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事件から1週間後
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ソファに座りヒューゴ様に寄りかかりながら新聞の記事を読んでいた。
そこにはアレクシア・サリモア公女が修道院へ行く途中に獣に襲われて亡くなったことが書いてあった。
「可哀想に」
「可哀想?」
「だって、食べられながら死ぬなんて痛くて怖くて辛かっただろうなって」
「だけど、ティナにこんなことをしなければ修道院への移動など無かったことだ。自業自得だ」
ヒューゴ様をじっと見つめた。
「大丈夫。ティナは浮気しない限り天罰はやってこない。俺が天罰を下すなら、ティナを鎖で繋いで部屋から出さないだろうな。覗けないほど高い位置に1つ窓があるだけの閉鎖的な空間に閉じ込める。言葉を交わせるのは俺だけになるだろうな」
「!!」
「ヒューゴ殿。うちの娘を脅さないでくれませんか?」
「脅しじゃありませんよ、本気です。チュッ」
ヒューゴ様は私の頭に唇をつけた。
「あと、私の前でイチャつくのは止めてくれませんか」
「え?この程度で? チュッ」
「もう、ヒューゴ様。お父様を揶揄わないでください」
「俺はクリスティーナが大好きなんだから仕方ないじゃないか。
そうですよね?お義母様」
「クリスティーナ。今のうちに楽しみなさい。そのうちそんなこともしなくなるわ」
「……」
「お義母様。俺をその辺の男と一緒にしないでください。10年後はもっとイチャイチャしてみせます」
「まあ、楽しみにしているわね」
「公認だぞ ティナ」
お父様とお母様が領地からタウンハウスに来た。ジオ公爵夫妻にしっかりとお礼をして私を引き取った。だけどヒューゴ様がセルヴィー邸に居着いている。
「ヘインズ伯爵家からお花が届きました」
メイドが花束を持って見せに来た。
「飾っておいてちょうだい」
「かしこまりました」
メッセージカードには“早くゲガが治るよう祈っている。シャルル”と書いてあった。
事件の後、仕方なくヘインズ伯爵とだけは面会した。まだ包帯を巻いていて、傷辺りが広範囲で内出血しているからシャルル様には会いたくなかったので、伯爵だけにしてもらった。
そこで伯爵からの謝罪と、シャルル様と私との間の出来事について婚約時に遡って聞かせて欲しいと懇願なさるので包み隠さず話した。
シャルル様からの婚約の条件や交流やパーティでのこと、学園内のことも話した。
伯爵の顔は険しくなった。
お父様は白紙に戻そうと言ったけどヘインズ伯爵はもう一度機会が欲しいと頭を下げてくださった。
元々この婚約はセルヴィー家からの申し入れ。シャルル様は不服ながらも政略結婚として受け入れてくれた。今回、彼の恋人の一人が暴走したわけだけど、彼もこんなことは望んでいなかったはず。それに…昔ほどではないにしろ私はシャルル様に想いを寄せている。白紙といっても戻らないご縁になるはず。私にはまだその決断ができない。
ヒューゴ様の気持ちに甘えながらこんなこと、不誠実なのは分かっている。
だけどヘインズ伯爵と会う前にヒューゴ様に“ヘインズと婚約を続けたいのならそう答えればいい。だが俺が君の恋人だということは変わらない。ヘインズの条件を維持したまま継続するといい”と言われた。
だから“シャルル様には今まで通りでお願いします。ですがシャルル様の恋人達が矛先を私に向けることはお断りします。どうぞ上手くやってください。但し、婚前に子供を作ったら破棄します”と返事をした。
お父様は不満だったのか、セルヴィー家からも条件を新たに出した。
『ヘインズ伯爵。自分の婚約者もしくは妻を守るのは義務です。シャルル殿自身がクリスティーナもしくは2人の婚約について第三者への印象を少しでも良いものに変える努力をすべきです。
何故シャルル殿が女遊びをしている代償を婚約者のクリスティーナが払わなくてはならないのか。その要因は シャルル殿がクリスティーナをそのように扱ってもいいと女達に思わせているからです。
だからクリスティーナは嫌がらせを受け続け、こうやって額に残る傷を負わされたのです。関係のあったシャルル殿は針傷一つ負ってはいないじゃないですか』
『申し訳ありません』
『謝ってもらっても額の傷跡は消えませんよ。
私は言いましたよね?娘がシャルル殿を慕っているようですと。その娘に恋人を容認しろ?愛人を容認しろ?愛人との子を容認しろ?正妻として扱ってやるから、愛人と子を屋敷に迎え入れることを容認しろ?パーティでは他の女と消えて、学園では距離をとらせ、一度も学食に誘われたことがないだなんて…。
今更誘わなくて結構ですが、娘の心をずっと傷付け続けていたことをご子息に認識させてください。
次にシャルル殿がクリスティーナを傷付けたり、他人がクリスティーナを傷付ける原因をシャルル殿が作ったら婚約を破棄します。当然、婚約に起因する全てのものは白紙です。クリスティーナが続けたいと懇願しても私は認めません。ご理解いただけましたか?』
『申し訳ございません。教育します』
メイドが届いた花を花瓶にさし、机の上に置いた。
花を見つめながら、面会のときのヘインズ伯爵を思い出していた。
この怪我が別の要因で負った怪我ならシャルル様は花束なんか私に贈らなかっただろう。
「お気遣いなくとお礼の手紙を代筆してくれる?」
