俺の人生をめちゃくちゃにする人外サイコパス美形の魔性に、執着されています

フルーツ仙人

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番外 九 甘える?

3 獣姦編

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 獣姦並びに先っぽ無理やり後合意があるので、苦手な方は本話は飛ばしてください。







 
 絵画の男による誘拐は、本人の言う通り「すぐ帰され」て、ダリオは目が覚めたら白昼夢のようにうたたねしていた場所から一歩も動いていなかった。
 どうやら無事、現実に帰って来れたらしい。
 ダリオのガバガバ基準では、異界連れ去りされても、理性的に話のできるタイプで、すぐに帰すと言ってくる怪異は、夢を媒介にすることが多い。この場合はグレー判定で、ダリオもまあ水に流すか……と禍根に残さないことにしている。
 帰すつもりがまったくなく、あれこれ交渉してなんとか帰還できたようなパターンは駄目だ。もう二度と関わらないに限る。
 その意味では、絵画の男はまたかかわったとしても、セーフ判定の怪異だった。
 彼は最後にもう一つ「もしかしたら、今後、テオドール君が身動きのとれなくなるような厄介事に見舞われるかもしれない。その時は助けになろう」とも言っていた。
 あと別にうちのシーソーの絵に常駐しているわけではなく、世界中の絵を移動しているようなので、地味にストーカー認定を外しておいた。


