親王様は元大魔法師~明治の宮様に転生した男の物語~戦は避けられるのか?

サクラ近衛将監

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第三章 新たなる展開

3-9 パーティ?

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 大学生活とも関係はあるのですが、学問には余り関係ない分野で、毎週パーティがあります。
 大学教授のパーティ、参加しているグループや課外活動のチームや同好会のパーティ、更にはハーバード大学後援会のパーティやOBのパーティ、HAMに集う会なんて訳のわからないパーティまで含めるとほぼ一月に6回から8回ほどはありますね。

 前述の女子のお茶会はこの回数には入っては居ませんので念のため。
 私もできるだけ参加して交友を深めようとはしていますが、流石に衣装が足りなくなり、市内のテーラーに10着ほどあつらえてもらいました。

 12月も中旬になるとパーティというか「集い」が増えました。
 12月19日の土曜日に招待を受けたのは、ボストン市主催のパーティでした。

 主催者はボストン市長のようです。
 教授や学長にも聞いてみましたけれど、政財界での著名な人を集めるパーティのようで、どちらかというと市長のスタンドプレーやパフォーマンスの舞台であるらしいのです。

 そんなところにのこのこと出て行って酒のさかなにされるのは気が進まないのですが、学長曰く、米国社会のの一部も観察しておいて損は無いよと言って逆に出席を勧めてくれました。
 そうまで言うならば、アメリカ政治の闇という奴を調べてやろうと、本気になって調査してみました。

 米国は所謂民主主義の社会です。
 帝国のように天皇を元首とした立憲君主制では無いのです。

 従って、民衆が望む者がある意味元首になれるのですが、残念ながら理想は理想であって、現実的には権力と経済力が密接に絡まり合っているようです。
 そもそも経済的支援が無ければ選挙戦すら戦えないのです。

 一方で金さえ持っていれば大統領になれるかというとこれまた違うようですね。
 何やら怪しげな政界の血筋が必要なんだそうです。

 私を招待してくれたJames Michel Currley市長は1914年1月の選挙で勝利し、この2月に初めてボストン市長になったのですが、前職のJohn F. Fitzgerald氏は、ジョン・F・ケネディの外祖父になる人物です。
 但し、1914年現在、ジョン・F・ケネディはまだ生まれていません。

 James Michel Currley氏は、ボストン市長になる前は、マサチューセッツ州下院議員を三年間歴任していますので、所謂政治屋なのでしょうね。
 実際に会ってみると、当年とって40歳の若手政治家、中々エネルギッシュな感じで、押しが強く、所謂アクが強いタイプですね。

 多分性格的には我が儘なんじゃないかなと思います。
 自分の気に入らないことは徹底的に排除するでしょうし、場合によっては、強請ゆすり、たかりも敢えてやりそうな人物に見えました。

 こんな人物が権力を持つときっとろくな事にならないのじゃないでしょうか。
 とはいいながら、市長さんが挨拶に来るとにこやかに挨拶を交わす私ですが、何となく泥にまみれた感覚に襲われたのは単なる勘違いでしょうか?

 パーティには市長の出自である民主党から地方を代表する議員さんなども来ていますし、政敵である共和党からも少ないですが来ていますね。
 これは多分敵情視察という所でしょうか。

 その共和党の方とも挨拶を交わす私ですが節操がないのでしょうかねぇ?
 いえ、私は帝国から来ているのですから、共和党であれ民主党であれ、米国のお偉方には違いないと日米融和に努めているわけです。

 ここで私を通して、帝国になにがしかの好感が得られれば、将来あり得る日米戦争が避けられるかも知れないのです。
 私の力など直接攻撃を仕掛けない限り極々微々たるものですけれどね。

 まぁ、やむを得ない場合には伝家の宝刀ならぬ直接介入をしますけれど、後々現人神あらひとがみ扱いでもされたなら困ることになりますので、私としてはできるだけ避けたいのです。
 ですから支援方面で頑張っているわけで、概ね、計画通りの仕上がりになりそうですが、帝国が予定通りに準備を整えられたにしても相手があることですから未来がどう転ぶかはわかりません。

 その他色々な方ともお会いしましたが、米国の経済界も一枚岩ではないようです。
 政策と経済的な利益は必ずしも一致するとは限らないので、どなたかが利益を得るような政策は一方でどなたかが損をする可能性もあると言うことです。

 その辺の見極めをして利益誘導をしようという商人が種々の派閥に別れて抗争をしているという感じでしょうか。
 特に金融業界と建設業界がつばぜり合いをしていて、そこに不動産業界が虎視眈々と狙っているという感じですね。

 市政に関連するモノとしては鉄道業界があります。
 ボストンは高架にしたり、地下に潜らせたりと変動が激しいのですが、鉄道のインフラ整備は地下鉄網の整備と共に今後伸びる可能性が非常に高いのです。

 無論其処に巨額のリベートが動きます。
 そうしたリベートに敏感な現市長さんならきっと色々な無理を通してしまうのでしょうね。

 まぁ、発展という成果で見ればそう悪くは無いのでしょうけれど・・・。
 因みにこのパーティで知り合った人の中にハーバード大学出身の方はほとんど居なかったように思うのですが、私の勘違いなのかも知れません。

 12月24日のクリスマス・イブには、ケイトリン嬢の友人サマンサ嬢のお誘いで、トリニティ教会を訪れることになりました。
 サマンサ・ロックウェル嬢は、ラドクリフ女子大学の学生でケイトリン嬢が住んでいる寮の最上級生であり、長老なのです。

 御年27歳にあいなるとはケイトリン嬢のお話ですが、ご本人から聞いたわけでは無いですよ。
 女性の歳を聞くなんてそんな野暮なことは致しません。

 そもそも入学が人より二年ほど遅かった上に事情があって二回ほど留年もしたようです。
 この女史、器楽演奏が大好きで課外活動でコンサートをやるのが趣味みたいな人であるらしいのです。

 因みに彼女の演奏する楽器はヴァイオリンなのです。
 何故かHAMで開かれるのがほぼ定例となってしまった女子学生達のお茶会にサマンサ嬢もやってきて、たまたまリビングホールに置かれているピアノを見て一言。

「君、ひょっとしてピアノの演奏ができるんだよね?
 当然オルガンもできるよね?
 なら、今度クリスマス・イブの私達の演奏活動に参加しなさい。
 パイプオルガンの奏者がいなくて教会が困っているようなの。
 ね?参加してくれるよね?」

 彼女の言い様は、お願いなのではなくほぼ断定的な命令でしょう。
 とても「No」とは言えそうな雰囲気にはないのです。

 私の周囲には、何故にこうも強い女性が集まるのだろうと首をかしげるほどに、押しの強い女性が多いのです。
 ピアノについては、先般日曜日に侍従とともに車で街へ赴いたときに、中古のピアノが売られていたのを見て衝動的に買ってしまったのです。

 ああ、車については必要なのでフォードの車を買ったのですよ。
 性能面でも価格の面でも「韋駄天」の方が余程いいのですが、あいにくと米国に持ち出すことができませんので、やむなく米国製のガソリン車になったわけです。

 私は無論ピアノは弾けますし、オルガンも弾けます。
 前々世では音楽とは聴くだけのものと思っていましたが、前世のアブサルロアでは200年もの間、宮廷魔法師として過ごしましたから、多くの宮廷楽師とも仲良くなり、その際に楽師たちの技能を魔法で写し取っていたのです。

 無論本人達には内緒なんですよ。
 その能力のお陰で宮廷楽師たちの力量が良く分かるようになり、器楽演奏の機微と言うものが理解できるようになったのです。

 私が買った古いピアノは、見た時に表面のあちらこちらが傷だらけでしたし、余程ひどい環境で放置されていたのか弦も錆びたりしていて普通ならば音楽家が使うに値しないモノなのです。
 当然二束三文で売られていたのですが、それでも10ドルの値がついていました。

 その値段よりも馬車による輸送料金の方が少し高かったのですが、家の広いリビングに設置されてから私が綺麗に再生したモノなのです。
 勿論、魔法師としての能力と錬金術師としての能力も使いましたが、元々が良く出来ていた品でしたので、満足のゆく再生が可能となり、同時にアブサルロアのノウハウで少し改良も加えてみました。

 モノは、スタインウェイの1877年製のグランドピアノ、それまでのピアノと違って鋳物製の枠を使ったこと、交差弦を使ったことなどいくつも特許があるらしいのですが、私は再生時に手持ちの魔木まぼくのエルダートレントや伝説的な金属であるオリハルコンをふんだんに使ったのです。

 そのために音色に張りとつやが出るようになりました。
 塗装にも一工夫で、アブサルロアの弦楽器には必ず用いられるエルモア樹脂製の塗料を使いました。

 深みのある濃い赤銅色はこの時代の暗い照明によく合うのです。
 元々蝋燭のシャンデリアの光に映えるように産み出された塗料です。

 少ない光量で存在感をアピールするのです。
 再生品ながら元の性能をはるかに上回るモノに仕上がったと思います。

 まぁ、勝手に改造した所為で半分だけの米国製になってしまいましたが、それでもいい土産にはなるのではないでしょうか。
 あ、勿論他人へのGiftではなく自分のSouvenirですよ。

 もっとも由紀子嬢が欲しがれば彼女にあげてもいいかなと思っています。
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