10 / 215
マイナスです
しおりを挟む
翌週の登校日、なんだかチラチラ見られている気がする。
「クリスティーナ」
「あ、シャルル様。おはようございます」
「おはよう。…この間、ジオ公爵令息が、」
「シャルル様ぁ~」
「アレクシア様」
「何しているの?教室は向こう…あら、あなた」
「おはようございます、サリモア公女」
「おはよう。あなたって節操無いのね」
「はい?」
「シャルル様と無理矢理婚約したくせに」
「……」
「アレクシア様、行きましょう」
「シャルル様、今度のパーティもエスコートしてくださるでしょう?」
「え、ええ」
「お揃いの衣装が出来上がったの。授業が終わったら試着しにいらして」
「ありがとうございます」
「……」
いい加減慣れてもいいはずなのに虚しい。
シャルル様は一向に私のことを見てはくださらない。
一生だと言われたけど、結婚して初夜を迎えたら、子供が産まれたら、何かがきっかけで愛をもらえるのではと期待してしまう。
あの美しい瞳に熱が籠ることなど無いのに…
授業が終わり、馬車を待っていた。
確かシャルル様達3年生はもう一時限授業があるはず。校舎を見上げ、シャルル様の教室の窓を見ると、窓際の席から見下ろすシャルルのお顔が見えた。
偶然?
「クリスティーナ!」
ジオ公爵家の馬車から公子が降りてきた。
「はぁ」
「迎えに来たぞ」
「何で来るのですか」
「カウンセリングの日じゃないか」
「お店のカウンセリングルームでのお約束ですよね」
「ああ、キャンセルしておいた。セルヴィー邸に行くぞ」
「はあ?」
「例の茶を飲ませてくれよ」
「だからって、」
「早く乗れ、セルヴィー家の馬車は来ないぞ、連絡しておいたからな。ほら、馬車が支えてるぞ」
「……」
仕方なく公子の手を取って馬車に乗り込んだ。
セルヴィー邸でお茶を出して、生活習慣や嗜好品などを聞いた。
「思い当たることがいくつもあって困りましたね」
「まだ敬語使うのか?」
「5歳差があるのでしょう?それに公爵家の令息と伯爵家の娘では格差もありますし。
早く元の世界へ戻ってください」
「俺のことがそんなに嫌いか?」
「正直に申し上げても?」
「言ってくれ」
「初対面がアレで好きになるバカを見てみたいです」
「うっ」
「贈り物攻めが通じないと拉致したり、押しかけたり」
「で、でも」
「謝ってくれてもスタート地点にも立てませんよ?
例えばスタートがゼロ、初対面でマイナス100、贈り物や先触れ攻撃でマイナス200まで下がって、謝ってゼロだとします。
その後の行動でまたマイナスです。
今日だってお約束はありません」
「約束してくれないからじゃないか」
「自分の意思だけ押し付けるのは我儘というのです。
それが今成り立っているのはジオ公子が公爵家の力を使っているからです」
「使っていない」
「では、家紋無しの素朴な馬車に質素な服で身分を告げずに学園の門を通過できますか?」
「…できない」
「私が仕方なく対応しているのも身分差からです。
あなたが男爵令息ならずっと無視して近寄れば兵士に捕えさせます」
「プラスにするには?」
「しなくていいではありませんか。
公子はいつも通りの仲間に囲まれて楽しく過ごせますし、私は嫌がらせを受けずに済みます。
ただでさえあれこれ言われているのに…とにかく、肌が治り始めたらそこで終わり。いいですね?」
「良くない」
「お帰りですか?」
ジオ公子は立ち上がり、私の側まで来た。
「クリスティーナ」
「あ、シャルル様。おはようございます」
「おはよう。…この間、ジオ公爵令息が、」
「シャルル様ぁ~」
「アレクシア様」
「何しているの?教室は向こう…あら、あなた」
「おはようございます、サリモア公女」
「おはよう。あなたって節操無いのね」
「はい?」
「シャルル様と無理矢理婚約したくせに」
「……」
「アレクシア様、行きましょう」
「シャルル様、今度のパーティもエスコートしてくださるでしょう?」
「え、ええ」
「お揃いの衣装が出来上がったの。授業が終わったら試着しにいらして」
「ありがとうございます」
「……」
いい加減慣れてもいいはずなのに虚しい。
シャルル様は一向に私のことを見てはくださらない。
一生だと言われたけど、結婚して初夜を迎えたら、子供が産まれたら、何かがきっかけで愛をもらえるのではと期待してしまう。
あの美しい瞳に熱が籠ることなど無いのに…
授業が終わり、馬車を待っていた。
確かシャルル様達3年生はもう一時限授業があるはず。校舎を見上げ、シャルル様の教室の窓を見ると、窓際の席から見下ろすシャルルのお顔が見えた。
偶然?
「クリスティーナ!」
ジオ公爵家の馬車から公子が降りてきた。
「はぁ」
「迎えに来たぞ」
「何で来るのですか」
「カウンセリングの日じゃないか」
「お店のカウンセリングルームでのお約束ですよね」
「ああ、キャンセルしておいた。セルヴィー邸に行くぞ」
「はあ?」
「例の茶を飲ませてくれよ」
「だからって、」
「早く乗れ、セルヴィー家の馬車は来ないぞ、連絡しておいたからな。ほら、馬車が支えてるぞ」
「……」
仕方なく公子の手を取って馬車に乗り込んだ。
セルヴィー邸でお茶を出して、生活習慣や嗜好品などを聞いた。
「思い当たることがいくつもあって困りましたね」
「まだ敬語使うのか?」
「5歳差があるのでしょう?それに公爵家の令息と伯爵家の娘では格差もありますし。
早く元の世界へ戻ってください」
「俺のことがそんなに嫌いか?」
「正直に申し上げても?」
「言ってくれ」
「初対面がアレで好きになるバカを見てみたいです」
「うっ」
「贈り物攻めが通じないと拉致したり、押しかけたり」
「で、でも」
「謝ってくれてもスタート地点にも立てませんよ?
例えばスタートがゼロ、初対面でマイナス100、贈り物や先触れ攻撃でマイナス200まで下がって、謝ってゼロだとします。
その後の行動でまたマイナスです。
今日だってお約束はありません」
「約束してくれないからじゃないか」
「自分の意思だけ押し付けるのは我儘というのです。
それが今成り立っているのはジオ公子が公爵家の力を使っているからです」
「使っていない」
「では、家紋無しの素朴な馬車に質素な服で身分を告げずに学園の門を通過できますか?」
「…できない」
「私が仕方なく対応しているのも身分差からです。
あなたが男爵令息ならずっと無視して近寄れば兵士に捕えさせます」
「プラスにするには?」
「しなくていいではありませんか。
公子はいつも通りの仲間に囲まれて楽しく過ごせますし、私は嫌がらせを受けずに済みます。
ただでさえあれこれ言われているのに…とにかく、肌が治り始めたらそこで終わり。いいですね?」
「良くない」
「お帰りですか?」
ジオ公子は立ち上がり、私の側まで来た。
3,152
あなたにおすすめの小説
「君は地味な裏方だ」と愛人を優遇するサイコパス気質の夫。〜私が去った後、商会の技術が全て私の手によるものだと気づいても、もう手遅れです〜
水上
恋愛
「君は地味だから裏方に徹しろ」
効率主義のサイコパス気質な夫は、妻であるクララの磨いた硝子を愛人の手柄にし、クララを工房に幽閉した。
彼女は感情を捨て、機械のように振る舞う。
だが、クララの成果を奪い取り、夫が愛人を壇上に上げた夜、クララの心は完全に凍りついた。
彼に残した書き置きは一通のみ。
クララが去った後、商会の製品はただの石ころに戻り、夫の計算は音を立てて狂い始める。
これは、深い絶望と、遅すぎた後悔の物語。
一年だけの夫婦でも私は幸せでした。
クロユキ
恋愛
騎士のブライドと結婚をしたフローズンは夫がまだ婚約者だった姉を今でも想っている事を知っていた。
フローズンとブライドは政略結婚で結婚式当日にブライドの婚約者だった姉が姿を消してしまった。
フローズンは姉が戻るまでの一年の夫婦の生活が始まった。
更新が不定期です。誤字脱字がありますが宜しくお願いします。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
「最高の縁談なのでしょう?なら、かわってあげたら喜んでくれますよね!」
みっちぇる。
恋愛
侯爵令嬢のリコリスは20歳。立派な嫁きおくれである。
というのも、義母がなかなかデビューさせてくれないのだ。
なにか意図を感じつつも、周りは義母の味方ばかり。
そん中、急にデビュタントの許可と婚約を告げられる。
何か裏がある――
相手の家がどういうものかを知り、何とかしようとするリコリス。
でも、非力なリコリスには何も手段がない。
しかし、そんな彼女にも救いの手が……?
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
三年の想いは小瓶の中に
月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。
※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる