聖女なんかじゃありません！～異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます～

12 婚約とドレスと女の戦い

12ー10 エルフですか？

　12ー10　エルフですか？

　大公閣下は、なぜか最近ライナス先生に懐いていた。
　いやいや！
　ほんとに、いい人なんだよね、うちのライナス先生は！
　男前だし、優しいし。
　もしここが高齢化社会になればきっとライナス先生は、老人たちの人気者になることだろう。
　まあ、普通にアイドルを目指すことも可能なのかもな。
　だって、イケメンだし。
　なんでまた、この人がわたしの旦那になるんだか。
　世の中は理解できないことが起こるものだな！
　わたしがぼうっとしているとレイアさんが肩をツンツンとしてきた。
　「何、ぼうっとしてライナス先生に見とれているの？」
　「べ、別に、見とれてなんて！」
　わたしがアワアワしているのを見てレイアさんがクスクスと笑った。
　「かわいい！トガー様。いいわねぇ、若いって」
　いやいやいや！
　レイアさんがいいますか？
　わたしは、じっとレイアさんのことを見つめた。
　レイアさんは、タリアさんの母親だったがとてもそんなでかい子供がいるようには思えない。
　何も言われなければ、普通に、十代後半かなとか思ってしまうぐらいには若い。
　奇跡のロリババアっぷりだな！
　「レイアさんの方が若く見えるじゃないですか」
　わたしが言うとレイアさんは、ふぅっとため息をついた。
　「だって、仕方ありませんわ。私は、エルフですもの」
　はい？
　突然の告白にわたしは、めっさ驚いていた。
　あのファンタジー世界の人気者。
　常に神秘的な雰囲気のつきまとう筈のキャラクターであるエルフがわたしの目の前にいた？
　でも。
　レイアさんの耳は、普通の人の耳とかわりがなかった。
　エルフって、耳が長いことで有名なんじぇね？
　「耳がエルフみたいに長くないって思っている？」
　レイアさんが少しだけ表情を曇らせる。
　「エルフは、いくつかの部族にわかれているのよ。特徴的には、耳が長いハイエルフ系の者と、わたしのような耳が丸いウッドエルフ系の者に分かれるの」
　「へぇー」
　わたしは、感心してきいていた。
　わたしは、こう見えても実は、ファンタジーについては詳しくないのだ。