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第二性選択編
18.エンドレスな確認行為
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今日は週末。
あらかじめ、父さんも母さんも早めに帰ってくると聞いている。
だから俺としては、いつも通り颯真に家まで送ってもらって、ついでに自室でまったり一緒に過ごして、それで終わりでも良かったんだけど。
颯真の方はそんなマイルドなプランでは到底納得できないみたいだ。
有無を言わさず最寄り駅を乗り過ごさせられ、連れ込まれた颯真の家。
母屋の方へ寄らず、離れの建物に真っ直ぐ向かう背中に少しだけ笑ってしまった。
「必死すぎ」
「必死にもなるよ……」
離れのドアが閉まった瞬間に抱き締められ、遠慮なく笑う。
とはいえ俺も颯真を笑える立場じゃない。
俺よりも広くて大きな背中に手を回して、同じくらい強い力でハグを返す。
あぁ、やっぱりいい匂いだなぁ。
これまで主にベータの女の子と、これくらいの距離で肌を触れ合わせてきたけど、心の底から安心するような他人の匂いを嗅いだことは一度もなかった。
長年無意識に求めていたものを与えられたような、俺の体のどこかにぴったり嵌るような。
これがアルファとオメガというものなんだろうか。
一度でもこの心地良さを知ってしまったらきっと、アルファもオメガも逆らえない。
「オメガになっちゃったとき、マジヤベーって思ったけど、颯真がいてくれて良かったなぁ……」
神様にオメガにされました、なんてすぐに信じてもらえるはずのないオカルト体験だ。
最初に相談する相手を間違えていたら、俺はきっと颯真にも体のことを話せずに抱え込み、きっと今頃は大変なことになっていただろう。
目の色を変えて俺というオメガを追いかけてきた、見知らぬアルファたちのことを思い出すと背筋が寒くなる。
「ユキが俺だけに相談してくれて本当に良かった。知らない間に、他の誰かにユキを奪られていたかもしれないと思うと……ぞっとする」
颯真も似たようなことを考えていたみたいだ。
俺も颯真以外と、なんて考えたくもない。これはきっと必然だったんだ。
いつまでも玄関先で抱き合ってるのも何なので、ハグを解かせて奥へ進む。
うろ覚えの発情期に数日だけお世話になった離れだけど、意外と間取りとか覚えてた。
真っ直ぐ向かった寝室には、畳んだ布団が一組置かれていた。確か以前は母屋から颯真が布団を運んできてくれたはずだ。
部屋は埃っぽさもなく、しっかり手入れされている。
普段は誰も使っていないはずの離れだと言っていたのに、これはどういうことか。
「ちょっと、颯真くん? こんなとこしっかり掃除して、お布団干して誰と過ごすつもりだったの~?」
責める言葉を吐いたものの、語尾が笑って震えてしまう。
からかわれた颯真は少し恥ずかしそうに俯いて、それでもしっかり目を見て返答してくれた。
「ユキ以外の相手がいるわけないだろ」
「へへ。そっか」
布団を敷いて、ご丁寧に添えてあるバスタオルをシーツの上に敷く。
横の小物入れにはラブホで見たようなエチケット用品まで備えてあった。これご両親に見られたらどう言い訳するつもりだったんだろ?
