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【 アフレック・ハングベリーの視点 】
ジュリエットが長期休み明けの学園に登校し出して数日後、母がとんでもない話を仕入れていた。
ジュリエットがいない平日の昼食後にその話題に触れた。
『どうやらシャルル・ヘインズはビクセン伯爵令嬢を妊娠させたかもしれないらしいわ』
はあ!?
『ビクセン?貴族ギリギリのあのビクセン家か』
父も驚いていた。まあ、分かる。特待生で通っていて容姿も恵まれていない。見かけたときに苦労するだろうなと思っていた。身分が高いか金持ちか美人か、どれか1つ当てはまれば嫁の貰い手かあるだろうが寧ろ実家のビクセン家から援助の要求がありそうだから嫌煙されるだろうと思った。ビクセン嬢がやるべきことは首席で卒業して良い就職先を探すことだけ。なのにこんな問題を起こしたら退学もあり得る。馬鹿なのか?
『しかもアルゼン子爵家に下宿中なのよ。夫人の顔に泥を塗ってしまう行為なのに』
『アルゼン子爵夫人は慈善活動に熱心な方で特待生の受け入れ先として手を挙げていたな』
『それも教室でたくさんクラスメイトがいる中で、セルヴィー嬢に告げて婚約を辞退しろと迫ったらしいのよ』
ビクセン家は終わったな。セルヴィー嬢はどうするつもりだろう。
『セルヴィー嬢が婚約をやめたらどうなるのかしら。惜しいわ』
『アフレックは既にミゼラン家のサリーと婚約しているからな。どうにもならないよ』
『父上、私の婚約のときにセルヴィー家は検討しなかったのですか?』
『最初からセルヴィー伯爵は娘を政略結婚させる気はないと表明していたんだ。だから縁の無いうちは申し込むことができなかった。セルヴィー嬢は領地で育てられていたからおまえと接点を持たせてやれなかったんだ。まあ、縁のある相手でも全て断っていたようだから、うちも断られただろうけどな。
セルヴィーが十年前くらいから目覚ましく成功しているのはセルヴィー嬢が発案をしているからという定かではない噂がある。だが、王都の店を任されているようだから、全くのデマというわけではなさそうだ。
ヘインズ伯爵家は自分達がいかに幸運なのかまるで分かっていない』
『せめてジュリエットが友人になってくれたらいいのだけど、あの子の性格では不安だわ』
『とにかく、うちのパーティに来たらしっかりともてなすように』
当日、ウィロウ嬢とゼオロエン嬢と一緒にセルヴィー嬢が現れた。以前見かけたときの少し儚げな雰囲気は感じられず、生き生きとして見えた。
彼女は2人と別れて誰かを探すように会場を見回した。
恋人と言われているヒューゴ・ジオを探しているのかと思いきや彼から見えないように隠れた。それも私の背に。
彼に見つかりたくない?別れたのか?
彼女の腕を掴むと振り解こうと抵抗していたが、彼女の力はとても弱くて可愛かった。だけど彼女は自ら近寄り、油断をしていた私の耳に強めに息を吹きかけた。
パッと手を離してしまうと逃げていった。
こうなったら男の本能に従うまで。捕まえて彼女と…
捕まえて持ち上げた。
腰の細さ、体の軽さ、髪がサラッと私の唇を撫でほのかな甘い香りが鼻腔を支配する。
公子と別れたなら次は私でいいだろう?
彼女を個室に連れて行こうとすると聞こえてきたのは…
『クリスティーナ』
『ヒュー』
彼女を引き留め縛りつけるような公子の声と、甘えるように公子を愛称で呼ぶ彼女の声だった。
別れたわけでもないし、公子が愛称で呼ばせるほど彼女を愛している。恋人というのは間違いなかった。もしかしたら公子が女避けに彼女と契約でもしたのかと思っていた。
だってシャルル・ヘインズとヒューゴ・ジオではタイプが真逆だろう。
そこに妹ジュリエットが来たが、セルヴィー嬢に失言をしてしまった。
学生食堂では周りの令嬢からの誹謗中傷に無言を貫いていたのに、はっきりとジュリエットに言い返した。
王都内の化粧品店ではない絹織物のことについても把握しているようで他国の皇室に納めていていつ何に使われるのか明確に答えた。
ロラン皇太子殿下といえば無礼に対して慈悲が無いと噂のお方だ。そんなお方の妻となる公女のウエディングドレスを作るために購入した最上級の絹織物を、ジュリエットが成金が買うものだと言ってしまった。この国に居たって皇太子殿下の前であれば舌を切り取られただろうし、彼の国での失言ならば舌だけでは済まなかっただろう。彼女はそのことも知っているのだ。
父や母がセルヴィーとの縁談を望んでいたのがよく分かる。自分の家門の事業に携わり誇りを持ち、その誇りを貶める者には凛と立ち向かう。特に領地を持つ家門にとって彼女は素晴らしい嫁だ。それにジオ家とモルゾン家という揺るぎない大貴族を中心に次期第二王子妃を輩出するウィロウ家や未来のモルゾン公爵夫人を輩出するゼオロエン家や他の侯爵家までセルヴィー嬢を懇意にしている。
その反面、公子に見せた甘えて身を任せる仕草に男心をくすぐられる。学園内の雰囲気なんか無視してセルヴィー嬢にアプローチをすれば良かった。ジオ公子と付き合う前ならチャンスはあったのに。
翌日、事の次第を両親に報告した。
ジュリエットは叱責され、厳しい淑女教育の教師を雇う話になったが、既に遅かった。
ジュリエットが長期休み明けの学園に登校し出して数日後、母がとんでもない話を仕入れていた。
ジュリエットがいない平日の昼食後にその話題に触れた。
『どうやらシャルル・ヘインズはビクセン伯爵令嬢を妊娠させたかもしれないらしいわ』
はあ!?
『ビクセン?貴族ギリギリのあのビクセン家か』
父も驚いていた。まあ、分かる。特待生で通っていて容姿も恵まれていない。見かけたときに苦労するだろうなと思っていた。身分が高いか金持ちか美人か、どれか1つ当てはまれば嫁の貰い手かあるだろうが寧ろ実家のビクセン家から援助の要求がありそうだから嫌煙されるだろうと思った。ビクセン嬢がやるべきことは首席で卒業して良い就職先を探すことだけ。なのにこんな問題を起こしたら退学もあり得る。馬鹿なのか?
『しかもアルゼン子爵家に下宿中なのよ。夫人の顔に泥を塗ってしまう行為なのに』
『アルゼン子爵夫人は慈善活動に熱心な方で特待生の受け入れ先として手を挙げていたな』
『それも教室でたくさんクラスメイトがいる中で、セルヴィー嬢に告げて婚約を辞退しろと迫ったらしいのよ』
ビクセン家は終わったな。セルヴィー嬢はどうするつもりだろう。
『セルヴィー嬢が婚約をやめたらどうなるのかしら。惜しいわ』
『アフレックは既にミゼラン家のサリーと婚約しているからな。どうにもならないよ』
『父上、私の婚約のときにセルヴィー家は検討しなかったのですか?』
『最初からセルヴィー伯爵は娘を政略結婚させる気はないと表明していたんだ。だから縁の無いうちは申し込むことができなかった。セルヴィー嬢は領地で育てられていたからおまえと接点を持たせてやれなかったんだ。まあ、縁のある相手でも全て断っていたようだから、うちも断られただろうけどな。
セルヴィーが十年前くらいから目覚ましく成功しているのはセルヴィー嬢が発案をしているからという定かではない噂がある。だが、王都の店を任されているようだから、全くのデマというわけではなさそうだ。
ヘインズ伯爵家は自分達がいかに幸運なのかまるで分かっていない』
『せめてジュリエットが友人になってくれたらいいのだけど、あの子の性格では不安だわ』
『とにかく、うちのパーティに来たらしっかりともてなすように』
当日、ウィロウ嬢とゼオロエン嬢と一緒にセルヴィー嬢が現れた。以前見かけたときの少し儚げな雰囲気は感じられず、生き生きとして見えた。
彼女は2人と別れて誰かを探すように会場を見回した。
恋人と言われているヒューゴ・ジオを探しているのかと思いきや彼から見えないように隠れた。それも私の背に。
彼に見つかりたくない?別れたのか?
彼女の腕を掴むと振り解こうと抵抗していたが、彼女の力はとても弱くて可愛かった。だけど彼女は自ら近寄り、油断をしていた私の耳に強めに息を吹きかけた。
パッと手を離してしまうと逃げていった。
こうなったら男の本能に従うまで。捕まえて彼女と…
捕まえて持ち上げた。
腰の細さ、体の軽さ、髪がサラッと私の唇を撫でほのかな甘い香りが鼻腔を支配する。
公子と別れたなら次は私でいいだろう?
彼女を個室に連れて行こうとすると聞こえてきたのは…
『クリスティーナ』
『ヒュー』
彼女を引き留め縛りつけるような公子の声と、甘えるように公子を愛称で呼ぶ彼女の声だった。
別れたわけでもないし、公子が愛称で呼ばせるほど彼女を愛している。恋人というのは間違いなかった。もしかしたら公子が女避けに彼女と契約でもしたのかと思っていた。
だってシャルル・ヘインズとヒューゴ・ジオではタイプが真逆だろう。
そこに妹ジュリエットが来たが、セルヴィー嬢に失言をしてしまった。
学生食堂では周りの令嬢からの誹謗中傷に無言を貫いていたのに、はっきりとジュリエットに言い返した。
王都内の化粧品店ではない絹織物のことについても把握しているようで他国の皇室に納めていていつ何に使われるのか明確に答えた。
ロラン皇太子殿下といえば無礼に対して慈悲が無いと噂のお方だ。そんなお方の妻となる公女のウエディングドレスを作るために購入した最上級の絹織物を、ジュリエットが成金が買うものだと言ってしまった。この国に居たって皇太子殿下の前であれば舌を切り取られただろうし、彼の国での失言ならば舌だけでは済まなかっただろう。彼女はそのことも知っているのだ。
父や母がセルヴィーとの縁談を望んでいたのがよく分かる。自分の家門の事業に携わり誇りを持ち、その誇りを貶める者には凛と立ち向かう。特に領地を持つ家門にとって彼女は素晴らしい嫁だ。それにジオ家とモルゾン家という揺るぎない大貴族を中心に次期第二王子妃を輩出するウィロウ家や未来のモルゾン公爵夫人を輩出するゼオロエン家や他の侯爵家までセルヴィー嬢を懇意にしている。
その反面、公子に見せた甘えて身を任せる仕草に男心をくすぐられる。学園内の雰囲気なんか無視してセルヴィー嬢にアプローチをすれば良かった。ジオ公子と付き合う前ならチャンスはあったのに。
翌日、事の次第を両親に報告した。
ジュリエットは叱責され、厳しい淑女教育の教師を雇う話になったが、既に遅かった。
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