氷の宰相補佐と押しつけられた厄災の花嫁

瑞原唯子

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第22話 婚約発表

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 アリアと両親が領地に行ってから一か月半が過ぎたころ。
 しばらくサイラス第二王子の婚約準備で忙殺されていたものの、ようやく一段落した。一緒に執務室に戻った宰相のメイソンもだいぶ疲弊しているようで、どっかりと椅子に腰を下ろすと、細い銀縁眼鏡を外して目頭を揉むように押さえながら息をついた。
「いよいよだな」
「はい」
 明日、サイラス第二王子の婚約が発表されるのだ。
 知っているのは最上位貴族とごく一部の職務上必要な人間だけで、世間には内密に進めてきた。結婚は来年の秋。宰相が担当している諸々の準備はすべて終わらせたところで、これから不測の事態に備えて執務室に詰めることになっている。
「このまま何事もなければいいのですが」
「おいおい、そういうことを言うと……」
 コンコン——。
 嫌な予感しかしないタイミングで執務室の扉がノックされ、思わずメイソンと顔を見合わせる。彼がいささか緊張をはらんだ声で「どうぞ」と冷静に応じると。
「こんにちは!」
 ガチャリと扉が開き、騎士服を身にまとった弟のショーンが入室してきた。
 にこやかなその表情からすると緊急事態というわけではなさそうだが、サイラス第二王子の婚約発表を明日に控えたいま、近衛騎士の彼がわざわざ宰相の執務室まで来たとなれば不安にもなる。
「何の用だ?」
「あ、うん、兄さんの顔が見たくなってさ」
「おまえな……」
 思わずガックリとして額を押さえながら溜息をつく。宰相も拍子抜けしたように苦笑を浮かべている。もちろん何事もないのであれば何よりなのだが。
「仕事はどうしたんだ」
「今日は終わり。明日に備えて休んどけってさ」
「だったら早く帰って休め」
 ショーンは明日から第二王子の護衛にあたる。婚約に際して第二王子の警備体制を強化することになり、傍付き護衛のひとりとして抜擢されたのだ。緊張を強いられる大変な任務なので、心身とも休められるときに休めておかなければならない。
「まあいいじゃないか」
 しかしメイソンは笑いまじりにそう言う。
「我々も一段落して待機なんだ。一緒にお茶を飲むくらいなら構わないだろう。彼にも英気を養ってもらわねばならないからな」
「やった! お心遣いに感謝します!」
 ショーンがやたらと兄のアイザックに懐いていることは、メイソンも知っているのだ。
 彼がお茶の用意を頼みに行くと、そのあいだにショーンはニコニコとしてソファに座る。アイザックも軽く溜息をついてソファに移動した。

 紅茶が運ばれてきて、三人はソファでくつろぎながら歓談する。
 ここでもショーンが中心だ。くるくると表情を変えながら感情豊かに近況を語ったり、話を振ったりと、いつものように無理なく自然な雰囲気で場をまわしている。メイソンも何気に楽しそうにしていた。
「じゃあ、僕はそろそろ行くよ」
 二杯目の紅茶を飲み終わると、ショーンはそう言ってソファから立ち上がった。話も一段落したので確かにいい頃合いだろう。そうだなとメイソンが返してアイザックも頷くと、彼はにっこりと笑みを浮かべる。
「宰相、ありがとうございました」
「わたしも楽しかったよ」
「兄さん、話ができてうれしかった」
「ああ……ゆっくり休んでおけ」
「わかってる」
 そう応じて、笑顔で手を振りながら部屋をあとにした。
 だが、気のせいだろうか。終始いつもどおりなのにどこか無理をしているように見えた。そもそもアイザックに会いにここまで来たのが普通ではない。もしかしたら護衛の任につくにあたってナーバスになっていたのではないか——。
「心配せずとも彼は優秀だ」
「そう、ですね……」
 メイソンも同じことを考えていたらしい。
 いや、いまようやくそこに思い至ったアイザックとは違って、おそらく最初から気付いていたのだろう。だからこそ優しく招き入れて一緒にお茶を飲んだのだ。そのナーバスな気持ちをすこしでもやわらげるために。
 ただ、彼の言うようにショーンは優秀だ。第二王子の護衛に抜擢されたのも実力が評価されてのこと。今日のうちに平常心を取り戻して、あしたからはしっかりと任務を遂行してくれるに違いない。
 重圧もあって大変だろうが、サイラスを頼む——。
 ショーンの兄として、サイラスの友として、宰相補佐として、アイザックは心の中で祈るようにそう願った。

 翌日、予定どおりサイラス第二王子の婚約が発表された。
 王都は祝福ムードだが、相手が友好国ではないグレンシュタインの姫であることから、やはり少なからず否定的な論調も起こっているらしい。特に若手貴族のあいだからは。とはいえ想定内で、それを見越して警備体制を強化しているので大きな問題はなかった。

