132 / 215
お父様という盾
しおりを挟む
お父様とお母様は私が卒業するまで王都に留まることにしたらしい。
建国祭の翌日にうちに訪問しようとしたヒューゴ様にお父様はノーを突き付けた。
お父様は事情を把握していて私の気持ちも察しているみたい。
お母様は部屋に来て就寝前の私に話をしてくれた。
『私達はヒューゴ様もシャルル様もどうでもいいの。願うのは愛する娘の笑顔と幸せだけなの。学園に通わせるのも卒業させるのも正直二の次なの。あなたの婚姻のために卒業しておいた方が良いというだけだし。あの環境の学園に通わせ続けたのはエルザ様とジネット様の存在よ。そしてあなたがシャルル様を見つめていたから。
ティナがどれも要らないと言ったら留学させても良かったし通わせずに領地で守っても良かったの。他国の知り合いからは留学の誘いもいくつかあったのよ?
だからいつでも私達を頼ってちょうだい。私達の娘クリスティーナ・セルヴィーは自由でいいの。
愛してるわ』
嬉しかった。何を選ぼうとどう決断しようとお父様とお母様は私を愛してくれる。頼もしかった。
建国祭は1週間。その間は学園も特別休暇。存分に甘えることにした。私の心に愛を補充するかのように。
翌日。エルザとジネットと アフレックが遊びに来てくれた。
「なんなのあれ!あれはない!!あんな男は捨てちゃいなさい!!」
「エルザ?落ち着いて」
「あのクソ男!!よくも私のティナを!!」
「エルザ、気持ちは分かるけどさ、王子の婚約者なんだから汚い言葉はやめておこうか」
「それでも使いたくなるほど腹が立ってるんじゃない!」
「しかし公子も馬鹿だよな。例え喧嘩したとしてもあの場ではパートナーを演じ切るべきだった。自分が何をしたのか分かってないんだろうな」
「本当に馬鹿迷惑よ!」
「いいのよ。これが彼のしたいことならそうすれば。幸いお父様が盾になってくださるし、卒業も近いし。卒業したら各地を転々としてもいいし」
「先ずはゼオロエン領よ。その後はモルゾン公爵領よ」
「うちにも来てよ。ハングベリー侯爵領はセルヴィーとは違う自然の魅力もあるし」
「王子妃教育がなければ…」
「父が今手掛けている仕事が落ち着いたら外国への旅に着いて行くのもいいなって」
「「外国!?」」
「心配だなぁ、それ」
「もっとね、自由に生きようと思う。せっかく両親がそれを許してくれるって言ってくれてるから甘えよと思って」
「一緒に行きた~い」
「外国旅行も王子妃になるための経験としてはいいわよね」
「いやいやいや…警護の問題が出るから不可能だよ。もう式の日程が立っているんじゃなかった?」
「え~」
「私は行けるわ」
「ジネットだってモルゾン公子との結婚式の日程が決まっていて花嫁修行があるだろう」
「でも」
「だって」
エルザとジネットが張り合いだしてしまった。 アフレックは中立を保ちながら現実的な言葉を投げかけている。
「2人とも、無駄な張り合いは止めようよ。それより休みの間は何する?」
「うちは両親と一緒にいる時間が少ないから、今のうちに甘えるつもり。だから引き篭もるわ。お店は商品の補充が整うまで閉店だし」
「じゃあ、セルヴィー邸をたまり場にするしかないよね」
「フリーパス券発行して」
「私も」
「クリスティーナ、発行は3人分だけだにしてくれよ」
「どうかしら」
3人が帰った後、ユーグ様が到着した。
「久しぶりだね、クリスティーナ様」
「ユーグ様、お元気でしたか?」
「お陰様で。町へは遊びに行かないの?」
「今のところ予定はありません」
「予約限定品、無事届いたよ。ありがとう」
「良かったです」
「店は完売なんだね。昨日早めに行ったつもりだったんだけど閉まっていたよ」
「情報が回るのが早いみたいで。昨日は開店から売り子をしていたんですよ」
「クリスティーナ様が?」
「はい。私の顔を見て売り切れに関する苦情を言う方はあまりいませんでした。途中まで不満を言っていたのに、私の顔をよく見て気が付いたら途端に微笑んでお帰りになりましたので効果はありました」
「開店前から並べば良かった。そうしたら世界一可愛い売り子さんに会えたのに。破産しても通いたいなぁ」
「ユーグ様…うちの商品はメルト子爵家を滅ぼすほど高額ではありません」
「1日3回くらい行くかもしれないし」
「そのときは出入り禁止にさせていただきます」
「酷いなぁ」
そんな馬鹿なことを話し終えた後は例の話題に変わった。
「あのご令嬢、判定できなかったらしいね」
「まだ分からないとだけ聞きました。ですがご令嬢は学園で悪阻があって胎動を感じるといつも言っていましたから」
「令嬢の主張が演技かもしれないね」
「それがとても演技に見えないんです。自信に満ち溢れていて、お腹に話しかけているんですよ。食堂では妊婦が食べていいものか確認しているようですし、お腹も膨らんできていますし」
「それでもシャルルを選ぶ?」
「今は分かりません」
「クリスティーナ様には幸せな結婚をして欲しいと思っているよ。今日は味方だと伝えに来ただけだ。友人としてね」
「ありがとうございます」
ユーグ様はお父様達を交えて夕食を食べて帰った。
建国祭の翌日にうちに訪問しようとしたヒューゴ様にお父様はノーを突き付けた。
お父様は事情を把握していて私の気持ちも察しているみたい。
お母様は部屋に来て就寝前の私に話をしてくれた。
『私達はヒューゴ様もシャルル様もどうでもいいの。願うのは愛する娘の笑顔と幸せだけなの。学園に通わせるのも卒業させるのも正直二の次なの。あなたの婚姻のために卒業しておいた方が良いというだけだし。あの環境の学園に通わせ続けたのはエルザ様とジネット様の存在よ。そしてあなたがシャルル様を見つめていたから。
ティナがどれも要らないと言ったら留学させても良かったし通わせずに領地で守っても良かったの。他国の知り合いからは留学の誘いもいくつかあったのよ?
だからいつでも私達を頼ってちょうだい。私達の娘クリスティーナ・セルヴィーは自由でいいの。
愛してるわ』
嬉しかった。何を選ぼうとどう決断しようとお父様とお母様は私を愛してくれる。頼もしかった。
建国祭は1週間。その間は学園も特別休暇。存分に甘えることにした。私の心に愛を補充するかのように。
翌日。エルザとジネットと アフレックが遊びに来てくれた。
「なんなのあれ!あれはない!!あんな男は捨てちゃいなさい!!」
「エルザ?落ち着いて」
「あのクソ男!!よくも私のティナを!!」
「エルザ、気持ちは分かるけどさ、王子の婚約者なんだから汚い言葉はやめておこうか」
「それでも使いたくなるほど腹が立ってるんじゃない!」
「しかし公子も馬鹿だよな。例え喧嘩したとしてもあの場ではパートナーを演じ切るべきだった。自分が何をしたのか分かってないんだろうな」
「本当に馬鹿迷惑よ!」
「いいのよ。これが彼のしたいことならそうすれば。幸いお父様が盾になってくださるし、卒業も近いし。卒業したら各地を転々としてもいいし」
「先ずはゼオロエン領よ。その後はモルゾン公爵領よ」
「うちにも来てよ。ハングベリー侯爵領はセルヴィーとは違う自然の魅力もあるし」
「王子妃教育がなければ…」
「父が今手掛けている仕事が落ち着いたら外国への旅に着いて行くのもいいなって」
「「外国!?」」
「心配だなぁ、それ」
「もっとね、自由に生きようと思う。せっかく両親がそれを許してくれるって言ってくれてるから甘えよと思って」
「一緒に行きた~い」
「外国旅行も王子妃になるための経験としてはいいわよね」
「いやいやいや…警護の問題が出るから不可能だよ。もう式の日程が立っているんじゃなかった?」
「え~」
「私は行けるわ」
「ジネットだってモルゾン公子との結婚式の日程が決まっていて花嫁修行があるだろう」
「でも」
「だって」
エルザとジネットが張り合いだしてしまった。 アフレックは中立を保ちながら現実的な言葉を投げかけている。
「2人とも、無駄な張り合いは止めようよ。それより休みの間は何する?」
「うちは両親と一緒にいる時間が少ないから、今のうちに甘えるつもり。だから引き篭もるわ。お店は商品の補充が整うまで閉店だし」
「じゃあ、セルヴィー邸をたまり場にするしかないよね」
「フリーパス券発行して」
「私も」
「クリスティーナ、発行は3人分だけだにしてくれよ」
「どうかしら」
3人が帰った後、ユーグ様が到着した。
「久しぶりだね、クリスティーナ様」
「ユーグ様、お元気でしたか?」
「お陰様で。町へは遊びに行かないの?」
「今のところ予定はありません」
「予約限定品、無事届いたよ。ありがとう」
「良かったです」
「店は完売なんだね。昨日早めに行ったつもりだったんだけど閉まっていたよ」
「情報が回るのが早いみたいで。昨日は開店から売り子をしていたんですよ」
「クリスティーナ様が?」
「はい。私の顔を見て売り切れに関する苦情を言う方はあまりいませんでした。途中まで不満を言っていたのに、私の顔をよく見て気が付いたら途端に微笑んでお帰りになりましたので効果はありました」
「開店前から並べば良かった。そうしたら世界一可愛い売り子さんに会えたのに。破産しても通いたいなぁ」
「ユーグ様…うちの商品はメルト子爵家を滅ぼすほど高額ではありません」
「1日3回くらい行くかもしれないし」
「そのときは出入り禁止にさせていただきます」
「酷いなぁ」
そんな馬鹿なことを話し終えた後は例の話題に変わった。
「あのご令嬢、判定できなかったらしいね」
「まだ分からないとだけ聞きました。ですがご令嬢は学園で悪阻があって胎動を感じるといつも言っていましたから」
「令嬢の主張が演技かもしれないね」
「それがとても演技に見えないんです。自信に満ち溢れていて、お腹に話しかけているんですよ。食堂では妊婦が食べていいものか確認しているようですし、お腹も膨らんできていますし」
「それでもシャルルを選ぶ?」
「今は分かりません」
「クリスティーナ様には幸せな結婚をして欲しいと思っているよ。今日は味方だと伝えに来ただけだ。友人としてね」
「ありがとうございます」
ユーグ様はお父様達を交えて夕食を食べて帰った。
2,926
あなたにおすすめの小説
「君は地味な裏方だ」と愛人を優遇するサイコパス気質の夫。〜私が去った後、商会の技術が全て私の手によるものだと気づいても、もう手遅れです〜
水上
恋愛
「君は地味だから裏方に徹しろ」
効率主義のサイコパス気質な夫は、妻であるクララの磨いた硝子を愛人の手柄にし、クララを工房に幽閉した。
彼女は感情を捨て、機械のように振る舞う。
だが、クララの成果を奪い取り、夫が愛人を壇上に上げた夜、クララの心は完全に凍りついた。
彼に残した書き置きは一通のみ。
クララが去った後、商会の製品はただの石ころに戻り、夫の計算は音を立てて狂い始める。
これは、深い絶望と、遅すぎた後悔の物語。
一年だけの夫婦でも私は幸せでした。
クロユキ
恋愛
騎士のブライドと結婚をしたフローズンは夫がまだ婚約者だった姉を今でも想っている事を知っていた。
フローズンとブライドは政略結婚で結婚式当日にブライドの婚約者だった姉が姿を消してしまった。
フローズンは姉が戻るまでの一年の夫婦の生活が始まった。
更新が不定期です。誤字脱字がありますが宜しくお願いします。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
「最高の縁談なのでしょう?なら、かわってあげたら喜んでくれますよね!」
みっちぇる。
恋愛
侯爵令嬢のリコリスは20歳。立派な嫁きおくれである。
というのも、義母がなかなかデビューさせてくれないのだ。
なにか意図を感じつつも、周りは義母の味方ばかり。
そん中、急にデビュタントの許可と婚約を告げられる。
何か裏がある――
相手の家がどういうものかを知り、何とかしようとするリコリス。
でも、非力なリコリスには何も手段がない。
しかし、そんな彼女にも救いの手が……?
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
三年の想いは小瓶の中に
月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。
※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる