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第二章 ハンターとして
2ー10 教会勢力の干渉
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今日も、王都の地下下水道に潜って1時間ばかりの清掃事業に従事した後、王都の郊外に出てレベル上げの鍛錬に勤しんでいる。
日没の一刻前には、聖アンクレア教会に戻って診療所を開くのがいつもの日課だ。
そんな日常を邪魔する輩が現れた。
僧服を纏った聖職者らしき者が四人、待っていた患者を押しのけて僕の診療所に押し入って来た。
薄い灰色の僧服の胸の辺りにYの字型の文様があるので、バレンシア聖教会の聖職者であろうと思われる。
王都では三本の指で数えられるほど勢力のある教会組織だから、僕も知っている。
そうしていきなり怒鳴るようにがなり立てた。
「そこな小僧、誰の許しを得て治癒を行っている。
勝手に治癒を行うことは許されぬぞ。」
僕は、そんな言葉を無視して、ベッドに寝ているお婆さんに言う。
「はい、終わりですよ。
一応、治りましたけれど、病み上がりなので無理をしないようにしてくださいね。
二日ほど養生すれば元に戻ります。
また、調子が悪くなったら来てください。」
そう言ってお婆さんを送り出し、外に声を掛ける。
「次の方、入ってください。」
そう呼びかけるが、入り口を塞ぐように立っている聖職者の連中に遠慮して入って来ない。
仕方がないので邪魔をする連中に言う。
「仕事の邪魔ですから、立ち去ってください。
貴方方に用事はありません。」
「貴様、我らを何だと心得える。」
男が怒鳴った。
仕方がないので、もう一度言うことにするが、同時に威圧もかける。
「もう一度言います。
邪魔だから退きなさい。
さもなければ実力で追い出すことにする。」
途端に聖職者四人がガタガタと震え出した。
彼らは聖職者だから、武人の威圧など受けたことがあるわけも無い。
以前にダイノス侯爵家の家臣が来た時は、僕の周りにいる精霊が攻撃の意図を察して相手に対して電撃を与えたけれど、そうなる前に撃退するつもりで四人の聖職者に威圧を向けたのだった。
僕のレベルもかなり上がっているからね。
既に冒険者としては上位クラスになっているはずなんだ。
そんな僕が殺意に近い威圧を向ければ普通の人は保たない。
ガタガタと震え、失禁をする者も居る。
もう一度言った。
「直ちに立ち去れ。」
四人の聖職者は、慌てて逃げ出した。
彼らが立ち去った後にアンモニア臭が残ったのだが、それを清浄化の魔法で消し去って、次の病人を招き入れたのだった。
取り敢えずは撃退したが、彼らは色々と手を打って来るだろう。
暴力で来るなら潰すだけだが、搦手で来た場合はどうするかだな。
僕は精霊に頼んで、バレンシア聖教会の汚点を洗い出してもらった。
僅か一両日の間に山のような情報と証拠が集まったよ。
これを全て公表すれば教会の組織そのものが間違いなく崩壊することだろう。
王宮が介入せざるを得ない重大な犯罪がある。
僕が、どこまでするかは今後の相手の動き次第だな。
◇◇◇◇
三日後、王宮の役人が聖アンクレア教会を訪ねて来たようだ。
聖アンクレア教会の敷地で治療行為を為すのはやめなさいというお達しだった。
マザー・アリシアが対応していて、その理由を聞くと、王都の教会における治癒活動が少なからぬ影響を受けているので、やめさせてほしいとの陳情が来ているらしい。
マザー・アリシアが、ではその陳情を為した教会はここに集まる病人たちを大銅貨一枚で癒していただけるのですかというと、役人は口ごもった。
とにかく、ここでの治癒活動は禁ずると役人は言いおいて立ち去った。
僕は、その情報を後で聞いたわけだが、いつものように診療所を開いた。
そうしてその日診療所が終わると同時に、二つのことを行った。
一つは僕の友人と自称するクロイム・サイルズに連絡を取り、公的役所から診療所開設の許し若しくは同意が必要か否かを確認してもらった。
クロイム・サイルズの回答に依れば、そもそも治癒に関する規制はなく、その為に教会も勝手に治癒師を育成し、治癒を行っているとのことで、王宮若しくは公的役所からの許し等は不要とのことだった。
従って、不浄役人の勝手なお達しとわかったので無視をすることにした。
そうして二日目、診療所を開いているところに件の役人が現れた。
ついでに言うとダイノス家の令嬢もそこに手伝いに来ていた。
役人が尊大に言った。
「ここでの診療は禁止したはずだが、責任者は誰か?」
「私ですが、何用でしょうか?」
「ここでの診療は禁止されておる。
直ちにやめよ。」
「どなたの命令による禁止ですかな?」
「誰でもよいであろう。
然るべき役所の偉い人が発出した命令だ。
違背することは許されん。」
傍にいたクラウディアが言った。
「私は、ダイノス侯爵が娘、クラウディアです。
失礼ながらお役所のどなたが出した命令ですか。
その方の名前を聞いてその理由を正さねばなりません。
場合によっては、王宮の宰相から問い質してもらうことになりますが、間違いのない話なのでしょうね?
万が一にでも嘘などであれば、貴方の首一つではすみませんよ。」
突然の侯爵令嬢の出現に、今度は後ろ盾のない小役人が震え上がった。
公爵から宰相に報告され、事実無根がばれれば確かにただでは済まないのだ。
小役人は、前言を翻して言った。
「い、いや、その・・・、どなたからの命令かは、・・・。
確認していない。
これより立ち戻って確認して参ろう。」
「貴方のお名前を聞いておきましょうか?
一応は、父に報告をしておかねばなりませぬ。」
「いや、その儀は・・・。
私は命じられた下っ端に過ぎませぬ。
確認の後、出直してまいります。」
そう言って小役人は逃げ出した。
無論、その役人が聖アンクレア教会にも診療所にも二度と現れることは無かった。
小役人の動きは全て妖精たちに監視されており、小役人がバレンシア聖教会の関係者にご注進に及んだその時点で、バレンシア聖教会の有罪は確定した。
◆◇◆◇◆◇
僕は翌日、下水道の清掃が終了してから、バレンシア聖教会の大聖堂を訪れた。
大司教に面会を求めたが、応対した司教補佐に多忙を理由に断られた。
止むを得ず、切り札の一枚を切る。
「アニンバスの事件においてバレンシア教会の関わり合いが白日の下に晒されるやもしれませんが、バレンシア聖教会はそれでも構わないと仰るのですね?」
司教補佐の顔色が途端に変わった。
「い・、いったい何のことでしょう?
私にはわかりかねます。
ただ、少々お待ちを、大司教は無理でもカルム司教様ならお会いいただけるやも・・・。」
それから半刻ほども待たされて、カルム司教という人物に会うことができた。
「さて、何やら6年前のアニンバスの事件についてのお話があるとか、どのようなお話でしょうか?」
「アニンバス、コーマシュール、フェイビア、リドヌス等過去には色々な事件がございましたが、このバレンシア聖教会は種々関わっているようですね。
本日は大司教様に申し上げようと思って参りましたけれど、お会いできないならば仕方がありません。
私は、聖アンクレア教会の敷地において診療所を開設しているリックと申します。
先頃より、二度ほどお宅の教会の者若しくはその手先の者が診療所を訪れ、診療の妨害行為をいたしました。
その件について厳重な抗議をするとともに、もし今後似た様な事案を引き起こす場合は、バレンシア聖教会が関わった事件について、全ての秘事を王家に公開します。
恐らく、その時点でバレンシア聖教会は存続が難しくなるでしょう。
今日はそのことだけ申し上げに参りました。
あ、これはアニンバスに関わる事件の証拠書類の写しにございます。
司教様がご承知なければ是非ご一読を。
私にこの文書を返せとは申しません。
不要であれば捨てていただいても結構です。
では失礼をいたします。」
僕は言うだけ言うと、バレンシア聖教会を辞去したのだった。
その後、バレンシア聖教会が大騒ぎになったのは言うまでもない。
僕が名を挙げた事件は、全てバレンシア聖教会がマッチポンプで引き起こした暴動なのである。
この暴動により大勢の命が奪われている。
バレンシア聖教会は信者獲得のためにライバル教会の聖職者を追い出すために策謀を巡らせ、意図的に暴動を起こさせてライバル教会を襲わせたのだった。
公的には熱狂的な信者が勝手に引き起こした暴動・焼き討ち事件とされているが、実は教会関係者の幹部が計画し、扇動した事案であった。
因みに現大司教はその際の首謀者の一人である。
その夜、10人の刺客が僕の寝所を襲った。
孤児院の子供達とマザー・アリシアについては、事前に最寄りの宿屋に避難してもらっている。
一応の名目は、子供たちの修学旅行としている。
子供達は何の疑いも無く夕方には宿屋へお泊りに行った。
この日は宿で滅多にないごちそうも振る舞われたのであった。