 そんな状況の中、アイザックは若手貴族の意見交換会に参加していた。
 意見交換会といっても堅苦しい会議のようなものではなく、貴族が邸宅で開催するサロンの一種である。自由に会話を楽しみつつ情報を得たり人脈を広げたりするのだ。アイザックは次期公爵の義務として、夜会に行かない代わりに時折こういったサロンに参加していた。
「いまさらグレンシュタインと友好関係を結ぼうなど何を考えているんだ」
「本当に、そんなまどろっこしいことをする必要はないでしょう」
 しかしながら今日はいつもと様相が違った。
 所用で遅れて来たため経緯はわからないが、サイラス第二王子の婚約について議論が白熱していたのだ。主催が強硬派のバーナード侯爵家だからか批判的な意見が目立ち、ときには危険なくらいの過激な論説も聞こえてきた。
 そんな中、冷静に理解を促しているのが元同級生のレイモンドだった。戦争をすれば国力を削られる、合意で国交を正常化できるならそれに越したことはないのだと。
 正直、彼が政治的な発言をするようなイメージはなかったので驚いた。父親のメイソンも彼が政治に無関心なことを嘆いていたし、実際、学生時代を含めても彼から政治の話など聞いたこともなかった。
 どういう心境の変化なのかはわからないが、おかげで議論の過激化をある程度は抑えられたので、宰相補佐の立場としてはありがたかった。隅のソファにひとりひっそりと座ったまま安堵する。
「やあ、君も来てたんだな」
 議論が一段落すると、レイモンドはふらりと抜けてアイザックのところへやってきた。彼は空いていた向かいのソファに勝手に腰を下ろすと、給仕のために控えていた使用人を右手を挙げて呼び、紅茶を頼む。
「わたしはそろそろ帰ろうと思っていたんだが」
「そう言わず、しばらくつきあってくれないかな」
「まあ構わないが」
 アイザックが到着したときにはすでに彼も議論に加わっていたので、今日、彼と顔を合わせるのはこれが初めてだ。せっかくなのですこしくらい歓談してもいいだろうと思う。
「それで、君はどうしてこんな隅にひとりでいるんだ?」
「あの議論に宰相補佐のわたしはいないほうがいいだろう」
「あいかわらず真面目だな」
 レイモンドは肩をすくめるが、少なからず気にするひとはいるはずである。自由な議論を牽制したなどと思われても困るのだ。
「相手のためではなく自分のためだ。それにずっとここにひとりでいたわけじゃない。何人かと交流したが、みんな帰って最終的にひとりになったというだけだ。それより、君が意見交換会に来たことのほうが不思議なんだが」
「確かに」
 レイモンドは笑いまじりに同意する。
「僕としては夜会のほうが性に合ってるんだけど、たまにはサロンにも行ってこいと父にせっつかれてね。適当に選んだんだ。まさかこんな政治的な議論をしてるなんて思わなかったよ」
「いつもは各領地の産業や交易などの話をしているんだが……時期が悪かったな」
「そのようだね」
 一段落したタイミングで紅茶が運ばれてきた。
 レイモンドだけでなく、頼んでいないアイザックにも新しい紅茶が出された。レイモンドが乾杯するかのようにティーカップを掲げるので、アイザックも何となく呼応するように軽く掲げる。
「お疲れさま。サイラス婚約の件で忙しくしてたんだろう?」
「まあな」
 彼がふっと笑みを浮かべて紅茶を飲むのにつづいて、アイザックも口をつけたが、熱くてほとんど飲めないままティーカップを戻した。
「あの議論に君がいて助かった」
 ぽつりと言うと、彼は虚を衝かれた顔をしたものの、すぐに何のことか察したようだ。
「ああ……僕は平和主義者だからね。グレンシュタインが唯一の姫を差し出すというなら、それで十分だろう。国交が正常化すればどちらにとっても利があるしな」
 グレンシュタインは交易を望み、こちらはグレンシュタイン領土内の通行を望んでいた。現状、南へ抜けるルートはかなりの遠回りになっているので、通行が許されれば行程の大幅な短縮になるのだ。
 相手は小国なので一方的な併合もできなくはないが、それは侵略行為に他ならず、周辺諸国にも警戒されて関係悪化は避けられない。
 そのため過去に因縁がありながらも非公式に交渉を重ねてきた。この政略結婚は合意の証で、双方にとって歓迎すべきことである。アイザックも宰相補佐の立場としては当然ながら歓迎している。
「でも君はサイラスと親しいから複雑なんじゃないか?」
「……そうだな」
 胸にわだかまっていた気持ちをあっさりと言い当てられてしまった。奥底まで見透かすような彼の視線から逃げるように目を伏せると、さらに追及してくる。
