黄泉津役所

新しい生活へ

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進むだけ進み、他に扉も何も無かったから間違えてはいないはずだと自分に言い聞かせて、何故か豪華な扉の目の前。

「よし！」と開けると、中は広くて真っ白な部屋。

しかも霧か何かで先が見えない。

「床……はある」

すり足でゆっくりと進むと、コツンと足になにかが当たる。

手を伸ばすとザラっとした石のようなもの。

なにかは分からないが、「くらのすけー！」と呼びながら進むと、やっと霧が晴れてきて見えたもの。

「なんだ……ここ」

本当に地下であの変なところを通ってきたのか？と言うほど綺麗な草原の真ん中には池。

その真ん中には鳥居だけが立っていて、誰かがいる気配は無い。

「どなたかいませんかー？」と言うと、どなたかいませんかー！とこだまする。

「闇之助ー！高龗神さーん」

周りを歩いていると、「どなた？」と池の方から声。

そちらこそどなたですか？

「あ、あの。くらの……闇龗神と高龗神を探してて……」

「ここにはもう居ないわ。あなた、井筒丈史君？」

「そうです」

「ここから直接役所まで行ける所があるから帰りなさい」と言われて「帰りません」と答える。

何故か負けたらダメな気が……

「ここからは神域よ。人が踏み入ってはいけないの」

「じゃあ、呼んでください」

「それも無理」と言いながら大人の姿になったり子どもの姿になったり。

「あっ！丈史！」

「八上さん……」

「あんた話しくらいちゃんと聞きなさいよ！もうここにはいないのよ……」

「大宜都さんが地下って言ったからてっきり」

色んな姿に変える人なのか神様なのか分からない物を八上さんが無視しているので、「俺、二人に会いたいんです」と言うと、「ほんっっっとに馬鹿な子ね」と何故か涙ぐんでいる。

「八上……さん？」

「とりあえず行きましょ。ここは長くいるところじゃないから」

また霧の中を進むと、ちゃんと壁があり、エレベーターのボタン。

八神さんが押したのは最上階。

展望の所かな？と思って着くのを待って、エレベーターが開いてみたもの。

「なんじゃこれ！」