笑顔で冷遇する婚約者に疲れてしまいました

ユユ

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挽回したい令息

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【  アフレックの視点 】

今日はゼオロエン邸で、侯爵夫人だけ招待した茶会がある。招待していない家門もあるが、それはいつものことだ。

「ブローチはこっちになさい」

「母上、私は彼女の婚約者でもないのに彼女の色の宝石を選んでどうするのですか。それに自然な接触をしようとしているのにバレてしまいますよ」

「そうね」

今日の茶会に急遽セルヴィー嬢が出席すると母に教えてくれた夫人仲間がいた。
だから私も母を送ってきたということにして偶然を装うつもりだ。謝罪をして許してもらえたらそのまま残って挽回しようと思っていた。


会場にはゼオロエン夫人に挨拶をしているセルヴィー嬢がいた。母にセルヴィー嬢の後ろから夫人に声を掛けて、振り返ったセルヴィー嬢を見て驚くフリをしてくださいと小声で伝えた。
無事に許してもらい私の席も用意してもらえた。
やはり彼女がいるからあの話題が出てしまう。夫人方は慰めたり元気付けようとしたりしたかったのだと思う。ビクセン嬢の名前よりジオ公子の名に反応し表情を曇らせた。

最近何かあったのだと悟った。だから花を見に誘い他の話題で気分を変えさせた。
きっと察したのだろう。私に向けて嬉しそうに微笑んだ。
心当たりはある。のことだろう。王宮に滞在したのは1日半でその後はジオ邸に滞在しているとサリーから聞いた。サリーは王太子妃の侍女をしている。聞いた容姿からすらると、クリスティーナ様とは違うタイプの美女らしい。

「本当だ。食用キノコと毒キノコがそっくりだ」

「ベテランでも間違えることがあると聞きましたわ」

別のテーブルを用意してもらい、私とクリスティーナ様とジネット嬢で植物図鑑を見ていた。
これは厨房にあるもので、似た有毒植物や有毒魚介類、部位によっては毒とか、摂取の仕方によっては毒とか、食べ合わせが悪いとか書いてあるものを借りてみていた。

「よくわかったよ。全てを捨てて世界を旅するのは無理だ。このキノコで死んじゃうよ」

「この本、読む人が悪意を持っていると毒殺の指南書みたいですね」

「確かに」

さらりととんでもないことを言い出したクリスティーナ様は“ワライダケ…1週間笑わせたいわ”と呟いた。
もしかしたら彼女は事情を知らなくて公子の浮気を疑っているのだろう。ワライダケを食べさせたい相手は公子だな。

「ジネットはアフレック様と交流があるの?」

「小さい頃、ハングベリー夫人がアフレック様を連れてきていたから。エルザも一緒だったわ」

「ハングベリー嬢も?」

「彼女は来なかったわね」

「ジュリエットはちょっと人前に出すには早いから留守番させていたんだ。未だに早いと言われているけどね」

「楽しそう」

「ティナだって領地で幼馴染と遊んでいたでしょう?」

「たまによ。王都内の屋敷同士の距離じゃないもの」

「セルヴィー領に行ってみたいな」

「酷い。確かに自然豊かですけど外国扱いですか?」

「違うよっ」

「ふふっ 冗談です」

「クリスティーナ様は意地悪だなぁ。
あ、この木の根で不能になるのだな」

「なっ!」

「…飲めばいいのに」

「ん?」

不能になると聞いてジネット嬢は顔を赤くして狼狽えた一方でクリスティーナ様は真顔で“飲めばいいのに”と呟いた。やっぱり客人とジオ公子が浮気していると思っているのだな。
公子も馬鹿だな。ちゃんと説明すべきだ。こんなに隙を作るなんて…。

「みんな飲めばいいのに」

「ティナ?」

いや、これは男不信だ。そうだよなぁ。婚約者は女を侍らして価値のない女を妊娠させたらしいし、自分のことを口説いていた公子が客人と浮気していると思ったら信じられなくなるよなぁ。

「クリスティーナ様の兄君はどんな人ですか?」

「真面目で仕事熱心で妹の私の心配をしてくれる素敵な兄様です」

「素敵な兄君だね」

「はい…世の中の男の人がみんな兄様みたいな人ならいいのに…」

「ティナ?どうしたの?」

「今日はお集まりいただきありがとうございました」

ジネット嬢がついにクリスティーナ様の憂いに触れようとしたが、ゼオロエン夫人が茶会の終わりを告げた。
母に合図を送ると、母は目眩を起こしたフリをした。
ゼオロエン夫人が部屋を用意してくれたので母を運んだ。

「パメラ様」

「実はあまり眠れなくて」

「まあ。宜しかったらこのままお休みになってください」

「ありがとうございます。アフレックもいさせていいかしら。手を借りたくて」

「もちろんですわ。隣のお部屋に案内しますわ」

良かった。母とは予め打ち合わせをしていて、ジネット嬢とクリスティーナ様はとても仲の良い友人だから泊まるかもしれないと予想をしていた。それが確実だと分かったら母に合図を送るという作戦だった。

「少し眠りたいから、アフレックは私の代わりにご令嬢方を楽しませてちょうだい」

「頑張ってみます」

「さあ、アフレック様、休ませて差し上げましょう」

パタン

部屋を案内された後は居間に連れてこられた。そこにはエルザ嬢も到着していた。



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