「君自身も政略結婚させられたからこそ、同じように政略結婚させられる彼に同情してるんだろう。理不尽を受け入れるつらさも、見知らぬ女を妻に迎える不安も、自由に未来を選択できない絶望も、君自身と同じように彼も経験するんだと想像してな」
「…………」
 確かにアリアと結婚した当初はそういう否定的な感情もなくはなかった。意識していたわけではないが、自身と重ねることでより同情的になっていたというのはあるかもしれない。
 レイモンドは再び紅茶を一口飲んでティーカップを置くと、ふっと息をついた。
「君は優しすぎるんだよ。王子であるまえに友人だからという気持ちはわからないでもないけどね。そもそも君の政略結婚は王家の不始末を押しつけられてのことだろう。その分、王家には国民に奉仕してもらわなければ道理が通らないんじゃないか?」
「…………」
 その言いように何か刺々しさを感じて思わず眉をひそめる。アイザックが王家の不始末を押しつけられたからどうこうは関係なく、サイラスの政略結婚が王族の責務だということは言われずとも理解している。
「余計なお世話だったようだな」
 彼は苦笑して、おどけるように両の手のひらを上にして肩をすくめた。片側でゆるく束ねられた艶やかな黒髪が揺れる。
「君が心をすり減らしてるんじゃないかと心配だったんだ」
「そのわりにはずいぶんと物言いがきついように感じたが」
「ああ……腹を立ててもいたからね」
 その顔に浮かんでいた微笑がすっと消えた。
「解決方法は他にあったのに、君たちだけに犠牲を強いて素知らぬ顔をしている王家の厚顔ぶりに。そして、そんな王家の人間に無駄に心を砕いている君のお人好しぶりに」
「…………」
 まさか王家に対してここまで辛辣な物言いをするとは思わなかった。ヒヤリと背筋が冷たくなるのを感じつつも、解決方法は他にあったという発言がどうしても気になってしまった。
「では、君の考えた解決方法を聞かせてくれないか」
「んー……内緒にしておくよ」
 レイモンドは思わせぶりな微笑を浮かべてそう言い、立てた人差し指を唇に当てた。
 それが賢明かもしれない。アイザックとしては残念ではあるが、さきほどのような危うい発言を重ねていては叛意があると思われかねない。こんな誰が聞いているともわからないところで話すことでもないだろう。
 とはいえ、内緒と言われるとますます気になってしまう。
 考えられるのは、王家がアリアを捨てた過去を正直に認めたうえで、あらためて迎え入れるという方法だろうか。アリアが公式に第一王女となれば、勝手に利用される恐れはないため十歳で結婚する必要もなかった。
 ただ『厄災の姫』の迎え入れに反発する国民は少なくないだろう。その民意を無視して強行し、実際に何かの厄災が起こったなら間違いなく国民の信頼が揺らぐ。下手すれば国を揺るがす事態にまで発展しかねない。
 レイモンドには悪いが、やはりいまのかたちが落とし所として最適だったと思う。王家のためでなく、国の平和と安寧のためにそうするしかなかったのだ。そして国のためであれば貴族は犠牲を払う責務があるのだ。
 もっとも、当初はともかくいまは犠牲になったなどとは思っていない。相手がアリアだったことに感謝さえしている。
 しかしながらアリアのほうはどうだかわからない。嫌われてはいないし慕ってくれているようにも感じるが、それは彼女なりに現状を受け入れただけのことではないか。子供ならではの柔軟さで。
 アイザックはハッとする。
 レイモンドが腹を立てていたと言っていたが、まさか、それが原因か?
 幼いアリアを犠牲にする方法が許せなかったのであれば、この現状を作り出した王家に、そして結婚したアイザックに腹を立てるのもわかる。彼女と結婚したいという気持ちがあるならなおのこと。
 やはり、彼の好きなひとはアリアなのだろうか。
 違うと思いたいが、会うたびに確信に変わっていくように感じるのだ。そろりと視線を上げると、優雅な所作で紅茶を口に運んでいたレイモンドと目が合った。その顔にうっすらと意味ありげな笑みが浮かぶ。
「すまないが、わたしはもう帰らなければならない」
 アイザックはそう言い、ほとんど飲んでいない紅茶を残したまま席を立った。レイモンドは静かにティーカップを置いて顔を上げる。
「こちらこそつきあわせてすまなかった。またゆっくり話そう」
「ああ……」
 曖昧に視線を外しつつ答えて、背を向ける。
 考えすぎかもしれない、的外れかもしれない——けれどいまは冷静に考えることなどできそうにない。アイザックは主催者に挨拶して、そのまま振り返ることなく早足でサロンをあとにした。
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