笑顔で冷遇する婚約者に疲れてしまいました

ユユ

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サリーの憂鬱

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【 サリー・フォステルトの視点 】

私達の婚約は既に決まっていた。

フォステルト家の子とハングベリー家の子を婚姻させて絆を強固にする。祖父同士の約束だった。祖父同士は学友だったけど派閥が違うため学園の外で交流できなかった。互いが当主になったときにやっと表立って交流を始めた。その頃には状況が変わっていて咎める家門はなかった。父達の代で約束を果たせれば良かったのだけど、フォステルト家は女男男ハングベリー家は結婚も少し遅かったが懐妊が遅く最初の男児が産まれたのはフォステルト家の長女が産まれて8年後だった。祖父達はハングベリー家の第二子に期待したけど産まれたのは次男だった。
結果、孫の代で約束を実行した。それが  アフレック様と私。  

赤ちゃんの頃から交流を持っていた。物心ついたときには アフレック様をお慕いしていた。だけど アフレック様は私に笑顔だけは向けれくれるけど、優しくするのは他の令嬢に対してだった。母は“きっと恥ずかしいのね”と私を慰めてくれたけど、そうじゃないと薄々勘付いていた。
アフレック様が勉強に打ち込むのも領地へ行ってしまうのも私を避けるためじゃないか。

『昨日あれからどうしたの?』

『もちろん素敵な夜になったわ』

『ちゃんと避妊しなさいよ。分かってると思うけどハングベリー家のご令息は本気になったら駄目よ』

『分かっているわよ。でもお顔もいいし満足させてくださるし。結婚するまでお付き合いしたいわ』

『あの方は恋人は作らないわ。先月はミュゼル様と過ごしていたわよ』

サーっと血の気が引いた。
お茶会に出席していてお花摘みから戻って来たらそんな話をしていた。

信じたくない。友人に相談したら友人のお姉様が話を聞かせてくれた。彼女は去年アフレック様と同じクラスだった。

『アフレック様?あぁ、確かに何人かのご令嬢と関係を持っていたわね。でも本気ではなかったはずよ。特定の方と長く関係を持たないようにしていたみたいだし、深入りもしていなさそうだったわ。よくある欲の解消よ。気にすることはないわ』

『お姉様、サリーは婚約者をお慕いしているの』

『婚約の経緯は?』

『両家の祖父の約束で、生まれる前から決まっていました。祖父の時代は派閥の問題で仲の良い学友でも学園の外では交流できなかったそうです』

『子孫の代で結びつこうって?だとしたら期待はしない方がいいわ』

『お姉様』

『仕方がないじゃない。もうアフレック様が行動に移してしまっているのだもの。サリーさん。あなたに甘い言葉を囁く?』

『…いいえ』

『よくデートに誘う?』

『…一度もありません』

『残念だけどアフレック様はサリーさんに気持ちはないわ。期待なんてしないことよ。できることはあなた自身が非を作らないこと。外での女遊びは容認することよ。鬱陶しくして他の令嬢に本気になられた方が嫌でしょう?
ご祖父様ねぇ…ハングベリー侯爵夫妻の考えも聞いておいた方がいいわ。お祖父様同士の約束なんてお祖父様達が床に伏したり天に召されたら簡単に覆るわよ?』

『え?』

『あくまでご祖父様2人の私的な繋がりを無理強いしている状態だもの。ご両親は不満かもしれないわ。他の政略結婚を結ぶことができたはずだもの。約束以外にハングベリー家とフォステルト家の結び付きが家門の利になる要素はあるの?』

『…分かりません』

『分からないなら知らされるような利は無いってことよ。出来るだけ隙を見せないようにするしかないわ。もしくはあなた自身が価値ある存在になるか』

『お姉様、そんな』

『例えばセルヴィー伯爵家のご令嬢ね。セルヴィーの更なる繁栄はご令嬢が鍵だと言われているわ。私達は卒業してしまったけど、ちょうどセルヴィー嬢は1年生よ。あのシャルル・ヘインズと婚約して大変な目に遭っているらしいわ。我慢しているようだけど、嫌気がさした彼女が婚約を解消すれば、山のように求婚されるでしょうね。令息達は今の婚約を解消してでも欲しい相手よね』

ハングベリー家は違う、アフレック様は違う、そう思っていた。
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