さらなるからかいを言う前に、颯真がのしかかってきた。
余裕なんて一欠片もない、飢えて切羽詰まってわずかに潤んでしまっている瞳を見つめ返して、キスをする。
「ん……」
キスなんてもう何度もしているのに、いつだって颯真とのものは特別だ。
角度を変えながらついばまれる。勝手に唇が開いてしまって、分厚い舌が侵入してくると、もう抗うことはできない。
「ふぁ、あ……」
制服の生地越しに体の線を辿られて、それだけで甘い予感に体が震える。
颯真の手はいくらか性急に、俺のベルトにかかった。
「ごめんユキ、余裕ない」
「ん、俺もはやくほしい……」
自分から服を脱いでいく。
ジャケットがしわになるのも気にせず放り出して、同じようにワイシャツもスラックスも脱ぎ捨てる。袖を抜くときに颯真が手伝ってくれた。
余裕がないという申告通り、颯真も常にない荒々しさで制服を放った。
帰宅部の俺とは違う、しなやかな筋肉が全身についたアルファの肉体が目の前に晒される。
あれにこれから抱かれるんだ。恋人として。
そう思った瞬間、下半身に血が集まったのがわかった。自分でもおかしいくらい興奮してる。
どこまでも素直な俺の体は、前だけでなく後ろも顕著な反応を示した。
「ぁ、やば……俺もう濡れてる……」
身を捩っただけでいやらしい水音がする。
短期間で受け入れることに慣れてしまった後孔は、刺激がなくとも愛液を分泌し始めていた。
どうしよう。今更恥ずかしくなってきた。
膝を立てて下腹の反応を隠そうとしたけど、颯真に押し倒された格好のままではうまくいかない。檻のような場所から逃げ出そうとしたけど、そんなことが許されるはずもなかった。
「見せて」
「ひゃっ、や、ぁ!」
腰を掴まれ引きずり戻され、それどころか薄い尻肉を割り開かれた。
窄まった場所に颯真の視線が集中している。羞恥に体温が上がったけど、もはや逃亡も抵抗もできない。
「やだ……見んな……」
「わかった。あんまり見ないようにするから、こっち向いて」
「……ん」
ころんと体を倒して上を向くと、颯真がずいぶんと下の方に陣取っていた。
なんか嫌な予感がする……。
普段は大してあたらない俺の勘が、このときばかりはなぜか的中してしまった。
颯真が俺の息子をぺろりと舐めてしまう、という形で。
「うわぁあ!? 何してんの!」
押しのけようと身を起こした途端、颯真は目の前のそれを口に入れてしまった。
颯真の薄い唇が大きく開いて、成人男性の平均くらいはある俺のナニを迎え入れている。熱い粘膜の中で舌が絡まる感覚。
「あぁっ……!」
同じ男だ、どこでどれだけ感じるかなんてお見通し。
誰しも弱いであろう先端や裏筋を刺激され思わず仰け反った。背中が布団に逆戻りしてしまったが、気にする余裕がない。
おかしい。そこは普段自分でいじる場所だし、フェラだって今までも何回かされてきた。こんなに身悶えて喘いでしまうほどの行為じゃない。
なのに、俺のものを颯真がしている、というだけで頭がおかしくなりそうなほど興奮する。
「ちょ、やば、イきそう……っ、そーま、離れて」
「らひへ」
「ウソだろおいっ、ぁ、ああっ」
絶頂の瞬間、突き放すために掴んだ颯真の頭を自分の股間に押し付けるような形になってしまった。
なんてこった。口に出してしまった。
慌てて部屋を見回し、ティッシュを箱ごと引き寄せる。
「うわっごめん! ぺっしろ、ぺっ」
「……ゔ……まじぃ……」
「当たり前だろバカ!」
どうやらこの男、俺の精液が美味いものかなにかだと誤解していたらしい。
意味がわからない。エロい雰囲気の中だと著しくIQが下がるタイプなのだろうか。
口に溜まった白濁を苦々しい顔で吐き出し、部屋のすぐ外の手洗い場で口をゆすがせ、戻ってきた颯真と向き合う。
体の奥の熱は未だ燻ったままだが、一回出したことで若干冷静になった。
「フェラ禁止」
「えっ」
「当たり前だろ。堪えが効かずに口に出しちゃったことで男の沽券が傷ついた。俺のちんこ咥えた口とキスするのも嫌だし、もうするな」
「マジか……じゃあもうキスできない?」
「洗ったので良しとする。フェラなら代わりに俺がやるから」
思いつきで口にした代案だったが悪くない気がしてきた。
今まで颯真とアレコレしたとき、俺はいつもふにゃふにゃに溶かされてしまって、こっちから触る機会があまりなかった。
颯真の颯真に関しても同様で、明らかに俺よりデカいことくらいしかわからない。俺のは「成人男性平均」なんて言って濁したが、颯真のブツはおそらく「アルファ男性平均」の方に乗るやつだ。太い、長い、ついでに上手い。
せっかくだし今からでも、と身を乗り出した俺を颯真が止める。
「いや、俺はいい」
「問答無用で俺の舐めといて何言ってんの?」
「それは悪かった……そこまで嫌がられると思ってなかった。でも俺はいいんだ、とりあえず次の機会にしてくれ」
今は早く、ユキの中に入りたい。
そんなことをド真面目な顔で言われてしまえば反論などできやしない。
「……っ、し、仕方ないやつだな……」
照れて真っ赤になった頬を見られたくなくて顔を背けたけど、きっと颯真には全部バレてしまっている。
俺だって、見なくてもわかるんだ。颯真が俺の体にしっかり欲情してくれてることが。
「ん、んぅ……」
「ユキ、ちょっとゆるめて」
「ごめ、ぁ、あっ、ふぁあ……っ」
やや駆け足に、でも決して乱暴にされることはなく後孔をほぐされ、颯真が中に入ってくる。
何度経験してもすごい圧迫感だ。
ただ、肛門が切れてしまったのではないかと思うほどの引き攣れた痛みは感じない。実は発情期以外にヤると少し、ほんの少しだけ痛いことがあったんだ。
本物のオメガならきっと、もっと柔軟にアルファを受け入れられるんだろうと思ったら言い出せなくて、今も颯真に告げるつもりはないけど。
「痛くないか?」
「だいじょぶ……も、動いていーよ」
「わかった。ゆっくりな」
最初は言葉通り慎重に、俺が感じるポイントを重点的に押し潰していく。
次第に抽挿が激しくなって、お互いに理性が消し飛んでいく。
俺は喘ぐだけになって、中の颯真をぎゅうぎゅう締め付けてしまって、前への刺激じゃなく後ろの快感だけで達する真っ白な境地に放り出される。
その間に颯真もイけていれば少し休憩。
半分飛びかけた俺の意識が戻ってきても颯真がイけてなければ、敏感になっている肉筒を擦り上げられて半泣きになりながら二回目の絶頂を迎える。
普段はそんな感じで、次の日への肉体的負担も考慮してほどほどで終わることが多いんだけど……。
「やっ、そーま、おれもう無理ぃ」
「ごめんユキ……でも全然収まらないんだ」
「やぁあ、あっあっ、おく、奥やめてぇ」
「く、ぅ……っ」
もう何回イかされたかわからない。
颯真も出せたみたいだけど、ナカはもう颯真のものでいっぱいになってて感覚もない。
途中でゴムがなくなってしまって、ナマでヤり始めてからも相当な時間が経ってる。なんでアルファ用のスキンって一箱に数えるほどしか入ってないんだ。
ナマで続きしようと誘ってしまった手前、もうやめようと強く言えなくて、こうして限界まで蹂躙されている。
「……ふ、ぁ……」
やっと颯真が俺の中から出ていった。
バスタオルもシーツもどろどろだとか、尻から溢れてくるとかもうどうでもいい。今すぐ休みたい。
死体のように布団に倒れ込んだ俺の意識は、すぅっと眠りへ旅立とうとした。
「ユキ」
「んぇ……そ、ま……おれもう……」
「ごめん、あと一回だけ」
「は、え、ふぁ、ああぁっ?」
すっかり颯真の形になってしまったであろう後孔に再びぶっといものを突き刺され、嫌でも目が冴える。
腰を抱えられ、すぐに律動が始まり、過ぎた快楽に俺は泣いた。
「も、マジでむりぃ」
「悪い。でも今まで我慢してた分、抑えが効かない……」
嘘だろ、今までだって散々ヤってたのに我慢してたのかよ。あれで。
一度は萎えたはずのブツが再びガチガチになっているのを直腸で感じ取った俺は、明日以降の休日の予定をすべて諦めた。
俺の体は仮初のオメガだけど、アルファとしても俺は中途半端な存在だったと認めざるを得ない。
だってこんなに絶倫じゃないもん。
逆立ちしたってこれほど休みなく何連発もできそうにない。
「腹上死だけは……かんべんして……」
「ユキなら耐えられる、大丈夫」
「ひぇえ……」
力強く揺さぶられるまま、俺は思った。
やっぱりアルファに戻してもらおう。このままじゃ今日でなくても、いつかヤり殺される。
気絶するように眠った俺が目を覚ましたとき、土下座せんばかりに謝る颯真に絆されてしまうのは、数時間後の話だ。
あらかじめ、父さんも母さんも早めに帰ってくると聞いている。
だから俺としては、いつも通り颯真に家まで送ってもらって、ついでに自室でまったり一緒に過ごして、それで終わりでも良かったんだけど。
颯真の方はそんなマイルドなプランでは到底納得できないみたいだ。
有無を言わさず最寄り駅を乗り過ごさせられ、連れ込まれた颯真の家。
母屋の方へ寄らず、離れの建物に真っ直ぐ向かう背中に少しだけ笑ってしまった。
「必死すぎ」
「必死にもなるよ……」
離れのドアが閉まった瞬間に抱き締められ、遠慮なく笑う。
とはいえ俺も颯真を笑える立場じゃない。
俺よりも広くて大きな背中に手を回して、同じくらい強い力でハグを返す。
あぁ、やっぱりいい匂いだなぁ。
これまで主にベータの女の子と、これくらいの距離で肌を触れ合わせてきたけど、心の底から安心するような他人の匂いを嗅いだことは一度もなかった。
長年無意識に求めていたものを与えられたような、俺の体のどこかにぴったり嵌るような。
これがアルファとオメガというものなんだろうか。
一度でもこの心地良さを知ってしまったらきっと、アルファもオメガも逆らえない。
「オメガになっちゃったとき、マジヤベーって思ったけど、颯真がいてくれて良かったなぁ……」
神様にオメガにされました、なんてすぐに信じてもらえるはずのないオカルト体験だ。
最初に相談する相手を間違えていたら、俺はきっと颯真にも体のことを話せずに抱え込み、きっと今頃は大変なことになっていただろう。
目の色を変えて俺というオメガを追いかけてきた、見知らぬアルファたちのことを思い出すと背筋が寒くなる。
「ユキが俺だけに相談してくれて本当に良かった。知らない間に、他の誰かにユキを奪られていたかもしれないと思うと……ぞっとする」
颯真も似たようなことを考えていたみたいだ。
俺も颯真以外と、なんて考えたくもない。これはきっと必然だったんだ。
いつまでも玄関先で抱き合ってるのも何なので、ハグを解かせて奥へ進む。
うろ覚えの発情期に数日だけお世話になった離れだけど、意外と間取りとか覚えてた。
真っ直ぐ向かった寝室には、畳んだ布団が一組置かれていた。確か以前は母屋から颯真が布団を運んできてくれたはずだ。
部屋は埃っぽさもなく、しっかり手入れされている。
普段は誰も使っていないはずの離れだと言っていたのに、これはどういうことか。
「ちょっと、颯真くん? こんなとこしっかり掃除して、お布団干して誰と過ごすつもりだったの~?」
責める言葉を吐いたものの、語尾が笑って震えてしまう。
からかわれた颯真は少し恥ずかしそうに俯いて、それでもしっかり目を見て返答してくれた。
「ユキ以外の相手がいるわけないだろ」
「へへ。そっか」
布団を敷いて、ご丁寧に添えてあるバスタオルをシーツの上に敷く。
横の小物入れにはラブホで見たようなエチケット用品まで備えてあった。これご両親に見られたらどう言い訳するつもりだったんだろ?