「かしこまりました」
それでも数日に1度花束が届いた。
ヘインズ伯爵にも遠回しに要らないと手紙を出したけど、今度は会いたいとシャルル様から手紙が届いた。
そこにはアレクシア・サリモア公女が修道院へ行く途中に獣に襲われて亡くなったことが書いてあった。
「可哀想に」
「可哀想?」
「だって、食べられながら死ぬなんて痛くて怖くて辛かっただろうなって」
「だけど、ティナにこんなことをしなければ修道院への移動など無かったことだ。自業自得だ」
ヒューゴ様をじっと見つめた。
「大丈夫。ティナは浮気しない限り天罰はやってこない。俺が天罰を下すなら、ティナを鎖で繋いで部屋から出さないだろうな。覗けないほど高い位置に1つ窓があるだけの閉鎖的な空間に閉じ込める。言葉を交わせるのは俺だけになるだろうな」
「!!」
「ヒューゴ殿。うちの娘を脅さないでくれませんか?」
「脅しじゃありませんよ、本気です。チュッ」
ヒューゴ様は私の頭に唇をつけた。
「あと、私の前でイチャつくのは止めてくれませんか」
「え?この程度で? チュッ」
「もう、ヒューゴ様。お父様を揶揄わないでください」
「俺はクリスティーナが大好きなんだから仕方ないじゃないか。
そうですよね?お義母様」
「クリスティーナ。今のうちに楽しみなさい。そのうちそんなこともしなくなるわ」
「……」
「お義母様。俺をその辺の男と一緒にしないでください。10年後はもっとイチャイチャしてみせます」
「まあ、楽しみにしているわね」
「公認だぞ ティナ」
お父様とお母様が領地からタウンハウスに来た。ジオ公爵夫妻にしっかりとお礼をして私を引き取った。だけどヒューゴ様がセルヴィー邸に居着いている。
「ヘインズ伯爵家からお花が届きました」
メイドが花束を持って見せに来た。
「飾っておいてちょうだい」
「かしこまりました」
メッセージカードには“早くゲガが治るよう祈っている。シャルル”と書いてあった。
事件の後、仕方なくヘインズ伯爵とだけは面会した。まだ包帯を巻いていて、傷辺りが広範囲で内出血しているからシャルル様には会いたくなかったので、伯爵だけにしてもらった。
そこで伯爵からの謝罪と、シャルル様と私との間の出来事について婚約時に遡って聞かせて欲しいと懇願なさるので包み隠さず話した。
シャルル様からの婚約の条件や交流やパーティでのこと、学園内のことも話した。
伯爵の顔は険しくなった。
お父様は白紙に戻そうと言ったけどヘインズ伯爵はもう一度機会が欲しいと頭を下げてくださった。
元々この婚約はセルヴィー家からの申し入れ。シャルル様は不服ながらも政略結婚として受け入れてくれた。今回、彼の恋人の一人が暴走したわけだけど、彼もこんなことは望んでいなかったはず。それに…昔ほどではないにしろ私はシャルル様に想いを寄せている。白紙といっても戻らないご縁になるはず。私にはまだその決断ができない。
ヒューゴ様の気持ちに甘えながらこんなこと、不誠実なのは分かっている。
だけどヘインズ伯爵と会う前にヒューゴ様に“ヘインズと婚約を続けたいのならそう答えればいい。だが俺が君の恋人だということは変わらない。ヘインズの条件を維持したまま継続するといい”と言われた。
だから“シャルル様には今まで通りでお願いします。ですがシャルル様の恋人達が矛先を私に向けることはお断りします。どうぞ上手くやってください。但し、婚前に子供を作ったら破棄します”と返事をした。
お父様は不満だったのか、セルヴィー家からも条件を新たに出した。
『ヘインズ伯爵。自分の婚約者もしくは妻を守るのは義務です。シャルル殿自身がクリスティーナもしくは2人の婚約について第三者への印象を少しでも良いものに変える努力をすべきです。
何故シャルル殿が女遊びをしている代償を婚約者のクリスティーナが払わなくてはならないのか。その要因は シャルル殿がクリスティーナをそのように扱ってもいいと女達に思わせているからです。
だからクリスティーナは嫌がらせを受け続け、こうやって額に残る傷を負わされたのです。関係のあったシャルル殿は針傷一つ負ってはいないじゃないですか』
『申し訳ありません』
『謝ってもらっても額の傷跡は消えませんよ。
私は言いましたよね?娘がシャルル殿を慕っているようですと。その娘に恋人を容認しろ?愛人を容認しろ?愛人との子を容認しろ?正妻として扱ってやるから、愛人と子を屋敷に迎え入れることを容認しろ?パーティでは他の女と消えて、学園では距離をとらせ、一度も学食に誘われたことがないだなんて…。
今更誘わなくて結構ですが、娘の心をずっと傷付け続けていたことをご子息に認識させてください。
次にシャルル殿がクリスティーナを傷付けたり、他人がクリスティーナを傷付ける原因をシャルル殿が作ったら婚約を破棄します。当然、婚約に起因する全てのものは白紙です。クリスティーナが続けたいと懇願しても私は認めません。ご理解いただけましたか?』
『申し訳ございません。教育します』
メイドが届いた花を花瓶にさし、机の上に置いた。
花を見つめながら、面会のときのヘインズ伯爵を思い出していた。
この怪我が別の要因で負った怪我ならシャルル様は花束なんか私に贈らなかっただろう。
「お気遣いなくとお礼の手紙を代筆してくれる?」
「かしこまりました」
それでも数日に1度花束が届いた。
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