171 / 230
15 空の城
15ー9 開かれた場所に
しおりを挟む
15ー9 開かれた場所に
初夏をむかえる頃にも、わたしとライナス先生はまだ、結婚の儀式をしてはいなかった。
それは、わたしの事業が忙しかったためだった。
予定を先延ばしにすることをライナス先生は、快く了承してくれた。
「君の望む通りにしよう」
ライナス先生は、通信用の魔道具を通してわたしに伝えてきた。
その言葉にわたしは、甘えてしまった。
その頃、街は、だいたいの形ができ移住する人々も徐々に移ってきていた。
わたしたちは、小型の空船を何隻も造り地上との連絡をとれるようなルートを作った。
そして、いよいよエルフたちを迎えることになった。
思っていたよりも鬱蒼とした森の中にある『天国』の中には、野人と化したエルフたちが何十人もいるようだった。
わたしたちは、協力してエルフたちを保護していった。
半裸の状態でもとが何かもわからないぐらい薄汚れた野獣のようなエルフたちは、わたしたちを警戒して怯えていて保護しようと近づいてくる者たちに向かって襲いかかってきた。
それを一人一人怪我をさせないように気をつけながら捕らえると空船に回収して浮島の施設へと連れ帰った。
わたしたちは、怯えて震えている獣のようなエルフたちを一人一人施設の浴場で温かなお湯で洗い清めると清潔な服を着せていった。
老人とはいえエルフは、若く見える。
みな、驚くほど若々しく美しかった。
最初は、わたしたちの介護を拒んでいたエルフたちも優しく洗い清められ柔らかな服を着せ終わる頃には、だんだんと落ち着いてきていた。
わたしたちは、エルフたちに食事を提供した。
レイアさんいわく、エルフは肉を食べないわけではないとのことだったのでタンパク質も十分に摂取できるようなメニューを考えた。
少し、食べやすいように一口大にして提供してみる。
エルフたちは、それを手掴みで食べようとした。
わたしは、彼らにスプーンを手渡すと、彼らと同じテーブルについて彼らの目の前で一緒に食事をした。
エルフたちは、わたしをじっとみていたが、何人かがわたしと同じようにスプーンを使って食事をとり始めた。
わたしたちは、エプロンを嫌う彼らのために食事が終わると一人づつ浄化の魔法をほどこした。
施設に収容したエルフたちはそれぞれの部屋を決め、基本的には、そこで暮らしてもらうことにした。
が、施設の出入り口には鍵をつけることはしなかった。
わたしは、そこを開かれた場所にしたかったからだ。
初夏をむかえる頃にも、わたしとライナス先生はまだ、結婚の儀式をしてはいなかった。
それは、わたしの事業が忙しかったためだった。
予定を先延ばしにすることをライナス先生は、快く了承してくれた。
「君の望む通りにしよう」
ライナス先生は、通信用の魔道具を通してわたしに伝えてきた。
その言葉にわたしは、甘えてしまった。
その頃、街は、だいたいの形ができ移住する人々も徐々に移ってきていた。
わたしたちは、小型の空船を何隻も造り地上との連絡をとれるようなルートを作った。
そして、いよいよエルフたちを迎えることになった。
思っていたよりも鬱蒼とした森の中にある『天国』の中には、野人と化したエルフたちが何十人もいるようだった。
わたしたちは、協力してエルフたちを保護していった。
半裸の状態でもとが何かもわからないぐらい薄汚れた野獣のようなエルフたちは、わたしたちを警戒して怯えていて保護しようと近づいてくる者たちに向かって襲いかかってきた。
それを一人一人怪我をさせないように気をつけながら捕らえると空船に回収して浮島の施設へと連れ帰った。
わたしたちは、怯えて震えている獣のようなエルフたちを一人一人施設の浴場で温かなお湯で洗い清めると清潔な服を着せていった。
老人とはいえエルフは、若く見える。
みな、驚くほど若々しく美しかった。
最初は、わたしたちの介護を拒んでいたエルフたちも優しく洗い清められ柔らかな服を着せ終わる頃には、だんだんと落ち着いてきていた。
わたしたちは、エルフたちに食事を提供した。
レイアさんいわく、エルフは肉を食べないわけではないとのことだったのでタンパク質も十分に摂取できるようなメニューを考えた。
少し、食べやすいように一口大にして提供してみる。
エルフたちは、それを手掴みで食べようとした。
わたしは、彼らにスプーンを手渡すと、彼らと同じテーブルについて彼らの目の前で一緒に食事をした。
エルフたちは、わたしをじっとみていたが、何人かがわたしと同じようにスプーンを使って食事をとり始めた。
わたしたちは、エプロンを嫌う彼らのために食事が終わると一人づつ浄化の魔法をほどこした。
施設に収容したエルフたちはそれぞれの部屋を決め、基本的には、そこで暮らしてもらうことにした。
が、施設の出入り口には鍵をつけることはしなかった。
わたしは、そこを開かれた場所にしたかったからだ。
34
あなたにおすすめの小説
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~
紅月シン
ファンタジー
聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。
いや嘘だ。
本当は不満でいっぱいだった。
食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。
だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。
しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。
そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。
二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。
だが彼女は知らなかった。
三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。
知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。
※完結しました。
※小説家になろう様にも投稿しています
【完結】そうは聖女が許さない〜魔女だと追放された伝説の聖女、神獣フェンリルとスローライフを送りたい……けど【聖水チート】で世界を浄化する〜
阿納あざみ
ファンタジー
光輝くの玉座に座るのは、嘘で塗り固められた偽りの救世主。
辺境の地に追いやられたのは、『国崩しの魔女』の烙印を押された、本物の奇跡。
滅びゆく王国に召喚されたのは、二人の女子高生。
一人は、そのカリスマ性で人々を魅了するクラスの女王。
もう一人は、その影で虐げられてきた私。
偽りの救世主は、巧みな嘘で王国の実権を掌握すると、私に宿る“本当の力”を恐れるがゆえに大罪を着せ、瘴気の魔獣が跋扈する禁忌の地――辺境へと追放した。
だが、全てを失った絶望の地でこそ、物語は真の幕を開けるのだった。
△▼△▼△▼△▼△
女性HOTランキング5位ありがとうございます!
冷酷騎士団長に『出来損ない』と捨てられましたが、どうやら私の力が覚醒したらしく、ヤンデレ化した彼に執着されています
放浪人
恋愛
平凡な毎日を送っていたはずの私、橘 莉奈(たちばな りな)は、突然、眩い光に包まれ異世界『エルドラ』に召喚されてしまう。 伝説の『聖女』として迎えられたのも束の間、魔力測定で「魔力ゼロ」と判定され、『出来損ない』の烙印を押されてしまった。
希望を失った私を引き取ったのは、氷のように冷たい瞳を持つ、この国の騎士団長カイン・アシュフォード。 「お前はここで、俺の命令だけを聞いていればいい」 物置のような部屋に押し込められ、彼から向けられるのは侮蔑の視線と冷たい言葉だけ。
元の世界に帰ることもできず、絶望的な日々が続くと思っていた。
──しかし、ある出来事をきっかけに、私の中に眠っていた〝本当の力〟が目覚め始める。 その瞬間から、私を見るカインの目が変わり始めた。
「リリア、お前は俺だけのものだ」 「どこへも行かせない。永遠に、俺のそばにいろ」
かつての冷酷さはどこへやら、彼は私に異常なまでの執着を見せ、甘く、そして狂気的な愛情で私を束縛しようとしてくる。 これは本当に愛情なの? それともただの執着?
優しい第二王子エリアスは私に手を差し伸べてくれるけれど、カインの嫉妬の炎は燃え盛るばかり。 逃げ場のない城の中、歪んだ愛の檻に、私は囚われていく──。
【完結】聖女召喚に巻き込まれたバリキャリですが、追い出されそうになったのでお金と魔獣をもらって出て行きます!
チャらら森山
恋愛
二十七歳バリバリキャリアウーマンの鎌本博美(かまもとひろみ)が、交差点で後ろから背中を押された。死んだと思った博美だが、突如、異世界へ召喚される。召喚された博美が発した言葉を誤解したハロルド王子の前に、もうひとりの女性が現れた。博美の方が、聖女召喚に巻き込まれた一般人だと決めつけ、追い出されそうになる。しかし、バリキャリの博美は、そのまま追い出されることを拒否し、彼らに慰謝料を要求する。
お金を受け取るまで、博美は屋敷で暮らすことになり、数々の騒動に巻き込まれながら地下で暮らす魔獣と交流を深めていく。
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる