笑顔で冷遇する婚約者に疲れてしまいました

ユユ

文字の大きさ
111 / 215

今日は別々で

しおりを挟む
ウィロウ家の馬車に乗りハングベリー侯爵邸に向かった。

「当主のレナード・ハングベリー、パメラ夫人。息子のアフレック、娘のジュリエット。もう1人の娘カリナ様はお嫁にいってご懐妊なさったから来ない気がするわ」

「そのジュリエット様は少し問題ありそうなのよね?どうしてエルザが出席することが許されたの?」

第二王子殿下の婚約者として出席が許されたパーティと夜会しかリストに載っていないはず。

「第三王子ユーリス殿下の婚約者を検討しているからよ。ハングベリー家はそこそこ力のある家門だから普通なら候補に残すのよ。リストに載ったのはを見るためね」

「反応?」

「……」

「やだ、エルザ。もしかしてその反応相手がティナなのね!?」

「う、うん」

「酷いじゃない!」

「ごめん」

「いいのよ。大したことはないわ。慣れてるもの」

「だけど!」

「どうせエルザとジネットが側にいてくれるのだから大したことはできないはずよ」

「ごめんなさい」

「そもそもエルザが決めたことじゃないもの。王家のご意向よ。いつもお世話になってるから少しくらい平気よ。それに未来の第三王子妃を篩にかけることができるなんて光栄じゃない」

「ありがとう、ティナ」

ジネットに責められて涙目のエルザが可哀想だった。餌に選ばれる私が悪いのに。

「いいのよ」

「ジュリエット嬢は格上からのお呼ばれや王家主催のお茶会では猫被っているのよ」

「誤解で、本当は良い子かもしれないわね」

「今回は自分の屋敷だから油断すると思うのよ」

「う~ん、だとしたらエルザが私の近くに居たら猫は脱がないかもしれないわ」

「確かに。未来の義姉かもしれないエルザがいたらもう一枚猫を被るわね」

「ジネット、エルザの側にいてあげて。適当に離れるから」

「でも…」

「離れてるだけで会場にはいるのだから大丈夫よ。せいぜい飲み物をかけるか足を引っ掛けるくらいで刃物沙汰ではないでしょ?」

「ティナ」


こうして、私は主催者のハングベリー侯爵夫妻に挨拶をした後はエルザとジネットから離れて会場の中へ進んだ。

遠くにヒューゴ様とモルゾン公子の姿が見える。
来るとは知っていたけど。見つからないようにしないと餌にならないわ。

早々と飲み物を取って人影に隠れてジュリエット嬢を探す。可愛い子を探せばいいのよね?

あ、動かないで。ヒューゴ様から見えちゃう!

「……セルヴィー嬢、何をやっているんだ?」

少し身を屈めて人の後ろに隠れていたのに、その人が振り向いて話しかけてきた。

「え?…あ、え?」

「セルヴィー嬢だよね。挨拶をしたことがあるはずなんだけど覚えていない?」

あ、夫人に似てる。

「ハングベリー侯爵令息のことは覚えていますわ」

「挨拶したというのは嘘だけど」

「……」

なんて意地悪なの!

「失礼しました。よく似たご尊顔にご挨拶をしたみたいです」

令息はニタッと笑みを浮かべた。

「そのご尊顔の持ち主は、ハングベリーを名乗ったのか。それは重罪だな」

「よく似たご尊顔とは先程ご挨拶をした侯爵夫人のことです。失礼いたしました」

丁寧に詫びると令息は満足そうだった。

「で、何してるんだ?」

「目立ちたくなくてお背中をお借りしておりました」

「私を無断で壁にしていたと?」

「まさかそんなことは…」

じっと見下ろされたので言葉を飲み込んで白状した。

「ございました」

「で、無断使用の理由は?」

「隠れていたのは本当です」

「よし、私は1番目に婚約者と踊るから2番目に君と踊ることにしよう」

「え?どうしてですか?」

「使用料だよ。隠れてていいよ」

そう言って令息は背を向けて、歓談の続きをした。

「アフレック様、後ろのレディは?」

「気にしないでください。人見知りが激しくて隠れているだけですから」

はぁ…どんな顔か聞いておけばよかった。この令息に似ているのかしら。

「アフレック様」

「サリー」

「ご招待いただきありがとうございます」

「来年の今頃はハングベリー夫人だから、今日は招待客として自由に過ごしてくれ。君の友人も来てるだろう?」

「ですが、」

「サリー」

「…ではお言葉に甘えて失礼します」

え?今婚約者に威圧した!?







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「君は地味な裏方だ」と愛人を優遇するサイコパス気質の夫。〜私が去った後、商会の技術が全て私の手によるものだと気づいても、もう手遅れです〜

水上
恋愛
「君は地味だから裏方に徹しろ」 効率主義のサイコパス気質な夫は、妻であるクララの磨いた硝子を愛人の手柄にし、クララを工房に幽閉した。 彼女は感情を捨て、機械のように振る舞う。 だが、クララの成果を奪い取り、夫が愛人を壇上に上げた夜、クララの心は完全に凍りついた。 彼に残した書き置きは一通のみ。 クララが去った後、商会の製品はただの石ころに戻り、夫の計算は音を立てて狂い始める。 これは、深い絶望と、遅すぎた後悔の物語。

一年だけの夫婦でも私は幸せでした。

クロユキ
恋愛
騎士のブライドと結婚をしたフローズンは夫がまだ婚約者だった姉を今でも想っている事を知っていた。 フローズンとブライドは政略結婚で結婚式当日にブライドの婚約者だった姉が姿を消してしまった。 フローズンは姉が戻るまでの一年の夫婦の生活が始まった。 更新が不定期です。誤字脱字がありますが宜しくお願いします。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

「最高の縁談なのでしょう?なら、かわってあげたら喜んでくれますよね!」

みっちぇる。
恋愛
侯爵令嬢のリコリスは20歳。立派な嫁きおくれである。 というのも、義母がなかなかデビューさせてくれないのだ。 なにか意図を感じつつも、周りは義母の味方ばかり。 そん中、急にデビュタントの許可と婚約を告げられる。 何か裏がある―― 相手の家がどういうものかを知り、何とかしようとするリコリス。 でも、非力なリコリスには何も手段がない。 しかし、そんな彼女にも救いの手が……?

結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました

ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。 ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。 王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。 そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。 「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。 その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。 そこで待っていたのは、最悪の出来事―― けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。 夫は愛人と共に好きに生きればいい。 今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。 でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。 妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。 過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

処理中です...