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69話 果たされる約束
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「横にならなくて大丈夫ですか?」
二人きりになった空間で、エンディミオン様が訊ねてくる。その優しい彼の声を聞くと、心が温まると共に、心臓がトクンと鳴るのが分かる。
愛想の良いこの笑顔も、私の心臓をいともたやすく加速させる。
――私ったら、こんなにも好きになっていたのね。
思った以上に大きくなっていた自身の想いに気付く。そして、私はその想いに支配されたかのように、エンディミオン様に釘付けになった。
すると、私があまりにも見つめ続けたせいか、エンディミオン様は少し戸惑った様子で頬を薄ら赤く染めた。
だが間もなく、彼はきょとんとした顔になり、どうしたのだろうというように私を見つめ返して口を開いた。
「クリスタ様……?」
名前を呼ばれた。それだけなのに、嬉しい気持ちが胸に込み上げる。しかし、彼が私の名前を発した理由を考えたその瞬間、惚けていた私はハッと我に返った。
「す、すみません。ちょっとボーっとしちゃって……」
「っ! 大丈夫ですか? 横になられますか? 手伝いま――」
「大丈夫です。座っている方が楽なので、しばらく今の体勢のままにしておきます。お気遣いありがとうございます」
「当然のことですよ。クリスタ様は私の大切な人ですから」
いつものようにサラッと彼が言った言葉に、いちいち反応して内心ドギマギしてしまう。しかし、私の心を知らない彼は、何てことの無いようにふふっと微笑みながらベッドの横の椅子に再び腰かけた。
そして、着ている騎士団の制服の胸元に手を突っ込んだかと思うと、あるモノを取り出し私に差し出してきた。
「クリスタ様。約束通りお返しいたします」
彼が差し出して来たもの、それは私が戦いの前に彼に預けたハンカチだった。
先ほどアルバート先生は、エンディミオン様は血塗れで医務室にやって来たと言っていた。しかし、今エンディミオン様が取り出したこのハンカチは、彼に預けた時と変わらぬ純白のままだ。
――汚さないようにしてくれていたのね……。
わざわざ説明されなくても分かる。彼はそういう人なのだ。
私との約束を破ることは無い。私が大切にしているものを傷付けることは絶対にしない。
そんな優しい人なのだ。
「ありがとうございます……」
おもむろに手を伸ばし、彼のハンカチをそっと受け取った。すると、彼は怜悧な見た目の時からは想像も出来ない程、茶目っ気たっぷりの微笑みを向けてきた。
そんな彼の笑顔を見たら、自然と笑みが零れてくる。すると、彼はより表情豊かな笑みを浮かべた。
帰って来られた喜び。約束が果たせた安心感。彼と一緒に居ると得られる温かい気持ち。彼が笑えば私が笑い、私が笑えば彼が笑ってくれる温かい空間。
それは私にとって、幸せそのものだった。レアードとは違う。エンディミオン様と一緒だからこそ感じられる幸せだった。
――もうエンディミオン様しか考えられないわ。
私も約束通り、きちんと彼に言わないと……。
そう思った瞬間、目の前のエンディミオン様がボソリと声を漏らした。
「クリスタ様……その笑顔は反則ですよ。可愛すぎますっ……」
「なっ……」
彼の唐突な発言に、自身の頬が熱を持ったのが分かる。きっと真っ赤に違いない。
しかも、そのことは私の頬を染め上げた張本人にバレている。
だからこそ、気まずさと恥ずかしさが私の心の中で酷く入り乱れた。
だが、言うと決めたからには、これくらいで動揺なんかしていられない。
――勇気を出すのよ。
緊張して当たり前。
大丈夫よっ……。
自身に心の中で言い聞かせる。そうして、私は気を引き締めてエンディミオン様に話しかけた。
「エンディミオン様」
「どうされました?」
「私もあなたと約束しましたよね。きちんと、返事をすると……。今ここで、そのことについてお話しても良いでしょうか?」
そう告げた私は、エンディミオン様の反応を待つべく、彼の目をスッと見つめた。
