黄泉津役所

浅井 ことは

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祭り

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「高が居たら……」

「でも、気は何も……」

神社について一緒に中に入り、「ここに居たんだ」と自分と高龗神がいたところを指さす。

「残念ながら今は何も残ってませんね」

「猿田もいないぞ?」

みんなで桃ちゃんと祖母を囲みながら拝殿の前に行くが、誰もいないということは大きい祭りの方の神社なのかな?と車で行こうかと駐車場に戻ろうとすると、「池だ」と闇之助が走っていく。

「闇之助!」

「高ぁぁぁ!貴様!」

「闇……そんなに人に呆けて……」

「拘束する。穢れを祓え!お前はそんなやつじゃないだろう?」

「もう遅いんだよ闇」

「闇之助……」

祖母と桃ちゃんには下がってもらっていたのに、祖母が何故か高龗神の立っている池の橋まで行き、「大丈夫よ」と抱きしめる。

「婆ちゃん!離れて!」

「いいえ。闇之助と同じ匂いがするわ」と両手を取り、「私には分からないけれど、お役所に行けばあなたは元のあなたに戻るの?」と語りかける。

「は、離せ!」

ドンと突き飛ばし、祖母が転んですぐ志那さんが助けに行く。

「ご婦人に怪我をさせては行けませんよ」

「大丈夫よ。手を擦りむいただけだから」

「う、うっ、うぇーん」

やばっ!桃ちゃんが泣いちゃう!

俺の所に来てからずっと心配させたり泣かせたりばかりじゃないか!

「高龗神だっけ?偉そうな名前のくせに、神様のくせに、人に危害ばっか加えやがって!」と反対側から殴りに行く。

なのに、殴ろうとしたらフワリと上に上がってしまう。

ずるいぞ!

「その老女は危険だ……」

そう言って姿を消してしまう。

「婆ちゃん」

「大丈夫よ。本当に……悲しそうな顔をしていたわね」

「とりあえず車で帰ろう」

「志那、手水舎で手を洗ってやってくれ」

手を洗って家に戻るとすぐに布団に寝かされ、膝と、手を志那さんが癒してくれる。

「消毒というのもしたので大丈夫と思いますよ。お祖母様がもしかしたら……」

「婆ちゃんがなに?」

「いえ、考えすぎかもしれません。今日は桃ちゃんとお祖母様は離しておいた方が良いでしょう。あの子も頑張りすぎる」

「桃」

「お兄ちゃんなぁに?」

「俺の部屋で寝ろ」

「うん!」

いやいや、そしたら風太はどうする!の前に志那さんは闇之助の部屋なんじゃなかったのか?

幸いにも和室があるのでそこで寝てもらうことにし、俺の部屋に風太を連れてきて寝る支度をするのだが、風太はところどころ匂いを嗅いで嫌そうな声を出す。

「なんだよ」

「この辺臭い」

「そうか?何にもないのに」

「焦げたにおいする」

気のせいだよと電気を消して朝まで寝るが、風太はずっと壁の方を向いたまんま。
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