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元持ち主の遺産
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一階の机をどかすと収納扉が現れた…といっても目が悪いと分からないくらい板の切れ目がわからない。
開けてみるとズラリと金塊が並んでいた。
麻袋には金貨が詰まっていそうだ。
私
「ユーグ様の善意が金塊になって返って来ましたね」
ユーグ
「え?」
私
「土地も家も所有者はユーグ様ですし」
ユーグ
「だが発見者はクリスティーナ様だよ」
私
「確かに遺言書の隠し場所を見つけましたけど、私1人でしたらそのまま本を戻しましたわ」
手を入れる勇気は無いもの。
父
「息子が開けてくれると思ったら、他人だなんて…不憫だ」
ヒューゴ
「あ、この金塊を隠した人はもっと前に生きていた人かもしれません」
ユーグ
「確かに、会った方はアレクでもロミオでもありませんでした」
父
「これを遺したのは担保にした方ではなくて、祖父とか?もしくは隠居後の住処として購入したものなら… お金を貸した方のファーストネームは覚えていますか?」
ユーグ
「ダニエルという名でした」
父
「なら、この金塊は子爵の物ですね」
ユーグ
「ですが、見つけたのは…」
父
「クリスティーナは個人財産がかなりありますから大丈夫ですよ。これからもこの子は稼ぎますから」
私
「そうですよ」
こんな商売人みたいなことを言うと 普通の貴族は嫌がるのよね。
ユーグ
「では、お言葉に甘えて。
サブマ草に関しては精一杯協力させてください」
父
「ありがとうございます、メルト子爵」
解決した後は お風呂に入ってもらった。
夕食の後、みんなはそのまま盛り上がっているので先に休むことにした。
翌日、ヒューゴ様の腕を見るとかなり綺麗になっていた。
つまりあのトゲトゲ草はサブマ草で間違いないということだ。
ここで葛藤が出てしまった。
怪我の治りが良いのなら医療用として世に出す方がいいのではという善の心と、美容品として高く売りたいという欲が対立していた。
「クリスティーナ」
ヒューゴ様が私の顔を覗き込んだ。
「あ、はい」
「ちょっとおいで」
ヒューゴ様は私の手を引いて廊下を歩き階段を登って屋上に出た。
「何を悩んでいるんだ?」
私の腰に腕を回し引き寄せ、私を見つめながら尋ねた。
「サブマ草を美容にではなく医療に使うべきではないかと」
「いいや、美容に使うべきだな」
「え?」
「医療用にしてしまえば サブマ草を公表することになるだろう。王宮関係者と医療関係者は確実にな。
それでは秘密は守られない。
この土地ごとサブマ草を狙う物達がメルト子爵を狙うだろう。草を盗みに侵入するかもしれない。
疾患を抱える貴族が何をするか分からないぞ。
それにサブマ草は数が少ない。ただでさえ この狭い土地の数割にしか自生していないし、何割かは増やすために残さなくてはならないからな。
医療用にしてしまえば奪い合いだ。必要以上に値を上げれば金持ちだけが独占し、不満の矛先はセルヴィー家に向くだろう。平等な供給なんか出来ないんだ。
だったら美容品に使う方がいい。
混ぜる量は微量にして、いつもよりちょっと綺麗になったかもしれない程度に効果を抑える方がいい。
サブマ草の効果が切れても 元々の成分が生きているなら捨てずに使えるし。
これは混乱を避け、平民も貴族も王族も守るためだ。絶対に医療用には使うな。
どうしても決め切れないなら全て燃やしてやる」
「ヒューゴ様」
「ティナの家族が、メルト子爵が …君自身が危険になる。
メルト子爵が殺されたら後悔しないか?
ゼオロエン嬢が人質にとられてサブマ草を要求されたら後悔しないか?
