笑顔で冷遇する婚約者に疲れてしまいました

ユユ

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味方が欲しい王女

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【 隣国の第三妃の娘 リュシェルの視点 】

第二王子の婚約者が伯爵令嬢の親友と聞いて話を聞きに王宮へ行った。

王子は少しだけと言って時間を作ってくださった。

「セルヴィー嬢?」

「ヒューゴ様の恋人だと聞いて心配になりまして。婚約者がいらっしゃる方だとか」

「心配と言っても、彼がセルヴィー嬢に付き纏っているのですよ?学園に押しかけて拉致したり屋敷に押しかけたり。仕方なく一歩一歩譲歩してきたのはセルヴィー嬢です」

「学園に!?」

「ええ。頻繁に。当然約束なんてしていません。セルヴィー嬢はずっと拒否していていたのだから約束などしませんでした。彼女が長期休暇に領地に帰るといえば一緒について行きましたからね。権力を持ったストーカーですよ。私の婚約者であるエルザもそれは心配していましたが、今ではセルヴィー嬢の婚約者よりマシだから彼女を悲しませない限りは見守ると言っていました」

「殿下はどうお考えですか?ジオ家の嫡男が婚約者持ちの令嬢と交際だなんて」

「最初は不安でしたがもう慣れました。彼はセルヴィー嬢のために動く男ですし、情熱的で分かりやすい。以前の彼より今の彼の方が好きですね」

「ですが、」

「リュシェル王女、私からはあなたの欲しい言葉は得られませんし何も変わりませんよ。寧ろそうなったらヒューゴ・ジオがあなたを無事に帰しません」

「私は従妹で王女ですのよ」

「景色を単色から豊かな色彩に変えたセルヴィー嬢と、数回会った程度の従妹では比較になりませんよ。ヒューゴ・ジオにとって王女か町娘かなんて関係ありません。相手に合わせて制裁する方法を変えるだけです。」

「まさかそんな。
殿下、私はただ、彼に相応しいとは思えないだけですわ」

「よく知りもしないのに?」

「令嬢の話は聞きましたわ。聞いたからこそですわ。とてもジオ家に相応しい方だとは思えません」

「困ったお方ですね。ちょっと小耳に挟んだ程度のわずかな情報を自身の悪意で染め上げて、相手を排除しようとするのがあなたの国の王族のあり方ですか?
私は王族の品位や矜持を忘れたくはありません。
生粋の王女であるあなたは当然持ち合わせているべきものですが自国に忘れてきましたか?国賓としてもてなした我が国に恥をかかせようと?」

「なにを、」

「今は侯爵家の令嬢である私の婚約者のエルザはセルヴィー嬢と絆を育みながら立派に成長をしました。セルヴィー嬢に末永くエルザと親友でいて欲しいと心から願っています。つまり私もセルヴィー嬢の味方です。周りを巻き込んで余計なことをしようと思わないで、堂々と告白でもして国に帰りなさい」

「っ!」

「では、失礼」

第二王子はさっさと退室してしまった。急かされるようにジオ邸に戻された。

落ち込むことはないわ。所詮第二王子だもの。


伯父様とヒューゴ様がお仕事から戻り、夕食を食べながらきっかけを探っていた。きっと私達の間に変化がないせいだわ。もっと食事や買い物だけじゃなくて何か変化を…

「ヒューゴ様、パーティなどの出席の予定はありませんの?」

「何故です」

「一緒に行ってみたいのです」

「全てパートナーが決まっていますので同伴はできません」

「そうですか……そういえば歌劇があって人気だとか。ヒューゴ様、連れて行ってくださいませんか?」

「母と行ってください」

「ヒューゴ様は?」

「俺は仕事があります」

「でも、滅多に会えないのですから」

「それが俺である必要はないでしょう?滅多に会えないのは父や母に対しても同じでは?」

「っ!」

「許してね。ヒューゴは恋人がいるから誤解を招きたくないのよ」

「恋人は従兄妹が出かけることも許せないお方ですの?」

「王女殿下、従兄妹として滞在するのならジオ家の仕事の手を止めさせるようなことはしないはずです。王女として滞在なさるなら王宮へ移っていただければ相応しい対応が受けられますよ?」

「…分かりました、諦めます」

「国王陛下への土産を買いに行くときはお付き合いします」

「ありがとうございます」

全く隙がない。あの子より私の方がヒューゴ様に相応しいのに。


買い物の日、ヒューゴ様の案内でペンを見にきた。購入して店の外に出ると、護衛に私を任せて走って行ってしまった。
彼は貴族男性らしき人を引き倒して剣を向けた。そこに女性が飛び込んだ。

悲鳴と叫びが聞こえジオ家の護衛が集まった。

「クリスティーナ!」

ヒューゴ様の動揺が伝わってきた。
剣の前に飛び込んだのは彼の恋人だった。


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