笑顔で冷遇する婚約者に疲れてしまいました

ユユ

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栽培

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セルヴィーとジオ家が畑違い?
まあ特産が違うしジオ家は武力に力を入れているとは聞いたことがあるけど。

その後も話し合いを続けた結果、合意した。
ジオ領での試験栽培の後、本格に栽培を始める。ジオ公爵様は持参したジオ領の地図を広げた。

「この不規則な点線は川です」

「どこからか流れ込んでいる川ではなく湧いている場所はありませんか」

「ここですね。かなり自然豊かな森の中です」

「1番水の綺麗な川はこの湧水のある場所ですか?」

「はい。こちらの川も比較的綺麗な水です」

「建築しやすいと言えばこちらの川でしょうね。開けていますし。ですが水質に拘るなら湧き水の方でしょうな。まあ比べてみないと何とも言えませんが」

「水が大事なのですか?」

「とても重要です。クリスティーナの怪我に使った傷薬は湧き水を使って育てたサブマ草のエキスを混ぜました。効果が少し増しているようです。
発芽の条件は水に浸すこと。ずっとではないので引き水を止める水門と排水する排水路が必要です。使った水はまた川に戻せます。水の温度は温めだと駄目です。手をつけてしっかりと冷たさを感じるくらいが良さそうです。その後はカラッと乾燥させます。日当たりが必要です」

「さすがセルヴィー伯爵、実に素晴らしい」

「クリスティーナが呟く度に私も息子も領民も隣領の親戚も試行錯誤してきましたからね。解決策のコツが分かるようになってきたのかもしれません。
土が影響している可能性もありますので試験栽培をしましょう。湧き水とこの川の2ヶ所でもいいです。成功したら次のことを考えましょう」

「本当によろしいのですか?」

「はい。その代わり本栽培を成功させるまで指揮責任者はヒューゴ殿にお願いします。クリスティーナはゼオロエン嬢とモルゾン領に行きますのでしばらく会えなくなるでしょう。成功させるまでヒューゴ殿はジオ領で指揮をとってください。いい加減な仕事をすれば全てが消えますよ。
先ずは別荘地を経由してジオ領へ行きましょう」

ヒューゴ様の顔に緊張が走った。

「あの、俺は事業は任されたことがなくて」

「だからなんです?誰もが最初はそうです。ジオ公爵を継ぐのなら武力だけでは駄目です。領地を持っているのですから。良い機会となるでしょう。今回は試験栽培まで手助けをしますのでご安心ください」

「…よろしくお願いします」

サブマ草の栽培を別荘地で実験し、セルヴィー領に運ぶことも栽培することも成功させていた。
あの別荘地に起きた事を調査していくうちに、近くの川が何年かに一度氾濫することがあるらしく名義になっている土地まで及びはするけれど、浸水具合は大雨が降り続いて水が溜まっているようなレベルで、すぐに乾くらしい。
そこで一度水に浸してみた。ある程度浸してから水をはけさせると3日後に種に亀裂が入りその後ゆっくり発芽した。浸す時間も重要で、単に浸すという情報だけでは真似ができない。
洪水元の川を調べたらとても綺麗な川だったとか。
馬車で輸送するときにそれをやってみたら失敗した。失敗の理由は水質だったらしい。別荘地で汲んだ水をずっと使っていたし水の流れが無かった。
揺れもあったし土も使っているから淀んでしまっていた。それを改善させたら次の輸送では成功した。

という説明をヒューゴ様達が来る前にお父様から受けた。そしてもう一つ、サブマ草の栽培はこっそりセルヴィー領でも始めている。メインは研究のためだ。増やして研究に回す。草として成長させるのは良いがどの辺りがいいのか比べている。新芽の段階、蕾が付く前、蕾が付いた後、花が咲いた後、種が落ちる前、種は何か効果があるのか。そして効果を少しでも長続きさせる方法はないのか。
私の美容品に混ぜるために試行錯誤してくれる。婚約者に嫌われて冷遇されたり学園でいじめに遭ったりしたけど、家族に恵まれていて幸せだ。
どうしよう、お兄様にも会いたくなってきちゃった。



【 シャルルの視点 】

アマリア・ビクセンのせいで僕は婚約者のパートナーをつとめることを禁止された。せめて祝いの品を渡しながらゆっくりクリスティーナと過ごしたかった。
セルヴィー邸を訪れると挨拶だけしてクリスティーナは部屋から出された。そして伯爵は笑みを消した。

「昨日の卒業パーティは余興が少しだけあったよ。わざわざ妊婦の腹の膨らみを強調したデザインのドレスを着て、卒業生のパートナーや保護者に挨拶回りをしていた令嬢がいた。いかにも見てくださいと言いた気に腹を撫でながら。腹の子の父親の婚約者が同じ会場にいるのにだよ?何故放置するのかな?」

「放置と言われましてもどうすることもできません」

「卒業パーティは自由参加。君が躾けていれば欠席するか腹を目立たせないデザインのドレスを着たんじゃないのかな?」

「ですが関わらない方がいいと思ったんです。それに腹は膨れていますが確定はしていないんです。医者に診察させましたがいずれも胎動や心音を聞くことはできませんでした」

「心音が聞こえなかろうが妊娠が事実として周知されてしまったんだ。恋人だか愛人だか単なる遊び相手なのか知らないが、クリスティーナが容認したとしても婚約者やその家門に恥をかかせていい理由にはならないと思わないか?それに好きで容認したわけじゃないのは分かるね?」

「…はい」

「恋人や愛人などといったものは、すべきことができてから迷惑をかけないように作るものだ。まだヘインズ伯爵の庇護下にある身で作るものではない。君に一体何ができるというのだろう。君がヘインズ家の価値を下げているとは思わないのかな?」

「っ!!」

「起こしたことの後始末もできぬなら子供と一緒だ。娘に会うのは大人になってからにしてくれ」

「…申し訳ございません」

そのまま追い出されるように見送りをされた。クリスティーナは呼ばれることはなかった。
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