そうして深夜10人の賊が孤児院に侵入したが、踏み込んだ途端に雷撃を受け全員が昏倒した。
僕も冷酷なので、昏倒している全員の心臓に千枚通しのような針を突き立て、息の根を止め、10人の遺体をバレンシア聖教会の大聖堂に投げ込んだ。
その際に、忘れずに、コーマシュール暴動事件の証拠書類の写しを遺体の傍に置いておいた。
その夜、大司教他10人の幹部の心の臓が物理的に止まって死亡した。
この10人の幹部の死亡は、後に王都警備隊に投げ込まれた書類の写しが公になり、過去に起きた暴動事件への関与が疑われる人物ばかりが死んでいたことから、神罰と噂され、王都中が大騒ぎになった。
そうして半年ほど経った時点では、バレンシア聖教会の聖職者全てが辞職していたために、バレンシア聖教会の組織は崩壊したのであった。
残された大聖堂や各地の教会の建物は王家の一時預かりとなった。
仮にも人々の心の拠り所となっていた教会大勢力の消滅は、王国に住む者に言い知れぬ不安を生むこととなったが、宰相から過去の暴動の扇動の経緯、闇魔法の行使による偽病の仕掛けなど、バレンシア正教会の幹部がこれまで関わって来た悪事を公表して、王家もこの一連の事件が天罰と公式に認めたことにより、次第に民心も静まることになった。
残った他の教会組織は、できる限り清貧であろうと誠心誠意努めることになったのである。
日没の一刻前には、聖アンクレア教会に戻って診療所を開くのがいつもの日課だ。
そんな日常を邪魔する輩が現れた。
僧服を纏った聖職者らしき者が四人、待っていた患者を押しのけて僕の診療所に押し入って来た。
薄い灰色の僧服の胸の辺りにYの字型の文様があるので、バレンシア聖教会の聖職者であろうと思われる。
王都では三本の指で数えられるほど勢力のある教会組織だから、僕も知っている。
そうしていきなり怒鳴るようにがなり立てた。
「そこな小僧、誰の許しを得て治癒を行っている。
勝手に治癒を行うことは許されぬぞ。」
僕は、そんな言葉を無視して、ベッドに寝ているお婆さんに言う。
「はい、終わりですよ。
一応、治りましたけれど、病み上がりなので無理をしないようにしてくださいね。
二日ほど養生すれば元に戻ります。
また、調子が悪くなったら来てください。」
そう言ってお婆さんを送り出し、外に声を掛ける。
「次の方、入ってください。」
そう呼びかけるが、入り口を塞ぐように立っている聖職者の連中に遠慮して入って来ない。
仕方がないので邪魔をする連中に言う。
「仕事の邪魔ですから、立ち去ってください。
貴方方に用事はありません。」
「貴様、我らを何だと心得える。」
男が怒鳴った。
仕方がないので、もう一度言うことにするが、同時に威圧もかける。
「もう一度言います。
邪魔だから退きなさい。
さもなければ実力で追い出すことにする。」
途端に聖職者四人がガタガタと震え出した。
彼らは聖職者だから、武人の威圧など受けたことがあるわけも無い。
以前にダイノス侯爵家の家臣が来た時は、僕の周りにいる精霊が攻撃の意図を察して相手に対して電撃を与えたけれど、そうなる前に撃退するつもりで四人の聖職者に威圧を向けたのだった。
僕のレベルもかなり上がっているからね。
既に冒険者としては上位クラスになっているはずなんだ。
そんな僕が殺意に近い威圧を向ければ普通の人は保たない。
ガタガタと震え、失禁をする者も居る。
もう一度言った。
「直ちに立ち去れ。」
四人の聖職者は、慌てて逃げ出した。
彼らが立ち去った後にアンモニア臭が残ったのだが、それを清浄化の魔法で消し去って、次の病人を招き入れたのだった。
取り敢えずは撃退したが、彼らは色々と手を打って来るだろう。
暴力で来るなら潰すだけだが、搦手で来た場合はどうするかだな。
僕は精霊に頼んで、バレンシア聖教会の汚点を洗い出してもらった。
僅か一両日の間に山のような情報と証拠が集まったよ。
これを全て公表すれば教会の組織そのものが間違いなく崩壊することだろう。
王宮が介入せざるを得ない重大な犯罪がある。
僕が、どこまでするかは今後の相手の動き次第だな。
◇◇◇◇
三日後、王宮の役人が聖アンクレア教会を訪ねて来たようだ。
聖アンクレア教会の敷地で治療行為を為すのはやめなさいというお達しだった。
マザー・アリシアが対応していて、その理由を聞くと、王都の教会における治癒活動が少なからぬ影響を受けているので、やめさせてほしいとの陳情が来ているらしい。
マザー・アリシアが、ではその陳情を為した教会はここに集まる病人たちを大銅貨一枚で癒していただけるのですかというと、役人は口ごもった。
とにかく、ここでの治癒活動は禁ずると役人は言いおいて立ち去った。
僕は、その情報を後で聞いたわけだが、いつものように診療所を開いた。
そうしてその日診療所が終わると同時に、二つのことを行った。
一つは僕の友人と自称するクロイム・サイルズに連絡を取り、公的役所から診療所開設の許し若しくは同意が必要か否かを確認してもらった。
クロイム・サイルズの回答に依れば、そもそも治癒に関する規制はなく、その為に教会も勝手に治癒師を育成し、治癒を行っているとのことで、王宮若しくは公的役所からの許し等は不要とのことだった。
従って、不浄役人の勝手なお達しとわかったので無視をすることにした。
そうして二日目、診療所を開いているところに件の役人が現れた。
ついでに言うとダイノス家の令嬢もそこに手伝いに来ていた。
役人が尊大に言った。
「ここでの診療は禁止したはずだが、責任者は誰か?」
「私ですが、何用でしょうか?」
「ここでの診療は禁止されておる。
直ちにやめよ。」
「どなたの命令による禁止ですかな?」
「誰でもよいであろう。
然るべき役所の偉い人が発出した命令だ。
違背することは許されん。」
傍にいたクラウディアが言った。
「私は、ダイノス侯爵が娘、クラウディアです。
失礼ながらお役所のどなたが出した命令ですか。
その方の名前を聞いてその理由を正さねばなりません。
場合によっては、王宮の宰相から問い質してもらうことになりますが、間違いのない話なのでしょうね?
万が一にでも嘘などであれば、貴方の首一つではすみませんよ。」
突然の侯爵令嬢の出現に、今度は後ろ盾のない小役人が震え上がった。
公爵から宰相に報告され、事実無根がばれれば確かにただでは済まないのだ。
小役人は、前言を翻して言った。
「い、いや、その・・・、どなたからの命令かは、・・・。
確認していない。
これより立ち戻って確認して参ろう。」
「貴方のお名前を聞いておきましょうか?
一応は、父に報告をしておかねばなりませぬ。」
「いや、その儀は・・・。
私は命じられた下っ端に過ぎませぬ。
確認の後、出直してまいります。」
そう言って小役人は逃げ出した。
無論、その役人が聖アンクレア教会にも診療所にも二度と現れることは無かった。
小役人の動きは全て妖精たちに監視されており、小役人がバレンシア聖教会の関係者にご注進に及んだその時点で、バレンシア聖教会の有罪は確定した。
◆◇◆◇◆◇
僕は翌日、下水道の清掃が終了してから、バレンシア聖教会の大聖堂を訪れた。
大司教に面会を求めたが、応対した司教補佐に多忙を理由に断られた。
止むを得ず、切り札の一枚を切る。
「アニンバスの事件においてバレンシア教会の関わり合いが白日の下に晒されるやもしれませんが、バレンシア聖教会はそれでも構わないと仰るのですね?」
司教補佐の顔色が途端に変わった。
「い・、いったい何のことでしょう?
私にはわかりかねます。
ただ、少々お待ちを、大司教は無理でもカルム司教様ならお会いいただけるやも・・・。」
それから半刻ほども待たされて、カルム司教という人物に会うことができた。
「さて、何やら6年前のアニンバスの事件についてのお話があるとか、どのようなお話でしょうか?」
「アニンバス、コーマシュール、フェイビア、リドヌス等過去には色々な事件がございましたが、このバレンシア聖教会は種々関わっているようですね。
本日は大司教様に申し上げようと思って参りましたけれど、お会いできないならば仕方がありません。
私は、聖アンクレア教会の敷地において診療所を開設しているリックと申します。
先頃より、二度ほどお宅の教会の者若しくはその手先の者が診療所を訪れ、診療の妨害行為をいたしました。
その件について厳重な抗議をするとともに、もし今後似た様な事案を引き起こす場合は、バレンシア聖教会が関わった事件について、全ての秘事を王家に公開します。
恐らく、その時点でバレンシア聖教会は存続が難しくなるでしょう。
今日はそのことだけ申し上げに参りました。
あ、これはアニンバスに関わる事件の証拠書類の写しにございます。
司教様がご承知なければ是非ご一読を。
私にこの文書を返せとは申しません。
不要であれば捨てていただいても結構です。
では失礼をいたします。」
僕は言うだけ言うと、バレンシア聖教会を辞去したのだった。
その後、バレンシア聖教会が大騒ぎになったのは言うまでもない。
僕が名を挙げた事件は、全てバレンシア聖教会がマッチポンプで引き起こした暴動なのである。
この暴動により大勢の命が奪われている。
バレンシア聖教会は信者獲得のためにライバル教会の聖職者を追い出すために策謀を巡らせ、意図的に暴動を起こさせてライバル教会を襲わせたのだった。
公的には熱狂的な信者が勝手に引き起こした暴動・焼き討ち事件とされているが、実は教会関係者の幹部が計画し、扇動した事案であった。
因みに現大司教はその際の首謀者の一人である。
その夜、10人の刺客が僕の寝所を襲った。
孤児院の子供達とマザー・アリシアについては、事前に最寄りの宿屋に避難してもらっている。
一応の名目は、子供たちの修学旅行としている。
子供達は何の疑いも無く夕方には宿屋へお泊りに行った。
この日は宿で滅多にないごちそうも振る舞われたのであった。
そうして深夜10人の賊が孤児院に侵入したが、踏み込んだ途端に雷撃を受け全員が昏倒した。
僕も冷酷なので、昏倒している全員の心臓に千枚通しのような針を突き立て、息の根を止め、10人の遺体をバレンシア聖教会の大聖堂に投げ込んだ。
その際に、忘れずに、コーマシュール暴動事件の証拠書類の写しを遺体の傍に置いておいた。
その夜、大司教他10人の幹部の心の臓が物理的に止まって死亡した。
この10人の幹部の死亡は、後に王都警備隊に投げ込まれた書類の写しが公になり、過去に起きた暴動事件への関与が疑われる人物ばかりが死んでいたことから、神罰と噂され、王都中が大騒ぎになった。
そうして半年ほど経った時点では、バレンシア聖教会の聖職者全てが辞職していたために、バレンシア聖教会の組織は崩壊したのであった。
残された大聖堂や各地の教会の建物は王家の一時預かりとなった。
仮にも人々の心の拠り所となっていた教会大勢力の消滅は、王国に住む者に言い知れぬ不安を生むこととなったが、宰相から過去の暴動の扇動の経緯、闇魔法の行使による偽病の仕掛けなど、バレンシア正教会の幹部がこれまで関わって来た悪事を公表して、王家もこの一連の事件が天罰と公式に認めたことにより、次第に民心も静まることになった。
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