた。
『そうだ。領地に行って騎士として仕えることがどういうことなのか学び直せ』
『どうしてですか!』
『なぜヒューゴの動向を君の兄や同 僚に聞き出す?パトリックはアマンダがうちの親戚だからと答えていたが漏洩にあたる行為だ。彼には来客時の警護から外れて当面は屋敷の外の裏側を担当させる。君にも罰を与えなければ不公平だろう』
『申し訳ございません』
パトリックは一階の警備兵で来客があると客人を通した部屋の前で待機していた。信用がなければ任せてはもらえない役割だ。それが裏庭を持ち場に変えられたなんて。
それからずっと領地の屋敷にいた。
ヒューゴ様が伯爵令嬢を連れて来て、同じベッドを使ってると聞いて辛かった。
そのうち変な事業を始めた。極秘扱いだし、携わっている者に聞いても口を割らない。
『セルヴィー嬢の婚約が無くなった?』
『はい、ヒューゴ様も大喜びでした』
『ありがとう』
掃除メイドに小銀貨を握らせた。
それからはヒューゴ様と令嬢の進展はなく、やっぱり神は私の味方をしているのではと思った。
だけど……
『お兄様、お話ってなんですか?』
『ヒューゴ様が婚約なさった』
『えっ』
『クリスティーナ・セルヴィー伯爵令嬢と婚約なさったんだ。アマンダ、きっぱり諦めなさい』
『そんな!何のために私は…もう20年近くになるのですよ!?あんまりです!』
『厳しい事を言うようだがアマンダの一方的な気持ちだ。ジオ家には正式に断られているし、ヒューゴ様も一度もアマンダに気を持たせるような言動はなさらなかった。諦めきれずに勝手にしたことに他人を巻き込むな』
悔しくて涙が止まらない。
夜中にふと思い出した。そうだわ。ヒューゴ様は婚約などどうにでもなると言っていた。つまり2人の婚約にも同じことが言えるはず。まだ終わってなんかない。
真面目に働き機会を待った。ジオ領に令嬢が来ても会わせてもらえなかったが、今回は護衛騎士の選出という理由で令嬢に近付くことができた。
剣を握らない彼女がジオ公爵夫人として務まることはないと思い知らせる機会ができると思った。
『もういい、アマンダ』
『ヒューゴ様?』
『次の研修先に向かってくれ』
『なぜですか!』
『気を散らしてばかりでは役に立たないからだ』
たった2日で外されてしまった。
でも諦めきれない。だったら軍内の文官を目指すのもいいかもしれない。そう思ってまた頑張ってきたのに……。
『え?』
ヒューゴ様が令嬢を屋敷に連れて来て初めて知った。彼が1人の令嬢に付き纏っていることを。
『お兄様、一体誰なんですか!』
『セルヴィー伯爵家のご令嬢で、まだ学生だ』
どうしてそんな子供に……。
実家に顔を出して母に聞くと、クリスティーナ・セルヴィーには婚約者がいた。有名な美男子の伯爵令息で私も見かけたことがある。
婚約者がいるくせにヒューゴ様を誑かすなんて!
女性に疎いヒューゴ様に忠告して目を覚まさせようとした。
『知ってる』
『え!?』
『クリスティーナには婚約者がいる。だから何だ』
『それは……公爵家のご令息として相応しくない振る舞いかと』
『おまえは俺の母親か? いいか、俺は欲しいものは手に入れる。例え人妻だとしてもだ』
『ヒューゴ様』
『離婚に比べれば婚約を止めさせることは容易い。俺が代わりに違約金を払ってもいい。まあ、ヘインズの素行なら払わずに済むはずだがな』
『セルヴィー伯爵令嬢は剣とは無縁です。ヒューゴ様の側には強い女性が相応しいはずです』
『クリスティーナは強くて魅力的な女だ』
単なる令嬢が強い?
『そんなはずはありません』
『いい加減にしてくれ。おまえに関係ないし口出す権利もない。出て行け』
信じられなかった。
その後もヒューゴ様は令嬢を拉致するように連れて来ては文句を言われているらしい。
どうして私じゃないの。
手のひらを見つめ剣だこに触れた。強い令嬢を望むと聞いたから一生懸命努力した。手の皮は厚く硬いし剣だこまでできてしまった。爪も令嬢の爪とは言い難いし体には傷跡だってある。硬いブーツを履いて動き回るから足だって……。
『え、領地にですか!?』
公爵に呼び出されて領地行きを命じられた。
『そうだ。領地に行って騎士として仕えることがどういうことなのか学び直せ』
『どうしてですか!』
『なぜヒューゴの動向を君の兄や同 僚に聞き出す?パトリックはアマンダがうちの親戚だからと答えていたが漏洩にあたる行為だ。彼には来客時の警護から外れて当面は屋敷の外の裏側を担当させる。君にも罰を与えなければ不公平だろう』
『申し訳ございません』
パトリックは一階の警備兵で来客があると客人を通した部屋の前で待機していた。信用がなければ任せてはもらえない役割だ。それが裏庭を持ち場に変えられたなんて。
それからずっと領地の屋敷にいた。
ヒューゴ様が伯爵令嬢を連れて来て、同じベッドを使ってると聞いて辛かった。
そのうち変な事業を始めた。極秘扱いだし、携わっている者に聞いても口を割らない。
『セルヴィー嬢の婚約が無くなった?』
『はい、ヒューゴ様も大喜びでした』
『ありがとう』
掃除メイドに小銀貨を握らせた。
それからはヒューゴ様と令嬢の進展はなく、やっぱり神は私の味方をしているのではと思った。
だけど……
『お兄様、お話ってなんですか?』
『ヒューゴ様が婚約なさった』
『えっ』
『クリスティーナ・セルヴィー伯爵令嬢と婚約なさったんだ。アマンダ、きっぱり諦めなさい』
『そんな!何のために私は…もう20年近くになるのですよ!?あんまりです!』
『厳しい事を言うようだがアマンダの一方的な気持ちだ。ジオ家には正式に断られているし、ヒューゴ様も一度もアマンダに気を持たせるような言動はなさらなかった。諦めきれずに勝手にしたことに他人を巻き込むな』
悔しくて涙が止まらない。
夜中にふと思い出した。そうだわ。ヒューゴ様は婚約などどうにでもなると言っていた。つまり2人の婚約にも同じことが言えるはず。まだ終わってなんかない。
真面目に働き機会を待った。ジオ領に令嬢が来ても会わせてもらえなかったが、今回は護衛騎士の選出という理由で令嬢に近付くことができた。
剣を握らない彼女がジオ公爵夫人として務まることはないと思い知らせる機会ができると思った。
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