さらなるからかいを言う前に、颯真がのしかかってきた。
余裕なんて一欠片もない、飢えて切羽詰まってわずかに潤んでしまっている瞳を見つめ返して、キスをする。
「ん……」
キスなんてもう何度もしているのに、いつだって颯真とのものは特別だ。
角度を変えながらついばまれる。勝手に唇が開いてしまって、分厚い舌が侵入してくると、もう抗うことはできない。
「ふぁ、あ……」
制服の生地越しに体の線を辿られて、それだけで甘い予感に体が震える。
颯真の手はいくらか性急に、俺のベルトにかかった。
「ごめんユキ、余裕ない」
「ん、俺もはやくほしい……」
自分から服を脱いでいく。
ジャケットがしわになるのも気にせず放り出して、同じようにワイシャツもスラックスも脱ぎ捨てる。袖を抜くときに颯真が手伝ってくれた。
余裕がないという申告通り、颯真も常にない荒々しさで制服を放った。
帰宅部の俺とは違う、しなやかな筋肉が全身についたアルファの肉体が目の前に晒される。
あれにこれから抱かれるんだ。恋人として。
そう思った瞬間、下半身に血が集まったのがわかった。自分でもおかしいくらい興奮してる。
どこまでも素直な俺の体は、前だけでなく後ろも顕著な反応を示した。
「ぁ、やば……俺もう濡れてる……」
身を捩っただけでいやらしい水音がする。
短期間で受け入れることに慣れてしまった後孔は、刺激がなくとも愛液を分泌し始めていた。
どうしよう。今更恥ずかしくなってきた。
膝を立てて下腹の反応を隠そうとしたけど、颯真に押し倒された格好のままではうまくいかない。檻のような場所から逃げ出そうとしたけど、そんなことが許されるはずもなかった。
「見せて」
「ひゃっ、や、ぁ!」
腰を掴まれ引きずり戻され、それどころか薄い尻肉を割り開かれた。
窄まった場所に颯真の視線が集中している。羞恥に体温が上がったけど、もはや逃亡も抵抗もできない。
「やだ……見んな……」
「わかった。あんまり見ないようにするから、こっち向いて」
「……ん」
ころんと体を倒して上を向くと、颯真がずいぶんと下の方に陣取っていた。
なんか嫌な予感がする……。
普段は大してあたらない俺の勘が、このときばかりはなぜか的中してしまった。
颯真が俺の息子をぺろりと舐めてしまう、という形で。
「うわぁあ!? 何してんの!」
押しのけようと身を起こした途端、颯真は目の前のそれを口に入れてしまった。
颯真の薄い唇が大きく開いて、成人男性の平均くらいはある俺のナニを迎え入れている。熱い粘膜の中で舌が絡まる感覚。
「あぁっ……!」
同じ男だ、どこでどれだけ感じるかなんてお見通し。
誰しも弱いであろう先端や裏筋を刺激され思わず仰け反った。背中が布団に逆戻りしてしまったが、気にする余裕がない。
おかしい。そこは普段自分でいじる場所だし、フェラだって今までも何回かされてきた。こんなに身悶えて喘いでしまうほどの行為じゃない。
なのに、俺のものを颯真がしている、というだけで頭がおかしくなりそうなほど興奮する。
「ちょ、やば、イきそう……っ、そーま、離れて」
「らひへ」
「ウソだろおいっ、ぁ、ああっ」
絶頂の瞬間、突き放すために掴んだ颯真の頭を自分の股間に押し付けるような形になってしまった。
なんてこった。口に出してしまった。
慌てて部屋を見回し、ティッシュを箱ごと引き寄せる。
「うわっごめん! ぺっしろ、ぺっ」
「……ゔ……まじぃ……」
「当たり前だろバカ!」
どうやらこの男、俺の精液が美味いものかなにかだと誤解していたらしい。
意味がわからない。エロい雰囲気の中だと著しくIQが下がるタイプなのだろうか。
口に溜まった白濁を苦々しい顔で吐き出し、部屋のすぐ外の手洗い場で口をゆすがせ、戻ってきた颯真と向き合う。
体の奥の熱は未だ燻ったままだが、一回出したことで若干冷静になった。
「フェラ禁止」
「えっ」
「当たり前だろ。堪えが効かずに口に出しちゃったことで男の沽券が傷ついた。俺のちんこ咥えた口とキスするのも嫌だし、もうするな」
「マジか……じゃあもうキスできない?」
「洗ったので良しとする。フェラなら代わりに俺がやるから」
思いつきで口にした代案だったが悪くない気がしてきた。
今まで颯真とアレコレしたとき、俺はいつもふにゃふにゃに溶かされてしまって、こっちから触る機会があまりなかった。
