笑顔で冷遇する婚約者に疲れてしまいました

ユユ

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翌週の登校日、なんだかチラチラ見られている気がする。

「クリスティーナ」

「あ、シャルル様。おはようございます」

「おはよう。…この間、ジオ公爵令息が、」

「シャルル様ぁ~」

「アレクシア様」

「何しているの?教室は向こう…あら、あなた」

「おはようございます、サリモア公女」

「おはよう。あなたって節操無いのね」

「はい?」

「シャルル様と無理矢理婚約したくせに」

「……」

「アレクシア様、行きましょう」

「シャルル様、今度のパーティもエスコートしてくださるでしょう?」

「え、ええ」

「お揃いの衣装が出来上がったの。授業が終わったら試着しにいらして」

「ありがとうございます」

「……」

いい加減慣れてもいいはずなのに虚しい。
シャルル様は一向に私のことを見てはくださらない。
一生だと言われたけど、結婚して初夜を迎えたら、子供が産まれたら、何かがきっかけで愛をもらえるのではと期待してしまう。

あの美しい瞳に熱が籠ることなど無いのに…


授業が終わり、馬車を待っていた。

確かシャルル様達3年生はもう一時限授業があるはず。校舎を見上げ、シャルル様の教室の窓を見ると、窓際の席から見下ろすシャルルのお顔が見えた。

偶然?

「クリスティーナ!」

ジオ公爵家の馬車から公子が降りてきた。

「はぁ」

「迎えに来たぞ」

「何で来るのですか」

「カウンセリングの日じゃないか」

「お店のカウンセリングルームでのお約束ですよね」

「ああ、キャンセルしておいた。セルヴィー邸に行くぞ」

「はあ?」

「例の茶を飲ませてくれよ」

「だからって、」

「早く乗れ、セルヴィー家の馬車は来ないぞ、連絡しておいたからな。ほら、馬車が支えてるぞ」

「……」

仕方なく公子の手を取って馬車に乗り込んだ。

セルヴィー邸でお茶を出して、生活習慣や嗜好品などを聞いた。

「思い当たることがいくつもあって困りましたね」

「まだ敬語使うのか?」

「5歳差があるのでしょう?それに公爵家の令息と伯爵家の娘では格差もありますし。
早く元の世界へ戻ってください」

「俺のことがそんなに嫌いか?」

「正直に申し上げても?」

「言ってくれ」

「初対面がアレで好きになるバカを見てみたいです」

「うっ」

「贈り物攻めが通じないと拉致したり、押しかけたり」

「で、でも」

「謝ってくれてもスタート地点にも立てませんよ?
例えばスタートがゼロ、初対面でマイナス100、贈り物や先触れ攻撃でマイナス200まで下がって、謝ってゼロだとします。
その後の行動でまたマイナスです。
今日だってお約束はありません」

「約束してくれないからじゃないか」

「自分の意思だけ押し付けるのは我儘というのです。
それが今成り立っているのはジオ公子が公爵家の力を使っているからです」

「使っていない」

「では、家紋無しの素朴な馬車に質素な服で身分を告げずに学園の門を通過できますか?」

「…できない」

「私が仕方なく対応しているのも身分差からです。
あなたが男爵令息ならずっと無視して近寄れば兵士に捕えさせます」

「プラスにするには?」

「しなくていいではありませんか。
公子はいつも通りの仲間に囲まれて楽しく過ごせますし、私は嫌がらせを受けずに済みます。
ただでさえあれこれ言われているのに…とにかく、肌が治り始めたらそこで終わり。いいですね?」

「良くない」

「お帰りですか?」

ジオ公子は立ち上がり、私の側まで来た。

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