ティナが傷付くくらいならこの土地をサブマ草ごと焼き払ってやる」
「……」
「サブマ草は子爵だけの手に負えない。
セルヴィー家やジオ家が主体になった方がいい。草の活用や研究はセルヴィー家で、警備はジオ家で担当しよう。
子爵には賃貸料として一定額を毎年払えば良いだろう。買い取ってもいい。土地のことは子爵とよく話し合って決めよう」
ヒューゴ様に抱き付いて、彼の胸に頬と耳を当てた。ヒューゴ様の心音が心地よい。
「ヒュー」
「どうした?」
「もう少し強く抱きしめて」
「クリスティーナ」
ロック卿が呼びに来るまで抱きしめあっていた。
開けてみるとズラリと金塊が並んでいた。
麻袋には金貨が詰まっていそうだ。
私
「ユーグ様の善意が金塊になって返って来ましたね」
ユーグ
「え?」
私
「土地も家も所有者はユーグ様ですし」
ユーグ
「だが発見者はクリスティーナ様だよ」
私
「確かに遺言書の隠し場所を見つけましたけど、私1人でしたらそのまま本を戻しましたわ」
手を入れる勇気は無いもの。
父
「息子が開けてくれると思ったら、他人だなんて…不憫だ」
ヒューゴ
「あ、この金塊を隠した人はもっと前に生きていた人かもしれません」
ユーグ
「確かに、会った方はアレクでもロミオでもありませんでした」
父
「これを遺したのは担保にした方ではなくて、祖父とか?もしくは隠居後の住処として購入したものなら… お金を貸した方のファーストネームは覚えていますか?」
ユーグ
「ダニエルという名でした」
父
「なら、この金塊は子爵の物ですね」
ユーグ
「ですが、見つけたのは…」
父
「クリスティーナは個人財産がかなりありますから大丈夫ですよ。これからもこの子は稼ぎますから」
私
「そうですよ」
こんな商売人みたいなことを言うと 普通の貴族は嫌がるのよね。
ユーグ
「では、お言葉に甘えて。
サブマ草に関しては精一杯協力させてください」
父
「ありがとうございます、メルト子爵」
解決した後は お風呂に入ってもらった。
夕食の後、みんなはそのまま盛り上がっているので先に休むことにした。
翌日、ヒューゴ様の腕を見るとかなり綺麗になっていた。
つまりあのトゲトゲ草はサブマ草で間違いないということだ。
ここで葛藤が出てしまった。
怪我の治りが良いのなら医療用として世に出す方がいいのではという善の心と、美容品として高く売りたいという欲が対立していた。
「クリスティーナ」
ヒューゴ様が私の顔を覗き込んだ。
「あ、はい」
「ちょっとおいで」
ヒューゴ様は私の手を引いて廊下を歩き階段を登って屋上に出た。
「何を悩んでいるんだ?」
私の腰に腕を回し引き寄せ、私を見つめながら尋ねた。
「サブマ草を美容にではなく医療に使うべきではないかと」
「いいや、美容に使うべきだな」
「え?」
「医療用にしてしまえば サブマ草を公表することになるだろう。王宮関係者と医療関係者は確実にな。
それでは秘密は守られない。
この土地ごとサブマ草を狙う物達がメルト子爵を狙うだろう。草を盗みに侵入するかもしれない。
疾患を抱える貴族が何をするか分からないぞ。
それにサブマ草は数が少ない。ただでさえ この狭い土地の数割にしか自生していないし、何割かは増やすために残さなくてはならないからな。
医療用にしてしまえば奪い合いだ。必要以上に値を上げれば金持ちだけが独占し、不満の矛先はセルヴィー家に向くだろう。平等な供給なんか出来ないんだ。
だったら美容品に使う方がいい。
混ぜる量は微量にして、いつもよりちょっと綺麗になったかもしれない程度に効果を抑える方がいい。
サブマ草の効果が切れても 元々の成分が生きているなら捨てずに使えるし。
これは混乱を避け、平民も貴族も王族も守るためだ。絶対に医療用には使うな。
どうしても決め切れないなら全て燃やしてやる」
「ヒューゴ様」
「ティナの家族が、メルト子爵が …君自身が危険になる。
メルト子爵が殺されたら後悔しないか?
ゼオロエン嬢が人質にとられてサブマ草を要求されたら後悔しないか?
ティナが傷付くくらいならこの土地をサブマ草ごと焼き払ってやる」
「……」
「サブマ草は子爵だけの手に負えない。
セルヴィー家やジオ家が主体になった方がいい。草の活用や研究はセルヴィー家で、警備はジオ家で担当しよう。
子爵には賃貸料として一定額を毎年払えば良いだろう。買い取ってもいい。土地のことは子爵とよく話し合って決めよう」
ヒューゴ様に抱き付いて、彼の胸に頬と耳を当てた。ヒューゴ様の心音が心地よい。
「ヒュー」
「どうした?」
「もう少し強く抱きしめて」
「クリスティーナ」
ロック卿が呼びに来るまで抱きしめあっていた。
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