颯真の颯真に関しても同様で、明らかに俺よりデカいことくらいしかわからない。俺のは「成人男性平均」なんて言って濁したが、颯真のブツはおそらく「アルファ男性平均」の方に乗るやつだ。太い、長い、ついでに上手い。
せっかくだし今からでも、と身を乗り出した俺を颯真が止める。
「いや、俺はいい」
「問答無用で俺の舐めといて何言ってんの?」
「それは悪かった……そこまで嫌がられると思ってなかった。でも俺はいいんだ、とりあえず次の機会にしてくれ」
今は早く、ユキの中に入りたい。
そんなことをド真面目な顔で言われてしまえば反論などできやしない。
「……っ、し、仕方ないやつだな……」
照れて真っ赤になった頬を見られたくなくて顔を背けたけど、きっと颯真には全部バレてしまっている。
俺だって、見なくてもわかるんだ。颯真が俺の体にしっかり欲情してくれてることが。
「ん、んぅ……」
「ユキ、ちょっとゆるめて」
「ごめ、ぁ、あっ、ふぁあ……っ」
やや駆け足に、でも決して乱暴にされることはなく後孔をほぐされ、颯真が中に入ってくる。
何度経験してもすごい圧迫感だ。
ただ、肛門が切れてしまったのではないかと思うほどの引き攣れた痛みは感じない。実は発情期以外にヤると少し、ほんの少しだけ痛いことがあったんだ。
本物のオメガならきっと、もっと柔軟にアルファを受け入れられるんだろうと思ったら言い出せなくて、今も颯真に告げるつもりはないけど。
「痛くないか?」
「だいじょぶ……も、動いていーよ」
「わかった。ゆっくりな」
最初は言葉通り慎重に、俺が感じるポイントを重点的に押し潰していく。
次第に抽挿が激しくなって、お互いに理性が消し飛んでいく。
俺は喘ぐだけになって、中の颯真をぎゅうぎゅう締め付けてしまって、前への刺激じゃなく後ろの快感だけで達する真っ白な境地に放り出される。
その間に颯真もイけていれば少し休憩。
半分飛びかけた俺の意識が戻ってきても颯真がイけてなければ、敏感になっている肉筒を擦り上げられて半泣きになりながら二回目の絶頂を迎える。
普段はそんな感じで、次の日への肉体的負担も考慮してほどほどで終わることが多いんだけど……。
「やっ、そーま、おれもう無理ぃ」
「ごめんユキ……でも全然収まらないんだ」
「やぁあ、あっあっ、おく、奥やめてぇ」
「く、ぅ……っ」
もう何回イかされたかわからない。
颯真も出せたみたいだけど、ナカはもう颯真のものでいっぱいになってて感覚もない。
途中でゴムがなくなってしまって、ナマでヤり始めてからも相当な時間が経ってる。なんでアルファ用のスキンって一箱に数えるほどしか入ってないんだ。
ナマで続きしようと誘ってしまった手前、もうやめようと強く言えなくて、こうして限界まで蹂躙されている。
「……ふ、ぁ……」
やっと颯真が俺の中から出ていった。
バスタオルもシーツもどろどろだとか、尻から溢れてくるとかもうどうでもいい。今すぐ休みたい。
死体のように布団に倒れ込んだ俺の意識は、すぅっと眠りへ旅立とうとした。
「ユキ」
「んぇ……そ、ま……おれもう……」
「ごめん、あと一回だけ」
「は、え、ふぁ、ああぁっ?」
すっかり颯真の形になってしまったであろう後孔に再びぶっといものを突き刺され、嫌でも目が冴える。
腰を抱えられ、すぐに律動が始まり、過ぎた快楽に俺は泣いた。
「も、マジでむりぃ」
「悪い。でも今まで我慢してた分、抑えが効かない……」
嘘だろ、今までだって散々ヤってたのに我慢してたのかよ。あれで。
一度は萎えたはずのブツが再びガチガチになっているのを直腸で感じ取った俺は、明日以降の休日の予定をすべて諦めた。
俺の体は仮初のオメガだけど、アルファとしても俺は中途半端な存在だったと認めざるを得ない。
だってこんなに絶倫じゃないもん。
逆立ちしたってこれほど休みなく何連発もできそうにない。
「腹上死だけは……かんべんして……」
「ユキなら耐えられる、大丈夫」
「ひぇえ……」
力強く揺さぶられるまま、俺は思った。
やっぱりアルファに戻してもらおう。このままじゃ今日でなくても、いつかヤり殺される。
気絶するように眠った俺が目を覚ましたとき、土下座せんばかりに謝る颯真に絆されてしまうのは、数時間後の話だ。
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