 その後、花見も楽しんで、ダリオは帰宅した。テオドールと顔を合わせたら、率直に話し合うつもりだった。
 日中、絵画の男から、「したいこと、してほしいことをテオドール君に言ってみたらいい」といったようなことを言われ、更に一つ忠告をもらって、どうするか考えていた。
 先日、人型の自分も受け入れて欲しいとテオドールに言われた件を、ダリオは真剣に対処するつもりでいたのだ。
 しかし珍しくテオドールはどうも留守のようだった。
「いないのか……」
 まあ急ぐことではないかと、ダリオは頭を切り替えた。先に風呂へ入ろうと、バスルームへ足を運ぶ。ゆっくり湯につかって、上がってもまだテオドールは不在だった。シーソーの絵を見上げる。絵画の男のけはいはない。それから、しばらく居間で勉強した。切りの良いところで、掛け時計を見ると、けっこうな時間が経過している。少し休むかと、書籍を置いて、ノートパソコンを閉じた。
 問題はこの直後に起きた。
 小休憩でくつろいでいたら、妙に思いつめた顔で件のテオドールが顕現したのである。
 その時点でダリオは嫌な予感がした。
 「ダリオさん」とこの魔性の青年が真顔に迫ってきた時、なんかまた変な方向につめてきたなとは分かっていたのだが。
「本体の僕と、人型の僕では、大きく存在の根源が違っています。人型の僕に慣れないというのでしたら、架橋的妥協案として、僕がこちらの次元で、ダリオさんに親しみのもてる姿に変態(メタモルフォーゼ)し、心的距離感の許容範囲を段階的に引き上げていただくというのはどうでしょうか」
「どうでしょうかって……」
 館の居間。風呂上りにパジャマ姿で、ソファに座ってリラックスしていたはずなのに、ダリオは急転直下、カオスに突き落とされた。
 呆然と青年を見上げる。
「何を言ってるのか分からんのだが……え、なに? こっちの世界で別の姿になるってことか?」
「ご賢察です。ついては、ダリオさんが特に親近感を持っていただける生物を模倣しようかと」
「いやいやいやいや、そのままでいいだろ。これ以上課題増やす必要あるか?」
「候補としては、大型類人猿――ゴリラ、オランウータン、チンパンジー、ボノボなどもありますが」
「控え目に言って、やめてくれ」
「お気に召しませんでしたか」
「むしろなんでお気に召すと思ったんだ。ゴリラとかその他も嫌だぞ……下手に人間に似てる霊長類とか無理……」
 話し合う予定が、いきなり斜め背後からぶっ飛ばされて、ダリオは入り口も出口も見失った。なんでいきなりフレンドリーファイアされてるかな俺……と思う。
「わかりました。実は本命は別にあります」
「隠し玉みたいに言うな……俺これもう避ける選択肢ないやつ?」
「どうしても嫌とおっしゃるなら止めます。一応聞いていただけると」
「そうだね……」
 ダリオは死んだ魚の目でとりあえず聞くことにした。
「食肉目イヌ科イヌ属、亜種のイエイヌが相応しいと思います。僕の名前の元となったものですし、ダリオさんにきっと心を許していただける愛らしいイエイヌになってみせます」
 ちょっと、エヴァに電話してもいいかなとダリオは内心思った。どうコメントしたらいいのかわからなかったので、少し錯乱したのだ。
 いや、テオドールは真剣に提案してきてるわけだし、ゴリラやチンパンジーより、犬の方が百倍どころか一万倍マシだと、ダリオは実利を取ることにした。
「うーん、確かに俺、犬好きだしな……犬ならいいか」
 というわけで、テオドールが犬になった。
「う、思ったよりかわいい……」
 そしてかっこいい。
 引き締まった筋肉質な体型に、クールな見た目。モデルのような高貴で美しい佇まいである。
 大体、黒いシングルコートに銀色にも見える白い毛並、すらりとした細長い手足のサルーキに似ているが、どう考えても常識を突き抜けてクソバカでかい。
 たぶん伸びをしたらダリオより大きいだろう。
「テオ、触っていいか?」
 存分にどうぞ、と言わんばかりに、大きなサルーキもどきが床に伏せをした。
「かわいい。かっこいい。ふわふわすべすべ……ええ、いいなこれ……ええ……うわ……」
 ダリオは語彙喪失している。
 顎を撫でてもいいかなと手を持っていくと、ぱふ、とサルーキもどきテオドールが自ら長い顔を乗せてきた。
「あ~~~~~~~~~~~~」
 言語能力をダリオは完全に喪失した。
「今晩一緒に寝よ……俺のベッド一緒に寝よ……」
 こっち……と誘導して、寝台にふたりで乗り上がる。
 テオドールは「……」と黙っていたが、複雑な心境だったのか、がぶ、とダリオの手を噛んだ。
「い、痛くない……おりこうさんだね……」
 もう人型テオドールに対する遠慮や隔意はなんだったんだというほどに、二コマ即落ち状態のダリオだ。テオドールは、急に立ち上がって、四肢を踏ん張ると、ダリオの背中に巨体前足で圧し掛かって来た。
 ええ~~~なんだこの天国は……と完全にダリオは圧し掛かられるままになる。がぶがぶと後ろから肩を噛まれ、全然痛くない~~~~かわいい~~~賢い~~~~~ともう本当に駄目飼い主になっている。
 この辺りで正気にお互いかえればよかったのだが、そのままがぶがぶと噛まれまくり、首筋まで、がぶっ、と噛まれて、あ! と互いに思ったか思わないか。
 あとからテオドールは、犬の脳構造まで再現し過ぎて、思考力、知性、理性、その他が軒並み本当に犬並になってしまい、かろうじてダリオを加害しない程度になっていたと反省する羽目になるが、ダリオは別にダリオのままなのに、IQ3くらいになっていたし、ふたりとも羽目を外し過ぎて。
 獣姦になった。
 そもそもごく最近まで、テオドールはダリオに愛咬というものを遠慮してやらなかったのだ。犬になったら、タガが外れたのか、がぶがぶあちこち噛んでくる。パジャマのボタンは飛ばされ、前を開けられると、ずり落ちた襟口からのぞく肩をまずは、がぶっと噛んだ。しかもそれが痛いのに気持ちいいから終わっている。
 ダリオは自分の性癖というのを、ごく最近自覚したのだが、噛まれると感じる。テオドールが滅多にしなくて、我慢していたことをされるからなのか、もともとそういう癖(へき)が自分にあったのか、現在判断がつかないものの、噛まれると気持ちいい。
「あっ」
 顎先を持ち上げ、喉仏を見せる。無防備に急所を晒す恐怖と、テオドールになら別にどうされてもいいという全幅の信頼感で、ダリオは目をつむる。
 熱い息がかかり、やわやわと牙で喉を噛まれ、へその下の奥がズキズキ痛むほど気持ちよくて、受け入れて喜ぶ部分が勝手に準備を始める。
「あ、あっ」
 のしかかってきたテオドールのそこは勃起していた。
(え、あ? 犬の?)
 ダリオの後孔はもう濡れて愛液が出ている。
(あ? え? い、いぬ……犬のテオの、え?)
 さすがにまずいのでは、と思ったが、下を引き抜き、ぬぬぬ、と先端が入って来て、ダリオはショックを受けた。初めてきちんと合意を確認せず、挿入されてしまったからだった。
 すると、ダリオがびっくりしたのを感じ取ったように、キューっとテオドールが妙な泣き声を上げて、背中を丸めてしまった。
 キューキュー鳴いているので、え、頭ん中まで犬になったっぽいのか、嘘だろ……という気持ちが湧き起こる。キュンキュン犬が鳴くのは、甘えたい時もだが、不安に思っている時もそんな風に鳴く。
「あ……だいじょうぶ。びっくりした、だけ……テオ、俺の言葉、わかる?」
 キュン、とお返事するので、そこは大丈夫か? とダリオは謎に思いながら、
「テオ、犬のまま、したいのか?」
 ぺろぺろと犬のテオドールはダリオの顔を舐めてきた。ご機嫌をうかがうように、上目遣いだ。ええ、くそかわ……とダリオはまあいいかと思ってしまった。
 知能下がり過ぎて、我慢できないっぽいな、と理解する。  
「なんかもう……テオだし、いいかな……我慢しなくていいぞ。ゆっくりできるか?」
 ほんとうにいいの? とでも言わんばかりにテオドールは、じ、とダリオを凝視する。
「ん、ちょっとまだ躊躇あるが、俺、テオなら何されても……いいから……な?」
 Come here.
 とダリオはテオドールの大きな体を両腿で挟むようにした。
 犬っぽいけど、犬じゃねーっぽいな……とこの状態で下半身結合無理なくできる辺り、ダリオは冷静に思いもする。
「あ……はっ……」
 犬の形をしたテオドールの、つるりとした性器がぬぷぬぷと入って来て、
(あ、あ、うそ、犬のテオの、はいっちゃ、あ、あ~~~~~~~~~~)
 少しずつ押し入られていくのが、信じられないくらい気持ちいい。ダリオは泣きそうだった。やっぱりマズイのではという思いとは裏腹に、腰骨から背骨へと這い上るような背徳感の官能が、内壁を進むペニスと連動するように、ぞぞぞ、と悦点を擦り上げて行く。
「あっ、あっ、ダメッ、きもちっ、ぃ、や、駄目、ダメっ」
 意味をなさない否定の羅列は、ダリオの混乱と、人の道に背いているという感覚から出たものだ。だがそれだけではない。剥き出しの鋭敏な快楽神経を、ぞりぞりとこそぎあげられるような微弱の絶頂感。
 あとは何よりも、巨体のテオドールでも、人型のテオドールでもない、犬のテオドールが知性ガタ落ちしているのに受け入れるのどうなんだ? といういわば浮気の罪悪感だった。
 でも全部テオドールだし、テオドールが好き。テオドールになら何をされてもいい。すき、すき。
 気持ちいいのと好きなのがいっぱいになって、ダリオは、ぎゅうううっ、と内癖も両脚も両手も全部獣のテオドールを抱きしめて、高く深く絶頂した。お腹の奥に、獣のテオドールの精液をいっぱいかけられて、一番奥が悦び、まるで犬が嬉しすぎて小水を漏らすようにちゅぱちゅぱちゅうちゅうと吸い上げうねりながら、出してはいけないものをお漏らしした。