すると、先ほどまでの朗らかな雰囲気から一転し、緊張の面持ちへとその相貌を変化させたエンディミオン様と視線が絡まった
二人きりになった空間で、エンディミオン様が訊ねてくる。その優しい彼の声を聞くと、心が温まると共に、心臓がトクンと鳴るのが分かる。
愛想の良いこの笑顔も、私の心臓をいともたやすく加速させる。
――私ったら、こんなにも好きになっていたのね。
思った以上に大きくなっていた自身の想いに気付く。そして、私はその想いに支配されたかのように、エンディミオン様に釘付けになった。
すると、私があまりにも見つめ続けたせいか、エンディミオン様は少し戸惑った様子で頬を薄ら赤く染めた。
だが間もなく、彼はきょとんとした顔になり、どうしたのだろうというように私を見つめ返して口を開いた。
「クリスタ様……?」
名前を呼ばれた。それだけなのに、嬉しい気持ちが胸に込み上げる。しかし、彼が私の名前を発した理由を考えたその瞬間、惚けていた私はハッと我に返った。
「す、すみません。ちょっとボーっとしちゃって……」
「っ! 大丈夫ですか? 横になられますか? 手伝いま――」
「大丈夫です。座っている方が楽なので、しばらく今の体勢のままにしておきます。お気遣いありがとうございます」
「当然のことですよ。クリスタ様は私の大切な人ですから」
いつものようにサラッと彼が言った言葉に、いちいち反応して内心ドギマギしてしまう。しかし、私の心を知らない彼は、何てことの無いようにふふっと微笑みながらベッドの横の椅子に再び腰かけた。
そして、着ている騎士団の制服の胸元に手を突っ込んだかと思うと、あるモノを取り出し私に差し出してきた。
「クリスタ様。約束通りお返しいたします」
彼が差し出して来たもの、それは私が戦いの前に彼に預けたハンカチだった。
先ほどアルバート先生は、エンディミオン様は血塗れで医務室にやって来たと言っていた。しかし、今エンディミオン様が取り出したこのハンカチは、彼に預けた時と変わらぬ純白のままだ。
――汚さないようにしてくれていたのね……。
わざわざ説明されなくても分かる。彼はそういう人なのだ。
私との約束を破ることは無い。私が大切にしているものを傷付けることは絶対にしない。
そんな優しい人なのだ。
「ありがとうございます……」
おもむろに手を伸ばし、彼のハンカチをそっと受け取った。すると、彼は怜悧な見た目の時からは想像も出来ない程、茶目っ気たっぷりの微笑みを向けてきた。
そんな彼の笑顔を見たら、自然と笑みが零れてくる。すると、彼はより表情豊かな笑みを浮かべた。
帰って来られた喜び。約束が果たせた安心感。彼と一緒に居ると得られる温かい気持ち。彼が笑えば私が笑い、私が笑えば彼が笑ってくれる温かい空間。
それは私にとって、幸せそのものだった。レアードとは違う。エンディミオン様と一緒だからこそ感じられる幸せだった。
――もうエンディミオン様しか考えられないわ。
私も約束通り、きちんと彼に言わないと……。
そう思った瞬間、目の前のエンディミオン様がボソリと声を漏らした。
「クリスタ様……その笑顔は反則ですよ。可愛すぎますっ……」
「なっ……」
彼の唐突な発言に、自身の頬が熱を持ったのが分かる。きっと真っ赤に違いない。
しかも、そのことは私の頬を染め上げた張本人にバレている。
だからこそ、気まずさと恥ずかしさが私の心の中で酷く入り乱れた。
だが、言うと決めたからには、これくらいで動揺なんかしていられない。
――勇気を出すのよ。
緊張して当たり前。
大丈夫よっ……。
自身に心の中で言い聞かせる。そうして、私は気を引き締めてエンディミオン様に話しかけた。
「エンディミオン様」
「どうされました?」
「私もあなたと約束しましたよね。きちんと、返事をすると……。今ここで、そのことについてお話しても良いでしょうか?」
そう告げた私は、エンディミオン様の反応を待つべく、彼の目をスッと見つめた。
すると、先ほどまでの朗らかな雰囲気から一転し、緊張の面持ちへとその相貌を変化させたエンディミオン様と視線が絡まった
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