聖女なんかじゃありません!~異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます~

トモモト ヨシユキ

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19 国民皆保険へ、レッツらゴー!

19ー8 短い人生だったなぁ。

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 19ー8 短い人生だったなぁ!

 世界が音を立てるようにして変わっていこうとする中のことだ。
 わたしたちは、学園という守られた世界で生きていた。
 そんなある日。
 学園で選択科目の実習のために高等部の学生たちが王都の近くにあるダンジョンへと赴くことになった。
 もちろんわたしもあの5人を率いて参加することになった。
 事情を知っている学園長や、シーラさんは、わたしが王都から出ることに反対したが、わたしは、いくことにした。
 だって、これは、思い出作りだからな。
 わたしとあの5人の修学旅行のようなものだ。
 5人は、それぞれが可愛げのない学生たちだったが、それでもわたしにとってはかわいい生徒たちだった。
 特に、もとヤングケアラーのジャッシュは、わたしに懐いていた。
 将来は、わたしの商会で働きたいと言い出すほどに。
 今、『メルクリウス商会』は、この国でも1、2を争うほどの大商会へと成長していた。
 それは、宰相閣下の取り立てもあったが、主に、ラーズさんの才覚とわたしのもたらしたなんちゃって最新技術のせいだった。
 そういう意味でもわたしは、危険だった。
 なぜなら、『メリクリウス商会』の謎の会頭にも『教団』は、懸賞金をかけていたからだ。
 そんな中だったが、わたしたちは、実習の旅に出発することとなった。
 わたしたちは、学園の用意した馬車に乗って王都の外へと旅立った。
 空船での移動が多くなったわたしにとっては、こういう馬車の旅は久しぶりだった。
 わたしは、柄にもなく少しこの旅を楽しんでいた。
 だが。
 思わぬところで邪魔は入るのだった。
 王都を出て少し進んだところでなぜか、わたしたちの乗った馬車だけが街道を外れていることに気づいた。
 わたしは、ルゥを呼ぼうとした。
 しかし、ルゥは、現れなかった。
 そして、他の精霊たちもな。
 これは、罠だ。
 わたしは、生徒たちに気づかれないように気を配りながら、気を張り巡らしていた。
 何があってもこの子たちを守らなくては!
 しばらく街道を離れて進むと、馬車は、停車した。
 どうやら御者が逃げ出したようだった。
 いよいよだな。
 わたしは、ため息をついた。
 短い人生だったなぁ。
 
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