 元にもどったテオドールが珍しく真っ青といった感じで謝罪してきた。ダリオはフォローのつもりで、「気持ちよかったし、俺もいいって言ったから」などと言ったのだが、犬の僕の方がダリオさんは好き……と落ち込んでしまった上に、ダリオさんに無理やりした……と更にショックを受けて小さくなっているので、テオドールの中では、何かとてつもなく倫理的に抵触したらしいのは察した。
 ダリオはとりあえず、
「気持ちよかったけど、人型のテオの方が好きだぞ。ずっと一緒にいたのはこっちのテオだし……一番すき」
「大きな僕よりもですか?」
「うん、そうだな。人型のテオが俺、一番好きだと思う。いつも一緒にいてくれたし、助けてくれただろ? テオも、擬態って言うが、こだわるのはそこなんじゃないか? 一番一緒にいたのにってことじゃないのか?」
「……はい」
「あっちのテオも、犬のテオもかわいかったけど、一番は人型のテオ。そうだな、そうだと思う」
 犬のテオの件でも思ったが、それぞれのテオドールは彼の一面ではありながら、感覚や知性で差があるという意味では、異なる彼でもあるのかもしれない。人型のテオドールはどうも一番嫉妬深いようだった。
 一番と言って貰えて満足しているようなので、人型だとキスもできるし、それが一番いいよなあ、という思いもわいて来る。
 そして、テオドールが斜め上過ぎて、ショック療法なのかなんなのか、あ、ふつうにできそうだな……と悩んでいた件は自然解決しそうなけはいもあるのだった。
 

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