153 / 230
14 忘却と罪
14ー2 ここだけの話
しおりを挟む
14ー2 ここだけの話
わたしは、いまにも泣き出しそうになっているレイアさんを見て口を閉じた。
しかも、よくよく見るとレイアさんが身に付けている白いワンピースのような部屋着の腰の辺りには染みがあった。
あれ?
わたしは、首を傾げた。
もしかして?
「タリアさんは、どこですか?」
「あ、あの子は・・・」
レイアさんは、視線を泳がせながらもおどおどと答えた。
「トガー様、どうか、あの子を叱らないで!あの子は、悪くないの。ただ、少し、その・・・」
「タリアさんは、今、ここにいないんですね?」
わたしが訊ねるとレイアさんは視線をそらした。
「ええ、今は、いないの」
ふむふむ。
わたしは、頷いた。
「とにかく部屋を片付けましょうか、レイアさん」
わたしは、レイアさんに声をかけると彼女を促して部屋を片付け始めた。
といっても散らばった衣類を一ヶ所に集めたり、窓を開けて空気の入れ換えをしたりしてるだけだけどな。
「シーツは、どこですか?」
「シーツ?」
レイアさんが戸惑いを隠せない。
「どこかしら?」
うん。
わたしは、部屋の荒らされたタンスの中や、ワードローブの中を覗いていった。
すると、大きなタンスの1番下の引き出しに突っ込まれていた湿ったシーツを発見した。
「あ、ありました!」
わたしの言葉をきいてレイアさんがほっと吐息をもらした。
レイアさんの表情に少し余裕が感じられるようになったので、わたしもほっとしていた。
わたしは、汚れたシーツを丸めて集めた衣類の上に置くと、思い付いたようにレイアさんを振り返った。
「レイアさん、もうパーティーが始まってますよ。ドレスを着なくっちゃ」
「でも、私・・・」
レイアさんの表情がまたかげる。
わたしは、できるだけ優しく微笑んだ。
「大丈夫です、レイアさん。ゆっくりでいいから服を脱いでもらっていいですか?」
わたしは、寝室で服をっもたもたと脱ぎ始めたレイアさんの足元に体を拭うときに使われる浅い盆のようなものを部屋から探して出してきた。
「レイアさん、ここに乗ってください」
服を脱いだレイアさんをその盆の上に立たせるとわたしは、精霊さんにお願いしてお湯を作り出すとそれでそっとレイアさんの体を包み込んでいった。
レイアさんは、驚いた表情を浮かべていたのでわたしは、レイアさんに告白した。
「実は、わたしは、精霊の力を使える『精霊の愛人』なんです。でも、このことは、ここだけの 話にしてくださいね、レイアさん。でないとわたし、『教団』に目をつけられてしまうので」
わたしは、いまにも泣き出しそうになっているレイアさんを見て口を閉じた。
しかも、よくよく見るとレイアさんが身に付けている白いワンピースのような部屋着の腰の辺りには染みがあった。
あれ?
わたしは、首を傾げた。
もしかして?
「タリアさんは、どこですか?」
「あ、あの子は・・・」
レイアさんは、視線を泳がせながらもおどおどと答えた。
「トガー様、どうか、あの子を叱らないで!あの子は、悪くないの。ただ、少し、その・・・」
「タリアさんは、今、ここにいないんですね?」
わたしが訊ねるとレイアさんは視線をそらした。
「ええ、今は、いないの」
ふむふむ。
わたしは、頷いた。
「とにかく部屋を片付けましょうか、レイアさん」
わたしは、レイアさんに声をかけると彼女を促して部屋を片付け始めた。
といっても散らばった衣類を一ヶ所に集めたり、窓を開けて空気の入れ換えをしたりしてるだけだけどな。
「シーツは、どこですか?」
「シーツ?」
レイアさんが戸惑いを隠せない。
「どこかしら?」
うん。
わたしは、部屋の荒らされたタンスの中や、ワードローブの中を覗いていった。
すると、大きなタンスの1番下の引き出しに突っ込まれていた湿ったシーツを発見した。
「あ、ありました!」
わたしの言葉をきいてレイアさんがほっと吐息をもらした。
レイアさんの表情に少し余裕が感じられるようになったので、わたしもほっとしていた。
わたしは、汚れたシーツを丸めて集めた衣類の上に置くと、思い付いたようにレイアさんを振り返った。
「レイアさん、もうパーティーが始まってますよ。ドレスを着なくっちゃ」
「でも、私・・・」
レイアさんの表情がまたかげる。
わたしは、できるだけ優しく微笑んだ。
「大丈夫です、レイアさん。ゆっくりでいいから服を脱いでもらっていいですか?」
わたしは、寝室で服をっもたもたと脱ぎ始めたレイアさんの足元に体を拭うときに使われる浅い盆のようなものを部屋から探して出してきた。
「レイアさん、ここに乗ってください」
服を脱いだレイアさんをその盆の上に立たせるとわたしは、精霊さんにお願いしてお湯を作り出すとそれでそっとレイアさんの体を包み込んでいった。
レイアさんは、驚いた表情を浮かべていたのでわたしは、レイアさんに告白した。
「実は、わたしは、精霊の力を使える『精霊の愛人』なんです。でも、このことは、ここだけの 話にしてくださいね、レイアさん。でないとわたし、『教団』に目をつけられてしまうので」
36
あなたにおすすめの小説
【完結】そうは聖女が許さない〜魔女だと追放された伝説の聖女、神獣フェンリルとスローライフを送りたい……けど【聖水チート】で世界を浄化する〜
阿納あざみ
ファンタジー
光輝くの玉座に座るのは、嘘で塗り固められた偽りの救世主。
辺境の地に追いやられたのは、『国崩しの魔女』の烙印を押された、本物の奇跡。
滅びゆく王国に召喚されたのは、二人の女子高生。
一人は、そのカリスマ性で人々を魅了するクラスの女王。
もう一人は、その影で虐げられてきた私。
偽りの救世主は、巧みな嘘で王国の実権を掌握すると、私に宿る“本当の力”を恐れるがゆえに大罪を着せ、瘴気の魔獣が跋扈する禁忌の地――辺境へと追放した。
だが、全てを失った絶望の地でこそ、物語は真の幕を開けるのだった。
△▼△▼△▼△▼△
女性HOTランキング5位ありがとうございます!
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
【完結】聖女召喚に巻き込まれたバリキャリですが、追い出されそうになったのでお金と魔獣をもらって出て行きます!
チャらら森山
恋愛
二十七歳バリバリキャリアウーマンの鎌本博美(かまもとひろみ)が、交差点で後ろから背中を押された。死んだと思った博美だが、突如、異世界へ召喚される。召喚された博美が発した言葉を誤解したハロルド王子の前に、もうひとりの女性が現れた。博美の方が、聖女召喚に巻き込まれた一般人だと決めつけ、追い出されそうになる。しかし、バリキャリの博美は、そのまま追い出されることを拒否し、彼らに慰謝料を要求する。
お金を受け取るまで、博美は屋敷で暮らすことになり、数々の騒動に巻き込まれながら地下で暮らす魔獣と交流を深めていく。
聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる
夕立悠理
恋愛
ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。
しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。
しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。
※小説家になろう様にも投稿しています
※感想をいただけると、とても嬉しいです
※著作権は放棄してません
聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!
召喚聖女に嫌われた召喚娘
ざっく
恋愛
闇に引きずり込まれてやってきた異世界。しかし、一緒に来た見覚えのない女の子が聖女だと言われ、亜優は放置される。それに文句を言えば、聖女に悲しげにされて、その場の全員に嫌われてしまう。
どうにか、仕事を探し出したものの、聖女に嫌われた娘として、亜優は魔物が闊歩するという森に捨てられてしまった。そこで出会った人に助けられて、亜優は安全な場所に帰る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる