聖女なんかじゃありません！～異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます～

18 人生はさんまの味

18ー3 味方登場？

　18ー３　味方登場？

　その地味なネズミのような少年は、わたしに指されて焦って立ち上がろうとして椅子を倒してしまった。
　「す、すみません！」
　「いいよ、別に。君、名前は？」
　「ジャッシュ・ストラウスです」
　小さな消え入りそうな声で呟くジャッシュにわたしは、お願いした。
　「もう少し、大きな声で話してくれるかな？ジャッシュ」
　「す、すみません！」
　ジャッシュは、また頭を下げると震える声で話し出した。
　「僕は、ジャッシュ・ストラウス、です。父はレンガ職人で一年のほとんどをレンガを造っている町レートスで過ごしています。母は、お針子をしていていつも店に泊まり込んで仕事をしています。僕は、だからいつもは病弱な祖母と２人暮らしです」
　マジか。
　この子、苦労してるんだよ！
　わたしは、ジャッシュに訊ねた。
　「なんでわたしの授業を受けようと思ったわけ？」
　「あの・・・先生の授業が一番必要ないと思ったからです」
　「はい？」
　わたしは、信じられなくってジャッシュを二度みしてしまった。
　「必要ないって？」
　「僕は、平民です。特待生としてこの学園に入学することを許されています。絶対にいい成績を修めてここを卒業しなくてはいけません。将来は、官吏になるつもりです。だけど、たまに祖母の体調が悪いと学校を休まなくてはいけなくて。この授業なら休んでも将来に響かないと担任のジェリコ先生に言われたので受けることにしました」
　マジですか？
　わたしは、とりあえず心に決めた。
　ジェリコは、死刑！
　許すまじ！
　しかし、まともに授業を受けたいという子はいないのか？
　わたしが思っていると教室の中ほどに腰かけたポッチャリ系のハニーブロンドの女の子が立ち上がった。
　「みんな、先生に酷すぎるよ！」
　おおっと！
　この子は、わたしの味方なの？
　「私は、マリー・デミウルフです。私は、騎士団長のガーナス・デミウルフの娘です」
　また、家族の話か！
　わたしがふんふんと興味なさげにきいているとマリーは、信じられないことを話し出した。